家庭学習にもコツがあります。第一は、毎日少しずつ同じことをやっていくということです。短い時間であっても、毎日やる方が続けやすいからです。回数を少なくして長時間やるよりも、短い時間でいいから毎日やる方がいいのです。毎日やるような形の学習だと、保護者の方がやり方を指示しなくても、お子さんが自分で自主的にできるようになります。そして、雨の日も、風の日も、土曜も日曜も祝日も、いつも同じようにやっていくと、いつの間にか力がついてくるのです。
保護者の方は、お子さんががんばってやっていると、ついもう少し長くやらせようと考えがちです。しかし、学習を追加したり延長したりすると、だらだらする癖がつきます。集中力がないという原因の多くは、長く学習をさせられたところから来ています。それは、学習ではなく文字通り勉強(努めて無理をするの意)なのです。
第二は、丸付けは自分でするということです。お子さんは問題を解くだけで、保護者の方が丸付けをするという形で学習すると、保護者の方がいなければ学習が完結しなくなってしまいます。お子さんが最初から最後まで自分のペースで学習できるのが一番いいのです。その丸付けも、問題を例えば1ページなら1ページ全部終わってからまとめてつける方が作業を合理的に進めることができます。一問ずつ質問したり、答え合わせをしていては、意識の継続性が失われ密度の濃い学習になりません。
お子さんは、丸がつくと喜びますが、丸がつくようなレベルや範囲の学習は、実はやらなくてもよかった学習にあたります。楽港の宿題でできることをだらだらとやらせる宿題手がありますが、そのようなときは仕上がりの状態よりも仕上げるスピードに意識を向けるべきでしょう。そうしないとせっかくやったその学習内容が時間の無駄となります。大事なことは、×がついたときで、その×を自分で理解し、×の理由を保護者の方に説明できれば、そこで力がついていきます。×のついた問題は、できるだけ保護者の方が解説するのではなく、お子さんが保護者の方に説明するようにしていくことが家庭学習においては大事です。
第三は、読書も学習のうちだということです。ときどき、読書は、学校でやっているからいいとか、行き帰りの電車の中でやっているとかいう子がいます。それはそれでいいのですが、それが家庭で読書をしない理由になりません。小学生時代は特に、読書は学習よりも優先して取り組む方が、後伸びする本当の実力がつきます。
読書の本選びで、親が選ぶ本は全体に難しすぎるという傾向があります。また、真面目で面白くない本になる傾向もあります。読書はまず楽しいもの、面白いものを読んでいくことです。1冊だけをずっと読んで、その1冊が終わってから次の本を読むという読み方をしていると、読みにくい本にぶつかったとき、読書が進まなくなってしまいます。読書は、数冊を並行して読んでいく方が楽にたくさん読めるようです。