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●『本田靖春/「戦後」を追い続けたジャーナリスト』読了

2010年10月24日 07時31分40秒 | Weblog

本田靖春/「戦後」を追い続けたジャーナリスト』、10月に読了。KAWADE夢ムック、文藝別冊、河出書房新社。2010年7月初版。

 黄色い血」キャンペーン(p.8、32、)。「ミドリ十字731部隊の残党によって作られた会社」。「・・・山谷の労務者を相手に不法採血を重ねる民間血液銀行」(p.61)。本田さん自身が「そこでB型肝炎をもらってしまう」(p.110)。

 随所に黒田清さん(p.14)。
 筑紫哲也さん(p.44)。「黒田さんは2000年、本田さんは2004年に、そして筑紫哲也さんは2008年に、まるで五輪開催の年に合わせたように他界されてしまった」(p.70)。
 鎌田慧さん(p.82、54)。本多勝一さん(p.150)。

 今西錦司、西堀栄三郎(p.99)。

 斎藤貴男さんの、少し悲壮感漂うエッセイ「囚われだらけの時代に」(pp.26-29)。『カルト資本主義』。『誘拐』や『不当逮捕』、『』。立松和博。斎藤さんや本田さんがなぜ文春にという疑問?が・・・、「文春の論調も体質も、しかし明確な保守であり、どうしても相容れない一線があるのを、本田さんは知っていた。鈴木明氏の「『南京大虐殺』のまぼろし」が一九七三年の大宅壮一ノンフィクション賞さえ受賞するに及んで、彼は文春を離れていく」、「違和感を覚える場面はあっても、駆け出し時代からの仲間意識で結ばれた分だけ自分は特別なんだと思い込んでいたし、ある時期まではそのように扱われてもいた。/本田さんのように自ら離れたのではない。・・・『カルト資本主義』や・・・『機会不平等』(いずれも文芸春秋)まではよかったのだが、そこまで。/石原慎太郎・東京都知事の非道を書いた『空疎な小皇帝』や・・・『ルポ 改憲潮流』・・・文春にはっきりと距離を置かれ始めた。靖国問題や中国脅威論で勢いづいていた時期の『諸君!』には、ネット右翼もかくやの罵言雑言を浴びせかけられた。組織も時代も恐ろしいものだと、つくづく思い知った」。「二〇一〇年五月下旬現在、日本のジャーナリズムはほとんど荒野と化した。辛うじて生き長らえている雑誌も新聞も、反骨精神とは対極の世界を志向している」。
 「本田 ・・・『文藝春秋』には書く気がなくなったんです。『諸君!』にはそのもッと前から書いていませんが、一時期、私は文春系列の右よりライターと目されて、松浦総三さんがお書きになった本の中に、私の名が出てましたね。/和多田 晩聲社の『文藝春秋の研究』かな」(p.148)。

 (昨夜、読売巨人軍を見事に撃破した現ドラゴンズ監督)落合博満氏のインタビューで氏を絶句させる(p.41)。

 本書の随所に「作品の中でも、社会の底辺にいる人々に対する目線が常にあたたかい・・・」(p.45)。

 最も印象に残る部分。「〈回想〉夫・本田靖春のこと」、本田早智さん(pp。42-53)。『我、拗ね者として生涯を閉ず』の裏側。「頭が残された、ありがたい」、「俺飲めないから代わりに呑んで」。

 本田靖春単行本未収録作品「政治的「政治記者」の体質」(pp.65-77)。西山事件。「この場合の「新聞記者」とは、・・・反権力の姿勢を堅持して、国民の「知る権利」にこたえるべく、日常の取材活動を続けている人びと、・・・」。「Aは、物故した自民党の某党人派実力者のブレーンを自任していた」って、ナベツネ氏(p.117)? 「・・・記者が集まると、Aは「これから××先生の会見を始めます」といって、中央にどっかり座る。だが、実力者××先生は・・・会見の場に現れない。記者連中の質問にこたえるのは、なんとAなのである」。
 「Aは某有力者から三千万円を預かって、ある派閥の首領のことろへ手渡しに行った。・・・/・・・買収された首領に渡ったのは、一千万円だったという」(p.74)。
 「私が勤めていた新聞社では、明らかに誤った紙面製作を編集局に押しつける上層部に対して、知るかぎり、これを改めさせようと意見具申したものは、ただの一人もいない」(p.68)。
 「国有地の払い下げ」、「政府に直接、首根っこを押さえられてしまっている」、「紙面に直ちに反映する」(pp.72-73)。
 西山事件。「・・・何より、例の秘密文書を紙面に載せなかったことは、ノー・エクスキューズである」(p.75)。
 「わけ知りふうにいうと、社会に各種のウソはつきものである。しかし、現実の泥沼にまでつかっても、が水面に出ているかぎり、たまにはホントもいえる。だが、までつかると、物をいえない。までつかると、何もきこえなくなる。までつかると、すべて真っ暗闇である」(p.77)。
 「本田 ・・・超タカ派の渡邊恒雄氏が編集の実権を握ってから、紙面に彼の主観が強く押し出されているでしょう。彼の独裁を許すのかどうか。記者個々人には彼と立場を異にする主観はないのか。社内民主主義が問われている・・・」(p.152)。

 『誘拐』(p.90)。「魂を揺さぶられる本」、「本から受け取った無形のもの」、「己が惚れた作品を一人でも多くの読者へ届けようとした・・・」。

 魚住昭×元木昌彦「対談 ジャーナリズム遺産としての本田靖春」(pp.102-113)。「魚住 ・・・『不当逮捕』・・・。読書する幸せを強烈に感じたんです。・・・」。『渡邉恒雄 メディアと権力』、「元木 ・・・「・・・これはしないって決めたことがいくつかあって、読売巨人軍のことは書かないというのもそのひとつなんです。・・・」・・・」。「魚住 ・・・亡くなる二ヶ月前くらいでした。僕が『野中広務 差別と権力』で講談社ノンフィクション賞をもらったときで、「自分がもらったときより嬉しい」と喜んでくださった。・・・。「魚住君ね、君は僕の書いたものを読んでこうなりたいと思ってノンフィクションの仕事を始めたんだろう。ならば、君がまたいい仕事をすれば、君のようになりたいと思ってフリーになる新聞記者が陸続と出てくる、だから頑張れよ」と」。「元木 本田さんは「声にならない民衆の胸の内を掬いあげて、権力に叩き付けるキャンペーンこそ新聞の原点」という言い方をしています」。
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