自称「一般的な会社員」

どこにでもいる、一般的な会社員の日常

九州出張2日目

2020-10-26 | 仕事
6時半に起床です。去年は7時とか8時に宿を出ろって言われたからね。超眠いね。テレビをつけてみると、40万戸以上で停電ですって。こりゃ帰れんわ。

本部からの指示は、まだなし。身だしなみを整えても何の連絡もないので、相棒と朝食に出ました。サンマルクカフェでモーニングをしたのですが、値段が違う気がするんですけど。これ、セットになってないんじゃない?美味しいからいいけど。

30分ほどで本部から指示がありました。長崎に行くチームと、鹿児島の左に行くチームと、鹿児島の右に行くチームと、バックアップチームに分かれるようです。我々は鹿児島チームです。早く食べて出発せねば。時を同じくして隣のテーブルもバタバタと食べ終えて出て行ったので、きっと同僚だったんだろうなぁ…。

このまま被災地入りとなると、今夜は帰れない可能性もあります。コンビニで1日分のご飯を調達。お弁当やおにぎりが少ないのは、売れてしまったのか入ってこなかったのか、どっちなんだろう。お昼用に焼き肉弁当、夜と朝用にパンをいくつか購入。

さぁ、改めためて出発。駐車場に行くと、すでに1台出発していました。出発準備していたチームと軽く雑談して、我々も出勤です。

都市高速に入り、九州縦貫道をひた走る。前後にアンテナを積んだ大阪のレンタカー、つまり同僚が走っていますが、だんだんとバラバラに。長崎方面に行く人もいれば、のんびり走る人もいれば、仏恥義理で走る人もいる。

福岡を過ぎて八女に入り、ちょっとだけ佐賀に入ったあたりで熊本地震の時のことを思い出しました。あー、ここ走ったなぁ。途中で記憶があいまいだったけど、植木ICから先が通行止めで、手前の菊水ICで降りたことを思い出しました。たしかそのときに今の相棒と情報共有していた気がするよ。

宮原SAで運転を代わったのですが、遠足っぽいバスが休んでいました。小学校高学年かな。このご時世かつこの状況で遠足できるんだ。やっぱり大したことなってないのかも?淡い期待を持ちながら出発。

で、走っていて気づいてしまったんですよ。これ、九州も縦断しちゃったんじゃない?最南端には行っていないけど、福岡から鹿児島まで来ちゃったじゃん。あとは北海道を縦断すれば、日本縦断と言っていいんじゃない?ちゃんと最南端まで行かないとだめ?

集合場所のPAに着きましたが、次の指示はなし。指示係りが待機しているのかと思いきや、誰もいないよ。アンテナ積んだ大阪のレンタカーが4台並んでいるだけだよ。我々が着いてから20分ほどで、次の指示がありました。

『車に積んでいる機器を展開するとレンタカーで移動できないので、移動用のレンタカーを手配しました。借りに行ってください』

なるほど。車中泊の心配はなさそうですね。でも社内規定で一人での運転は禁止されているはずですが…『今回は特例です』わかりました、事故のないように気を付けましょう。

再び出発してレンタカー屋へ。移動用だからコンパクトカーかな。軽自動車だと高速がつらいよね。と話していたのですが、追加で借りたのはハイエースでした。何故…そこに停めてあるVitzを借りたい。

レンタカーを借りると、すぐに次の指示がありました。ようやく復旧作業です。が、ちょっと待ってください。もう13時なんです。ご飯を食べさせてください。既にここは鹿児島県ですが、近辺では電気の問題はなし。飲食店も営業してそう。でも私が朝に焼き肉弁当を買ってしまったので、相棒も気を使ってコンビニ飯となりました。申し訳ない…。

食事を終えて、私が機材のほうのハイエースを、相棒が空っぽのハイエースを運転して出発。せっかくだから一人カラオケでもしようと思ったのに、ナビとiPhoneがBluetoothでつながらない!仕方がないので、iPhoneのスピーカーから音を流そう。

本部から指示された目的地は、山の中です。だいぶ怖いので、iPhoneでもナビを立ち上げながら走ります。一人カラオケを満喫していると、電気の消えた信号機がありました。お、遂に停電か、と思ったら工事しているだけでした。なんだよ。

40分ほど走ると、超山の中。集落がポツポツあるだけで、コンビニはないしお店もほとんどない。そんな中で、明らかに主要道から離れる、地元の人しか入っちゃいけないような道に行けと、ナビが案内する。どうやらこの先に目的地があるらしい。だいぶ躊躇したけど、意を決して突入。

坂道は、体感で20度くらい。舗装路なのが救いですが、台風のせいか落葉がビッシリで、しかも濡れているのでめっちゃ滑りそう。何百キロの荷物を積んでいるので、滑ったら地獄だぞ。空転しないようにゆっくり進むものの道はさらに険しくなり、道の両側から伸びている木や草を掻き分けながら進みます。これ、降りられないぞ。

先を見るとどんどん険しくなっているようで、さすがに戸惑いを隠せない。坂の緩いところでいったん止まって、後ろから来ている相棒と相談。

ア「これ、行きます?進めなくなって、さっきの道までバックで戻るとか無理っすよ」
相棒「うーん、ちょっと先まで様子を見に行ってみよう」

ということで、徒歩で進んでみます。坂はさらに厳しくて、落葉どころか枝ごと落ちています。が、ちょっと道幅が広くなっているので進めそう。とりあえず進んでみることにして車に戻ると、さらに後ろに別の車がいました。こんな道を走る車があるのか…!

後ろの車「この先進めませんか?」
ア「いや、なんとか行けそうです」

私が落ち葉や枝を除去している間に相棒が話を聞いてみると、後ろの人たちは道路に異常が無いかを確認して周っているそうです。どこかの役所か、そこから委託された人かな。相棒に『スリップしたら後ろから抑えてくれ』と無茶なお願いをして、再出発。後ろの人たちに先に行ってほしいけど、ホントに車一台分の幅しかないからなぁ。

500メートルほど進むと、目的地に到着。作業用の車退避スペースがあったので、私の車をそこに停める。相棒はさらにすれ違えるところまで行ってもらって、Uターンでもして帰ってきてもらおう。その間に状況を確認したいけど、ここで何をしろと言うのか。

基本的に我々の装備は、避難所とかで臨時通信設備を展開するものです。この山奥に避難所があるはずもなく、草むらの奥に弊社のものと思われる設備があるだけ。どうしていいのかわからず、本部に問い合わせようにも携帯の電波が入らない。ふふふ、こんな時のために衛星電話を渡されているんだぜ!が、山の中過ぎて木が邪魔で衛星を捕まえられない。意味ねー!とりあえず同僚の合流を待つか。

相「いやー、大変だった。倒木までいかないくらいの枝が落ちてて…後ろの人たちが鉈を持ってて助かったよ」
ア「あ、擦れ違えたんですね」
相「ちょっと行ったところで2車線くらいの広さになってて、そこに車止めてきた。で、どうするの?」
ア「わからないので本部に電話します。30分経っても戻らなかったら、警察呼んでください」

電波を求めて走って坂を下ると、300メートルくらいで3Gの電波が入りました。やったぜ!本部に電話できるぜ!

ア「着きましたけど、ジャングルで何すればいいんですか?」
本部「説明が漏れててすみません!通信設備がありますよね?車に積んでる衛星アンテナを直結して、通信を復旧して欲しいんです!」
ア「何を言っているんですか?やり方わかりませんよ…」
本「アレックスさんは、訓練通り衛星アンテナを展開してください。で、車載の通信機とつなぐ代わりに通信設備につなげるんですが、それが出来るチームを送ります!」
ア「はぁ、わかりました。が、ジャングルなのでたぶん衛星掴めませんよ?」
本「え……写真送ってもらえますか?」

車に戻って写真を撮って、また走って電波が入るところまできてメールを送信。次の指示があるまで待機とのことなので、とりあえず下山。下山するにも2車線くらいの広さのところまで進んで、何度も切り返してやっとこさUターンしての下山です。こんなところで脱輪したら終わりだけど、ギリギリまで攻めないと回れないから困る…。相棒を信じるしかない。

そして下山しても待機場所がないから困る。ナビを見ても10kmくらい戻らないとコンビニもない。とりあえずバス停らしきところで作戦会議。すると、地元の方に話しかけられました。

地元「あんたらはアレかい、テレビかい?」
ア「いや、違うんですよー、通信系でして(パラボラアンテナ積んでるからな…)」
地元「もう少し先まで電気来てるから、この辺ももうすぐ電気来ると思うよ」
ア「ありがとうございますー」

停電してるのか。信号も無ければ自販機も無いから全然わからなかった。どうすっかなぁと思っていると、次の指示が来ました。次の目的地は直線距離だと2kmだけど、山の向こうなのでぐるっと回らないといけない。でも20分くらいで到着。

畑の真ん中に通信設備がある。が、またちょうど衛星の方向に木がある。うーん、とりあえずやってみるか。駐車スペースという名の草むらにハイエースを突っ込み、今回使わない荷物を下ろし、諸々の配線を実施。発電機をつないで、衛星アンテナを起動!が、衛星が掴めない。むむ、やっぱり木が邪魔なのか…いや、そもそも車が水平取れていなくてアンテナの軸がずれているのが問題か?

あーだこーだしてもダメなので、いったん遮蔽物のない水平の場所へ動かして再展開してみよう。が、ハイエース、脱出できず。10度くらい前傾で、地面も濡れた草むらなので、タイヤが空転しちゃうよ。うーんこいつ、後輪駆動だったのか。ちょっと前に出して勢いを付けたり、押したりしてなんとか脱出。

改めて衛星アンテナを展開しましたが、やっぱりダメ。ここでもあーだこーだした結果、探している衛星の設定が間違っていることが判明。設定し直したら衛星を掴めたよ。やったぜ。元の場所に戻して再展開しても、無事に衛星を捕捉。あとは通信設備と接続するだけだ!並行して設備側のチームが作業しているのですが、微妙にケーブルが届かない…。仕方がないので、草むらのさらに先、藪にまで車を進める。ここにいた全員が『こいつ、もう出られないな…』と思ったよ。

既にどっぷりと日は暮れて、真っ暗です。相棒のヘッドライトや、スマホのライト、別チームの車のヘッドライトで作業を継続。配線とか見えない…!そしてそれよりも、虫がすごい!これ、カブトムシとか捕まえるライトトラップと同じじゃない?バシバシ体当たりされるし、蚊柱みたいになっているしで、作業しづらいわ…。

いったい何回衛星アンテナを立ち上げ直したのか。無事に通信設備と結線出来たので、諸々を養生テープで防水対応して、降ろした荷物を全部積み込み直して、本日の作業完了。無事に通信が再開出来たけど、あと数時間で発電機が止まるんですけどね。

移動用のハイエースで街灯がないのか停電しているのかわからない真っ暗な山道を走り、東九州自動車道に入り、宿に着いたのは9時でした。まぁ、こんなものか。連絡を見返してみると、他のチームもジャングルに派遣されて大変だったみたい。

少し休んで、相棒と夕飯へ。近くに人気の海鮮居酒屋があるみたいなので、行ってみました。うん、さすが人気店だね、まさか生ビールが品切れとは…。他にも多くのメニューが品切れだし、看板メニューの刺し盛りは台風で漁に行けずにできないと。あ、そう言えば台風の対応で来てたんだった。カンパチがブリブリで美味しかったよ。

宿に戻ると明日の指示が出ていて、今日作業した通信設備に行って様子を見てこいとのことでした。うん、じゃあまあ今日は休もう。今日のホテルはボロイけど、大浴場があるのがいいね。肩までお湯に浸かれるとリラックスできるよ。さ、明日に備えて寝ます。おやすみなさい。