Movieな空間

映画大好き人間の気ままな空間です!!

切ないロマンスに感涙!『今夜、ロマンス劇場で』

2020年05月18日 23時24分41秒 | Weblog

久々に、邦画で感涙してしまった。綾瀬はるか、坂口健太郎主演のラブロマンス映画『今夜、ロマンス劇場で』(2018年制作)である。映画に惚れ込んだ主人公の思いが強烈に伝わって来る作品で、私の大好きな「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿と思わせる作品である。この作品には数々のオマージュがある。
 綾瀬はるかと坂口健太郎が共演し、モノクロ映画の中のヒロインと現実世界の青年が織りなす切ない恋の行方を描いたファンタジックなラブストーリー。映画監督を目指す青年・健司はモノクロ映画のヒロインである美雪に心を奪われ、スクリーンの中の彼女に会うために映画館に通い続けていた。そんなある日、美雪が実体となって健司の前に現われる。モノクロ姿のままの彼女をカラフルな現実世界に案内するうち、健司と美雪は少しずつ惹かれ合っていく。しかし美雪には、人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密があった。「のだめカンタービレ」シリーズの武内英樹がメガホンをとり、「信長協奏曲」の宇山佳佑が脚本を担当。
 『テルマエ・ロマエ』や『翔んで埼玉』といったなかなかトリッキーな漫画作品を忠実かつ器用に映像化してきた武内英樹監督がメガホンを取り、綾瀬はるかと坂口健太郎が共演したファンタジックなラブストーリー、『今夜、ロマンス劇場で』。冒頭から『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンを意識したようなプリンセスの逃亡と、彼女が森で不思議な出で立ちの3人と出会うという『オズの魔法使』らしい要素を融合させた劇中映画で幕を開ける。映画監督を目指す青年が、通い詰める映画館「ロマンス劇場」のフィルム保管庫に眠っていた希少な映画の中に登場するヒロインに恋心を抱くと、たちまち映画の世界からそのヒロインが飛び出してくる。この点は、ディズニー映画「シンデレラ」でもある。現代の時間軸で入院する老人が看護師に語る物語という形で、回想的に描かれていく展開、もっぱらその大筋はウディ・アレンの80年代屈指の名作である『カイロの紫のバラ』。 同作は現実の生活から逃避しようとしたミア・ファロー演じるヒロインの前に、映画の中の登場人物が舞い降りてくるという次元を超えた恋模様をコミカルかつ叙情的に描いた作品である。モノクロの映画からカラーの現実世界に飛び出してきた登場人物は、必然的に現実世界に順応してカラーになる。そういった点で、モノクロの映画からモノクロのまま綾瀬はるかが飛び出してくるという視覚的な面白さを活かした本作は、『カイロの紫のバラ』のアイデアを残しながらも違うベクトルで物語を紡いでいくという姿勢にもなっている。もっとも、ここでもうひとつ90年代のゲイリー・ロスの傑作『カラー・オブ・ハート』との類似性も生まれてしまうわけだが、それも映画の“色”が持つ意味合いを変容させることで独自のニュアンスに切り替えているのである。
 オマージュの部分は、外国映画だけでなく日本映画にも及んでいる。例えば坂口健太郎演じる主人公の役名が牧野(日本映画の父、牧野省三であろう)、中尾明慶演じる友人の名前が山中(これは山中貞雄であろう)、撮影所の所長は成瀬(これは成瀬巳喜男)で、柄本明演じる映画館の館主は本多(『ゴジラ』の本多猪四郎)と日本映画の偉人たちの名前を拝借。さらに主人公が所属する映画会社「京映」のロゴは丸の下部が山型になっており「大映」のロゴを彷彿とさせたり(しかも「京映」が辿る道も大映と同じだ)。そして何よりも、“人の温もりに触れると消えてしまう”ヒロインと主人公とのラブロマンスを成立させるために象徴的に登場するガラス越しのキスシーンは、言うまでもなく今井正監督の『また逢う日まで』のオマージュなのである。
 映画の素晴らしさが遺憾なく発揮された作品である。しかも、映画を見る側と映画の主人公の、ありえない交流とロマンス。こんなことは映画でしか出来得ない、幻想的な非現実の世界の描写なのである。
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/romance-...


最新の画像もっと見る

コメントを投稿