だいぶ以前ですが、朝日新聞に興味深い記事が掲載されました。お読みになった方もいらっしゃるかとは思いますが、アップします。筆者は奥村潤子さんという方で、現在、日本赤十字豊田看護大学の教授をされています。(以下、引用)
病院でけらけら笑う看護師がいたら、患者や付添い人はどう思うだろうか。「患者が苦しんでいるのに何と不謹慎な」。実際私が看護学生のころもそうだった。しかし、いま、笑いは病院に必要とされているのだ。
名古屋大学第一赤十字病院の看護学部長だった4年前。難病の子供の願いを聞き入れ、ディズニーランドに連れていくことになった。病状は重く心臓が止まる可能性すらあった。いつも痛みで顔をゆがめている子だった。ところが奇跡が起きた。
名古屋から新幹線に乗ったころから痛みを訴えず、痛み止めの薬がいらない。ディズニーランドでは楽しそうに乗り物に乗ったり、アトラクションを楽しんだりした。痛みが癒されたのである。
看護師の経験から、私は笑いやユーモアが患者の痛みを和らげることをうすうす感じてはきた。さらに、最近笑いの効用の研究が進んでいる。漫才を鑑賞した後、糖尿病の患者の血糖値が下がったり、アトピーの原因であるアレルギー反応が軽減されたりすることが確かめられつつある。(中略)
「クリニクラウン」をご存じだろうか。クリニック(病院)とクラウン(道化師)を合わせた造語だ。道化師が病院を訪れ、笑いや楽しさを演出して患者の苦しみを癒し、能動性を引き出し、社会復帰に向けて援助をする。(中略)
名古屋大学第一赤十字病院は数年前、オランダのクリニクラウンから研修を受けた彼らの「卵」の受け入れを打診された。当初、院内には慎重な意見もあったが、私は小児病棟の医師と看護師の了解を取りつけ、6人を受け入れた。
小児病棟には赤ちゃんから18歳まで約100人の患者がいる。最初は泣き出した子もいたが、手品をしたりシャボン玉を吹いたりすると興味を持ち、笑顔で近づいてきた。
その中の一人は半年以上声を発することができない子どもだった。ところが、風船などでゲームをした後、風船をもらうと突然、声を発した。
「ありがとう」母親は目に涙をためた。今では単語を並べて話ができる。(以上、朝日新聞より)
「ユーモア」「笑い」が人を救うこともある、大変興味深いお話です。
さて、これを読んで、ふと最近の自分を振り返ってみました。日々の生活の中で、笑っている時間はどのくらいあるのでしょう。忙しい、忙しいが口癖になっている自分。身近な人たち、家族や友達に、どれだけ笑顔で接しているでしょうか……。改めて考えてみると、ちょっと恐ろしくなりました(笑)。「あれをしなさい、これをしなさい」、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」、いつも何かに追い立てられて、難しい顔をしている時間が多い気がします。誰かのために、そして自分のためにいつも笑顔を忘れないようにしたい……、と改めて思いました。
病院でけらけら笑う看護師がいたら、患者や付添い人はどう思うだろうか。「患者が苦しんでいるのに何と不謹慎な」。実際私が看護学生のころもそうだった。しかし、いま、笑いは病院に必要とされているのだ。
名古屋大学第一赤十字病院の看護学部長だった4年前。難病の子供の願いを聞き入れ、ディズニーランドに連れていくことになった。病状は重く心臓が止まる可能性すらあった。いつも痛みで顔をゆがめている子だった。ところが奇跡が起きた。
名古屋から新幹線に乗ったころから痛みを訴えず、痛み止めの薬がいらない。ディズニーランドでは楽しそうに乗り物に乗ったり、アトラクションを楽しんだりした。痛みが癒されたのである。
看護師の経験から、私は笑いやユーモアが患者の痛みを和らげることをうすうす感じてはきた。さらに、最近笑いの効用の研究が進んでいる。漫才を鑑賞した後、糖尿病の患者の血糖値が下がったり、アトピーの原因であるアレルギー反応が軽減されたりすることが確かめられつつある。(中略)
「クリニクラウン」をご存じだろうか。クリニック(病院)とクラウン(道化師)を合わせた造語だ。道化師が病院を訪れ、笑いや楽しさを演出して患者の苦しみを癒し、能動性を引き出し、社会復帰に向けて援助をする。(中略)
名古屋大学第一赤十字病院は数年前、オランダのクリニクラウンから研修を受けた彼らの「卵」の受け入れを打診された。当初、院内には慎重な意見もあったが、私は小児病棟の医師と看護師の了解を取りつけ、6人を受け入れた。
小児病棟には赤ちゃんから18歳まで約100人の患者がいる。最初は泣き出した子もいたが、手品をしたりシャボン玉を吹いたりすると興味を持ち、笑顔で近づいてきた。
その中の一人は半年以上声を発することができない子どもだった。ところが、風船などでゲームをした後、風船をもらうと突然、声を発した。
「ありがとう」母親は目に涙をためた。今では単語を並べて話ができる。(以上、朝日新聞より)
「ユーモア」「笑い」が人を救うこともある、大変興味深いお話です。
さて、これを読んで、ふと最近の自分を振り返ってみました。日々の生活の中で、笑っている時間はどのくらいあるのでしょう。忙しい、忙しいが口癖になっている自分。身近な人たち、家族や友達に、どれだけ笑顔で接しているでしょうか……。改めて考えてみると、ちょっと恐ろしくなりました(笑)。「あれをしなさい、これをしなさい」、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」、いつも何かに追い立てられて、難しい顔をしている時間が多い気がします。誰かのために、そして自分のためにいつも笑顔を忘れないようにしたい……、と改めて思いました。