ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

立ち向かう心

2015年11月18日 | 中学受験 合格力随想

先日、卒塾生の一人T君から電話がありました。甥御さんのことで塾長に相談に乗って欲しいとのこと。会いました。現在、4年生でH塾に通塾中。伸び悩みとのことで、今後のことを考えて12月より転塾していただくこととなりました。

それにしても、卒塾生の彼とは長い付き合いになります。最初、小6生の秋口に中学受験をしたいとのことで指導開始。それまで何も取り組んではいなかったのですが、それからの日々の努力には目を見張るものがありました。惜しくも抽選で不合格となりましたが、中学生活における学習態度と成績は一頭群を抜いていました。しかし、高校受験でもH高校に失敗し、S高校という仕儀と相成りました。大学は国立O大学は届かず中期校に決定しました。

考えてみれば、彼との受験の関係は不合格例の連続でした。しかし、そんなネガティブな状況の繰り返しでも、彼は誹りもせず、当塾に寄り添い、大学生になってからは講師も務めてくれました。その意味を振り返って考えるとき、私は完全燃焼という言葉に思い至ります。20年弱前から、いつもお互いその時目指すことのできる最上位校にチャレンジしていました。また、合格できる確率も少なからずあったのです。ホントに彼は努力し続けました。

今は彼にはもっと楽な受験人生があったとも思いますが、基本、当塾は昔からイケイケ。受けずに悔やむなら受けて落ちても次に繋がるという姿勢を男子には採ってきました。(あくまで能力にもよりますが…)受験は、絶対TRY&CHALLENGEだと思うのです。そうは思うのですが、どこか彼に悪いことをしたなという気持ちがあることも否めません。

しかし、当塾の立ち向かう心は正に彼に伝わっていたと思うのです。受験を生業としている以上、合格が至上命題なのは当たり前です。しかし、破れても破れてもCHALLENGEし続ける彼は、当塾が育てたいと思う理想の姿の一つです。

そんな彼には、もう一つ立ち向ったと言えるうれしいお話しがあります。大学卒業後、技術職として大企業に就職していましたが、人に教えることや学ぶ時に触れ合う感動が忘れられず、とうとう会社を辞め、来年より教鞭を取ることになりました。

長く塾業界にいると、狭い世界の中にいるため、ややもすると井の中の蛙になりがちです。しかし、こんな彼の姿を見ると、私の来し方もまんざらではなかったのだと思い、強い思いをぶつけて教えていた20年前の熱気が蘇ります。そんな、熱を蘇らせてくれた彼にはホントに感謝、感謝です。そして、思うのです。今度こそ甥御さんの受験を真の成功に導き、彼と美酒を酌み交わそうと…。



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