今日は大晦日である。1年に最終日なのである。本当にあっという間に1年が過ぎてしまった感がある。時間の尺度は人によって違うものであろうが、この12月の時間の過ぎる早さは、他の月とは全く異なるぐらいの早さである。「師走」とは、よく言ったものである。
大晦日であるので、今日は昼に近くの蕎麦屋「尾張屋」で、年越しそばを食べた。この1年の最後の日に、蕎麦を食べるのは、江戸時代からの風習であるらしい。因みに、温かい「天ぷらそば」を食べたのであるが・・・。
年越しそばの由来は、いくつかある。日本では、縄文時代にはすでに、そばが栽培されていたといわれています。それから長い間は、そばといえば、そば粉を練って作られる「そばがき」や「そばもち」が主流でした。現在食べられている麺の形のそばは「そば切り」といい、誕生したのは16世紀ごろとされています。そば切りが庶民にも広く食されるようになったのは、17世紀半ば(江戸時代中期)以降です。江戸でそば屋さんが出始めたころは、現在のような鰹だしのつゆではなく、味噌に水を足したものをこして作られる「垂れ味噌」で食されていました。鰹だしのつゆができたのは、17世紀半ばから18世紀後半といわれています。江戸の庶民に広く受け入れられるようになったそばは、江戸時代中期ごろから縁起のいい食べ物として晦日(月末のこと)や大晦日に食べられるようになりました。
数ある「年越しそば」の由来のうち、ここでは代表的なものをご紹介します。
・長寿や無病息災を願って
細くて長いそば切りの特徴から、「寿命を延ばし、良い運を長続きさせる」という験担ぎで食べられるようになったといわれています。
・災厄との縁を切ることを願って
昔のそばは現在のそばよりも切れやすかったため、「今年起きた災難や借金などの悪いことを断ち切って新年を迎えたい」という願いを込めて食べられるようになったとする説です。「縁切りそば」「年切りそば」とも呼ばれ、残さず食べるのが決まりとされています。
・金運アップを願って
かつて金銀細工職人は、作業中に飛散した金粉を、そば粉の団子を使って集めていたといわれています。金を集めることから、「お金との縁が深くなる」という考えが生まれ、金運アップを願って食べられるようになったとする説です。
年越しそばを食べるタイミングについては、正解や決まりはありません。大晦日の夕食で食べる方や、夕食とは別に年を越す前の夜食として食べる方が多く見られます。中には除夜の鐘を聞きながら食べる方もいます。「旧年の厄災と縁を切る」というのが、年越しそばの由来の一つです。そのため、年を越す前に食べるのが多数派ですが、地域によっては元日に食べるのが風習のところもあります。
●温かいそばでも冷たいそばでもOK。季節を考えると、温かいかけそばを年越しそばに選ぶ方が多いかもしれませんが、「かけそばを食べなければいけない」という決まりはありません。盛りそばにして温かいつゆにつけて食べても良いですし、冷たいつゆにつけて食べてもOKです。ただし、新そばを食べる場合は、麺の風味をしっかり味わえる盛りそばがおすすめです。そばの収穫は夏と秋にあり、秋そばのほうが風味や香りが優れていて色合いも美しいとされます。秋に収穫されてから年内いっぱいは、この秋そばを新そばと呼ぶのが一般的です。
年越しそばは、長寿や災厄との縁切り、金運アップなど、さまざまな験を担いで、江戸時代より食べられてきました。食べるタイミングやそばの種類、具材については各家庭の自由です。仕事や勉強を頑張った家族を労う「1年間お疲れさま」という気持ちと、翌年への願いを込めて、自分なりの年越しそばを用意してみてはいかがでしょうか。
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