Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

2019年08月21日 00時00分38秒 | Weblog


マガジン9のレポート【伊藤塾 明日の法律家講座レポート/冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明氏】(https://maga9.jp/190807-4/)。

 《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。

 是非、ご一読ください。裁判官だけでなく、検察官・弁護士への重要なメッセージを含みます。

 大崎事件について、木谷明さんは「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」と、裁判所を批判。木谷さん自身は、《裁判官時代に約三十件もの無罪判決を書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった》そうだ。
 その木谷さんからの重要なメッセージ、《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。裁判官・検察官・弁護士、それぞれと立場を考えた重いメッセージが続く。さらに、結論。《最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っています。それは、法曹三者、いずれにも共通です。冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です》。

   『●PC遠隔操作…事件…
    《後から「発見」された証拠の危険性 これに続いて、元東京高裁判事で
     現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した
     再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。
     それは、かの有名な白鳥事件。…袴田事件でも、有罪の決め手の1つ
     である血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、
     事件から1年2か月も経ってから。…やはり再審請求中の狭山事件でも、
     石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった
     被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、
     有罪証拠に使われた》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
     「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    「《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。
     木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。
     4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという」
    《元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を
     書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の
     著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある…》
    《「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも
     例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、
     再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。
     再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない

   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
     裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

==================================================================================
https://maga9.jp/190807-4/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明
By マガジン9編集部  2019年8月7日

1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」について、先日(2019年6月26日)、最高裁判所が一審、二審の決定を覆し再審請求を認めない決定をしたことが社会に大きな衝撃を与えました。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%以上と言われており、いったん有罪判決が確定した後に新証拠を提出して行う再審手続は、針の穴に駱駝を通すより難しいとさえ言われているそうです。

今回の講演では、元高等裁判所判事で弁護士の木谷明先生に、具体的な再審事件(恵庭OL殺人事件)を例に引きながら、刑事裁判の現実の姿を明らかにするとともに、冤罪を阻止・根絶するために法曹が果たすべき役割・責任についてお話しいただきました。[2019年7月13日(土)@渋谷本校]


決して「ひとごと」ではない冤罪事件

 ある日、突然、あなたが身に覚えのない罪で警察に連れて行かれたと想像してみてください。いくら弁解しても受け付けてもらえず、釈放してもらえません。最大23日間、家族や社会から断絶され、厳しい取調べが続く中で、あなたは否認を貫くことができるでしょうか。現実には、警察の厳しい取調べと誘導によって自白してしまう人は少なくありません。
 いったん自白してしまえば、検察は警察の作った自白調書が正しいものとして質問してきます。そして、起訴されてしまった場合の有罪率は99.9%以上です。無罪判決は1000件に1件もありません。残念ながら、「公明正大な裁判官なら自分の言い分をちゃんと聞いてくれるだろう」という期待は、よほどの幸運に巡り合わない限りかなわないのです。
 冤罪事件はたくさんあります。特に痴漢事件など比較的刑の軽い事件では、警察に「認めたら罰金にしてやる」と言われて嘘の自白をしてしまう人がたくさんいます。死刑や無期懲役に当たる重罪ですら、冤罪は決して珍しくありません。では、冤罪をなくすために法曹は何をすべきでしょうか。今日は私が現在弁護の一角を担っている「恵庭OL事件」を例にお話したいと思います。


恵庭OL事件とは

 2000年3月17日の朝、北海道恵庭市の雪原上で全身真っ黒こげになった女性の死体が発見されました。解剖の結果、犯人は被害者の首を絞めて殺害したうえ、車で死体を運び灯油をかけて火をつけたと想定されました。
 死体発見前夜の午後11時15分頃、現場近くに住むHさんが犬の散歩に出た際に、現場方向に数メートルに及ぶ大きな炎が立ち上がるのを見たという目撃証言がありました。Hさんの証言によると、散歩中にも現場方向に2回大きな炎を見ており、帰宅後の12時5分頃には最初に見た炎の3分の1ほどの大きさになっていたそうです。
 現場付近からタイヤ跡や複数の足跡が検出されたものの犯人の目星はつかなかったのですが、警察がさらに捜査を進めると、被害者A子さんは会社の同僚のOさんと、ある男性社員を挟んで三角関係にあったということが分かりました。
 事件当日の3月16日、A子さんとOさんは夜9時半頃に連れ立って会社から帰っています。Oさんが言うには、その後駐車場で別れた後はA子さんには会っていないそうです。しかし、OさんがA子さんに対し嫌がらせの無言電話をかけていたことや、Oさんが事件前日に灯油10リットルを買っていたことなどから、警察は三角関係のもつれからOさんがA子さんを殺したと想定しました。
 警察による厳しい取調べが1ヶ月ほど続き、精神状態が不安定になったOさんは神経科に入院してしまいましたが、退院後に逮捕勾留され、5月23日に起訴されました。何かの因縁でしょうか、2000年5月23日というのは私が裁判官を辞めた日でした。


間接事実による立証の難しさ

 この事件では犯人を特定するための直接証拠がないため、間接証拠によって事実を認定しなければなりません。これはなかなか難しい作業です。
 Oさんが犯人だとする想定を根拠づける積極的間接事実として、事件前夜に購入した灯油の処分方法についてOさんが嘘をついていたことが非常に重要視されました。Oさんは警察が自分を疑っていると知って怖くなり購入した灯油を捨ててしまっていたのですが、後に灯油を持っていた方が無実の証明になるのではないかと考え直し、再度灯油を購入し、それを事件前夜に買った灯油だと言い張っていたのです。弁護士がその事実を知ったのは公判が始まってしばらく経ってからでした。
 他方、Oさんを犯人と認める上で障害となる消極的間接事実としては、後に述べるアリバイのほかに、物理的にOさんにA子さんが殺せるのかという問題があります。OさんはA子さんより体格的に劣るうえ、短指症で右手の握力が極めて弱いという障害があります。そのような人が後部座席から助手席に座った女性を殺すことが出来るのでしょうか。仮に殺せたとして、50kg以上もある死体を一人で車から降ろして現場まで運べるでしょうか。現場からは引きずり痕もOさんの靴に合う足跡も見つかっていません。また、Oさんの車内にもA子さんの髪の毛や血液、指紋、DNAなど一切ありませんでした。検察はOさんが車内の清掃をしたのだろうと言いますが、いくら掃除したつもりになっても、痕跡を何一つ残さないということは事実上不可能と考えるべきです。


検察による証拠の偽装工作

 私が決定的だと思うのは、Oさんのアリバイの問題です。Oさんについては、事件当日の午後11時36分頃に現場から15km離れたガソリンスタンドで給油したという給油伝票が発見されました。しかし、付近の住民Hさんは、死体発見当日の事情聴取で、「午後11時15分ころ、死体焼損現場方向から大きな炎が上がるのを見た」という明確な供述をしています。ですから、もしOさんが犯人であれば、この給油伝票の記載を前提としても、Hさんが大きな炎を目撃した午後11時15分からわずか20分の間に街路灯のない雪道を移動しなければなりません。
 検察は20分もあれば十分移動できると言いましたが、実際に実験してみると25分ほどかかりました。しかも控訴審段階になって、マスコミの報道から、正確な給油時刻が記録された防犯ビデオの存在が発覚し、これによって、Oさんが給油を受けた時刻は11時31分であることがはっきりしたのです。検察は、防犯ビデオを隠した上で、給油伝票に記載されている時刻が誤ったものであることを知りながら、その給油伝票を証拠として提出して、虚偽の主張・立証をしていたことが分かりました。
 それだけでは不安だったのでしょうか、検察は目撃者Hさんの初期の供述調書も隠していました。取調べの初期の頃、Hさんは、「犬の散歩を終わって帰宅するまでの間に、何度も大きな炎が上がるのを見た」「帰宅後の12時5分頃にも、最初に見た3分の1くらいの炎を見た」とされていたのです。10リットルの灯油は、3~4分もすれば炎が小さくなって遠方から見えない状態になることが明らかなので、Hさんの初期供述によると、犯人は途中で灯油を継ぎ足しながら1時間くらい現場で死体を燃やしていたことになります。こうなるとOさんのアリバイは完全に成立してしまいます。これでは都合が悪いので、検察はHさんを繰り返し尋問し、最初の目撃時刻を曖昧にさせたり、「その後何度も炎を見た」という記述を消させたりした後、最終的に起訴直前に作成した検察官調書だけを証拠として提出しました。そのため、弁護人は、HさんがOさんの「完全なアリバイを証言している事実」を知らないまま一審判決を受けさせられたのです。
 他方、A子さんのロッカーキーがOさんの車から見つかったという問題は、一見するとOさんが犯人だということを裏付ける事情になりそうです。判決によると、Oさんの車内の捜索中にグローブボックスからロッカーキーが出てきたのでA子さんのロッカーを開けてみたら開いた、と認定されています。しかし、A子さんのロッカーはふだんから鍵をかけられておらず、鍵はロッカー内に放置されていたのです。そのような状況の中、事件当日にA子さんが、この日に限ってロッカーキーを持って出たと考えるのは不自然です。仮に持ち出したとしても、Oさんがそれを奪う必要がどこにあったのでしょうか。さらに、検察が言うようにOさんが殺人の痕跡を消すために車内を完璧に掃除したのであれば、なぜロッカーキーだけが車内に残っていたのでしょうか。こういう疑問を辿っていくと、この問題は、「警察が事前にA子さんのロッカーからキーを持ち出し、それをOさんの車内捜索中にグローブボックスに置いて、あたかもそこから発見されたという外観を作り出したのではないか」という疑問に行き着きます。そして、私はそれが最も合理的な推測であると思います。


なぜ裁判官は判断を誤ったのか

 ロッカーキーの問題について、裁判所は、警察が令状なしにOさんの車内からキーを持ち出した点については令状主義に違反すると認めているのですが、ロッカーキー自体の証拠能力は認めています。そして、裁判所は、警察がA子さんのロッカーからキーを持ち出してOさんの車に置いた(つまり、証拠を捏造した)という弁護人の主張を認めません。裁判所は、正義のために仕事をしている警察や検察が、証拠を捏造するなんて有り得ないと思っているのです。しかし、検事ですら物的証拠を捏造することがあり得ることは、村木厚子さんの郵便不正事件で実証済みです。
 Oさんのアリバイを巡る問題は、証拠開示に関する重大な問題を孕んでいます。弁護側が、正確な時刻が記録されている防犯ビデオの存在を知り証拠開示を求めることができたのは控訴審に入ってからです。また、Hさんの初期供述調書は、確定審では遂に開示されず、それが開示されたのは、再審段階に入ってからでした。つまり一審裁判所は、防犯ビデオの存在もHさんの初期供述調書の存在も知らずに、犯人は死体に火をつけたらすぐに現場から逃げたとしてOさんを有罪と認定したのです。基本的に控訴審もそれを踏襲し有罪判決が確定しました。
 なぜ裁判所はそのような不合理極まりない判断をしたのでしょうか。そこで思いつくのがOさんの嘘の問題です。裁判所は嘘をつく被告人は犯人だと思い込むことが多いです。しかし、犯人として疑われて追いつめられた無実の人間が窮地を脱しようとして嘘をついてしまうことはよくあります。これまでの冤罪事件においても、多かれ少なかれ嘘をついている被告人は多いのです。嘘をついているからといって犯人と決めつけると重大な間違いが起こることはこれまでの冤罪の歴史ではっきりしているのですから、裁判所はそのくらいのことは勉強してくれなければ困ります。
 いま、この事件は第二次再審請求が特別抗告審に係属している段階です。弁護団は、次々に最高裁へ補充書を提出していますが、果たして最高裁が聞く耳を持ってくれるでしょうか大崎事件についてあんなにひどい決定が出てしまったので、情勢は決して楽観できる状況ではありませんが、いつかは必ずOさんの無実を晴らしてあげなければいけないと思っています。


冤罪を回避するために法曹が心がけるべきこと

 冤罪を回避するために法曹三者裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです。
 検察官は、なりたての頃はそのような気持ちで頑張りますが、無罪を出すと上司に叱られ有罪にすると褒められるという環境の中でだんだん変わっていってしまいます。しかし、立ち止まる勇気、引き返す勇気は必要です。ましてや違法捜査、違法な公判活動は絶対にやってはいけません。
 弁護士は、無実の人は自分の力で救済するんだという格別に強い意欲と熱意を持って全力でぶつかる必要があります。生半可な気持ちで型通りの弁護活動をやっているだけでは強大な権限を持った国家権力に勝てません。被疑者、被告人の言い分をしっかり聞き取って、被告人に有利な証拠を収集することに全力を尽くさなければなりません。そのためには、刑事訴訟法で与えられた権限を最大限に活用して、検察が開示していない証拠をなんとかして突き止め開示させるように努力することが大事です。
 裁判官は、まず謙虚であることが大事です。真実は神のみぞ知ると言われますが、もう一人、被告人が真実を知っています。『それでもボクはやってない』という映画を作った周防正行監督は、「裁判官は被告人に裁かれているという意識を持たなくてはならない」と言っておられましたが、全くそのとおりだと思います。そのためには、真相は被告人の言っているとおりではないのかと考えるところから出発しなければいけません。また、被告人が嘘の弁解をしたということから短絡的に有罪の判断をするということは絶対にあってはなりません。検察官や警察官も人間である以上、困ったときには違法行為に出ることはあり得るし、検察官の手元には国が公権力で集めた証拠が全部あります被告人側がそれを見るチャンスがないという状況を、なんとか変えていかなければいけません
 私はすでに81歳ですから、これからの活動にはおのずから限界があります。したがって、今後の刑事裁判の質の向上、冤罪の阻止・撲滅・根絶はこれから法曹を目指すみなさんに期待を託すしかありません。どうか、皆さん、頑張ってください。
 最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。
 冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っていますそれは、法曹三者、いずれにも共通です冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です

木谷明(弁護士、「法学館法律事務所」所属、元東京高等裁判所部総括判事、元法政大学法科大学院教授)
神奈川県平塚市出身。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1961年 大学卒業後、司法研修所に入所。1963年判事補任官(東京地裁)。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て2000年5月、東京高裁部総括判事を最後に退官。同年6月公証人(霞ヶ関公証役場)となる。2004年から2012年まで法政大学法科大学院教授を務める。著書の『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(法律文化社)は、痴漢冤罪を描いた映画『それでもボクはやってない』を撮った周防正行氏の映画作りの参考にされた。その他の著書に『「無罪」を見抜く-裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店)、『刑事事実認定の理想と現実』(法律文化社)など多数。
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《その米国は…なぜ、最新鋭のF35ではなく、四十年以上も前に開発されたF15なのか》? で、ニッポンは??

2019年07月03日 00時00分17秒 | Weblog


東京新聞の望月衣塑子記者による2018年11月の記事【<税を追う>取材班から いつまで続ける軍拡】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111302000128.html)と、
2018年12月の記事【<税を追う>取材班から 戦闘機で買えるもの】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120602000125.html)。
東京新聞の半田滋さんのコラム【【私説・論説室から】米が選ばないF35を爆買い】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019061202000178.html)。

 《米国、中国、ロシアの軍事大国で、開発競争が激化しているという。無人機にも搭載可能で、議員は「バスに乗り遅れるな」と言わんばかりにまくしたてた。…軍拡の果てに起きている世界の現実を、攻撃型兵器をほしがる日本の政治家はどこまで想像しているのだろう。問われているのは戦争のリアルを想像し、軍拡に頼らずに平和を求め続ける強い意志だ。(望月衣塑子)》。
 《記事の見出しだけでも兵器ローン残高5兆円突破」「米製兵器維持費2兆7000億円」「地上イージス6000億円超もと、とてつもない数字が並ぶ。たとえば米国製の戦闘機F35一機百億円以上する。都市部で定員九十人の認可保育所を建てる場合、厚生労働省は建物費用を約二億円と想定しており、土地があれば一機分で少なくとも五十カ所、四千五百人分を建てることができる…(望月衣塑子)》
 《その米国は今年三月、衝撃的な決定をした。来年度からの五年間でF15EX戦闘機を八十機調達すると発表したのだ。なぜ、最新鋭のF35ではなく、四十年以上も前に開発されたF15なのか。…日本の戦闘機の選定基準で、国防の観点や操縦士の安全は何番目なのか。 (半田滋)》

   『●「積極的平和主義」なアベ様には少女の声は聞こえない
             ~子どもの「未来」の破壊、「悪夢」への投資~
    《パキスタンの十二歳の少女、ナビラ・レフマンさんが、
     米国の無人攻撃機による誤爆被害を世界に告発している…
     「戦争に巨額資金を投じるのではなく、教育支援をしてほしい」…
     イスラム過激派の支配地域で空爆を繰り返している米軍などへの
     批判は極めて少ない。無人機攻撃で、多くの市民が
     犠牲になっている現状も直視すべき》

   『●望月衣塑子東京新聞記者、議論無く
     「「欧米列強に倣え、進め」と武器輸出推進の道に歩みを進めている」

 子供たちの《戦争に巨額資金を投じるのではなく、教育支援をしてほしい》という切実な声は、アベ様独裁政府や与党自公、癒党お維の議員らの耳には届かないらしい。人殺しの(ポンコツな)オモチャを巨費を投じて《大人買い》。使いたくはないが、〝バカ〟じゃなかろうか。

   『●西日本大豪雨…「国民の生命と財産を守るって、
      口だけじゃないか」「博打の議論なんてやっている場合か」

 日刊ゲンダイの記事【フランスの次は日本…トランプ恫喝で防衛費20兆円へ一直線】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241499)によると、《日本の今年度の防衛費は過去最大の5兆1911億円を計上しているが、それでも17年度の名目GDP比は0.94%。…前田哲男氏…「…要求に対しては、平和憲法や、長年の“国是”ともいえる『防衛費のGDP1%枠内』を“盾”に抵抗すべきですが、9条改憲に前のめりの安倍首相には難しいでしょう」…GDP比4%なら防衛費は20兆円を超える。トランプの言いなりで、平和憲法嫌いの安倍政権なら絵空事ではない。社会保障や防災はヨコに置かれ、軍事大国まっしぐらだ》。
 米大統領の言うがままに、米製兵器購入のための軍事費増強なんて、冗談じゃぁない。軍事費を削り、《社会保障や防災》等にこそ税金投入を。
 「血税」はドブガネせずに、「未来への投資」にこそ使うべきだ。

   『●血税と赤紙と・・・「主権者である天皇に
      徴兵制に基づき血を納めた」。そして、いま、アベ国王へ血税が

 《その米国は今年三月、衝撃的な決定をした。来年度からの五年間でF15EX戦闘機を八十機調達すると発表したのだ。なぜ、最新鋭のF35ではなく、四十年以上も前に開発されたF15なのか》? で、ニッポンは?? なにゆえのバク買い? バカ買い?
 ニッポンの自衛隊の操縦士の命を賭して、何をしたいのか?

   『●《9条に自衛隊を明記し「違憲論争に終止符を打つ」…
       終止符を打たなければならないのはこのデタラメな政権だ》

 操縦士の命を〝賭けている〟一方での、ドブガネぶりにクラクラするよ、全く…。
 日刊ゲンダイのシリーズ記事の最終回【武田賴政 最新鋭機F35Aはなぜ墜落したのか147機体制で総額6.2兆円超 最大ネックは運用・維持コスト】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256370)によると、《ステルス塗料の耐久性と運用コストが実戦運用の最大のネックとなっている。F35の飛行1時間あたりの経費はメーカー試算で378万円。同じ単発エンジン機のF16戦闘機の3倍以上に上る。その大きな理由は、燃費ではなくステルス・コーティングの維持経費である…今後の量産化によってF35の機体価格は下がるかもしれないが、老朽化による維持経費の増大は確実だ。自衛隊は将来的に147機体制を敷く計画だが、そのうち42機を占めるF35B大型護衛艦を有事プラットホームとして運用するため、F35Aよりもさらに維持経費がカサむとみられる》。

   『●望月衣塑子東京新聞記者、議論無く「「欧米列強に倣え、進め」
                   と武器輸出推進の道に歩みを進めている」
   『●トランプ氏、「私は、日本と韓国に対して、
      アメリカの高性能の軍事装備を大量に購入することを認める…」
   『●「FMSは武器取引を通じて、米国が他国を従属させる
        システムでもある。日本の対米追従は強まる一方だ」
   『●「どっからどうもってきて出すのか」…軍事費を削り、
       弱者救済や災害復旧、防災にこそ血税を使って下さい
   『●「米ラスベガス・サンズに日本に参入する免許を与えるよう
               強く要求」されておきながらアベ様は平気で…
   『●《アメリカから兵器を買い過ぎたために、
      安倍政権は防衛予算が不足し、日本企業への支払い》が不能に…
   『●あのオモテナシ《ご機嫌取りの接待漬け》は「交」渉だったのか?  
                    「害遊・害〝行〟のアベ様」がイラン訪問?
   『●与党自公や癒党お維は、戦争したくて(させたくて)、 
       人殺しに行きたくて(いかせたくて)しかたないのね?
   『●自由民主《党が首相ユーゲント化》し、
     ニッポン《国民に「やってる感」を植え付け》、アベ様は国政を私物化
   『●《米国や韓国、中国や北朝鮮、ロシアの防衛担当たちは
            このお粗末さとずさんをどう分析するのだろうか》
   『●《英仏など…はF35の…調達を中止し、
      ドイツも次期主力戦闘機の候補からF35を外した》…で、ニッポンは?

 この武田賴政氏によるシリーズ記事【最新鋭機F35Aはなぜ墜落したのか】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3704)、タイトルを列記させて頂く:

◎【「ムエタイ」と呼ばれていたベテラン操縦士の“死のダイブ”】…《航空自衛隊の戦闘機パイロットは全員「TACネーム」という別名を持っている。空中戦の最中に無線で互いをすばやく呼び合うためだ。 「ムエタイ」 最新鋭ステルス戦闘機F35Aの墜落事故で殉職…》

◎【「空間識失調」の自覚なければ“パニック・ボタン”は無意味】…《航空自衛隊が公表した事故機の航跡概要図によれば、管制官が三沢基地に近づく米軍機との距離をあけるため、降下するよう指示した際の高度は約9600メートル。細見彰里3等空佐操縦のF35A戦闘機は、約20秒…》

◎【HMDなど不具合か…疑われる画像ブレによる錯誤と低酸素症】…《ソ連崩壊後、米国で初めて開発計画が立ち上がったのがF35戦闘機だ。冷戦の終結を反映してか、戦闘機同士の格闘戦能力をあまり重視しておらず、航空自衛隊のF2戦闘機などの従来機に勝てないといわれる。…》

◎【操縦士が低酸素症を頻発 OBOGS不具合原因は未解明のまま】…《航空自衛隊のF35A戦闘機が墜落した原因として、空自内では当初から「空間識失調」(バーティゴ)が有力視されていた。今月10日に公表された推定原因に見るように、外形的には暗闇の中で機体姿勢を錯誤すると…》

◎【147機体制で総額6.2兆円超 最大ネックは運用・維持コスト】…《フランスで開催中の「パリ・エアショー2019」(23日まで)は世界最大級のトレードショーで、各国から集まった軍民の新鋭機の商談が行われている。F35戦闘機に関しては、量産体制の順調ぶりの一方、ショー…》

==================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111302000128.html

<税を追う>取材班から いつまで続ける軍拡
2018年11月13日 朝刊

 防衛省が来年度予算で初めて「極(ごく)超音速ミサイル」を可能にするエンジンの研究費を要求した。極超音速とは音速の五倍以上の速度域を指し、その速さは現代のミサイル防衛網を突破すると言われる。以前に聞いた自民党国防族議員の話を思い出した。

 「中国はマッハ10、アメリカはマッハ20を目指すと聞く。開発されればイージス艦の迎撃ミサイルは当たらない。THAAD(サード)(米軍の高高度防衛ミサイル)もイージス・アショア(地上配備型迎撃システム)でも対応できなくなる」

 米国、中国、ロシアの軍事大国で、開発競争が激化しているという。無人機にも搭載可能で、議員は「バスに乗り遅れるな」と言わんばかりにまくしたてた。

 頭がくらくらした軍拡の野望に、人類はいったいどこまで膨大な国家予算を注ぎ、突き進むのか

 米国の無人攻撃機による誤爆で祖母を失い、けがをしたパキスタンの少女ナビラ・レフマンさん=当時(12)=から、二年前にもらったメッセージがある。

 「米国は無人機攻撃でテロ指導者の何人かを殺せたかもしれないが、地域のテロはむしろ増えた無人攻撃機に費やすお金を教育に使えば、この地域を楽園に変えられるはずです

 軍拡の果てに起きている世界の現実を、攻撃型兵器をほしがる日本の政治家はどこまで想像しているのだろう。問われているのは戦争のリアルを想像し、軍拡に頼らずに平和を求め続ける強い意志だ。(望月衣塑子
==================================================================================

==================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120602000125.html

<税を追う>取材班から 戦闘機で買えるもの
2018年12月6日 朝刊

 「毎回、驚きと怒りをもって読んでいます。登場する数字が大きすぎて実感を持てません」「一般人は『兆』だとピンと来ないので、庶民目線で比較できるものを載せたらどうか」

 複数の読者からそんな声が寄せられた。たしかに記事の見出しだけでも兵器ローン残高5兆円突破」「米製兵器維持費2兆7000億円」「地上イージス6000億円超も」と、とてつもない数字が並ぶ

 たとえば米国製の戦闘機F35一機百億円以上する。都市部で定員九十人の認可保育所を建てる場合、厚生労働省は建物費用を約二億円と想定しており、土地があれば一機分で少なくとも五十カ所、四千五百人分を建てることができる

 防衛省は二〇二四年度までに四十二機購入する予定だが、さらに約百機を追加購入する方針が五日、明らかになった。昨年度の保育所の待機児童は全国に二万七千人。六機で全員分の保育所を建てられる計算だ

 「日本から約束があったが、F35などを数多く購入することは非常に感謝している」。先月末、アルゼンチンでの日米首脳会談の冒頭で、トランプ大統領は安倍首相にお礼を伝えた。百機でざっと一兆円。ディール(取引)好きのトランプ氏のことだから大喜びするに違いない。

 一機でも二機でも減らしてくれれば、大勢の子どもたちが保育所で元気に遊べるのに母親たちの願いが聞こえてきそうだ。 (望月衣塑子
==================================================================================

==================================================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019061202000178.html

【私説・論説室から】
米が選ばないF35を爆買い
2019年6月12日

 航空自衛隊の最新鋭戦闘機「F35A」の墜落事故から二カ月が経過した。

 飛行記録装置は引き揚げたものの、壊れていて記録媒体はみつからず、事故原因の特定にはつながらなかった

 それでも政府は百五機のF35を米国から「爆買い」する方針を変えていない。

 その米国は今年三月、衝撃的な決定をした。来年度からの五年間でF15EX戦闘機を八十機調達すると発表したのだ。

 なぜ、最新鋭のF35ではなく、四十年以上も前に開発されたF15なのか

 ダンフォード統合参謀本部議長は上院軍事委員会で「機体価格でF15EXは、F35と比べ、少し安い程度だが、維持管理費はF35の半分以下、機体寿命はF35の二倍以上である」と明快に説明した。

 一方、米会計検査院はF35について、昨年指摘した深刻な欠陥が改善されておらず今後数年解決しない問題もあると発表した。

 トランプ大統領が米軍によるF15EXの調達や米会計検査院の指摘を知らないはずがない。それでも安倍晋三首相にF35を売り込むトップセールスを続け、日本はこれに従った。百五機の購入費は安く見積もって一兆二千億円。トランプ氏の望み通り、対日貿易赤字は削減されるだろう。

 日本の戦闘機の選定基準で、国防の観点や操縦士の安全は何番目なのか。 (半田滋
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●〈猛省と自重の決意の証…議員在職中において公私一切酒を口に致しません〉…飲酒で片づけられる暴言か?

2019年05月21日 00時00分29秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



リテラの記事【「北方領土を戦争で取り返す」発言の丸山穂高衆院議員だけじゃない、維新はネトウヨの巣窟だ!】(https://lite-ra.com/2019/05/post-4713.html)。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/自民と府民のこれから】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905140000106.html)。
日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/戦争だけは嫌なにがなんでも憲法改正に賛成しちゃダメだ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253989

 《またもや維新議員のトンデモ発言だ。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土をめぐる「ビザなし交流」の日本側訪問団に同行した際、「戦争しないとどうしようもない」などの発言をした》。
 《維新の会が推進する、いわゆる「大阪都構想」に対して「住民投票に賛成する。選挙結果が民意を示しており、政治家は民意が示されたら柔軟に対応することが必要だ」…確かに大阪府連と官邸の関係は維新と官邸が蜜月》。
 《丸山穂高衆議院議員・元日本維新の会…いやぁ、久々にびっくりしたな。ひょっとして、ひょっとして、そういういかがわしい思想なのかもと訝しんでいたが、実際、そうだと知って驚いた》。

   『●《戦争が廊下の奥に立つてゐた》…
      《そんな時代にしてはならない》はずが、癒党お維や与党議員ときたら

 〈猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません〉…国会の「戦争しましょうよ」発言は、飲酒を言い訳に、片づけられる暴言ではない。
 それにしても、癒党お維にマトモな議員無し、「ト」な方ばかり。《こうした人物に公認を与えている維新という政党のグロテスクな正体を象徴》。

 東京新聞の記事【戦争発言、維新丸山氏が離党届 辞職すべきだと松井代表】(https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019051401002009.html)によると、《「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と元島民に発言したのは不適切だったとして離党届を提出…日本維新代表の松井一郎大阪市長は「自ら判断し辞職すべきだ」と語った。松井氏は「国会議員として一線を越え、これまで北方領土返還に向け、尽力されてきた全ての皆さんの行為を踏みにじる発言だ。党代表としておわびする」と陳謝。「離党などで許される話ではない。党として、除名を含めて厳粛な処分をする」と述べた》。
 正論だ。でも、我が振り直せだな、前大阪「ト」知事殿。

   『●《差別の歴史、力の差を無視して
     「どっちもどっち」論に持ち込む》(阿部岳さん)低民度…抗い続けねば
    《高江に派遣された大阪府警の機動隊員が県民を「土人」とののしった時、
     松井一郎府知事は「相手もむちゃくちゃ言っている。相手は全て許されるのか
     と言った》

 室井佑月さんは《政治家って、他国と話し合いをし、なにがなんでも戦争を回避するためにいるのかと思ってた。それが政治家のいちばん重要な仕事だと思ってた》…与党自公や癒党お維の議員を見ていると、大いに疑問だ。《うちら戦争に駆り出されたら、五体満足で戻って来ることしか希望がなくなるよいやだよ、戦争だけは嫌!》、大賛成。まずは、《戦争絶滅受合法案》制定でしょう。彼/彼女らに壊憲させるなんて、狂気。

   『●壊憲への暴走: シビリアンが暴走し、
     アベ様の「我が軍」も既に暴走を始めているようだ…戦慄を覚える
   『●トランプ氏「学校の先生たちを銃で武装させる」…
      アベ様は「戦争できる国」になり、「銃を持った善人」に
    《日本政府、つまり安倍首相の考えは、
     核の保有や核兵器の使用は認められるべきなのだ。
     …安倍首相は官房副長官時代の2002年に、早稲田大学で
     開かれた田原総一朗氏との対話のなかで
     「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。
     小型であればですね」と語っている」》

 アベ様も同様ですね。…なんといっても「我が軍」ですもの。さらには、《憲法上は原子爆弾だって問題ではない》!? 狂気な凶器。
 リテラの記事【安倍首相の思想は“戦争しないと”丸山穂高と変わらない! 過去に「日本人も血を流せ」「尖閣は外交でなく物理的な力で」発言】(https://lite-ra.com/2019/05/post-4715.html)によると、《あの発言の根っこにあるネトウヨ丸出しの浅薄な戦争扇動思想は丸山議員にかぎったものではないからだ。歴史修正によって過去の侵略戦争を美化し、国民が国を守るために命をかけることを迫り、日本人が血を流す未来の戦争を煽る──。こうした姿勢の議員は政権与党である自民党にこそ、やまほどいる。そして、この頂点にいるのがほかでもない、総理大臣である安倍晋三だ。…国民が血を流してでも国の領土を守らなくてはならない……こんな発言が野放しになり、再び総理に登り詰めたことには戦慄を覚えずにはいられない外交努力を放棄して物理的な軍事力でどうにかするしかないなどと主張するとは自分が政治家として無能だと曝け出しているに等しい…そして極めつきが、「核武装肯定」論だろう》。

   『●《実際、元大阪市長の橋下徹は都構想の目的として
       「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」…》

 で、お維の”本国”では…お維の「ト」構想がまだ続くらしいです…お気の毒に。お維の悪夢=「ト」構想が達成されるまでは何度でも蒸し返すつもり。お維に投票している府民の皆さんの問題。投票している皆さんは、どうやら「ト」民になりたいらしい。
 それにしても、お維やその関係者はデマやヘイトを垂れ流す「ト」な方ばかり…リテラの記事【丸山穂高「戦争」発言でも長谷川豊百田尚樹はマスコミ報道を批判!「テレ朝がこっそり録音」とデマ】(https://lite-ra.com/2019/05/post-4717.html)によると、《やっぱりバカはどんなときも止められないらしい。どう見ても擁護できないにもかかわらず、当の丸山議員でなく、発言を報道したマスコミに噛み付いたネトウヨ文化人がいたのだ》。

 日刊ゲンダイの記事【「戦争で」暴言の丸山議員に国費2000万円ちょろまかし疑惑】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253972)によると、《「言われたまま黙り込むことはしない。可決されようがされまいが任期を全うする」――。議員辞職勧告決議案の提出の動きに、ツイッターでこのケンカ腰だ》。
 アノお維に除名され、議員辞職を迫られるなか、まだ議員なのね? どうなってんでしょう??

 あ~、そうそう。ま~さか、野党・癒党が求めている議員辞職勧告、与党自公が加わらないなんて、あり得ませんよね?
 日刊スポーツの記事【丸山氏の辞職勧告決議案、17日中に6党派で提出へ】(https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201905170000312.html)によると、《一方、衆院議院運営委員会の野党筆頭理事を務める立民の手塚仁雄氏は、与党側の筆頭理事、自民党の菅原一秀氏と国会内で会談し、与党も共同提出に加わるよう呼びかけた。菅原氏は党内での協議を理由に、持ち帰った》。

==================================================================================
https://lite-ra.com/2019/05/post-4713.html

「北方領土を戦争で取り返す」発言の丸山穂高衆院議員だけじゃない、維新はネトウヨの巣窟だ!
2019.05.14 12:50

     (丸山穂高twitterより)

 またもや維新議員のトンデモ発言だ。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土をめぐる「ビザなし交流」の日本側訪問団に同行した際、「戦争しないとどうしようもない」などの発言をした。

 報道によれば、丸山議員は11日夜、ロシア側住人と日本側住人との「ビザなし交流」の友好の家で、訪問団の大塚小彌太団長が記者から取材を受けていたところへ、このように割って入った。

   丸山議員「団長は戦争でこの島(北方四島)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」
   大塚団長「戦争なんて言葉は使いたくないです
   丸山議員「でも取り返せないですよね」
   大塚団長「いや、戦争はするべきではない
   丸山議員「戦争しないとどうしようもなくないですか」

 言葉を失いかけるが、一応、つっこんでおこう。丸山議員は「戦争で北方四島を取り返す」と軽々しく言う。では、自衛隊員が奇襲をかけ、島々で生活する民間人を殺して制圧するというのか。それとも、主権をかけてロシアに宣戦布告し、全面戦争でも始めるのか。ロシアの反撃と報復、国際社会からの制裁はどのように想定しているのか。いずれにせよ、多くの血が流される。むろん、憲法違反でもある。

 そもそも「ビザなし交流」は、日本側とロシア側の住民同士の対話と相互理解によって、領土問題の平和的解決を目的とした取り組み。そこに、「戦争で島を取り返す」「戦争しないとどうしようもない」としゃしゃり出てきた丸山議員は、はっきり言ってどうかしているとしか思えない。

 日本テレビの報道によると、丸山議員はその後「基本的に酒をたくさんの飲んでいた」などと釈明し、謝罪した。丸山議員は2016年にも、都内で飲食した後、トラブルになった男性の手を噛むという不祥事をしでかしたことがある。当時、丸山議員はツイッターで〈猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません〉(2016年1月13日)と投稿していた。

 しかしながら、今回の発言は、酔っているかとか以前の問題だろう。むしろ酒が入っていたからこそ「戦争しないとどうしようもない」とあまりに軽々しく口をついたのではないか。ようは、この輩が常日頃から考えている本音にほかなるまい。

 そもそも丸山議員といえば、知る人ぞ知るネトウヨ議員。ネトウヨ御用達のネット番組『報道特注』の元メンバーであり、Twitterでも「帰化履歴を公表しろ」というようなヘイトまがいの発言や、露骨な安倍政権援護のリベラル派バッシングを繰り返してきた。そのタカ派気取りでネトウヨ気質丸出しの姿は、まさに、野党でありながら安倍政権にすり寄る「ゆ」党と揶揄される維新を象徴するような議員と言える。


■衆院に立候補した橋下徹の元秘書の講演会を在特会元幹部の団体が主催

 今回の「戦争しないとどうしようもない」発言は、そんな愚か者による最も頭の悪い発言だが、もちろん、これは丸山議員個人だけの問題ではないだろう。周知の通り、維新の会は自民党と比肩するネトウヨ議員の巣窟と言っていい。

 その代表格が“暴言王”などと呼ばれて悦に入っている足立康史衆院議員だ。周知のように「アホ」「バカ」「死ね」が口癖で品性下劣そのもの。たとえば、加計学園問題では、朝日新聞の記事にリンクを貼るかたちで、〈朝日新聞、死ね。〉とツイート。また、森友学園問題では、辻元清美議員が豊中市に補助金を出させたなど、ネトウヨの間で流通していたデマをテレビで垂れ流し、街頭演説でも「森友問題は辻元のヤラセ」などと喧伝した。もっとひどかったのが、立憲民主党の蓮舫参議院議員(当時は民進党)の二重国籍問題のときだ。足立議員は、“蓮舫代表の言動は中国の回し者”とTwitterに投稿したあげく〈国籍のことを言うのはポリコレに反するので本当は控えたいのですが、ストレスたまると午後の地元活動に影響するので書いてしまいます〉などと「ストレス発散」でヘイトスピーチをバラまくことを自ら宣言してしまったのである。

 地元・大阪ではもっと露骨だ。2017年の衆議院選挙には、橋下徹氏の大阪市長時代の元秘書である奥下剛光氏が維新から立候補したが、その直前、ヘイト団体・在特会の元関西支部長である増木重夫氏が事務局長をつとめる団体が奥下氏を応援する講演会を開催しようとしていたことが発覚した。講演自体は取材の動きを知った奥下氏がキャンセルしたが、会には辻淳子・大阪市議ら維新の地方議員が参加していた。

 大阪では、こうしたかたちで維新とネトウヨ・ヘイト勢力の融合が進んでいるのだが、それ以前に政治家としての資質が問われる言動をする府議、市議が多数いる。維新所属または当時所属していた議員の不祥事をいくつか挙げてみるとこんな感じだ。

 経営していた整骨院で療養費をだまし取り詐欺罪で実刑判決をくらう市議、忘年会帰りに泥酔してタクシー内で暴れる府議、女子中学生らを集会に勝手に誘ってLINEで無視されると「ただで済まさない」「身元を特定している」などと恫喝する府議、宴席で女性市議の胸を触る写真が報じられ「触診です」と苦しい言い訳の市議、その女性市議の足の匂いを嗅ぐ市議、飲酒運転でひき逃げする市議(有罪)……。

 というか、そもそも松井一郎代表じたいが、今年4月の大阪W選挙でネトウヨサイトのデマをリツイートして拡散するような政治家だ。「透析患者は殺せ」の長谷川豊氏を2017年総選挙に続き今年の参院選と国政選挙に擁立しているという“実績”も忘れてはならない。


■橋下徹が「自民党と協力して憲法改正のほうに突入していく」と宣言

 そうしたことを踏まえれば、今回、丸山議員がぶちかました「戦争しないとどうしようもない」発言は、彼自身の問題というよりも、こうした人物に公認を与えている維新という政党のグロテスクな正体を象徴するものと考えたほうがいいだろう。

 しかも、看過できないのが、このネトウヨかチンピラが入り込んだ政党が、ヨダレを垂らしながら自民党との連立政権を狙っているという事実だ。いまも維新に多大な影響力をもつ橋下氏は、大阪W選挙で勝利した翌日に出演した『とくダネ!』(フジテレビ、4月8日放送)で「公明党を壊滅させる」と宣言。「そうすると、日本の政治構造も大きく変わります。自民党との協力がね、公明党じゃなくてもしかすると維新となって、憲法改正のほうに突入していく」とまで言い切っていた。

 一方、大阪では維新のプレッシャーに負けた公明党が「大阪都構想」を決める住民投票への協力を約束、強く反目していた自民大阪府連も住民投票の実施容認の方針を決めた。中央政界で、改憲をめぐって、同じような動きが起きる可能性は非常に高い。

 その意味でもやはり、維新の丸山議員の問題発言は、大阪での限定的な人気しかない「ゆ」党の妄言として片付けるべきではない。繰り返すが、現実問題として、維新は安倍政権を支える存在なのだ。領土問題でナショナリズムを煽りながら、自衛隊を名実共に軍隊化しようとしている安倍首相と、「戦争しないとどうしようもない」なる言葉が飛び出す維新の結託がもたらすものは、何か。言うまでもないだろう。

(編集部)
==================================================================================

==================================================================================
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905140000106.html

政界地獄耳
2019年5月14日8時53分
自民と府民のこれから

★大阪政界に地殻変動だ。先月の大阪の府知事と大阪市長のダブル選挙、衆議院大阪12区の補欠選挙などで敗北したことを受け、新たに就任した自民党大阪府連会長の衆院議員・渡嘉敷奈緒美は争点だった維新の会が推進する、いわゆる「大阪都構想」に対して「住民投票に賛成する。選挙結果が民意を示しており、政治家は民意が示されたら柔軟に対応することが必要だ」とした。

★この府連の会議でも一騒動あった。府連会長・左藤章が辞任するための新会長選任が渡嘉敷選出ありきだったようで密室の談合の批判が出た。府連関係者が言う。「渡嘉敷ありきがどうのというより、維新に敗北したという事実と、もうこれ以上官邸に逆らえないという複雑な空気が会議にあった。国会議員たちは官邸や首相・安倍晋三と何とか手打ちをしてうまくやっていきたいというムード。だが統一地方選挙でも苦戦を強いられ、維新にやられた自民党地方議員の気持ちはそう簡単には収まらないという雰囲気だった」。

★確かに大阪府連と官邸の関係は維新と官邸が蜜月で、府連の存在意義が問われることが続いた。そのため、首相が維新でなく自民党府連と共にあるという位置づけが希薄だったのも事実。大阪府連市町村議員連盟総務会長で貝塚市会議員・田中がくは会議での発言を自身のフェイスブックで「統一地方選の後半戦を戦っている我々に12区の補選で、安倍総理が来るからと動員のファクスがあった。ふざけてるのかと思いましたし、安倍総理が吉本に出るとこの会議に出席されている中に喜んでいた国会議員が居てましたが、選挙を戦っている仲間や党員の皆さんはかなり怒ってました。そんな時間があるなら、八尾市の市長選挙や同志の応援をするべきでは無かったのか、統一地方選挙、後半戦の結果は、多くの同志のバッチが無くなりました」と記している。民意に従ったのか忖度(そんたく)したのか。自民党の急務は府民の信頼回復だ。(K)※敬称略
==================================================================================

==================================================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253989

室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」
戦争だけは嫌!なにがなんでも憲法改正に賛成しちゃダメだ
2019/05/17 06:00

     (丸山穂高議員(C)日刊ゲンダイ)

「戦争しないと、どうしようもなくないですか?」(丸山穂高衆議院議員・元日本維新の会)

 いやぁ、久々にびっくりしたな。ひょっとして、ひょっとして、そういういかがわしい思想なのかもと訝しんでいたが、実際、そうだと知って驚いた。

 14日の毎日新聞によると、「北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が11日夜、滞在先の国後島古釜布で元島民の男性に対し、北方領土問題について『戦争をしないとどうしようもなくないか』『(戦争をしないと)取り返せない』などと発言し、トラブルになった。」という。

 丸山氏はその後、「不適切な発言を撤回したい」といって離党届を出したが受理されず。日本維新の会の松井代表は14日、丸山氏に議員辞職を促すとともに、党として除名処分にした。

 これで終わり、って思える? あたしゃ、思えない。この国の国会議員に、「戦争もやむなしと考えている輩が紛れ込んでいたってことだよ。恐ろしいったらない。

 政治家って、他国と話し合いをし、なにがなんでも戦争を回避するためにいるのかと思ってた。それが政治家のいちばん重要な仕事だと思ってた。

 国はうちら国民の、生命と財産を守る責任があるんじゃないの? だからうちらも、税金を払って、国会議員を先生と呼び、その身分を支えてるんじゃねーの?

 うちら戦争に駆り出されたら、五体満足で戻って来ることしか希望がなくなるよいやだよ、戦争だけは嫌!

 そんなこともわかってない人が、国会議員やってた? 戦争もしょうがないと思ってる議員は、あと何匹くらいいるの?

 もうこうなったら、なにがなんでも憲法改正に賛成しちゃダメだ。危険すぎるだろ。
==================================================================================

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●オウム死刑囚大量執行…アベ様や上川陽子法相は「前夜祭」を催し、死刑さへも「サーカス」に使う悪辣さ

2018年07月08日 00時00分55秒 | Weblog


リテラの記事【オウム死刑囚大量執行は口封じか…検察に全面協力していた井上嘉浩死刑囚の変心、再審請求に怯えていた法務省】(http://lite-ra.com/2018/07/post-4109.html)。

 《法務省はこうした井上死刑囚の変化を察知して、井上死刑囚が真実を語る前に、刑の執行を急いだのではないか。そんな疑いが頭をもたげてきたのだ。そして、井上死刑囚だけがクローズアップされないように、複数のオウム死刑囚を一気に執行した…さまざまな謎を残したカルト事件は、事件首謀者たちの“異様な”死刑執行によって歴史の闇へと消え去ろうとしている。いや、国家権力が葬り去ろうとしているのだ》。

   『●『A2』読了
   『●『A3(エー・スリー)』読了
   『●『死刑』読了
   『●死刑廃止集会
   『●「死刑制度 国民的な議論を活発に」・・・
      「死刑制度存置派驚異の8割の我国」では全くそんな気配なし

   『●「彼を赦したわけではない。
      しかし死刑にして問題が解決するわけではない」

   『●ビンラディン氏暗殺再び
   『●光市母子殺害事件最高裁判決: 森達也さんの〝目〟
   『●森達也さん『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」
                               と叫ぶ人に訊きたい』書評

   『●「殺すなかれ・・・」・・・「彼らを処刑することが「社会正義」なのだろうか」?
   『●2016年報道の自由度ランキング72位: 
       「メディアは二流ならば社会も二流」、アベ政治も…粗悪
   『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
        「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」
    《共謀罪を導入しても、テロが起きる可能性はある。そのときが怖い。
     社会がファナチック(狂信的)になり、メディアや社会も一緒になって
     「もっと捕まえろ」「もっと取り締まれ」と暴走するのではないか。
     オウム事件を取材していた時を思い出す。警察はあらゆる法令を
     駆使して信者を根こそぎ捕まえた。当時、幹部が「非常時だから、
     国民の皆様も納得してくれる」と話していた》

   『●「このまま死刑執行されてオウム事件は終わり、
      ということにされていいの」? 真相・全貌は解明されたか?

 【麻原死刑囚の刑執行 地下鉄・松本サリン首謀 元幹部6人も】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018070602000282.html)によると、《幹部六人は、井上嘉浩(よしひろ)死刑囚(48)=大阪拘置所、新実智光死刑囚(54)=同、中川智正死刑囚(55)=広島拘置所、早川紀代秀死刑囚(68)=福岡拘置所、土谷正実死刑囚(53)=東京拘置所、遠藤誠一死刑囚(58)=同。上川陽子法相は同日午後、記者会見し、七人を死刑執行の対象とした理由について「答えを差し控える」と話した》。
 TBSの「ニュースバード」によると、ドイツ政府はいち早く、この死刑執行およびニッポンの死刑存置に対して抗議の声明を出した。

 かつて「死神」「死に神」と言われた法相が居た。〝素人裁判官〟に《死刑のスイッチ》を強制する制度導入のために、《最高検を頂点とする組織ぐるみで広報活動が行われ、検事正が法被を着たり、検察庁職員が幟を持って街頭キャンペーンをやったり、などというお祭り騒ぎが全国で展開され、挙句の果てには、「サイバンインコ」などという珍妙なキャラクターまで登場して、法務大臣がその着ぐるみを着てみせたりもしました。こうした関係者の滑稽とも思える努力》…。さらに、「『●「死に神」どころか』…ここまでノウテンキだったとは…。被害者・被害者家族への思いなど何もなく、死刑執行への懊悩もなく、単なる思いつき!!、とは恐れ入る」…そんな法相だった。
 もう一人、忘れられない法相。飯塚事件での冤罪死刑囚・久間三千年さんを死刑に…「『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」: 無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」』…冤罪者を死刑! 警察・検察・裁判所はどう責任をとるつもりだろうかか? 「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)」、飯塚は麻生太郎氏の「地元」だ。冤罪死刑に係わった者たちは、何の贖罪の気持ちもわかないのだろうか?」
 そして、上川陽子法相…何と表現すればいいのだろう。そして、アベ様…。ヒトデナシ。〝Fanatic〟。彼ら自身がカルト。《もはやこの国の総理はカルト教団の教祖のような絶対的存在となっているらしい》。このリテラの記事によると…《「…ある種の司法取引があった可能性が高い」…だが、今回、井上死刑囚もまた死刑を執行されてしまった。すべてのオウム裁判が終結したことで、もう用無しになったということなのか。もしそうならとんでもない話だが、実はもっとグロテスクな裏があるという指摘もある。それは、今回の死刑執行が法務・検察による口封じだった》。アベ様や上川陽子法相による《口封じ》って、唖然とします。

   『●《もはやカルトだ》…《もはやこの国の総理はカルト教団の教祖のような 
                               絶対的存在となっているらしい》
   『●斎藤美奈子さん「最低限の了解事項や整合性を放棄…液状化
                   …国ごと底なし沼に沈んでいくような気分。」

 東京新聞の記事【なぜ凶行、闇のまま 一審途中から沈黙 麻原死刑囚の刑執行】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018070602000272.html)によると、《「全く動かず、普通ではない感じがした」。民主党政権時代に法相を務めた平岡秀夫氏は、就任直後の二〇一一年秋ごろ、東京拘置所で、モニター越しに麻原彰晃死刑囚を見た時の様子を振り返った。この日の死刑執行については「私が見た印象や周囲の情報からすると、執行には違和感がある私だったら、執行しなかっただろうどのような経緯で執行されたのか検証すべきだ」と述べた…弁護団は六人の精神科医に鑑定を依頼し、重篤な拘禁反応などの疑いがある…》。
 真相・全貌は解明されていたのか?

 死刑執行で、何か問題が解決するのだろうか? 《数々の“真相”が永遠に封印》。
 東京新聞の記事【オウム事件の被害者・遺族 「過去にしないで」「もっと話してほしかった」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018070602000271.html)によると、《九四年の松本サリン事件で当初、容疑者扱いされた河野義行さん(68)は四月の本紙の取材に「麻原死刑囚は否認しているが、控訴審もしていない真実に迫るためには控訴審が必要だったのではないか。(起訴内容が)本当に事実かと疑問が出ても不思議ではない」と述べた。「命は大切なものだから死刑そのものには反対だ」とも話していた》。

 つぶやき(https://twitter.com/aritayoshifu/status/1015175418783993857)から:

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有田芳生@aritayoshifu
死刑執行7人(はじめて)。教祖の精神鑑定さえ行わない執行は、事件史に特筆される異常事態です
首相と法相は前夜に宴会でした。壊れものとしての人間。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「前夜祭」を催し、死刑執行さへも「サーカス」に使う悪辣さ。台風や大雨で避難警報や警告は翌日に予想される中での「前夜祭」。その写真に写る面々のニヤケタ顔と酔い加減…。
 日刊ゲンダイの記事【地下鉄サリン事件から23年…オウム麻原彰晃ら7人死刑執行】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/232801)によると、《松本の死刑執行の時期については、かねて安倍政権による“政治利用”の懸念が指摘されてきた。延長国会も大詰めを迎え、「カジノ法案」や「参院定数増法案」などをめぐり与野党対決は必至。一方、サッカーW杯も日本代表の戦いが終わって、世間の耳目が国会に集まるタイミングでの死刑執行。まさか、法務省もモリカケ疑惑を蒸し返されたくない安倍首相の気持ちを忖度したのではないだろうな》…。
 正に、非法治国家…放置国家、アベ様独裁王国。取巻き連中や官僚がアベ様御夫妻のご機嫌伺いの過剰な忖度。よく分からないうちに、麻原氏の取巻き連中が過剰な忖度合戦をしていたと思われるオウム事件と構造としては同じではないのか。

 当時のマスコミの暴走、再び。2018年7月6日も、テレビが大暴走…「吊るせ」、「殺せ」という煽りにしか見えない。あまりに悍ましい。
 アサヒコムの記事【死刑囚写真に次々「執行」シール TV演出に疑問の声も】(https://www.asahi.com/articles/ASL7656K2L76UCVL01H.html?iref=comtop_8_04)によると、《中島岳志・東京工業大教授(日本思想史)は正午前、ツイッターに「いま行われているのは、死刑のショー化・見世物化に他ならない。執行場面だけが不可視化された公開処刑」と書き込んだ。番組内での演出にも注目が集まった。フジは、事件に関わった死刑囚の顔写真が並んだパネルを示し、執行が済んだ死刑囚の写真の上に「執行」のシールを貼るなどして状況を説明》。

==================================================================================
http://lite-ra.com/2018/07/post-4109.html

オウム死刑囚大量執行は口封じか…検察に全面協力していた井上嘉浩死刑囚の変心、再審請求に怯えていた法務省
2018.07.06

     (死刑を執行された麻原彰晃が87年に刊行した
       『超能力「秘密のカリキュラム」』 (健康編))

 衝撃のニュースが飛び込んできた。一連のオウム事件で首謀者として死刑が確定していたオウム真理教教祖・麻原彰晃松本智津夫)死刑囚に死刑が執行され、さらに新実智光、早川紀代秀、井上嘉浩、中川智正、遠藤誠一、土谷正実という計7人の死刑囚にも次々と刑が執行されたのだ。1日に7人もの死刑執行は戦後前例がない

 死刑の是非についてはあらためて別稿で論じたいが、それ以前に問題なのは、一連のオウム真理教事件にはいまだ数々の謎が残っており、それが解明されないまま麻原死刑囚らの刑が執行されてしまったことだ。

 これについては、被害者遺族からも疑問や謎をもっと解明してほしかったという声が上がっているほどだ。

 たしかに、政権にとって今年の死刑の執行は最良のタイミングだった。来年には天皇の退位、新天皇の即位と祝賀行事が続く。再来年は東京オリンピックがあり、国際社会の注目も高まるなか死刑を執行すれば国際的に強く批判されることになる。だから“今年中に”ということは既定路線だったはずだ。

 しかし、それでも、こんなにすぐに、オウム事件の死刑囚13人中7人を一気に執行するというのは異常としか言いようがない。

 しかも、13人の死刑囚のうちなぜこの7人が選ばれたのかもまったく不明だ。たとえば初期の坂本弁護士一家殺害事件の死刑確定囚からはじめたというわけでもなければ、全員が日本最悪のテロ事件である地下鉄サリン事件の確定死刑囚ということでもない。また死刑の確定順かといえば、そうではない。これについて本日午後行われた上川陽子法務大臣の会見でも説明さえなかった

 オウム事件に詳しい複数のジャーナリストや司法記者に訊いても、何が基準かについては、首をひねるばかりだ。「なんとなく知名度の高い受刑者を選んだだけではないのか。国民栄誉賞の人選じゃあるまいし」と語る記者もいたほどだ。

 しかし、もしかしたらこうした疑問を解く鍵になるかもしれない事実がひとつだけある。それは、7人のなかに井上死刑囚が含まれていたことだ。

 井上死刑囚といえばこれまでの一連のオウム裁判で、検察のシナリオに沿って、検察の都合のいい証言を続けてきた“最重要人物”だ

 たとえば、17年間の逃亡の末逮捕された高橋克也受刑者は地下鉄サリン事件や目黒公証役場事務長拉致監禁致死事件の関与に関して、「サリンとは知らなかった」「被害者の仮谷清志さんに注射を打つことも知らなかった」と主張したのに対し、井上死刑囚は「サリンを撒くから運転手をするように」「仮谷さんが暴れないようにクスリを打って眠らせることを高橋被告に確認した」と有罪の根拠になる重要な証言をしている。だが一方で井上死刑囚は逮捕当時「(仮谷さんの注射について)高橋は知らなかった」とまったく逆の供述をしていたのだ。

 さらにこの際、麻酔薬を投与した中川死刑囚から「ポア(殺害)できる薬物を試したら死んだと聞いた」とも証言しているが、中川死刑囚はこれを否定。さらにその場にいた元医師の林郁夫受刑者も「井上証言はあり得ない」と証言している。それだけでなく殺害された仮谷さんの長男でさえ、中川死刑囚の殺害示唆を「信じがたい」と井上証言に疑問を呈したほどだ。

 また井上死刑囚は、宗教学者のマンション爆破などが問われた平田信受刑者の裁判においても、事件前に平田受刑者に「これから『やらせ』で爆弾をしかけると言った記憶がある」と事前共謀、計画があったことを証言し、「何も知らなかった」と主張する平田受刑者と対立している。

 平田受刑者はともかく、すでに死刑が確定していた中川死刑囚が、殺意を否定するという嘘をつく理由はない。一方の井上死刑囚は、数々のオウム裁判において「これまで誰も知らなかった」新証言を不自然なまでに繰り出し、多くのオウム被告たちを“より重罪”へと導いていったのだ。


検察のストーリーに乗った証言でオウム信者を重罪に導いてきた井上嘉浩

 
井上証言のなかでもとくに大きかったのが、地下鉄サリン事件における麻原死刑囚の関与の証拠とされた、いわゆる「リムジン謀議」についての証言だった。

 地下鉄サリン事件の2日前の1995年3月18日、麻原死刑囚は都内の飲食店で会食後、井上死刑囚、村井秀夫、遠藤死刑囚ら幹部を乗せたリムジン内で、公証役場事務長拉致をめぐるオウムへの警察の強制捜査を阻止するために地下鉄にサリンを撒くことが提案され、麻原死刑囚もそれに同意したとされる。これが麻原死刑囚の地下鉄サリン事件関与の証拠となったが、しかし、それを証言したのは井上死刑囚だけだった。

 逆に、この井上証言がなければ、麻原死刑囚を有罪とする法的根拠はなかったとの見方もある

 数々のオウム裁判で「これまで誰も知らなかった」新証言を不自然なまでに繰り出し、多くのオウム事件の被告たちを“より重罪”へと導いてきた、井上死刑囚。だが、他のオウム被告たちの証言はことごとく食い違っており、検察が公判を維持するために描いたストーリーに無理やり沿っているとしか思えないものだった。

 そのため、井上死刑囚と検察との関係をめぐっては、さまざまな疑惑がささやかれてきた。長年オウムの取材を続けてきた公安担当記者の多くもこんな見方を述べていた。

 「井上死刑囚の取り調べの過程で、検察はオウムへの帰依や洗脳を捨てさせる一方で、逆に検察への逆洗脳を誘導したとみられています。その後、井上死刑囚は、まるで“検察真理教”となったがごとく、検察にとって有利な証言を繰り返し、“有罪請負人”の役割を果たしてきた。オウム事件は多くの信者が関わり、その役割は物証ではなく彼らの証言に依存せざるを得なかった。そしてその見返りとして、ある種の司法取引があった可能性が高い

 実際、井上死刑囚は、一審ではオウム事件で死刑を求刑された者のなかで唯一、無期懲役の判決を受けている。結局、二審では死刑判決に変わるが、それでも、執行を遅らせる、すぐには執行しないなどというような暗黙の取引があったのではといわれていた。

 だが、今回、井上死刑囚もまた死刑を執行されてしまった。すべてのオウム裁判が終結したことで、もう用無しになったということなのか

 もしそうならとんでもない話だが、実はもっとグロテスクな裏があるという指摘もある。それは、今回の死刑執行が法務・検察による口封じだったというものだ。


■井上が再審請求をした日に7人の死刑囚を執行準備のため移送

 前述したように、検察のストーリーに沿って、多くのオウム被告たちを“より重罪”へと導いてきた井上証言だが、その証言内容については、根本から再検証すべきではないかという声があがっていた。

 とくに大きかったのは、3年前、当の司法からも井上証言に疑問符がつけられたことだ。2015年11月、17年間の逃亡の後逮捕された菊地直子氏は、一審では実刑判決だったものが一転、高裁で無罪となる。その際、一審有罪の根拠となった井上死刑囚の証言の信用性についても、高裁は「(井上証言は)不自然に詳細かつ具体的で、信用できないとして認めなかったのだ。

 数々のオウム裁判の方向性を決定づけてきた井上証言の信用性に疑問符がついたことで、司法界やジャーナリストのあいだでも、その他のオウム事件についても再検証が必要ではないか、という声が高まっていた。

 そして、井上自身にも大きな姿勢の変化が現れていた。今年3月14日、まるでそういった動きに呼応するように、自らの事件について再審請求をしていたのだ。弁護人によると「死刑を免れたいわけではなく、事実は違うことを明らかにしたい」と語っていたという。

 そのため、一部では井上死刑囚が再審で、検察のストーリーに沿って虚偽の証言をしていたことを自ら認め、真実を語るのではないかという声があがっていた。

 もちろん、井上死刑囚が再審でこれまでの証言を翻しても判決は変わらない。しかし、もし本当にそんなことになったら、それこそ、麻原死刑囚はじめ、他の死刑判決の信用性が根底からひっくり返り検察と裁判所はメディアから大きな批判を浴びることになる。また、再審は阻止しても、もし井上死刑囚が本当にそう考えているなら、メディアにそのことを語る可能性もあった。

 法務省はこうした井上死刑囚の変化を察知して、井上死刑囚が真実を語る前に、刑の執行を急いだのではないか。そんな疑いが頭をもたげてきたのだ。そして、井上死刑囚だけがクローズアップされないように、複数のオウム死刑囚を一気に執行した。

 麻原死刑囚以外の6人の死刑囚が執行準備のために一斉に東京拘置所から各地の拘置所に移送されたのは、井上が再審請求をした3月14日のことだったこれはたんなる偶然だろうか

 もちろん、これらの見方は推測の域を出ない。しかし、タイミングは偶然だったとしても、今回の死刑執行によって、一連のオウム裁判の鍵を握っていた井上が真実を語る機会がつぶされ、井上死刑囚と検察の取引疑惑や、地下鉄サリン事件での「リムジン謀議」をはじめとする数々の“真相”が永遠に封印されてしまったことには変わりはない。

 さまざまな謎を残したカルト事件は、事件首謀者たちの“異様な”死刑執行によって歴史の闇へと消え去ろうとしている。いや、国家権力が葬り去ろうとしているのだ

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「このまま死刑執行されてオウム事件は終わり、ということにされていいの」? 真相・全貌は解明されたか?

2018年07月07日 00時00分18秒 | Weblog


マガジン9のコラム【雨宮処凛がゆく!/第448回:オウム事件真相究明の会、立ち上げ。の巻】(http://maga9.jp/180606-2/)。

 《死刑囚らの死刑執行は、カウントダウンに入ったと言われている。いつ死刑が執行されてもおかしくない状況だ。…が、ここで問いたいのは、すべての裁判が終結した現在、オウム事件動機を含めた真相、全貌が解明されたと言えるだろうか、ということだ》。

 【オウム松本死刑囚らの刑執行 逮捕後23年、教団で初】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018070601001306.html)/《上川陽子法相が命令した…事件の詳細を語ることがないままの執行》。
 ブログを出すタイミングを逸している間に、死刑執行がなされました。本当にこれで良かったのでしょうか? 問題は解決したのでしょうか?

 森達也『A3』(エ―・スリー)…「『A』・『A2』に続く今回の「A」は、麻原彰晃氏の「A」。「吊るせ」、「殺せ」、というマスコミの作り上げたものではなく、麻原彰晃氏を別の視点から見たルポルタージュ。「詐病」と喧伝し、もはや真相の解明などに全く興味の無いマスコミ、騙されていることに気づかない、気づこうとしない人々」…。

 《オウム事件動機を含めた真相、全貌が解明されたと言えるだろうか》? 何も解明されないまま…「蓋」をするつもりだ。《このまま死刑執行されてオウム事件は終わり、ということにされていいのか?》

   『●『A2』読了
   『●『A3(エー・スリー)』読了
   『●『死刑』読了
   『●死刑廃止集会
   『●「死刑制度 国民的な議論を活発に」・・・
      「死刑制度存置派驚異の8割の我国」では全くそんな気配なし

   『●「彼を赦したわけではない。
      しかし死刑にして問題が解決するわけではない」

   『●ビンラディン氏暗殺再び
   『●光市母子殺害事件最高裁判決: 森達也さんの〝目〟
   『●森達也さん『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」
                               と叫ぶ人に訊きたい』書評

   『●「殺すなかれ・・・」・・・「彼らを処刑することが「社会正義」なのだろうか」?
   『●2016年報道の自由度ランキング72位:
       「メディアは二流ならば社会も二流」、アベ政治も…粗悪
   『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
        「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」
    《共謀罪を導入しても、テロが起きる可能性はある。そのときが怖い。
     社会がファナチック(狂信的)になり、メディアや社会も一緒になって
     「もっと捕まえろ」「もっと取り締まれ」と暴走するのではないか。
     オウム事件を取材していた時を思い出す。警察はあらゆる法令を
     駆使して信者を根こそぎ捕まえた。当時、幹部が「非常時だから、
     国民の皆様も納得してくれる」と話していた》

==================================================================================
http://maga9.jp/180606-2/

雨宮処凛がゆく!
第448回: オウム事件真相究明の会、立ち上げ。の巻雨宮処凛
By 雨宮処凛  2018年6月6日

 6月4日、「オウム事件真相究明の会」を立ち上げた。

 その名の通り、オウム真理教による地下鉄サリン事件など一連の事件の真相を究明する会である。

 1995年、朝のラッシュ時の地下鉄にサリンが撒かれるという未曾有のテロ事件では、13名が死亡、負傷者は5800人にも上る。その前年に起きた松本サリン事件の死者は8名、負傷者は140名。オウムが起こした事件はこれだけではない。坂本弁護士一家殺害事件や信者やその家族の殺害など、多くの事件を起こしている。

 そんな一連のオウム裁判だが、今年1月、すべてが終了し、3月には死刑が確定した13人のうち、7人が東京拘置所から別の5カ所の拘置所に移送された。死刑囚らの死刑執行は、カウントダウンに入ったと言われているいつ死刑が執行されてもおかしくない状況だ

 「あれだけの凶悪事件を起こした奴らなのだから一刻も早く死刑にしなければ」という意見の人もいるだろう。が、ここで問いたいのは、すべての裁判が終結した現在、オウム事件の動機を含めた真相、全貌が解明されたと言えるだろうか、ということだ。

 、地下鉄にサリンが撒かれたのか。なぜ、あれだけ多くの人の命が奪われ、多くの人が人生をメチャクチャにされなければならなかったのか。なぜ、一介の宗教団体があのような事件を起こすに至ったのか。

 これらの問いに裁判が答えたのかと問えば答えは明らかにNOである

 なぜか。教祖である麻原が、事件についてほぼ語らないままに裁判が一審のみで終了したからである語らなかったのは、精神に変調をきたしたから。治療をして裁判を続ければいいものの、正式な精神鑑定がなされないまま訴訟能力ありとされ、死刑は確定。日本には三審制があるにも関わらず、戦後最大の刑事事件の首謀者とされる麻原の裁判は、三審まで審理が尽くされないままに終わってしまったのだ

 「でも、麻原って詐病なんでしょ?」 

 そんな声もあるだろう。実際、オウム裁判集結を伝えるテレビ番組などでも必ずと言っていいほど登場するのがこの言葉だ。しかし、06年、控訴審弁護団の依頼によって面会した精神科医の意見書では、麻原は詐病ではなく、突然の大きな物音にも無反応なほど重度の意識障害ということだ。専門用語で「昏迷」と言い、「昏睡」の一歩手前の状態なのだという。

 「でも、06年なんてもう12年前じゃん、古い情報だし…」という人もいるはずだ。なぜ、古い情報しか出せないのか。それは麻原がこの10年、外部の誰とも面会していないからである娘とも10年以上、会っていない弁護士ともだ

 麻原三女の麗華さんは、「オウム事件真相究明の会」のサイト「三女松本麗華氏から見た、父松本智津夫の現状」で、以下のように書いている。04年、麻原逮捕以来、初めて父と面会した時のことだ。

 「父はこの時点で対話不能、意思表示もできない状態になっており、父自身が面会を拒否していたことは考えられません」

 以来、彼女は面会を繰り返す。が、

 「わたしたちは述べ70回以上、父と面会しましたが、一度も会話が成立したことはありません。刑務官がびっくりするほどの大声を出したこともありますが、ピクリとも反応しませんでした」

 「東京拘置所は、父に精神に障害が生じていないという見解をとっています。しかし、実際は第一審当時から、おむつを着け、自分で排泄をコントロールできていません」

 「おむつを着けていることは拘置所も認めています。また、刑務官が服を着替えさせ、入浴に関しては刑務官が介助して、身体を洗っています」

 「父の様子を見たことがある、元衛生夫の方は、2000〜2003年頃の父の様子を次のように話しています。『入浴の際もその二人の刑務官が彼の体を洗ってやります。トイレ掃除に使うような、棒タワシを使って彼の体を擦るのです。(中略)その入浴後、浴室の始末をするのが我々の仕事です。その浴室の様子は本当にすごいですよ。タイルは糞だらけだし、棒タワシにもついています。そのタワシについた汚物を洗い流し、床に落ちた糞は靴で踏んで細かくして、そのまま水で流してしまいます。官の支給品である歯磨き粉を撒いて床をタワシで磨き、そのあとクレゾールで消毒する』また、布団や毛布もおむつからはみ出た糞尿まみれの状態で、それを使っていると、衛生夫の方は述べています。衛生夫の方の話も、父が昏迷状態であるという診断を根拠づけていると思います」

 このような「証言」から浮かび上がるのは、麻原に重篤な精神障害がある可能性だ

 麻原と面会した精神科医は、適切な治療によって精神状態の改善及び、訴訟能力の回復が見込まれると述べている。

 このまま死刑が執行されてしまえば、真実は永遠に闇の中だ。真相究明を求めるからこそ、「オウム事件真相究明の会」を立ち上げた。司法がちゃんと機能しているかどうか、そんな問題提起も込めている。

 6月4日、議員会館でこの会の立ち上げ記者会見をした。

 登壇したのは、森達也氏、宮台真司氏、田原総一朗氏、想田和弘氏、香山リカ氏、山中幸男氏、鈴木邦男氏、高橋裕樹氏、そして私。4月頃から、さまざまな集まりの場で「麻原死刑カウントダウン」の話になり、「このまま死刑執行されてオウム事件は終わり、ということにされていいのか?」という疑問を多くの人が持っていることを知り、急遽会を立ち上げ、この日を迎えた。私としては、「記者会見の前に死刑が執行されるかもしれない」という焦りの中で準備を進めてきた。

 そんなふうにバタバタの中で進め、記者会見当日も人手が足りず、登壇する著名人たちが椅子を並べたりと会場の設営からするような状況だった。

 この日、麻原の一審判決公判を傍聴した森達也氏は、その時のことを振り返って言った。

 「一言で言って、仰天しました。ほぼ歩けない状況です。被告席に座りました。ずっと同じ動作を循環してます。具体的にいうとこの辺に手をおいてこの辺をかいて、顔をくしゃっと歪めて。これずっと循環してるんですよ。動物園の動物、たまにいますよね。同じ動作を繰り返す、典型的な拘禁障害、初期症状だと思いました」

 「昼休み、顔なじみの記者何人かと会いました。『どうなの麻原』って聞いたら、『もうダメでしょう。おむつしてるのわかりましたか』。腰回りが確かに異様に膨らんでました。『もう大小便垂れ流しですよ』と記者の人たちはいうんですね。でもそれが記事になることはない。当然、判決は死刑です。その日の夜のテレビのニュース、翌日の新聞、だいたいみんな使うのは法廷画家が描いたイラスト。全部どこを使ったか。顔歪めたところです。キャプションでなんと書くか。『遺族を嘲笑とか、『高笑い。あれ、発作ですよ。でも記者たちの『あれだめでしょ』って言葉は紙面に乗らない、電波にも乗らない。僕はその傍聴したことを共同通信、朝日に書きました。黙殺でしたね。ほぼ。どれほどの反発がくるかと思ったらほぼ黙殺。多少あった反響は、詐病だってこと、なんでこのバカは見抜けないんだとかね」

 「こだわる理由ふたつです。ひとつは動機がわからない。どのようにサリンをまいたのか、サリンをまいたあとどのように信者たちは逃走したのか。ほぼ克明にわかってます。ただ、彼らはなぜそもそもサリンをまいたのか。指示をされたからです。指示したのは麻原です。じゃあ麻原はなぜあの時に。オウム絶頂期です。信者どんどん増えてました。メディアの人とたくさん対談したり、教団の中に愛人もいました。ハーレムですよ。その絶頂期になぜ彼はサリンをまけという指示をしたのか。どのような指示をしたのか。したかどうかも実のところはっきりわかってません。裁判ではリムジン謀議、井上死刑囚が証言したこれが唯一の証拠なんですよ。ところが井上は自身がそのリムジン謀議をのちに自ら否定しています。ということは、麻原を地下鉄サリン事件において共同共謀正犯にする根拠は崩れてるんです。動機がわかんないんですよ。動機が語れるのは麻原だけです。でも彼は一審途中から完全に精神的に崩壊したと僕は思ってます。本来精神鑑定やるべきでした。でも誰もそれを言い出せなかった」

 「もうひとつのこだわる理由です。結局のところ二審の弁護団が控訴趣意書を出さなかった。これで二審以降行われなくなったわけですけど、二審弁護団は裁判所と約束しました。控訴趣意書を出す日程を。その前日に裁判所は棄却を決定してる明らかに恣意的に棄却してます。理由はよくわからない。もしかしたら弁護団が控訴趣意書出す日程を記者発表しちゃったのでルール違反だと怒っての意趣返しかもしれない。でもそんな子どもレベルの意趣返しで戦後最大の犯罪と言われてるオウム事件の一番のキーパーソンの裁判を打ち切ってしまうありえないことですね。あるいは裁判を続けたくなかったのかもしれない。理由はわかりません。どちらにせよ、司法が機能してないとんでもない失態。これをしっかりと共有した上で先に進まなければいけない。そう思ってます」

 この会の立ち上げに対して、「オウムを利する」「あいつらの味方なのか」という声も届いている。が、このまま麻原に死刑が執行されたら。「弾圧の果てに殺された殉教者」というストーリーが作られていく可能性だってあるあのような事件を二度と起こさない。再発防止のためにこそ、真相究明は必要なのだ

 麻原の死刑執行がカウントダウンと言われる中、私たちは問題提起をした。

 これから何ができるのか。みんなで考えていきたいと思っている。



●「オウム事件真相究明の会」のサイトはこちら
   http://www.aum-shinsokyumei.com/

     (「オウム事件真相究明の会」の森達也さん(中央)、
                   宮台真司さん(左)と記者会見で)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●【南京事件Ⅱ―歴史修正を検証せよ】…「「公文書」がいかに重要な意味を持つかを、社会に毅然と示した」

2018年05月19日 00時00分18秒 | Weblog

[【NNNドキュメント’18/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―】(2018年5月13日)↑]



リテラの記事【日本テレビが南京検証番組の第2弾! 虐殺否定派の「自衛発砲説」に緻密な取材で徹底反論】(http://lite-ra.com/2018/05/post-4014.html)。

 《2015年10月5日に初回放送されるやいなや、大きな反響を呼んだドキュメンタリー『NNNドキュメント 南京事件 兵士たちの遺言』(日本テレビ系)。その続編が、5月14日(13日深夜)に放送された》。

   『●「業界の失いつつある信頼」の回復への第一歩: 
       NNNドキュメント’15『南京事件 兵士たちの遺言』
   『●【NNNドキュメント/南京事件Ⅱ歴史修正を検証せよ
                 …「消し去られた事実の重み…現代に警鐘」


 《消し去られた事実の重み…現代に警鐘》も非常に大事なポイントだった、貴重なドキュメンタリーでした。
 《番組を通じて「公文書」がいかに重要な意味を持つかを、社会に毅然と示した》…《戦中の軍による戦争犯罪・残虐行為を記録した日本側の公文書は、敗戦の1945年8月15日の前後に、その多くが焼却されている。証拠隠滅のためだ》…《翻って現在、安倍政権下の日本では、公文書のあり方が問われている政府が、存在するものを「ない」と平気で嘘をつく役人が国民の知らぬところで文書を改ざんするあるいは「特定秘密」と言って、人々の目の届かないところに葬り去ろうとする。こうした政府による公文書の隠蔽や改ざんは現代社会の根底を揺るがすと同時に、のちの“事実の検証”を著しく困難にさせるものだ》。
 本ドキュメンタリーは、《愛僕者》(©浜矩子さん)らの粉飾国家のやっている種々の問題・事件における証拠隠滅等の行為を、《歴史修正》を助ける愚行として厳しく指弾していると感じた。《僕難》ではなく、真の意味での《国難》が目の前で進行中。

   『●ウヨクが「揶揄」した《赤い宮様》の死…、 
      血で「赤」く汚れた歴史修正主義者は、いま、何を思う?
   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

==================================================================================
http://lite-ra.com/2018/05/post-4014.html

日本テレビが南京検証番組の第2弾! 虐殺否定派の「自衛発砲説」に緻密な取材で徹底反論
2018.05.17

     (日テレ公式HPより)

 2015年10月5日に初回放送されるやいなや、大きな反響を呼んだドキュメンタリー『NNNドキュメント 南京事件 兵士たちの遺言』(日本テレビ系)。その続編が、5月14日(13日深夜)に放送された。
 チーフディレクターは引き続き日本テレビ報道局の清水潔氏。桶川ストーカー事件や北関東連続幼女誘拐殺人事件など、警察発表に頼らない独自の調査報道によって真相を追及してきた事件記者だ。
 1937年、日本軍による南京攻略戦の際に繰り広げられた、捕虜・民間人に対する大量殺戮や略奪、強姦、放火。その総称が、南京事件ないしは南京大虐殺と呼ばれる戦争犯罪である。前作『南京事件 兵士たちの遺言』は、元日本軍兵士の肉声や当時の日記などを中心に、取材班が現地取材も含め、矛盾点がないか徹底的な裏取りを試みる内容だった。
 イデオロギー論争の絶えない南京事件を扱いながら、丹念な調査報道で“事実”を浮かび上がらせた同作は、放送後、日本テレビにも大きな反響が寄せられた。その約9割が賛意を示すものだったという。また、専門家のあいだでも高い評価を集め、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞など数々の賞を受賞。ギャラクシー賞受賞式での清水氏の「忖度の“そ”の字もない番組をつくりたかった」という言葉も話題になった。
 しかし一方で、案の定というべきか、「南京虐殺はなかった」と主張するネット右翼や歴史修正界隈からは、格好の攻撃の的にされてしまった。たとえば産経新聞は放送から約1年後、例の「歴史戦」なる歴史修正シリーズにおいて番組を名指しで批判。「南京事件で虐殺はゼロかごく少数」と主張して大多数の歴史学者から白い目で見られている「まぼろし派」(虐殺否定派)の学者らの言葉を借りながら、「中国の謀略宣伝のやり方と酷似」などと難癖をつけまくり、“偏向番組”のレッテルを貼ろうとしたのだ。
 そうしたネガティブキャンペーンの効果もあってか、放送から2年以上が経った今も、相変わらずネット上では「南京虐殺は中国の創作」「虐殺はなかった」なるデマが絶えない。いや、ネトウヨだけではない。中国による南京虐殺の世界記憶遺産への登録に猛反発してきた日本政府・安倍政権を中心に、南京事件を否定しようとする政治的な動きもますます強くなっている。
 そんななかで公開された続編。タイトルは『南京事件II 歴史修正を調査せよ』だ。そう、番組は、一次資料や裏付け取材に基づいて、リビジョニズムに対し真正面から回答するとともに、その“根源”がいかなるものであるか、現在の社会全体へ突きつけたのである。


■南京虐殺否定派、ネトウヨたちが主張する「自衛発砲説」を徹底検証!

 たとえば放送では、あえてネット上で〈(『南京事件 兵士たちの遺言』は)プロパガンダでしょう〉〈虐殺ではなく、自衛行為に相当します〉なるカキコミが目立つと紹介。さらに「事件に対して異論を唱える人たちのなかには現職の国会議員までもふくまれています」というナレーションとともに、昨年12月開催の「外務省 目覚めよ!南京事件はなかった」と題された集会のパンフレットを映した。
 この集会には稲田朋美元防衛相も登壇し、「日本の名誉を守るとは、いわれなき非難や事実と違うことに断固として反論することだ」などと語ったという。こうした外務省の見解とも相反する否定論に政権の有力政治家が積極的に参与していることを示したうえで、番組では後半、否定派の論拠を徹底検証。なかでも、捕虜の大量殺戮を正当化しようする「自衛発砲説」への検証取材は、極めて力の入ったものだった。
 「自衛発砲説」とは、簡単に言うと、1937年12月17日、陸軍第十三師団山田支隊(歩兵第103旅団)の基幹だった歩兵第65連隊による揚子江沿岸での数千〜数万人の捕虜銃殺・刺殺を、「捕虜を解放するため沿岸に連れていったが、暴動を起こしたためやむなく制圧した」と読み換えるもの。「捕虜が計画的に収容所へ放火し混乱を引き起こした」「対岸の中国兵が発砲、捕虜が勘違いをして暴れだした」「国際条約上、逃亡中の兵士の処刑は正当である」(東中野修道・亜細亜大学教授など)との主張とセットで語られることが多い。ようするに、捕虜の殺害は偶発かつ正当であり、「虐殺」には当たらないというストーリーである。
 なお、前述した産経新聞による『南京事件 兵士たちの遺言』に対するバッシング記事も、この「自衛発砲説」に番組は踏み込んでいないとして批判材料に使っていた(実際には番組中で紹介及び説明をしていたので、明らかな言いがかりだが)。
 ところが、この「自衛発砲説」は軍の公式記録として残っているわけでもなんでもない。それがなぜ、否定論者やネトウヨの間で“定説”であるかのように流布しているのか。番組はその根拠を検証するため、説のルーツを辿っていく。
 番組によれば、ネットを中心に広がる「自衛発砲説」のほとんどが、近年発行された書籍からの引用だったという。具体的には「まぼろし派」である前述の東中野教授らの著書だ。そこからさらに情報を遡ると、最終的に、1964年に出された『郷土部隊戦記』という本にいき着く。捕虜殺害を実行した歩兵65連隊の出身地である福島県の地元紙・福島民友新聞社が発行したもので、このなかに「南京虐殺事件の真相」と題された章がある。
 番組取材班は、会津若松に向かった。同書が出る二年前には、福島民友新聞でその元となった記事が書かれていた。番組によれば、これが「自衛発砲説」を世に初めて伝えたものだという。


■「自衛発砲説」は部隊の責任者の主張にもとづいたもの、その信憑性は…

 本サイトも『郷土部隊戦記』を確認したが、要約するとこうなる。歩兵65連隊は12月15日に幕府山砲台付近で大量の捕虜を得て〈非戦闘員をただちに釈放〉したが、残りの〈約八千人の捕虜の処置に困った〉山田栴二旅団長が南京の軍司令部に部下を派遣して指示を仰いだところ、〈軍司令部の考えは「みな殺せ」という驚くべき意向だった〉。そして15日夜の9時すぎ、捕虜が夕食の炊事中に〈計画的放火〉を起こし、その混乱に乗じて約半数が逃亡したという。
 16日にも山田旅団長は部下を軍司令部に派遣して〈捕虜を殺すことはできぬ〉などと掛け合ったが〈「捕虜は全員すみやかに処置すべし」という軍命令〉が出された。そして問題の17日、〈軍命令を蹴って連隊長の独断専行〉で、部下の大隊長に〈今夜暗闇に乗じて揚子江対岸に解放しろ〉と指示があったという。以下、核心部分がこのように続く。

しかし思わぬ事態が発生した。夜十二時ころ、十数隻の小舟にのって1回目に渡河した二、三百人が中流までいったところ、対岸の中国軍が日本軍の渡河と見誤ってにわかに発砲してきたのだ。この銃声にこちらの岸に集結していた捕虜は「日本軍がわれわれを江上にひき出して銃殺する」と誤解してしまった。たちまち大混乱が起こった。彼らは猛然と警戒のわが兵たちを襲い出した。約四千人近い大集団が死に物ぐるいで一度に、いきり立ったのだからたまらない。いくら制止しても聞かず、恐怖を感じた兵は発砲するほかはない。部隊でも将校一人、兵六人が捕虜の群にひきずり込まれて死亡した。
 翌朝、江岸には不幸な捕虜の死体が残った。しかしその数は千人を上回った程度で、ほとんどは身のたけはゆうにある江岸のアシを利用し、あるいは江上にとび込んで死亡したのである。これが事実のすべてである。全員解放というわが方の意図は突発事故のために結局実らないでしまい、遂にわが方も人的損害を出してしまった。国際法によれば、逃亡する捕虜は射撃して差し支えないことになっているが、両角部隊の場合は、当然これに該当するものと思われる。もしこれが戦犯部隊であるとするならば連隊長らはとうに処断されているはずだ。〉

 まさに虐殺否定派が唱える「自衛発砲説」である。だが実は、この記述は、主に両角連隊長への取材に基づいていた。つまり、部隊の責任者の主張がまとめられたものだったのだ。
 それだけでも保身のための証言ではないかとの疑念が浮かんできて当然だが、しかし、番組は即断しない。この記述の信憑性を別の複数の資料や証言と重ねることで慎重に検証するのだ。


■両角連隊長メモの矛盾、現場の兵士たちの日記や証言と食い違いが多数

 たとえば、両角連隊長が残したというメモ。15日から18日にかけては、ごく簡潔にこう書かれていた。

〈十五日 俘虜整理及附近掃蕩
 十六日 同上、南京入城準備
 十七日 南京入城参加、Iハ俘虜ノ開放準備、同夜開放
 十八日 俘虜逸脱ノ現場視察、竝ニ遺体埋葬〉

 これに従えば、両角連隊長は17日に捕虜の解放を準備したことになる。一方、16日には捕虜に全く触れられていない。なぜか。
 実は、番組が明らかにしたように、16日にも揚子江沿岸での捕虜虐殺が行われていた。ある上等兵の日記にはその模様が克明に記されている。

〈12月16日、捕虜せし支那兵の一部五千名を揚子江の沿岸に連れ出し、機関銃をもって射殺す〉
〈その後、銃剣にて思う存分に突刺す〉
〈自分もこのときばかりと支那兵を三十人も突き刺したことであろう〉
〈山となっている死人の上をあがって突刺す気持ちは鬼をもひがん勇気が出て力いっぱいに突刺したり〉
〈うーんうーんとうめく支那兵の声。一人残らず殺す。刀を借りて首をも切ってみた〉

 この証言は前回の『南京事件 兵士たちの遺言』でも取り上げられたものだ。1994年に、在野の研究者・小野賢二さんがこの上等兵にインタビューしたときの映像も放送されており、はっきりとした口調でこう語っていた。

「機関銃を持ってきてバババーッと捕虜に向かって撃っちゃったんだ。捕虜はみんな死んだけれども、『なかに弾に当たんねえみたいなのがいるかもしれないから着剣して死骸の上を突いて歩け』と。ザッカザッカ突いて歩いた。おそらく30人くらい突いたと思うが。何万という捕虜を殺したのは間違いねえ」

 まだ終わらない。取材班は、上等兵の証言とさらに複数の別の元日本兵による日記とを重ね合わる。すると〈一万七千二十五名の三分の一を引き出し射殺す〉(歩兵第65聯隊第八中隊少尉の日記)、〈揚子江畔にて銃殺〉(山砲兵第19聯隊第八中隊伍長の日記)など、小野さんが所有する日誌やコピー合わせて31冊の多くが捕虜の銃殺に触れており、なかには、不自然にも12月16日の記述だけが消されていた日記もあったというのだ。つまり、現場の兵士たちによれば、16日にはすでに数千人規模の銃殺が行われていたことになる。


■両角メモの真相とは?65年前両角連隊長に直接取材した元新聞記者が証言

 しかし、繰り返すが、なぜか両角連隊長はそのことに全く触れていない。それどころか、不可解にも翌17日になって「俘虜開放準備」をしたというのである。明らかな矛盾だ。しかもメモによれば、両角連隊長は17日に南京入城式に参加しており、番組が紹介した第65連隊の第四中隊少尉の映像ではこんな証言がなされている。

「現地には誰もこないですね」
「そういう職業軍人はいないですよ」

 両角連隊長は自分で銃殺現場を見ておらず、現場にいた責任者は別の大隊長だった。そして、大隊長の護衛として現場にいた上等兵の日記には、12月16日に〈二千五百名 殺す〉とあり、加えて、両角連隊長が自衛のための発砲を主張する17日には〈今日は南京入城なり〉〈俺等は今日も捕虜の始末だ〉〈一万五千〉と記されていた。さらに、別の少尉はその大隊長から「箝口令がありました」と証言し、このようにも語っていた。

「(捕虜を)解放しようなんてね、船もなしに。よくそんな偉い人はぬくぬく言うなあと思いました。戦後記事になったでしょう。捕虜を解放しろなんて言ったなんてね。とんでもない詭弁ですよ」

 はっきりと浮かび上がる食い違い。そして番組は、決定的な証言を得る。65年前、両角連隊長に取材し記事を書いた福島民友新聞の元記者を探しだして、清水ディレクターが直接、インタビューをしたのだ。
 元記者の阿部輝郎さんは、85歳になっていた。取材当時、両角連隊長の自宅に2回訪問し、2日にわたって長い話を聞いたという。阿部さんもまた清水氏の質問に対し、両角連隊長は現場におらず、捕虜殺害を見ていなかったと答えた。そして、両角連隊長によるメモは「戦後になって、昭和30年代になって書いたものである」と証言したのである。
 現場の兵士たちの証言等と多く点で矛盾した、両角連隊長の「自衛発砲説」は、もはや完全に崩れたのだ。番組では、こうした裏付け取材を経て、否定派の唱える「自衛発砲説」の根拠は「軍の責任者たちが戦後に言い出した弁明だった」と結論づけたが、実際、そういうことだったとしか考えられない。


■歴史学的に見ても、戦後に書かれた両角メモの信憑性は極めて低い

 言っておくが、番組の結論は歴史学的手法としても正当なものだ。たとえば、南京事件をめぐる論争では「中間派」を自称する保守派の近代史家・秦郁彦氏は、『南京事件 増補版』(中央公論新社)のなかで、各種資料の評価基準をAからEの順で解説している。
 それによれば、最も確度が高いのは、事件に関わった日本軍の司令部や実働部隊の作戦命令、陣中日誌などの公的記録等、すなわち「A 公文書記録」。続いて「B 指揮官クラスの業務日誌・メモ類」、その下に「C 一般従軍者の私的日記・メモ類」として、これらを「第1次資料」と分類する。一方、そうした第1次資料よりも信頼性が劣る「第2次資料」として「D 戦後の研究所・論文」、その下に「E 従軍者の戦後における回想記・回想談」と並べている。
 番組が取り上げた資料・証言に照らし合わせると、複数の現場の兵士が従軍中に記した日記等はC=第1次資料に分類されるだろう。一方、「自衛発砲説」を主張した両角連隊長のメモ、あるいはその回想をまとめた記事は戦後になってつくられたものなのでE=第2次資料となる。なお秦氏は、Eは〈玉石混交〉だが〈第一次資料と照合しつつ裏付けの聞きとりをすれば有益な場合がある〉としている。番組では、両角連隊長のメモや回想録を第1次資料を含む複数証拠と付き合わせることで、その信頼性のなさを明らかにした。お見事としか言いようがない。
 なお、両角連隊長のメモは、陸軍の元幹部らによる組織である偕行社がまとめた『南京戦史資料集II』にも、前述の阿部元記者が筆写したものとして所収されている。通称「両角日記」で、番組はこの“幻”とも言える原本を示したわけだ。また、同資料集には「両角業作手記」と題した文書も収録されており、本稿でも引用した『郷土部隊戦記』の内容と似たものとなっている。
 偕行社の『南京戦史資料集』は南京事件研究の基礎文献と位置付けられており、虐殺否定派もしばしば引用してきた。だが、同資料集冒頭の解説には「両角日記」及び「両角手記」の性質についてこう断言されていることに、なぜか否定派はあまり言及しようとしない。

〈『両角業作大佐の日記』は、メモと言った方がよいかも知れぬ簡単なもので、問題の幕府山で収容した捕虜の処置については、その全体像を明らかにすることはできない。〉
〈『手記』は明らかに戦後書かれたもので(原本は阿部氏所蔵)、幕府山事件を意識しており、他の第一次資料に裏付けされないと、参考資料としての価値しかない。〉


■戦争犯罪を記録した「公文書」の多くは焼却……番組が突きつけた「公文書」の意義

 どうだろう。もっとも、清水ディレクターを始め番組取材班もこの資料集を熟読していないはずがないが、そこからさらに裏取り取材を徹底したことは、率直に言って感服する。いま、ネット上ではまたぞろネトウヨが〈産経に色々指摘され悔しくて反論番組作ってみたつもりなんだろう〉〈本当か?日本のイメージダウン作戦?〉などとほざいているが、もはや話にならないだろう。
 ちなみに、前作『南京事件 兵士たちの遺言』に対する産経の攻撃については、本サイトで当時いかにインチキであるかを詳報したので、ぜひ、そちらもご一読いただきたい(http://lite-ra.com/2016/11/post-2680.html)。
 いずれにしても、丹念な調査報道によって、またもや南京における虐殺の客観的事実を突き止めた『南京事件II』だが、もうひとつ、特筆すべきことがある。それは、番組を通じて「公文書」がいかに重要な意味を持つかを、社会に毅然と示した点だ。
 戦中の軍による戦争犯罪・残虐行為を記録した日本側の公文書は、敗戦の1945年8月15日の前後に、その多くが焼却されている証拠隠滅のためだ。南京攻略戦に関する軍の資料も、やはり敗戦前後に、市ヶ谷の陸軍省で燃やされていた。番組では冒頭、焼却され、埋められた公文書の一部が、焦げた紙の束として防衛省の敷地内から出てきたことの紹介から始まる。その現物は、ところどころ焼け跡があり、記録の全体を読むことは、もはや不可能となっている。
 南京事件の全貌がかくも見えづらく、もっぱらイデオロギーに利用される原因のひとつは、こうした公文書つまり一級の第1次資料が、意図的に処分されてしまったことにあるのは言うまでもなかろう。
 翻って現在、安倍政権下の日本では、公文書のあり方が問われている政府が、存在するものを「ない」と平気で嘘をつく。役人が国民の知らぬところで文書を改ざんする。あるいは「特定秘密」と言って、人々の目の届かないところに葬り去ろうとするこうした政府による公文書の隠蔽や改ざんは、現代社会の根底を揺るがすと同時に、のちの“事実の検証”を著しく困難にさせるものだ
 『南京事件II』の副題は、「歴史修正を調査せよ」だった。これは、南京事件だけの話ではない。私たちは、いま、安倍政権によって、現在進行形で“歴史の修正”がなされているという事実を、もっと深刻に受け止めるべきではないか。

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●【NNNドキュメント/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―】…「消し去られた事実の重み…現代に警鐘」

2018年05月18日 00時00分52秒 | Weblog

[※ 『NNNドキュメント’18/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―』(2018年5月13日)(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/user_images/oa_180513.jpg)↑]



【NNNドキュメント’18/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-93.html)。



http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/user_images/oa_180513.jpg

 《政府の公式記録は、焼却されるなどして多くが失われた消し去られた事実の重みの検証を試みるとともに現代に警鐘を鳴らす》。

   『●「業界の失いつつある信頼」の回復への第一歩:
       NNNドキュメント’15『南京事件 兵士たちの遺言』
    「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』…の記事【安倍首相が否定したい
     南京大虐殺を日本テレビの番組が精緻な取材で「事実」と証明!
     ところが番組告知は…】《『NNNドキュメント』(日本テレビ系)が、
     自民党が「否定」する「南京事件」を検証したのだ。その内容は、
     元日本軍兵士の証言や当時の日記といった“一次資料”を取りあげ、
     さらに矛盾や不自然な点がないか、番組取材班が徹底的に裏取りを
     試みるというものだった》」

   『●ウヨクが「揶揄」した《赤い宮様》の死…、 
      血で「赤」く汚れた歴史修正主義者は、いま、何を思う?
    「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』…の宮島みつや氏の記事
     【逝去した三笠宮が語っていた歴史修正主義批判! 日本軍南京での行為を
     「虐殺以外の何物でもない」と】」 
    《右派の“南京大虐殺なかった”という歴史修正主義に対する強い批判
     こうした“数字”の論に対して“むごたらしく殺せば人数は関係ありません”と、
     はっきりと批判…満州にいた日本の舞台の実写映画…ほんとうに目を
     覆いたくなる場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう》。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

 事前に見ていた【NNNドキュメント】のWebページには、サブタイトルの記述はありませんでした。その隠されていたサブタイトルは「歴史修正を検証せよ」でした。「政府の公式記録は、焼却されるなどして多くが失われた」…これは、アベ様らの「現代」への警鐘でもあるわけですが、《元日本軍兵士の証言や当時の日記といった“一次資料”》をもとに、現地検証やCGを交えたドキュメンタリーとなっています。
 清水潔さんのつぶやきは…:

   「清水 潔 @NOSUKE0607  5月12日
    NNNドキュメント
    「南京事件II」本日深夜です。
    日本は戦争の公式記録を焼却してしまい多くが失われた。
    防衛省の敷地からは大量の灰や焼け焦げた紙の束が見つかっている。
    残された兵士の肉声インタビューや陣中日記など一次資料を
    検証するとともに警鐘を鳴らす。
    https://www.youtube.com/watch?v=voimlbqfRUk」    
    (https://twitter.com/nosuke0607/status/995448598321029120

   「清水 潔 @NOSUKE0607  5月13日
    「南京事件」についての更なる詳細や、事件前後の日本やアジアの状況。
    またテレビ番組の取材経緯などについてはこちらの本でも触れています。
    (文春文庫)。Kindle版もあります。」
    (https://twitter.com/NOSUKE0607/status/995524139807981568

 「軍により「不許可」とされた写真…国民に知らされなかった」。
 幕府山捕虜銃殺の現場での検証。1937年12月16日。数十分に渡る銃撃。銃剣や刀を持った兵士が「突撃」…「処理」。翌日も銃殺は続いた。「阿鼻叫喚」。

   『●「業界の失いつつある信頼」の回復への第一歩:
       NNNドキュメント’15『南京事件 兵士たちの遺言』
    《そして一枚の写真。65聯隊の日本兵が所有していたもので、欄外には
     「南京城外幕府山ノ捕虜」とある。銃剣を担ぐ日本兵のかたわらには、
     後ろで両手を縛られ、防寒着を着た捕虜の姿が。12月16日、捕虜は
     揚子江付近にあった中国軍の海洋施設に連行されたという。当時、
     機関銃の引き金をひいたという元日本兵の音声がある》

 現代に於いて、証拠を隠滅するようなアベ様らの粉飾国家が「歴史修正」を積極的に進める。そんなニッポンでは…「歴史を鏡にできない政治家ってどういう人? 井戸を濁らしてどうするの? 近隣諸国とどんな関係を築こうとしているのか」? アベ様ら歴史修正主義者に《平和なアジアという井戸を掘る意思があるようには思えない

   『●『「反日」とは何か ~中国人活動家は語る~』読了(3/3)
    《小泉純一郎や安倍晋三など、…アジア諸国民からの批判に開き直る
     一群の政治家…、日本人として空しい。彼らに、そもそも平和なアジア
     という井戸を掘る意思があるのかどうか、疑わしい。むしろ、
     …彼らは先人の掘った井戸の水を濁らせているのだ、と》

   『●「平和なアジアという井戸を掘る意思があるのかどうか、疑わしい」
    《河村たかし市長は、友好都市である南京市の共産党幹部が
     訪問した際に「南京大虐殺は無かったのではないかと発言した
     その問題意識について、市長は記者会見で「子孫のため(歴史認識を)
     真実へと正すのは六十三歳のじいさま(市長)の社会的、政治的使命だ
     と思っとります」と述べた。…
      二〇〇六年の安倍晋三・胡錦濤首脳会談の合意を受けて
     スタートした日中歴史共同研究委員会は二年前、南京事件について
     「虐殺行為に及んだ日本側に責任があるとの認識では一致した」
     との報告を公表した。一方、犠牲者数は、中国側の「三十余万人」、
     日本側の「二十万人を上限に四万人、二万人などさまざまな推計がある」
     と両論を併記…》

   『●ニッポンは民主主義国家? 《明白な事実や数字を
         権力者が都合のいいように変え、信じ込ませようと》…
   『●「これは相当に見つけにくかろう」…というか、
     真に《不存在》な無い物(国民の信用)は見つけようがない
   『●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を守るには報道しかない」、
                    でも、沖縄密約と西山太吉記者…

   『●「だが我が国は成熟国家になってから粉飾を始めた
      相当情けない国家」(阿部岳さん)だなんて、哀し過ぎる

    《そして世界からの我が国に対しての評価やレッテルは
     粉飾民主主義国家ということになろう》…恥ずかし過ぎる。
     《だが我が国は成熟国家になってから粉飾を始めた
     相当情けない国家なのではないか》…あぁ、情けない。

   『●彼/彼女らにこそ「超監視」を! 「市民総出で見張り、
          がんじがらめにしておかなければ、危険すぎる」

==================================================================================
http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-93.html

NNNドキュメント’18
2018年5月13日(日) 24:55【拡大枠】
南京事件Ⅱ 

かつて日本が行った日中戦争や太平洋戦争。残された兵士のインタビューや一次資料を分析、さらに再現CGで知られる事のなかった戦場の全貌に迫る。政府の公式記録は、焼却されるなどして多くが失われた消し去られた事実の重みの検証を試みるとともに現代に警鐘を鳴らす。

ナレーター/湯浅真由美 制作/日本テレビ 放送枠/55分

再放送     
5月20日(日)11:00~ BS日テレ
5月20日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「子や孫、未来を生きる世代のため」に壊憲?…「憲法9条…軍隊は禁止…子どもたちに、うそはいけない」

2018年03月16日 00時00分37秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



沖縄タイムスの磯野直さんによるコラム【[大弦小弦]ウルトラマン生誕50周年を記念してNHKは昨夏、名作ベスト10…】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/82131)。
琉球新報のコラム【<金口木舌>子どもの内なる力】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-665492.html)。

 《▼日本国憲法は今年、施行70年を迎える。安倍晋三首相は20日の施政方針演説で「子や孫、未来を生きる世代のために、国民的な改憲議論を訴えた ▼そもそも「権力者を縛る」という立憲主義の理念からすれば、改憲議論を首相に指示されるのは筋違いだ。だが、それが国会でまかり通っている》。
 《▼特撮テレビ番組「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」…脚本担当の上原正三さん…物語のモチーフは関東大震災時の朝鮮人虐殺群衆が持つ恐ろしさや…》。


 《主人公が所属するのは科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT(怪獣攻撃隊)など、いずれの組織にも「名称はない。上原さんら作り手の「日本には憲法9条があり、軍隊は禁止。まばたきもせず見てくれる子どもたちに、うそはいけないとの信念からだった》そうだ。
 アベ様やその信者の皆さんは、「子や孫、未来を生きる世代のため」に壊憲したいそうだ? 《私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず》だというのに。そして、《主人公が所属するのは科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT(怪獣攻撃隊)など、いずれの組織にも「名称はない。上原さんら作り手の「日本には憲法9条があり、軍隊は禁止。まばたきもせず見てくれる子どもたちに、うそはいけないとの信念からだった》そうだ。「子や孫、未来を生きる世代のため」に壊憲したい人たちの気が知れない。

   『●前泊博盛さん「在日米軍は、本土から…ウルトラマンに
               見えるが、沖縄から見ると怪獣でしかない」
    《「国家の暴走を縛る憲法と立憲主義が、時の権力者の恣意で
     着物のように簡単に脱ぎ捨てられた米軍統治時代よりも
     ワジワジして(怒って)いる」。…真のウルトラマンは憲法》。
    「《前泊博盛(まえどまりひろもり)沖縄国際大教授(55)は言う。
     「在日米軍は、本土からは外国の脅威を倒してくれる
     ウルトラマンに見えるが沖縄から見ると怪獣でしかない
     私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず》。
     その「真のウルトラマン」を殺そうとしているのがアベ様ら自公および
     「癒(着)」党の議員達。「本土」の自公・「癒」党投票者の愚かさと、
     手も足も出ない「本土」マスコミの情けなさ」

 《関東大震災時の朝鮮人虐殺》をモチーフに「怪獣使いと少年」の脚本を書いた上原正三さんは「琉球人の俺も、いたらやられていた。人ごとではな」と言う。歴史を抹殺したい人々は、戦争できる国に逆戻りし、くら~い暗いアンナ世に戻りたいと思っているらしい。馬鹿じゃなかろうか。

   『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)
    「朴慶南さん、「石原慎太郎の「三国人発言」などに
     怒りを露わにする彼女」。兄貴分は梁石日。
     「暴徒と化した日本人から朝鮮人のいのちを守った横浜の
     鶴見警察署長、大川常吉のことを知り、ペンで顕彰した」」

   『●沖縄出身脚本家上原正三さん、「民意を顧みず、
     基地を押し付け…沖縄を植民地としてしか見ていない証拠」
    《■「怪獣使いと少年」で問うた人間の心の闇
    《登場人物の少年は北海道江差出身のアイヌで、メイツ星人が化けた
     地球人は在日コリアンに多い姓『金山』を名乗らせた。1923年の
     関東大震災で、『朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ』『暴動を起こした』
     などのデマが瞬く間に広がった市井の善人がうのみにし、軍や警察と
     一緒になって多くの朝鮮人を虐殺したんだ。『発音がおかしい』
     『言葉遣いが変』との理由で殺された人もいる。
     琉球人の俺も、いたらやられていた。人ごとではない

   『●自民党亜種トファの小池都知事が「震災時に
      朝鮮人が虐殺された史実の否定にもつながりかねない判断」を…
   『●瞬く間にデマを善人が鵜呑みにし…
     上原正三さん「琉球人の俺も、いたらやられていた。人ごとではない」
    「瞬く間にデマを善人が鵜呑みにし、警察や軍人らと共に狂気の暴走…
     「怪獣使いと少年」の脚本を書いた上原正三さんは「琉球人の俺も、
     いたらやられていた。人ごとではない」と。「関東大震災朝鮮人虐殺事件」は、
     とんでもない史実であり、反省の意味を込めて、長く記憶され、
     語り継がれなければならない。歴史を抹消し、修正することは許されない。
     「数」の議論に落とし込んでよいような事件ではない。「震災死」と
     同一視して良いものではなく、「人災」と呼ぶ人も居る。悍ましい虐殺だ」

   『●朝鮮人虐殺…黒澤明監督「何をかくそう、
     その変な記号というのは、私が書いた落書きだったからである」
   『●詩人萩原朔太郎「朝鮮人あまた殺され…
     われ怒りて視る、何の慘虐ぞ」: 歴史の事実を抹消したがる人々…

 マガジン9の鈴木耕さんによる記事【言葉の海へ 第2回:とても偏った読書案内(鈴木耕)】(http://maga9.jp/kotoba170906/)によると…:

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ものすごく面白い少年たちの物語 
『キジムナーkids』(上原正三/現代書館 1700円+税)…》

 実は、この小説もメインの舞台は沖縄である。前述の『キジムナーkids』は敗戦直後の焼け野原の話だったけれど、本書はいまの沖縄だ。
 出てくる人物たちが尋常じゃない。
 語り手である有馬次郎(ジロー)は世界を放浪した後で沖縄へたどり着き「精神科 うるま病院」の職員として働いている。この病院の院長の霧山は、かつて「60年安保闘争」の際、全学連を率いて30万人もの人間を動かし、国会を包囲した人物。霧山は闘争の後、沖縄へ移り住む。沖縄戦で傷つき心を病んだ人たちが多い沖縄でこそ精神医療が必要だという信念で、数十年間にわたって治療を続けてきた。
 しかし彼は今、末期がんに侵されている。
 霧山の周辺には、乙姫さまと呼ばれる「医者半分、ユタ半分」の不思議な老女や、かつてセックス教団と呼ばれた新興宗教に関わった副院長の田島など、実にさまざまな個性の人間たちが出没する。
 話は沖縄にとどまらない。ジローは、人工衛星の乗組員で友人のジムと交信している。宇宙から見える地球、地上のほんの小さなアジアの片隅の島で、駐留米軍の精神科医や、アメラジアンの青年たち、戦争PTSDを抱える患者などが必死に自分の道を探して生きようとする。
 かつて「全体小説という文学」ジャンルが野間宏氏らによって提唱されたことがあったと記憶するが、本書はまさに、地球全体を包含するような小説である。
 読者は、いったいどこへ連れていかれるのか分からない。だから引きずり込まれる小説の快感を味わう。読者の予想や想像をまったく寄せ付けない流れは、真の意味での「読書の快感」なのだ。
 やがて「GRANDMOTHERS COUNSEL」という老齢女性(国際的おばあたち)集団が現れ、沖縄での「平和の祭典」開催が図られる。ここからの急展開も、読者の先読みを許さない。
 そして、静謐な終幕。
 少し前のツイッターで、ぼくは早々と「これは今年のNO.1だ」と書いてしまったが、その感想は再度ページをめくってみても変わらない。「この小説は今年のNO.1である」と、改めて断言したいと思う。
 ここでもひとつ付け加えておこう。著者は高名な小説家だが、現在73歳である。この年齢でこれだけの想像力(創造力でもある)を自分のものとしている精神の若さには驚かされる。

ものすごく大切なルポルタージュ
ルポ沖縄 国家の暴力――現場記者が見た「高江165日」の真実』(阿部岳/朝日新聞出版 1400円+税) ………
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

==================================================================================
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/82131

[大弦小弦]ウルトラマン生誕50周年を記念してNHKは昨夏、名作ベスト10・・・
2017年1月31日 08:04 磯野直 ウルトラマン 憲法

 ウルトラマン生誕50周年を記念してNHKは昨夏、名作ベスト10を視聴者の投票で決めた。1位は「ウルトラセブン」の最終回「史上最大の侵略」、2位は「帰ってきたウルトラマン」の第33話「怪獣使いと少年

▼属性で人を差別しない大切さを描いた「史上-」の脚本は故金城哲夫さん、日本人の集団心理の恐ろしさを告発した「怪獣-」は上原正三さん(79)。「金城と2人、沖縄でワンツーを取ったんだよ」と上原さんは喜ぶ

▼主人公が所属するのは科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT(怪獣攻撃隊)など、いずれの組織にも「名称はない。上原さんら作り手の「日本には憲法9条があり、軍隊は禁止。まばたきもせず見てくれる子どもたちに、うそはいけないとの信念からだった

▼日本国憲法は今年、施行70年を迎える。安倍晋三首相は20日の施政方針演説で子や孫、未来を生きる世代のために、国民的な改憲議論を訴えた

そもそも「権力者を縛るという立憲主義の理念からすれば、改憲議論を首相に指示されるのは筋違いだ。だが、それが国会でまかり通っている

▼「夢のある世界を子どもたちに」との思いで脚本を書き続けた上原さんの次回作は、全編しまくとぅばを話す沖縄発のヒーロー物という。必殺技は光線や武器を使わず、敵を説得すること。見たい。(磯野直
==================================================================================

==================================================================================
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-665492.html

<金口木舌>子どもの内なる力
2018年2月15日 06:00

 孤児の少年は「宇宙人だ」と言われ、いじめられた。小屋で老人と二人暮らし。その老人こそが宇宙人で、体は地球の環境汚染でむしばまれていた。少年は老人の星で一緒に暮らす夢を抱く。難破した宇宙船を探すため、必死に穴を掘る

▼特撮テレビ番組「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」である。老人は「宇宙人は殺せ」と押し寄せた住民から少年を守り、警官の銃弾を浴びて死ぬ。このため老人が念力で封印していた怪獣が現れる

▼ウルトラシリーズ最大の問題作とされる。テレビ会社幹部から「結末が陰惨」などと酷評され、放映する代わりに監督は助監督に降格、脚本担当の上原正三さん(那覇市出身)も最終回まで干された

▼上原さんによると、物語のモチーフは関東大震災時の朝鮮人虐殺群衆が持つ恐ろしさや、いじめられても夢に向かって穴を掘る少年を描きたかったという

▼上原さんはこのほど、優れた児童文学に贈られる坪田譲治文学賞を受賞した。作品は沖縄戦直後、戦争で傷ついた少年たちがたくましく生きる物語「キジムナーkids

▼上原さんは、子どもには「透視能力」があるという。それが戦後の混乱を生き抜いた原動力だと。「魔法の目」は、はるかかなたに光を見いだし、生きる糧にする。そんな子どもの内なる力を大人たちは忘れていないか-。上原さんの問い掛けは続く。
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●ガジュマル:瀬長亀次郎さん「不屈」の精神…「忖度政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない」

2017年09月08日 00時00分15秒 | Weblog


レイバーネットのコラム【〔週刊 本の発見〕 『ペンとカメラ――時代と生きる』】(http://www.labornetjp.org/news/2017/0720hon)と、
【<木下昌明の映画の部屋>●佐古忠彦監督『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』 瀬長亀次郎にみる沖縄の戦後史】(http://www.labornetjp.org/news/2017/0822eiga)。
琉球新報のコラム【<金口木舌>全国に響くカメジローの生きざま】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-565720.html)。

 《本書は木下昌明の7冊目の批評集…文字通り、身を挺して書く。その仕事のとりあえずの集大成が、本書である。これを読まずに、3・11以後の今を語ることはできない》。
 《以前に「筑紫哲也NEWS23」のキャスターを務めた佐古忠彦が監督し、TBSテレビが制作…瀬長は戦後一貫して米国の沖縄支配とたたかった人物》。
 《映画はガジュマルの映像から始まった。その木のように倒れない男の話だ。彼は、選挙で倒した“敵”を「ガジュマルの木陰で休ませ、同じガジュマルになれと説得し、民主主義を嵐から守る態勢を取ろう」と呼び掛けた…瀬長亀次郎…▼瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度政治”を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない》。


   『●多分、アベ様は沖縄で三度敗れる・・・・・・
                踏みにじられる沖縄の民意
    《全てを失った沖縄戦から70年のできごと。伊江島で土地を
     守るために戦った阿波根昌鴻さんから、米軍の統治の横暴さに
     抵抗して投獄された瀬長亀次郎さんから、脈々とこの島で
     生きるものたちが受け継いできたもの

   『●「不屈」…「瀬長の口、耳、目を封じることはできても、
        八十万県民の五官の機能をとめることは不可能だ」

 琉球新報の記事【「カメジロー」盛況 東京上映、初日立ち見も】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-563683.html)によると、《米統治下の圧政に不屈の精神で抗議する姿勢を貫いた瀬長亀次郎さんのドキュメンタリー「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(佐古忠彦監督)…佐古監督は「瀬長さんの生きざまを通して沖縄の戦後史を知っていただくだけでなく、今の日本の在り方と照らしていろんなことに気付いてほしい」…。舞台には瀬長さんの次女・内村千尋さんも登壇し「右の人、左の人関係なく、父の生きざまに感銘を受けたとおっしゃってくれる人が多いが、父が亡くなってから調べるうちにすごさが分かった。父が頑張れたのは祖母から受けた愛情の影響が大きい」と話した。名護市辺野古の新基地建設などについて触れ「沖縄は今、大変なことが起きている。学習会や討論会を開いて沖縄のことを知ってほしい」と求めた》。

 木下昌明さんの批評集について、《著者にとって、映画は絵空事ではない。なぐさみの対象でもない。映画館は、彼にとって、生き方を示唆してくれる場所なのだ》。木下昌明さん、《いまがふんばりどきなのだ》。その木下昌明さんの『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』についての映画評の結び、《映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる》。

   『●「自由新聞(フライエ プレッセ)!」と「下足番」新聞:
                  主犯の「A」(A夫妻)が抜けている
    「レイバーネットの映画コラム【<木下昌明の映画の部屋>
     戦争の裏側を描く2本の映画~『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯』
     『ヒトラーへの285枚の葉書』】…《夫妻に一人息子の戦死の報が
     届くところから始まる。二人はそっけない軍事郵便に騙された
     と絶望するものの後の祭り…。ヒトラー政権が台頭するとき、
     市民がみな反対していれば、誰もが一人一人捕らえられて
     死んでいくことはなかった。…ドイツの独狼さん…
     「黙るのは罪、行動するのは義務」…。いまがふんばりどきなのだ》」


 瀬長亀次郎さんから《受け継いできたもの》は《不屈》《一人のヒーローではなく人々の結集》。森を殺すこと、海を殺すこと、番犬様の基地の押し付け、《大規模な自衛隊とミサイル基地の配備》、《統合エアシーバトル構想》…人々は分断されることなく、《不屈》に《結集》するしかない、ガジュマルの様に。《沖縄に自生するガジュマルは何本もの細い幹を束ねたようにして一本の大木となっている。これを「どんな嵐にも倒れない、沖縄そのもの」…映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる》。
 「本土」は見て見ぬ振りすることなく、この腐敗したアベ様政権を一日も早く倒さなければ、ニッポンは御終い。《瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度(そんたく)政治”を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない》。

==================================================================================
http://www.labornetjp.org/news/2017/0720hon

〔週刊 本の発見〕 『ペンとカメラ――時代と生きる』
第1~第4木曜掲載・第14回(2017/7/20)

第14回 身を挺して書く
●『ペンとカメラ――時代と生きる』(木下昌明 績文堂 2017年6月刊 1800円)/評者=志真秀弘

 わたしは、信州の山家育ちだが、行きつけだった床屋のおじさんが、西部劇の話をしてくれたのを覚えている。ストーリーは忘れたが、ジョン・ウエイン、バート・ランカスター、アラン・ラッド、ゲーリー・クーパー、ヘンリー・フォンダなどなどの名演ぶりを想像した。田舎だったから映画館に気安くいくことはできない。そんな子供の私に、おじさんの話はわくわくする体験だった。

 本書は、そんな映画体験を文章によって味あわせてくれる。

 たとえば、「ジンネマン映画の魅力」を読もう。1934年、ナチス支配下のベルリンで反ファシズムと闘う幼なじみのユダヤ人富豪の娘ジュリアの要請に応じてアメリカ人作家リリアンが、パリから列車でベルリンに向かう。緊張感に耐えるリリアンの姿に、『真昼の決闘』の保安官や、『日曜日にはネズミを殺せ』の元ゲリラ隊長の緊張した内面が重なる。「逃げたくとも逃げずに耐えていく」生き方に、ファシズムに立ち向かう時代の精神のあり様を著者はみる。リリアン・ヘルマンは、赤狩りの時代に非米活動委員会議長宛てに良心を流行に合わせて裁断することはできないと手紙を送った。彼女の精神のありかは、映画の「へっぴり腰ではあれ、臆病をきらった」リリアンのそれとおなじだった。「私もリリアンのように生きたい」と著者は結ぶ。

 著者にとって、映画は絵空事ではない。なぐさみの対象でもない。映画館は、彼にとって、生き方を示唆してくれる場所なのだ。

 「南京事件 誰が虐殺を命じたか?」は、『ジョン・ラーベ――南京のシンドラー』をとりあげる。これは、「娯楽大作」だが、日本では右翼を恐れて劇場公開できなかった。この映画を木下は、ラーベの日記、当時の記録映画『南京』、中国映画『南京1937』、武藤章中将の遺著、日本テレビのドキュメント『南京事件 兵士たちの遺言』、レイバーネットTVの小野賢二の証言などによりながら、緊迫感に充ちた語りで、虐殺の責任者が誰かを明らかにする。一本の映画を、これだけ歴史的・実証的に解明し、問題の所在を摘出する映画批評を書くのは、もはや著者を置いてないのではないか。が、それだけではない。「私たちは、侵略戦争を克服できているのか」。みずからの生き方に結び付けて著者はそう問う。彼の本を読み、「深く生きよう」とフクシマ陽太郎が書く所以だろう。

 「親しいのになぜ憎しみ合うのか」は、映画『無頼無法の徒さぶ』のなかで、親しいからこそ憎しみが噴出する人間関係の不条理を、書いている。初め、わたしは、不条理を指摘するだけに留まっているのかと勘違いした。再読して、著者が、優劣や競争を越えた人間の関係を描こうとしていることに気づき、中野重治の詩「その人たち」をふと思い出した。「サヤ豆を育てたことについてかって風が誇らなかったように/また船を浮かべたことについてかって水が求めなかったように」の2行の思想に連なる著者の考えに感動した。

 本書は木下昌明の7冊目の批評集だが、前著『〈いのち〉を食う』と本書とで、彼の批評は、命と時代と世界をとらえて、それまでの仕事を超えた。彼の対象は、すでに映画に留まっていない。〈Ⅰ カメラは行動する〉で、ビデオカメラを手に、毎週金曜日国会前集会に赴く。〈Ⅳ 芸術運動――先駆者たちの仕事〉では、彼を育てた芸術運動の人と歴史とを再構成して自らの批評の生い立ちを証してみせた。文字通り、身を挺して書く。その仕事のとりあえずの集大成が、本書である。これを読まずに、3・11以後の今を語ることはできない。

*「週刊 本の発見」は毎週木曜日(第1~第4)に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美です。
==================================================================================

==================================================================================
http://www.labornetjp.org/news/2017/0822eiga

木下昌明の映画の部屋>
●佐古忠彦監督『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』
瀬長亀次郎にみる沖縄の戦後史

 沖縄に自生するガジュマルは何本もの細い幹を束ねたようにして一本の大木となっている。これを「どんな嵐にも倒れない、沖縄そのもの」と愛した男がいた。その大木のシーンから『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』が始まる。

 男とは戦中、毎日新聞那覇支局の記者を務め、戦後はうるま新報(現・琉球新報)社長に就任、人民党結成に参加し、那覇市長となった瀬長亀次郎(1907~2001年)のこと。沖縄が日本に復帰する2年前から、初の衆院議員として国会でも活躍した。彼の波乱にとんだ生涯を、以前に「筑紫哲也 NEWS23」のキャスターを務めた佐古忠彦が監督し、TBSテレビが制作したのが本作。

 映画は、テレビ局ならではの豊富な資料映像が使われ、本人の生前の貴重なインタビューをはじめ、彼とかかわった人々の証言を重ねている。瀬長は戦後一貫して米国の沖縄支配とたたかった人物で、彼を介して沖縄の知られざる戦後史も浮かび上がってくる。

 なかでも、その人となりを表す一枚の写真が目に焼きつく。それは琉球政府創立式典時のもの。全員が脱帽して起立しているのに、彼は一番後ろで着帽したまま腰かけている。創立の署名欄にも一人だけ捺印(なついん)していない。瀬長によると「米軍に占領された」ままの政府でしかなかったからだ、と。これ以降、米軍は彼を敵視し、刑務所に送り込む。その折に起きた囚人暴動で瀬長のとった行動が面白い。

 また、彼が結成に参加した人民党は人権を高く掲げた「ポツダム宣言」を基にしたものというのにも驚かされる。

 彼の行くところ、何万人もの人々が押しかけ、「瀬長一人が叫んだなら50メートル先まで聞こえる。ここに集まった人たちが声をそろえて叫べば………」の有名な文句は人々の心をわしづかみしたという。

 映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる。(『サンデー毎日』2017年8月20・27日号)

※8月26日より東京・ユーロスペース他全国順次公開
==================================================================================

==================================================================================
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-565720.html

<金口木舌>全国に響くカメジローの生きざま
2017年8月31日 06:00

 映画はガジュマルの映像から始まった。その木のように倒れない男の話だ。彼は、選挙で倒した“敵”を「ガジュマルの木陰で休ませ、同じガジュマルになれと説得し、民主主義を嵐から守る態勢を取ろう」と呼び掛けた

米統治下の圧政に抵抗した政治家瀬長亀次郎氏を描いた記録映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が好評だ。那覇市の桜坂劇場では長蛇の列ができ、東京でも連日満員だ

佐古忠彦監督は東京での舞台あいさつで沖縄と本土の「溝」に言及した。その大きな理由は、本土の人々の認識の中から「沖縄戦後史がすっぽり抜け落ちている」ことだと

▼本土のテレビのニュースで基地問題は瞬間の事象しか伝えない。このため、なぜ県民が声を上げているのかが伝わっていないと言う。「瀬長氏の生きざまを通して戦後史を知れば、その理由が分かる

▼「弾圧は抵抗を呼ぶ/抵抗は友を呼ぶ」。瀬長氏の言葉や行動に、沖縄における今の闘いの原点が凝縮されている。佐古氏はそれを知ることで、沖縄との溝が少しでも埋まるよう願った

▼瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度(そんたく)政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●ウヨクが「揶揄」した《赤い宮様》の死…、血で「赤」く汚れた歴史修正主義者は、いま、何を思う?

2016年11月01日 00時00分42秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の宮島みつや氏の記事【逝去した三笠宮が語っていた歴史修正主義批判日本軍南京での行為を「虐殺以外の何物でもない」と】(http://lite-ra.com/2016/10/post-2651.html)。

 《右派の“南京大虐殺なかった”という歴史修正主義に対する強い批判…こうした“数字”の論に対して“むごたらしく殺せば人数は関係ありません”と、はっきりと批判…満州にいた日本の舞台の実写映画…ほんとうに目を覆いたくなる場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう》。

 ウヨクが《「左翼」と批判》し、「揶揄」した《い宮様》の死、鮮血で「」く汚れた歴史修正主義者は、いま、何を思う?
 『サンデーモーニング』(2016年10月30日)の「風をよむ」のコーナー、《偽りを述べる者が/愛国者とたたえられ/真実を語る者が/売国奴とののしられた世の中を/私は経験してきた (中略)/それは過去のことだと/安心してはおれない/つまりそのような先例は/将来も同様な事象が/起こり得ることを示唆している/「日本のあけぼの」より》。さて、《い宮様》は、現在進行形のキナ臭いアベ様の「政」を、どう思っておられたのだろう?

   『●『本田靖春/「戦後」を追い続けたジャーナリスト』読了
    「斎藤貴男さんの、少し悲壮感漂うエッセイ「囚われだらけの時代に」。
     カルト資本主義』。『誘拐』や『不当逮捕』、『立松和博
     斎藤さんや本田さんがなぜ文春にという疑問?が・・・、《文春論調も
     体質も、しかし明確な保守であり、どうしても相容れない一線があるのを、
     本田さんは知っていた。鈴木明氏の「『南京大虐殺』のまぼろし」が
     一九七三年の大宅壮一ノンフィクション賞さえ受賞するに及んで
     彼は文春を離れていく》」

   『●「こりゃ違憲!」『週刊金曜日』
      (2012年11月23日、921号)についてのつぶやき
   『●原発推進: 国民が見えているとは思えない政権
    《また、行政改革相に就いた稲田朋美氏は「南京大虐殺」を否定し、
     東京裁判を「不法無効な裁判」と批判してきた。河野談話や
     村山談話の見直しは「戦後レジームからの脱却」を
     唱える安倍氏の持論だ》

   『●「日本の恥と呼ぶべき存在」
   『●「平和なアジアという井戸を掘る意思があるのかどうか、疑わしい」
    《河村たかし市長は、友好都市である南京市の共産党幹部が
     訪問した際に「南京大虐殺は無かったのではないかと発言した
     その問題意識について、市長は記者会見で「子孫のため(歴史認識を)
     真実へと正すのは六十三歳のじいさま(市長)の社会的、政治的使命だ
     と思っとります」と述べた。…
      二〇〇六年の安倍晋三・胡錦濤首脳会談の合意を受けて
     スタートした日中歴史共同研究委員会は二年前、南京事件について
     「虐殺行為に及んだ日本側に責任があるとの認識では一致した」
     との報告を公表した。一方、犠牲者数は、中国側の「三十余万人」、
     日本側の「二十万人を上限に四万人、二万人などさまざまな推計がある」
     と両論を併記し》

   『●『自然と人間』(2013年12月号、Vol.210)についてのつぶやき
   『●ジャーナリズムの矜持無きこんな「公共」放送なんて要らない!
    《…と語ったのは、作家の百田尚樹氏だ。南京大虐殺については
     「そんなことはなかった」と否定もした。しかも、東京都知事選の
     立候補者の応援演説の場だった》

   『●一国の首相が歴史修正主義者なんて恥ずかしいし、
            羞恥心の無さと自覚の無さという救いの無さ
    「《1937年の日本軍による南京大虐殺がなかったといまだに主張
     という記事に対して反論したそうです。ここの部分については
     歴史修正主義者ではないのかもしれません。世界に向けて
     発せられたその点のみは良かった」

   『●首相からして歴史修正主義者な国の文科大臣の「食言」
   『●日本社会は歪んでる: ネオナチやヘイトスピーチ集団に
                    「信奉」される議員が取り巻くアベ様
    《第2次安倍内閣の命取りになりかねないのが女性大臣や党幹部と
     極右活動家とのつながりだ。高市早苗総務相と稲田朋美政調会長が
     「国家社会主義日本労働者党」の代表者・山田一成氏と撮った
     ツーショット写真が海外メディアに報じられてしまった
      山田氏はヒトラーを崇拝する活動家。「民族浄化を推進しなければ
     ならない」「在日朝鮮人殲滅」など、ナチそっくりのスローガンを掲げ
     HPにカギ十字によく似たマークを掲げている。ユダヤ人への
     ホロコーストを「日本の南京大虐殺とまったく同じで、戦勝国がつくったデマ
     と否定している。まさに日本版「ネオナチ」だ。一体、どんな人物なのか》

   『●『朝日』の「誤報」よりも、
      誰が国際社会の印象を落としているでしょうか?

   『●「吉田調書と原発」 『週刊金曜日』
       (2014年10月10日、1011号)についてのつぶやき
   『●「「慰安婦」問題と言論弾圧」 『週刊金曜日』
          (2014年11月14日、1016号)について
   『●「業界の失いつつある信頼」の回復への第一歩:
         NNNドキュメント’15『南京事件 兵士たちの遺言』
   『●『超・反知性主義入門』の小田嶋隆さんインタビュー、
             「そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候」
    《ユネスコの記憶遺産に南京大虐殺が登録された時、菅官房長官は
     分担金を減らすことを示唆しました。驚天動地の発言で、昔だったら
     クビが飛んでいると思う。虐殺した数についての議論はあってしかるべき
     だが、虐殺の事実そのものを否定したり、分担金を減らしてユネスコに
     圧力をかけるのは別次元の話でしょう。しかし、菅官房長官がああ言うのは、
     国民の方に『ユネスコはケシカラン』という応援の声があるのを感じたから
     だと思う。ああいう発言ができちゃう空気が、すでに存在しているんですよ》

   ●アレらの「ウヨク雑誌」「ウヨク広報機関」と比較にならぬほど、
      この真っ当な「左翼雑誌」=『通販生活』


==================================================================================
http://lite-ra.com/2016/10/post-2651.html

逝去した三笠宮が語っていた歴史修正主義批判 日本軍南京での行為を「虐殺以外の何物でもない」と
宮島みつや 2016.10.28

 昭和天皇の末弟で、今上天皇の叔父にあたる三笠宮崇仁親王が、昨日27日、心不全により逝去した。享年100歳だった。一部メディアは、崇仁親王の先の戦争に対する反省の念や、戦争反対への思いなどを伝えているが、その発言は、マスコミが報じている以上に踏み込んだものだった。崇仁親王は、いまこの時代を支配している右傾化に対して、早くから警鐘を鳴らしてきたとさえ言える。
 それを象徴するのが、右派の“南京大虐殺はなかった”という歴史修正主義に対する強い批判だろう。
 1915年生まれの崇仁親王は、陸軍士官学校に進み、軍人となり、日中戦争時の1934年1月から1年間、「若杉参謀」の名で参謀として中国・南京に派遣された。このとき崇仁親王は「支那派遣軍総司令部」で「支那事変に対する日本人としての内省」という文書を書き、日本の侵略主義を批判したのだが、その文書が発見された1994年には、月刊誌のインタビューで“南京大虐殺はなかった”という論についてどう思うか聞かれ、このように述べている。

   「最近の新聞などで議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが
    問題になっているような気がします。辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すこと
    と書いてあります。つまり、人数は関係ありません。私が戦地で強いショックを
    受けたのは、ある青年将校から『新兵教育には、生きている捕虜を目標にして
    銃剣術の練習をするのがいちばんよい。それで根性ができる』という話を
    聞いた時でした。それ以来、陸軍士官学校で受けた教育とは一体なんだった
    のかという疑義に駆られました」(読売新聞社「This is 読売」94年8月号)

 このインタビューが収録された当時は、羽田内閣の永野茂門法相が毎日新聞のインタビューで南京大虐殺はでっち上げだと思う」「太平洋戦争を侵略戦争というのは間違っているなどと発言するなど、戦中日本の戦争犯罪を公然と否定する流れが、すでに一部の右派だけでなくかなりの勢いを持ち始めていた時期である。
 とくに、日中戦争初期の1937年12月の首都・南京陥落以降に日本軍が行った捕虜や民間人の殺害行為については、論者・研究者によってその人数に20万人から数百人、そしてそもそも虐殺は存在しなかったといういわゆるマボロシ論まで論じられていた。その“数字”をとりたてる流れは現在も続き、現日本政府もまた「被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難である」としている。
 だが、崇仁親王はこうした“数字”の論に対して“むごたらしく殺せば人数は関係ありません”と、はっきりと批判したのだ。さらに同インタビューでは、自身の南京での従軍経験としてこうも述べている。

   「また、南京の総司令部では、満州にいた日本の舞台の実写映画を
    見ました。それには、広い野原に中国人の捕虜が、
    たぶん杭にくくりつけられており、そこに毒ガスが放射されたり、
    毒ガス弾が発射されたりしていました。ほんとうに目を覆いたくなる
    場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう」

 言うまでもなく、崇仁親王が戦争犯罪を正視し、歴史修正主義をけん制したのは、再びこの国が戦争をすることがないようにという強い思いがあったからだ。1956年の著書『帝王と墓と民衆』(光文社)に付した「わが思い出の記」のなかでも、南京に配属された当時を振り返り、こう記している。

   〈わたしの信念が根底から揺りうごかされたのは、じつにこの一年間であった。
    いわば聖戦というものの実態に驚きはてたのである。罪もない中国の
    人民にたいして犯したいまわしい暴虐の数かずは、いまさらここに
    あげるまでもない。かかる事変当初の一部の将兵の残虐行為は、
    中国人の対日敵愾心をいやがうえにもあおりたて、およそ聖戦とは
    おもいつかない結果を招いてしまった〉

   〈わたしがここで言いたいのは、聖戦という大義名分が事実とはおよそ
    かけはなれたものであったこと、そして内実が正義の戦いでなかったからこそ、
    いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないか
    ということである〉

 昨年、ユネスコ世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことに対して、ユネスコへの分担金を留保するという報復に出た安倍首相にこそ聞かせたい言葉だ。だが、そうした誠実な態度を貫き通した崇仁親王に対し、これまで右派はい宮様などと揶揄し、「左翼」と批判してきた。前述した著書の一部が新聞で紹介されたときには、“これは日本軍を傷つけるものだ”という趣旨の脅迫まがいの手紙が当時品川区にあった三笠宮邸に届いたこともあったという。
 しかし、崇仁親王はイデオロギーから発言したわけではない。崇仁親王がオリエント史などの歴史研究を愛し、大学の教壇にも立ったことはよく知られているが、その根本には、たとえそれがどれほど自分にとって正視し難い事実であったとしても、歴史には真摯に向き合わなければならないという覚悟があった。そしてなにより、崇仁親王自身が皇族という極めて特殊な立場にありながら、“権威”が大衆を惑わすことそして自由な言論が封鎖されることこそ民主主義にとって一番の障壁であると、60年以上前から指摘してきた。
 マスコミはあまり取り上げないが、崇仁親王の思いが、皇室と国民の垣根を越える“民主主義”にあったことは明らかだ。たとえば1952年の「婦人公論」(中央公論社、当時)2月号に掲載された「皇族と自由」と題した聞き書きのなかで、崇仁親王は、昭和天皇の地方巡幸の際に警官が万歳しない人に対して叱りつけたという話を受けて、「これでは少しも人間と人間との感情が流れてきません。こんなとき号令をかけられた人がなぜ抗議しないのでしょう」「同じ人間同しなのですからハダカとハダカでぶつかり合ってほしい」としたうえで、「これが民主主義の基礎であることはいうまでもありません」と語っている。
 あるいは1966年の「女性自身」(光文社)のインタビューでは、皇室の民主化の停滞を嘆きながら、侵略戦争の認識についてこう述べている。

   「太平洋戦争が終わったときには、もうこれで地球上から悲惨な戦争は
    いっさいなくなったのだと思いましたが、現状をみると、まことにあさはかな考え
    だったことがわかります。
      どんな大義名分をつけてもしょせん戦争は殺人です。人を殺すこと
    最大の罪悪です。戦争放棄を明記した新憲法の精神は、いつまでも大切に
    しなければなりません
 

 しかし、2016年の日本はどうか。安倍政権はメディアに圧力を加え、言論弾圧まがいの行為を繰り返し、さらに憲法を変えてこの国を戦争へと導こうとしている。そして、天皇の「生前退位」についても一代限りの特別法でお茶を濁し、抜本的な天皇や皇族の人権問題には決して触れようとしない。さらには、国民の多くはそんな安倍政権を支持し続け歴史修正やその強権政治への国内外の批判に対しては、束になって反日だと襲いかかる。まるで、みずから民主主義を手放そうとしているかのようだ
 非民主的な存在である皇族のほうが国民や政治家よりよっぽど自由や人権、民主主義について考えを巡らし、また、負の歴史を正面から見据えていた。その歪な現実を、わたしたちはよく受け止めなくてはならない。

(宮島みつや)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●望月衣塑子東京新聞記者、議論無く「「欧米列強に倣え、進め」と武器輸出推進の道に歩みを進めている」

2016年09月21日 00時00分59秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の野尻民夫氏の記事【安倍政権の武器・技術輸出がなし崩し拡大! イスラエルと軍事研究画策、無人攻撃機でパレスチナの市民殺害も】(http://lite-ra.com/2016/09/post-2539.html)。

 《まるで日本を守るための予算ではなく、アメリカの軍需産業を守るための予算のような趣なのだ…》。

 オゾマシイ…。東京新聞の望月衣塑子記者によると、ニッポンは何の議論も無く「「欧米列強に倣え、進め」と武器輸出推進の道に歩みを進めている」そうだ。

 アベ様や「沖縄負担軽減担当相最低の官房長官らオトナが「大人買い」だそうだ。ニッポンには不要な戦争するためのオモチャ、「人殺し」を強いるオモチャが欲しくてたまらないご様子。自ら開発し、輸出したくてたまらないそうだ。ゲスすぎる。オゾマし過ぎる。
 最高学府が「軍事研究」の片棒を担ぎ、嬉々として研究費を確保するオゾマシさ。イスラエルと共にニッホン企業が無人殺人機を開発する…《パレスチナ空爆で罪のない一般市民の犠牲を多数出しているイスラエルとの軍事協力…。もし本当に、イスラエルと共同で無人機の研究開発を進めることになれば、この地区で日本の技術が市民の殺戮に使われる》。想像するだにオゾマし過ぎる。

   『●経団連は、「プルトニウムをつくる装置」再稼働を後押し。
              そして、国家戦略としての「武器輸出」を推進!
   『●平和憲法を壊憲し軍隊を持ち「戦争できる国」の時代に:
               「ネジレ」を取り戻し、「厭戦」の世に戻したい
   『●「人殺し」に行くのはアナタ、「自分は
     “お国のために死ぬのはゴメンだ”と」言うヒトを支持する人って?

==================================================================================
http://lite-ra.com/2016/09/post-2539.html

安倍政権の武器・技術輸出がなし崩し拡大! イスラエルと軍事研究画策、無人攻撃機でパレスチナの市民殺害も
大学 自衛隊 野尻民夫 2016.09.03

     (首相官邸ホームページより)

 安倍政権下で戦争のための防衛予算が増え続けている。今年3月に安保関連法が施行され米軍と一緒に戦争をする準備が整ったことを機に、防衛省による来年度の概算要求は史上初めて総額5兆円を突破した本年度予算をさらに上回る51685億円、過去最大の規模に達した。

 なかでも目立っているのが、いったい何のために必要なのかわからないアメリカからの高額武器購入だ。たとえば、最新鋭のステルス戦闘機F35を6機まとめて“大人買い”するため946億円もの費用が計上されている。だが、ステルス戦闘機はレーダーに察知されずに敵地の奥深くに入り込むための武器だ。専守防衛の日本では端から使い道がないと言ってもいい。

 あるいは、1機318億円もするボーイング社製の空中給油機KC46Aというのもある。自衛隊はKC767という優秀な空中給油機をすでに4機も購入していて、専門家の間からも必要性については甚だ疑問との声が上がっている。さらに、米軍が1機50億〜60億円で購入している輸送機オスプレイを防衛省は約100億円、倍の高値で買わされようとしていたり、まるで日本を守るための予算ではなくアメリカの軍需産業を守るための予算のような趣なのだ

 こうした米国製武器の購入とともにキナ臭いのが軍事研究の助成費が大幅にアップされた事実である。「安全保障技術研究推進制度」の予算を今年度の6億円から一気に18110億円にまで膨らませようとしている。軍事への応用が期待できる基礎研究を行う大学や企業への研究費助成を強化するというのである。この意味について防衛省担当記者が解説する。

   「狙いはズバリ、日本の武器産業の国際競争力を高めることです。
    安倍政権は2年前、武器輸出を原則禁止する『武器輸出3原則』を
    撤廃し、世界中に武器を売りまくろうと画策している。そのためには、
    大学や企業の研究協力が欠かせないというわけです」

 安倍政権は2014年4月、戦後の平和国家日本が堅持してきた「武器輸出3原則」を47年ぶりに全面的に見直しした「防衛装備移転3原則」を閣議決定した。「武器」を「防衛装備」と言い換え「輸出」を「移転」と言い張ることで、それまで原則禁止していた武器輸出を、原則オッケーにしてしまったのだ。十分な議論もなく、言葉の言い換えや解釈変更を閣議決定するだけで重大な政策転換をするのは、安倍政権お得意のやり口だ

 あれから2年、実は日本は国民がほとんど知らないところで恐ろしい「武器大国」になろうとしている。その状況をつぶさにリポートしているのが、いま話題の『武器輸出と日本企業』(角川新書)だ。著者の望月衣塑子氏は東京新聞記者である。同書を読むと、事態はこれほど進んでしまっているのかと驚愕する。

 閣議決定後の2015年10月には防衛省の外局として「防衛装備庁」が発足する。武器輸出の旗振り役だ。以後、潜水艦の輸出計画、戦闘機の独自開発、軍学の共同研究……などが矢継ぎ早に活発化する。望月氏が同書で一貫して問題視しているのが、こうした動きが国民の目の届かないところで、たいした議論もなく、なし崩し的に進められているという点だ。人を殺傷する武器の輸出とは一線を引くという、戦後日本の矜持が、こんなに簡単に変貌していいものなのか

 たとえば、武器輸出を解禁するということは、日本が世界の紛争当事国となるリスクが避けられない。欧米の軍需産業のトップは常にアルカイダの暗殺者リストに載っていて、海外に行くときはいつも警護要員をつけるという。社員も、そういう会社であることをわかって入社してくる。だが、日本の三菱重工やNEC、東芝……といった企業のトップや従業員にそんな(戦争に加担しているという)覚悟があるだろうか。ましてやその家族には、という話だ。

 取材中、望月氏は欧米系の軍事企業幹部からこう問われる。

   「そもそも(日本は)どういう国になりたいのですか? (中略)武器輸出
    以前に、日本はその上にある『国家をどうするか』ということが
    整理されていないのではないでしょうか。その議論を経ないまま、
    手法論に入ってしまっている」

 これを受けて望月氏は、〈日本の国家、国民がどうあるべきかということを一番に考えるべき私たち日本人が、なぜかその話題を避け、「欧米列強に倣え、進め」と武器輸出推進の道に歩みを進めている。彼の指摘は、私の胸に何度もこだました〉と書いている。

 安倍政権下で日本が「武器輸出国」としてどこまで足を踏み入れてしまっているか、詳細は同書を読んでもらうとして、象徴的な話を2つだけ紹介しておこう。まず、日本の最高学府である東大がそれまで禁じていた軍事研究を解禁したことだ。これが、どれくらい衝撃的なことか。

 東大は真珠湾攻撃からわずか4カ月後の1942年4月に軍の要請に基づき兵器開発のために工学部の定員を倍増させ、現在の千葉大学の敷地に第二工学部を新設させられた。そこで、軍からの有無をいわせぬ武器研究と開発を強いられた。戦後、東大は学問が戦争に利用されたという深い反省から、次の3原則を表明した。

   (1)軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われる恐れのあるものも
      一切行わない

   (2)外国を含めて軍事関係から研究援助は受けない


   (3)軍関係との共同研究は行わない、大学の施設を軍関係に貸さない、
      軍の施設を借りたりしない、軍の研究指導をしない

 2011年に作成された研究ガイドラインでも「一切の例外なく軍事研究を禁止している」としていたが、先の安倍政権の閣議決定をきっかけに、2014年12月に情報理工学系研究科の「科学研究ガイドライン」が改定され、条件付きだが軍事研究解禁となった。翌2015年1月16日付の産経新聞がスクープしたものだ。戦後、半世紀以上にわたって先人たちが守り続けた「軍事研究禁止」の大原則が、アッサリ転換させられてしまっていたのだ。恐ろしい話である。

 しかし、さらに恐ろしいのが同書の最終章に書かれた「進む無人機の開発」という話だ。

 いま、世界の軍隊では無人機導入が急速に進んでいる。自国の兵士の“安全確保”のためというのがその理由だが、一方で無人攻撃機によって多数の一般市民が犠牲となっているというから、なんともブラックな話である。無人攻撃機は兵士が安全施設にいながら相手を殺せる非常に恐ろしい兵器だ。当然、これまで日本の企業はそんな恐ろしい兵器の開発に手を染めていなかった。しかし、武器輸出に舵を切ったいま、逆に言うと、開発に遅れをとっているということになる。そこで、防衛省はいま、国民の知らない水面下で、あのイスラエルとの共同研究・開発を進めようとしているというのだ

 イスラエル国防軍は世界でも有数の無人攻撃機保有を誇っている。隣接するパレスチナ地区への空爆も、最近はほとんどがこの無人攻撃機によるものだといわれている。そのため、技術力もアメリカに次ぐ高度なものを保有し、海外輸出も積極的に行っている。

 2014年6月にフランスのパリで開かれた国際武器見本市「ユーロサトリ」で、初代防衛装備庁装備政策部長であり、当時防衛省装備政策課長だった堀地徹氏がイスラエル企業のブースに立ち寄り、「イスラエルが開発する無人攻撃機『ヘロン』に関心があると伝え、密談に及んだという。同じ月、安倍晋三首相がイスラエルのネタニヤフ首相と新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明を発表、防衛協力の重要性を確認し、閣僚級を含む両国の防衛当局間の交流拡大で一致した。

 そして2016年8月31日には、防衛省が将来無人装備に関する研究開発ビジョン〜航空無人機を中心に〜を発表し、日本が無人機開発に積極的に乗り出すことを表明した。このなかでは、たとえば〈諸外国の研究開発動向から、将来、航空機同士の戦闘において、作戦行動を支援する、あるいは直接戦闘行為を行う無人機の出現が予測されるが、そういった将来の質的環境変化に対応するためにも、技術的優越を確保していく必要がある〉と記すように、将来的な無人兵器による「直接戦闘行為」=戦争における殺害行為が前提とされている。

 イスラエルが欲しいのは日本の先端技術だ。パレスチナ空爆で罪のない一般市民の犠牲を多数出しているイスラエルとの軍事協力については自民党内でも異論があるというが、安倍政権はおかまいなしに前のめりだ。もし本当に、イスラエルと共同で無人機の研究開発を進めることになれば、この地区で日本の技術が市民の殺戮に使われることになるのである。

 日本人にその覚悟はあるのだろうか先人たちが築き上げた「戦争には加担しない」という矜持を一政権がアッサリ捨て去っていいものなのか。望月氏は、最後にこの本をこう締めくくる。

   〈2005年以降から膨張する世界の軍事費や武器輸出の状況を見れば、
    軍備の拡大が、世界の平和や安定とは懸け離れ、世界各地で勃発する
    紛争の火種になっていることは一目瞭然だ。それでも日本は欧米列強に
    続けと、武器輸出へ踏み込んだ。

     戦後70年、日本は憲法九条を国是とし、武力放棄、交戦権の否認を
    掲げた。それら捨て、これからを担う子どもにとって戦争や武器を身近で
    ありふれたものにしようとしている。この状況を黙って見過ごすわけには
    いかない〉

(野尻民夫)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「あとの祭り」: 「巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した」アベ様

2016年08月06日 00時00分49秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の新田樹氏の記事【大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html)。

   『●大橋巨泉さんの「最後の遺言」…
      日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない…は届かず

 《アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名》。

 2016年7月参院選の直後に亡くなっていた大橋巨泉さんの「最後の遺言」は、選挙前には語られず。選挙後、訃報時のテレビでもほとんど語られることは無かった。野党は善戦したが、選挙戦の結果は空しいもので、《巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得し》てしまった。三度目のアベノサギ。「戦争できる国」へと着実に進んでおり、子や孫を「人殺し」に行かされても、与党・「癒(着)」党に投票した人や選挙に行きもしない「眠り猫」な人たちは、後悔することも、「あとの祭り」と感じることさえないのでしょう。ニッポン、救い無しの状況です。

==================================================================================
http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html

大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け
安倍晋三 新田樹 2016.07.21

     (大橋巨泉オフィシャルウェブサイトより)

 以前より体調の悪化を心配されていたタレント・司会者の大橋巨泉氏が、今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたことが明らかになった。82歳だった。

 本サイトでも以前、紹介したように、巨泉氏は「週刊現代」(講談社)7月9日号掲載の連載コラム「今週の遺言」最終回で、すでに病が身体を蝕んでいることを綴っていた。だが、それでも巨泉氏は〈このままでは死んでも死にきれない〉と綴り、直後に迫った参院選について、読者にメッセージを送っていた。

〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事情けない事恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉

 まさに、このメッセージが巨泉氏にとってほんとうに最後の遺言となってしまったわけだが、しかし、ワイドショーやニュース番組はこの巨泉氏の遺言をことごとく無視。ベテラン司会者としての仕事を紹介するに留め、『報道ステーション』(テレビ朝日)でさえ最後のコラムの〈今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずなことが連日報道されている〉という部分までしか紹介しなかった。安倍首相について言及した部分まで報じたのは、『NEWS23』(TBS)だけだ。

 たしかに、『11PM』(日本テレビ)や『クイズダービー』(TBS)、『世界まるごとHOWマッチ』(MBS)といった人気番組の司会を数々こなし、一方でお茶の間ロックやアングラ演劇などのサブカルチャーをテレビにもち込んだり、クイズバラエティを定着させたりといった巨泉氏の功績が大きいのは言うまでもないが、最後の遺言にも顕著なように、巨泉氏は自民党の強権性にNOの姿勢を貫きつづけた人であったテレビはそこから目を逸らしたのだ。

 巨泉氏といえば、民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名だが、すでにセミリタイア状態だった巨泉氏が政界へ進出しようとしたのは、そもそも当時人気絶頂だった小泉純一郎首相の進めようとする国づくりに対する危機感があった。

 周知の通り、小泉首相は新自由主義的な政策を押し進め、この国は弱い者にとって非常に生きづらい国になってしまった。巨泉氏は「週刊現代」の連載コラムで小泉政権がつくったこの国の在り方をこう批判している。

   〈冷戦終了以降、アメリカ型の新自由主義経済がわがもの顔の現在、
    それに歯止めをかける思想や組織の存在は必須なのである。
    でないと「負け組」や「新貧困層」が拡大し、その中からテロリズムが
    増殖するのである。(中略)小泉やハワードが目指しているのは、
    「強者の論理でくくる社会。自由主義経済なればこそ、
    弱者のための政党や組合は必要なのだ。何万人とリストラする大企業に
    対し個人でどう戦うのかね!?〉(「週刊現代」05年12月10日号より)

 周知の通り、その後、巨泉氏は議員を辞職し、再びセミリタイア状態に戻る。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを転々とする悠々自適な生活を送るのだが、第二次安倍政権の時代に入ると再び社会的なメッセージを発信するようになっていく。それは、安倍首相は経済を最優先にすると口当たりのいいことを言っているがその本音は憲法を変えて国民から権利を奪い、日本を再び戦争ができる国へと戻そうとしていることを見抜いていたからだ

   〈彼にとって「経済」はムードを煽る道具に過ぎず、本当の狙いは
    別のところにあるからだ。(中略)

     安倍は先日、「国づくり」に関する有識者会議で、「ふるさと」や
    「愛国心」について熱弁をふるった。曰く、「日本人は生れ育った地を愛し、
    公共の精神や道徳心を養って来た。ふるさとをどう守ってゆくかを
    考えて欲しい」。見事なウソツキと言う他ない。(中略)
    「公共の精神や道徳心」を強調することで、現憲法が保障してくれている、
    「個人の権利(人権)に制限を加えたくて仕方がないのだ。
    それでなくても「知らしむべからず」なのに、もっと制限を加えて、
    政権の思う通りにあやつれる国民にしたいのである。そのためには
    現在の憲法が邪魔なので、これを改正するために、まず人気を取り、
    その勢いで改正してしまおうという訳だ。(中略)
     そもそも憲法とは、国民が守るの変えるのという法律ではない
    国家権力(時の政府)の公使を制限するためにあるものだ。軍部が
    暴走して、数百万人の国民の命を奪った戦前戦中のレジームへのタガ
    として現憲法は存在する。それを変えて戦前への回帰を計る現レジームは、
    禁じ手さえ使おうとしている。止めようよ、みんな〉
    (「週刊現代」13年5月4日号より)

 巨泉氏はさらにこのようにも語っている。

   〈ボクの危惧は、4月にウォール・ストリート・ジャーナルに、
    麻生太郎副総理が述べた言葉によって、裏うちされている。
    麻生は「参院選で安倍政権が信任された時、首相の関心は
    おそらく経済から教育改革と憲法改正に向うだろう」と言っていた。
    要するにボクの持論通りなのだ。“経済”とか“景気”とかいうものは
    あくまで人気(支持率)を高めるための道具であり、本当の目的は
    教育と憲法を変えて、「強い日本」をつくる事なのである。この鎧を
    衣の下に隠した、安倍晋三は恐ろしい男なのだ〉
    (「週刊現代」13年6月22日号)

 しかし、巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した安倍政権は横暴な国会運営を開始。周知の通り、昨年はまともな議論に応じず、国民の理解を得られぬまま安保法制を強行採決させてしまった。

 そんな状況下、巨泉氏は「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年9月18日号で、自身の戦争体験を語っている。1934年生まれの彼が実際にその目で見た戦争は、人々が人間の命をなにものにも思わなくなる恐ろしいものだった。それは安倍政権や、彼らを支持する者たちが目を向けていない戦争の真の姿である。

   〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は
    無視され、戦争に勝つことが優先される。
    昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる
    と言われてきた。
     特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、
    戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰る
    と英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。
    いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる
     それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている
     (中略)
     ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や軍部は、
    ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた
    11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。
    校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに
    切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、
    たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。
    「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
     どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。
    竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころかバカであろう。
    それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人が
    いたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉

 しかし、立憲主義を揺るがすような国会運営をし、メディアに圧力をかけて「報道の自由度ランキング」が72位にまで下がるほどの暗澹たる状態に成り果てたのにも関わらず、先の参院選では改憲勢力が3分の2を超えれば遂に憲法改正に手がかかるという状況になった。

 そんななか、巨泉氏の体調は悪化。3月半ばごろから体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り2週間ほど意識が戻らなくなったことで、5月からは集中治療室に入っていた。そして、前述した「週刊現代」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたのだが、家族の助けを受けて何とか書き上げたのが、7月9月号掲載の最終回。ここで巨泉氏は本稿冒頭で挙げた〈安倍晋三に一泡吹かせて下さい〉という「最後のお願い」を読者に投げかけたのだ。

 だが、残念なことに改憲勢力が3分の2を越え、現在政権は選挙中に争点隠しをつづけていたのが嘘のように、したたかに憲法改正への動きを進めようとしている。最後の最後まで、平和を希求するメッセージを投げかけつづけた巨泉氏の思いを無駄にしないためにも、我々は政権の悪辣なやり方に断固としてNOを突きつけつづけなくてはならない。

   〈「戦争とは、爺さんが始めておっさんが命令し、若者たちが
    死んでゆくもの」。これは大林素子さんの力作
    「MOTHER 特攻の母 鳥濱トメ物語」の中で、特攻隊長が、
    出撃してゆく隊員に、「戦争とは何か」を告げるセリフであった。
     現在にたとえれば、「爺さん」は、尖閣諸島の国有化のタネをまいた
    石原慎太郎維新の会共同代表だろう。「おっさん」は当然、“国防軍”を
    平気で口にする安倍晋三首相である。彼らはおそらく死なない筈だ。
    扇動したり、命令したりするだけで、自分達は安全なところに居る
    前の戦争の時もそうだった。そして実際に死んでゆくのは、
    罪もない若者なのだ。それを知っていたからこそ、9条改正に6割以上の
    若者が反対しているのである。おそらく前の戦争のことは、
    学校で教わったに違いない。安倍政権は、この“教育”さえも改悪しよう
    としている。怖ろしい企みである〉
    (「週刊現代」13年5月11日・18日合併号より)

新田樹
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●争点は「壊憲」: 大橋巨泉さん「最後の遺言」…日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない

2016年07月04日 00時00分35秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の新田樹氏による記事【大橋巨泉が臨死の床で綴った“最後の遺言”「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」しかしテレビは巨泉の思いを一切報じず…】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2380.html)。

 《〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事情けない事恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい最後のお願いです〉》。

   『●争点は「壊憲」: 公明党と共に《(戦争への)「この道を。
               力強く、前へ。」(選挙後に壊憲)―自民党》

 大橋巨泉さんの「最後の遺言」。その真意はマスコミではほとんど報道されなかったそうです。「日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない」ということ。
 与党・「癒(着)」党が「2/3」をとる情勢だと言われています。アベ「ドアホノミクス」=「アベドアホノ丸」の虚飾を喧伝し、選挙が終われば、公約にもしない「壊憲」を始める、すなわち、三度目のアベノサギを直ぐに始めます。選挙に行かなければ、そのリスクが異常に高まります。《7月の参院選挙、野党に投票して下さい最後のお願いです》。

   『●「平和と憲法を守る決意をもった著名人」菅原文太さん:
             「政治の役割は・・・絶対に戦争をしないこと」
    「日刊スポーツの記事『大橋巨泉、愛川さん訃報「日本にとって大マイナス」』
     (http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1463027.html)によると、
     「菅原文太さんに続いて、平和と憲法を守る決意をもった著名人が
     他界した事は、日本にとって大マイナスである。ボクも簡単には
     死ねないなと考えている」。
      「絶対に戦争をしないこと!」、この一点を死守したい。「アベ様のNHK」を
     はじめとしたマスコミの堕落、そして、「”テレ朝は今日、死んだに等しい
     と思います”」状態。何度も引用するが、俳優や芸人の矜持の無さ。

      『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
        「権力に立ち向かうような俳優や芸人が日本には少ない。
         成田三樹夫は、「最近の役者・・・いやらしいのが多すぎる
         ・・・総理大臣主催のナントカ会・・・ニコニコして出かけて行って
         握手なんかして喜んでるだろ。・・・情けなくなっちまうね
         権力にへたへたする役者じゃ意味がない
         ・・・バカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ」」

      これまた、いつも引用している・・・・・・城山三郎さん「戦争待望論を
     唱える若い文士がいると聞いて、鳥肌の立つ思いがする。
     平和の有難さは失ってみないとわからない
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/46cffbbda63235587e36a8f40865b28b)、
     「日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった。
     唯一、得られたのは、憲法九条だけだ
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/07980877a3742cbd8a23034f725a7386)。」

 記事に出てくる《桜を見る会》について、asahi.comに当時、【「桜咲くように賃上げ実現」 安倍首相、桜見る会で語る】(http://www.asahi.com/articles/ASH4L358RH4LUTFK001.html?iref=comtop_list_pol_n02)という記事に、《芸能人やスポーツ選手ら約1万5千人の招待客を前に…》とありました。成田三樹夫さん風に言えば、《いやらしいのが多すぎる…情けなくなっちまうね権力にへたへたするバカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ》。

==================================================================================
http://lite-ra.com/2016/07/post-2380.html

大橋巨泉が臨死の床で綴った“最後の遺言”「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
しかしテレビは巨泉の思いを一切報じず
安倍晋三 新田樹 2016.07.01

     (大橋巨泉オフィシャルウェブサイトより)

 大物司会者の大橋巨泉氏が、一時意識不明状態に陥り、5月下旬より集中治療室に入っているとの報道があった。巨泉氏自身が、20年近く続けてきた「週刊現代」(講談社)の連載コラム「今週の遺言」で、明らかにしたものだ。

 巨泉氏は2005年に早期の胃がんが見つかったのを皮切りに、13年には中咽頭がんが見つかり摘出手術。また、14年にはリンパ節、15年には右肺、16年には左鼻腔内にもがんが見つかるなど、長らく闘病生活を続けてきた。連載によると、3月半ば頃から体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り、2週間ほど意識が戻らず、5月からは集中治療室に入っていたというのである。

 そのためこの「週現」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたが、今週発売の7月9月号をもって最終回とするという。その最終回の原稿でも、

   〈体力が戻ってこず衰えた〉
   〈何時まで生きられるかわからない〉
   〈老いた体をベッドに横たえ、たまに車椅子で外に出れば
    直ぐに高熱を出す始末である〉
   〈ボクにはこれ以上の体力も気力もありません〉

と、死をも意識する重篤な病状にあることを繰り返し綴っている。巨泉氏の豪放磊落なイメージからは想像できないほど、深刻な状態にあるようだ。この最終回の原稿も、妻と弟のサポートを受けて何とか完成までもっていけたものだという。その最終回の原稿の最後は、こんな文章で締められている。

   〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。
    だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が
    連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほど
    あるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも
    死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。
    安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に
    一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい
    最後のお願いです

 「何時まで生きられるかわからない」「ボクにはこれ以上の体力も気力もありません」と死を意識する壮絶な状況のなか、巨泉氏がまさに最後の力を振り絞って綴った、「最後の遺言」。それは、「改憲」を争点からひた隠しにして参院選を行い、着実に日本を戦争へと向かわせている安倍政権への痛烈な批判だった。

 巨泉氏の状況を思えばその言葉の重みもより増すが、もちろん巨泉氏は突然こんなことを言い出したわけではない。民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との表明に民主党でたった1人反対するなど、巨泉氏は徹底して反戦を掲げ続けてきた。安倍政権に対しても、第二次政権が発足した当初より、安倍首相の危険性を訴え続けている。

   「僕は、ポピュリズムの権化のような安倍首相をまったく信用しない。
    (略)本当にやりたいのは憲法改正であり、日本を
    『戦争ができる国』に変えることでしょう。実際、ニコニコして、
    口当たりの良いフレーズを並べておきながら、国民の過半数が
    反対した特定秘密保護法を強引に通してしまった。
    法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」
    (「日刊ゲンダイ」/2014年5月12日)

 また、昨年4月19日には『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)にゲスト出演し、安倍首相主催の「桜を見る会」に言及。自身も招待を受けていたがそれを断ったと告白して、さらに、巨泉氏とは逆に出席する道を選んだ太田光こう批判している。

   「お前利用されてるんだよ。今日のスポーツ紙に出てたよ。
    『ああ、安倍さんって心の広い人だなあ』って(大衆に)思われちゃうんだよ」

 さらに同番組では、テレビ朝日とNHKが自民党に呼び出された一件についても「とにかく、自民党に呼ばれて行ったテレ朝とNHKはいかん。なんで一政党に呼ばれて、言論の自由を守らなければいけない放送局が出て行く? これが陰ながらの圧力なんだ」「俺は戦いたい。(略)言論の自由っていうのはね、命をかけて守るべきものなんだよ」と発言。政権に忖度して自粛を繰り返すメディアの姿勢を痛烈に批判した。

 また、同じく15年の「週刊朝日」(朝日新聞出版)9月18日号では、1934年生まれで実際に先の戦争を見てきた自身の経験を踏まえ、戦争がいかに人の命を軽んじるものであるかを痛切に訴えている

   〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は
    無視され、戦争に勝つことが優先される。
    昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる
    と言われてきた。
     特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、
    戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰る
    と英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。
    いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる。
     それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている。
    (中略)
     ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や
    軍部は、ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた
    11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。
    校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに
    切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、
    たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。
    「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
     どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。
    竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころか「バカ」であろう
    それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人が
    いたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉

 このように巨泉氏は、いかなる戦争も個人の尊厳を破壊するものとして一貫して反対する姿勢を貫き、「戦争のできる国作りを画策する安倍政権に対し批判を続けてきた。その姿勢は、病に倒れた後も決して変わることはなかったのだ。

 大橋巨泉が集中治療室に入り、長らく続けられていた「週刊現代」の連載が終了したことは各テレビ局でも大きく報道された。しかし、巨泉氏が最も伝えたかった安倍晋三の野望はおそろしい〉〈選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さいというメッセージを放送した番組はひとつたりともなかった巨泉氏が危惧していたメディアの萎縮は残念なことにここでも起きてしまったのだ。

   〈書きたい事や言いたい事は山ほどある〉
   〈このままでは死んでも死にきれない〉

 と自身でも綴っているように、現在の閉塞した言論状況にあって巨泉氏は貴重なリベラル論客であり、まだまだ語ってほしいことがたくさんある。巨泉氏の「最後の遺言」を胸にきざむと同時に、なんとか回復しまた舌鋒鋭い批判を繰り出してくれる日が訪れることを祈りたい。

(新田樹)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「積極的平和主義」なアベ様には少女の声は聞こえない ~子どもの「未来」の破壊、「悪夢」への投資~

2016年02月25日 00時00分56秒 | Weblog


東京新聞の望月衣塑子記者による記事【空爆より教育を下さい パキスタンの12歳少女、世界に訴え】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022302000239.html)。

 《パキスタンの十二歳の少女、ナビラ・レフマンさんが、米国の無人攻撃機による誤爆被害を世界に告発している…「戦争に巨額資金を投じるのではなく、教育支援をしてほしい」…イスラム過激派の支配地域で空爆を繰り返している米軍などへの批判は極めて少ない。無人機攻撃で、多くの市民が犠牲になっている現状も直視すべき》。


   『●子供たちと赤紙: 「学校保護宣言」に調印しない戦争好き、
                       侵略戦争マニアな国々はどこ??

 愕然とした。《米議会の公聴会で被害を訴えたが、五百三十五人の連邦議員のうち、出席はわずか五人だった》。
 「積極的平和主義」なアベ様には少女の声は聞こえない。子どもの未来への投資ではなく、子どもの夢を無残に打ち砕く悪夢への投資ばかり。

   『●いろんな意味で疲れます・・・住民基本台帳活用と
          アイドルによる「番宣」で「果てしない夢」へGO!

   『●東京新聞・半田滋さん「「銃後の国民」も
     無関係ではいられない。たいへんな思いをするのは・・・」

   『●血税と赤紙と・・・「主権者である天皇に徴兵制に基づき血を納めた」。
                    そして、いま、アベ国王へ血税が

   『●「歳出抑制が狙い」ならば、教育破壊ではなく、
      「害遊」のカネバラマキ「害交」こそ何とかしなさいよ
   『●そもそも、子どもたちのためにこそ
       「ドブガネしている」税金を使ったらどうなのか?
   『●アベ王国の「一億総弓矢化社会」、 
      その矢で一体何人の子どもたちを刺し貫くつもりか?
   『●未来に投資しない国: 「そういうせりふは、
      ハコモノではなく、子どもたちのために言ってほしいものだ」
    《子どもの六人に一人が貧困に苦しむとされるこの国の現状
    《そもそも、子どもたちのためにこそ税金を使ったらどうなのか》
    「《子供の未来応援基金》で募金・寄付を募り、《高校生を
     援助する奨学給付金という制度》は「財政難」で増額が
     厳しいそうだ……、かたやドブガネ。その「財政難」の額は
     110億円。「悪夢」から目覚める、あるいは、戦闘機の
     一機でも止めれば、直ぐに賄えそうですけど? 
     つくづく、ドブガネばかりする自公政権です」

   『●沖縄県「子どもを育てている県内世帯の3分の1以上が貧困」
                   …アベ様らは「思いやる」先を間違ている

=====================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022302000239.html

空爆より教育を下さい パキスタンの12歳少女、世界に訴え
2016年2月23日 夕刊

     (昨年11月、兵器廃絶を訴えるナビラさんは
      広島平和記念資料館を訪れ、原爆被害の実態に
      衝撃を受けていた=宮田律さん提供)

 パキスタンの十二歳の少女、ナビラ・レフマンさんが、米国の無人攻撃機による誤爆被害を世界に告発している。三年前に誤爆で祖母を亡くし、紛争の拡大で学校へも通えなくなった。「戦争に巨額資金を投じるのではなく、教育支援をしてほしい」と訴えるナビラさん。昨年、ナビラさんを日本に招いた現代イスラム研究センター(東京都調布市)の宮田律理事長は「同じように紛争で教育を受けられない子どもは多い」と支援の方策を探っている。 (望月衣塑子

 ナビラさん一家は二〇一二年十月二十四日、パキスタン北西部の北ワジリスタン管区にある自宅近くで、米軍の無人攻撃機による空爆を受けた。野菜摘みをしていた祖母は爆弾が直撃し即死。爆風でナビラさんや兄弟ら九人もけがをした。

 無人攻撃機の空爆はイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の指導者らの暗殺を目的に、〇四年からアフガニスタンで始まり、パキスタンに拡大した。

 国連人権理事会の調査チームが一三年にまとめた無人攻撃機の被害報告によると、過激派の暗殺作戦の巻き添えになり死亡した民間人は、パキスタン、アフガニスタン、イエメンの三カ国で、少なくとも四百七十九人にのぼる。ナビラさんは一三年に無人攻撃機の被害を告発するため、弁護士や教員の父と一緒に訪米した。米議会の公聴会で被害を訴えたが、五百三十五人の連邦議員のうち、出席はわずか五人だった。

 ナビラさん一家は一四年夏、パキスタン政府軍とTTPの紛争が激化したため故郷を追われ避難民となった。先月十五日、政府によって強制的に故郷に戻されたが、紛争は続いており、ナビラさんは「安全な場所で暮らしたい」と不安な様子だという。

 ナビラさんは、パキスタン国内で誤爆被害などを調査する研究機関のアシュラフ・アリ博士を通じて、「米国の無人機攻撃でテロ指導者の何人かを殺せたかもしれないが、地域でのテロ行為はむしろ増えた無人攻撃機に費やすのと同じお金を教育に使えば、この地域は楽園にもなれるはずだ」というメッセージを本紙に寄せた。さらに「学校に通い、きちんと教育を受けたい。弁護士になって、自分と同じように困っている人々の声を世界に届けたい」と訴えている。

 宮田理事長は「テロ事件で『イスラム国』の脅威はクローズアップされるが、イスラム過激派の支配地域で空爆を繰り返している米軍などへの批判は極めて少ない無人機攻撃で、多くの市民が犠牲になっている現状も直視すべきだ」と指摘。「子どもたちのために、一日も早く教育施設を建て、教育の機会を提供してあげる必要がある」と話している。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●アベ様の「責任感が強い」?、……一体それはどの「つもり違い」だろうか? 全て当てはまる稀有な王様?

2016年01月15日 00時00分48秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016011302000115.html)と、
コラム【【私説・論説室から】 末吉】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016011302000130.html)。

 《▼安倍首相は夏の参院選で改憲を争点にする構えだ。改憲に向けて「改憲に前向きな、未来への責任感の強い人たち」との連携を目指すと語っている。…と、わざと焦点をぼかしたような弁になる▼「未来への責任感が強い」と自負するのであれば、まず未来を担う世代に分かりやすい議論をすることが、責任の第一歩だろう》

 数日前のブログにて、アベ様らが「責任感が強い」とは!?、嗤ってしまうと書きました。

   『●アベ様ら自公議員やおおさか維新議員
       =「責任感の強い人」!? 嗤うしかない論理だ
    「アベ様ら自公議員やおおさか維新議員=「責任感の強い人!?
    
 嗤うしかない論理だ。原発問題に誰かが、何かの責任を
     とっただろうか? 「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。
     とまで言っていたTPPについてはどうか?」

   『●「自席(自責じゃない)発言」を繰り返して
       「息吐く様に嘘つく」ような人がいちいち「反省」する訳がない

 加えて、アベ様が「反省」「自戒」(〝自壊〟? 「類」「朱」な人ばかりがが集まる〝磁界〟?)した例を、ここ数年、思いつきません。「息吐く様に噓をつく」例は直ぐに思いつきますけれども。
 「戦争に行け」「人殺しに行け」ということに何の戸惑いも躊躇もないアベ様。

 《身を慎むといえば「つもり違い十カ条」…/「高いつもりで低いのが教養」/「低いつもりで高いのが気位」で始まり、/「深いつもりで浅いのが知恵」/「浅いつもりで深いのが欲望」と続く。/このあと「人情」「面の皮」、「根性」「自我」と対で続き、最後は「分別」「無駄」》。

 アベ様の「責任感が強い」!?、というのは、どの「つもり違い」だろうか? 「教養」・「気位」? 「知恵」・「欲望」? 「人情」・「面の皮」? 「根性」・「自我」? 「分別」・「無駄」? 全て当てはまるという稀有な王様?? 「教養は無いのに、気位は高く」、「知恵は浅いのに、欲望は深く」、「人情は薄いのに、面の皮は厚く」、「根性は無いのに、自我ばかりしかなく」、「分別は無いのに、無駄ばかりをやる」アベ様。

=====================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016011302000115.html

【コラム】
筆洗
2016年1月13日

 三歳の子が、お母さんにこう尋ねたとする。「隣の○○ちゃんを殺しに行っていい?」。母親は何と答えるか。「いいよ」と言い切れる人は、いるのだろうか▼昨年夏に逝った思想家の鶴見俊輔さんは、そんな母子の対話を、憲法九条を考える時の「根」にしていたという。いや、国際政治や安全保障は、そんな単純な論理で割り切れるものではないという人もいるだろう▼戦中、鶴見さんは「殺せ」と命じられたら、自ら命を絶とうと思い詰めていた。だから「人を殺さないですむような社会に生きられれば」というのが、戦後の出発点だった▼そんな「思想の根」ともいえる体験を持つからだろう。九条をめぐる改憲論議を、「母子の論理」で考えようと語った。三歳の子にも分かるように、はっきり説明できるか。それを見定めることが大切だと▼安倍首相は夏の参院選で改憲を争点にする構えだ。改憲に向けて「改憲に前向きな、未来への責任感の強い人たち」との連携を目指すと語っている。では、どういう改憲を目指すのかとなると、曖昧になる。「どの条項をどのように改正するかは、国会や国民的な議論と理解の深まりの中でおのずと決まる」と、わざと焦点をぼかしたような弁になる▼「未来への責任感が強い」と自負するのであれば、まず未来を担う世代に分かりやすい議論をすることが、責任の第一歩だろう。
=====================================================

=====================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016011302000130.html

【私説・論説室から】
末吉
2016年1月13日

 大晦日(みそか)に宝くじが当たった。年末ジャンボ「5等・下2ケタ68番」で三千円。6等も合わせて三千三百円也(なり)。

 当たったことのない宝くじだけに、この勢いでと正月二日、初詣した日本橋の福徳神社でおみくじを引いた。残念ながらこちらは吉の中ではビリの末吉。

 古いお守りのお焚(た)き上げに寄った佃島の住吉神社で再挑戦してみた。が、やはり末吉。今年は万事、まずは慎重にということか。

 身を慎むといえば「つもり違い十カ条」をご存じの方は多いだろうか。

 ずいぶんと前、昼飯に寄った会社近くの食堂で、藍染め暖簾(のれん)に白抜きされた人生訓を知った。その後も店に寄るたび、定食が出てくるのを待つ間「うまいなあ、誰が考えたんだろう」と感心しながら読んでしまう。まず、

 「高いつもりで低いのが教養
 「低いつもりで高いのが気位」で始まり、
 「深いつもりで浅いのが知恵
 「浅いつもりで深いのが欲望」と続く。

 このあと「人情」「面の皮」、「根性」「自我」と対で続き、最後は「分別」「無駄」。さて、残り六カ条がどんなつもり違いか分かりますか。

 北朝鮮の核実験ショックで始まった二〇一六年。つもり違いを自戒しながら、暮らしも平和も少しずつよくなりますように。「末吉」のように。(安田英昭
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする