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●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》

2023年12月28日 00時00分37秒 | Weblog

[↑ ※袴田事件捜査機関による証拠捏造》…《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


(20231108[])
〝叫べなくなる〟のを待つ冷酷な司法…原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。
 大崎事件、(第4次再審請求の即時抗告審)再審開始認めず。福岡高裁宮崎支部・矢数昌雄裁判長殿、一体どうなってんのかね、裁判所は? ――― 原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。《「無辜(むこ)の人の救済を目的とする再審の理念》はどこに? (西日本新聞)《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》。
 原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。(2022年07月)《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。一体どこまでボンクラ裁判官なのか?

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?
   『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
     らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?
   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
     らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」
   『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判
      所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》

 東京新聞のコラム【<視点>大崎事件の新鑑定 殺人でなく事故死では 論説委員・桐山桂一】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/287218?rct=shiten)。《1979年に鹿児島県大崎町の牛小屋で遺体が見つかった大崎事件は、そんな状況から起きた。親族の原口アヤ子さんらが絞殺したとして、殺人罪などで有罪確定。既に服役を終えてもいる。だが、客観証拠がほとんど存在しないのだ。実際に過去3回も裁判所で再審開始が決定されたが、その都度、検察の抗告により上級審で退けられた》。

 再審法改正が必要。袴田事件…事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ。(西日本新聞)《日本弁護士連合会は…再審法(刑事訴訟法の再審規定)の整備を求める集会を国会内で開いた。法曹関係者に加え、与野党の議員が約60人(代理も含む)出席。証拠開示の制度化や、再審請求審での検察の不服申し立て(抗告)禁止を法制化する必要があるとの認識で一致した。再審を規定する刑事訴訟法の条文はわずか…》。
 東京新聞のコラム【<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271962)/《冤罪(えんざい)ほど人生や人権を踏みにじる不正義はない。静岡県の四人殺害事件で犯人とされた袴田巌さんの再審が決まった。鹿児島県の大崎事件は再審請求が高裁で退けられたが、冤罪が疑われる。再審法改正を求める日弁連の中心として、全国を走り回る鴨志田祐美弁護士に「なぜ冤罪は生まれるのか?」を聞いた》。

 何度でも、飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です」》。

   『●袴田冤罪事件…小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たし
     て人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は…続く》

 鴨志田祐美さん《日本の刑事司法のガラパゴス化は、法務省が考えているよりも深刻です》。小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たして人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は、まだまだ続く》(大谷昭宏さん)。
 袴田冤罪事件、日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度の例ではないか。《残酷で異常な出来事と欧米などでは受け止められている》、《日本でも放置し続けてきた再審法を整備すべきときが来ている法務・検察はそのことも自覚すべきである》(東京新聞社説)。何十年にも渡って無実の袴田巌さんを牢屋につなぎ、しかも証拠が捏造されていたとまで裁判所が指摘。再審裁判で、「有罪」を主張するのはいったいどういう神経か? 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、一体どこまで人権侵害すれば気が済むのか。(東京新聞社説)《無実の訴えから半世紀日本の刑事司法の異様さをも表している。すでに87歳の高齢。残る人生と名誉をこれ以上、検察は奪ってはいけない》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/287218?rct=shiten

<視点>大崎事件の新鑑定 殺人でなく事故死では 論説委員・桐山桂一
2023年11月1日 06時00分

 被害者の男性は朝から酒に酔っていた。午後5時半ごろには雑貨店で焼酎を買った後に自転車ごと深さ1メートルの側溝に転落してしまった。

 誰かに引き上げられ、道路脇に横たわったままの状態で放置された。夜になって近隣の男性2人が小型トラックの荷台に被害者を乗せ、自宅まで運んだ。それが午後9時ごろのことだ。

 1979年に鹿児島県大崎町の牛小屋で遺体が見つかった大崎事件は、そんな状況から起きた。

 親族の原口アヤ子さんらが絞殺したとして、殺人罪などで有罪確定。既に服役を終えてもいる。だが、客観証拠がほとんど存在しないのだ。

 実際に過去3回も裁判所で再審開始が決定されたが、その都度、検察の抗告により上級審で退けられた

 第4次の再審請求は高裁に棄却されてしまい、弁護側は現在、最高裁に特別抗告を申し立てている。新鑑定により、殺されたのではなく「事故死だったとの主張だ。「自宅に運ばれた時点で既に被害者は呼吸停止か心停止だった」ことを示す。

 埼玉医科大学総合医療センター長の澤野誠教授による医学鑑定である。重症外傷患者の診療を専門とする日本随一の外傷センターで、頸椎頸髄の損傷症例数は国内でトップだ。澤野氏は救護活動についての専門家でもある。

 「遺体には三つの明らかな出血があった」と澤野氏は指摘する。「溝への転落による限度を超えた頸部の後屈と右捻り。飲酒と低体温による脱水と腸管動脈の収縮からの広範囲な小腸壊死を出血が示します」

 溝への転落で頸髄損傷による運動麻痺や頸椎を支える靱帯の損傷をきたしたことも分かるという。さらに近隣の2人がトラックに乗せた際、頸椎保護をしない手荒な救護だったため、頸髄損傷が悪化し、呼吸停止した可能性が高いともいう。

 だが、搬送した2人は「被害者は歩いて自宅に入った」と供述した。確定判決のよりどころだが、新鑑定とは合致しない。かつ2人の供述を立命館大学の稲葉光行教授が分析したところ、「2人で被害者を抱えて玄関に入った」「千鳥足で被害者1人で玄関に入った」と食い違う

 さらに「被害者を自宅土間に置いた」という点は「覚えていない」とか、沈黙や言いよどみが高い頻度で起きているという。稲葉教授は「搬送した2人が実際に体験したことを述べたものではないと考えるのが妥当」と結論づけている。

 これら医学鑑定と供述分析を合わせると、確定判決が殺人事件と決め付けたことに疑問が湧くであろう。つまり被害者は自宅に運ばれた時点で既に死亡しており、殺人事件にはなり得ない―そう指し示していよう。原口さんは一貫してやっちょらん」。最高裁は新証拠に真摯に向き合ってほしい。


【関連記事】<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271962

<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く
2023年8月23日 08時00分

     (コラージュ・小河奈緒子)

 冤罪(えんざい)ほど人生や人権を踏みにじる不正義はない。静岡県の四人殺害事件で犯人とされた袴田巌さんの再審が決まった。鹿児島県の大崎事件は再審請求が高裁で退けられたが、冤罪が疑われる。再審法改正を求める日弁連の中心として、全国を走り回る鴨志田祐美弁護士に「なぜ冤罪は生まれるのか?」を聞いた。


再審法> 刑事訴訟法の再審規定。500以上も条文のある同法のうち、再審の条文は19のみで、規定が不備なまま、70年以上も放置されている。再審請求審は裁判所の裁量に委ねられ、証拠開示の基準や手続きは不明確なうえ、再審開始が決定されても検察官の不服申し立てなどによって、冤罪被害者の早期救済が妨げられている


◆証拠開示ルールを今すぐ 弁護士・鴨志田祐美さん

 桐山 全国キャラバンの手ごたえはどうでしょう。

 鴨志田 ここ一カ月だけでも沖縄や島根、三重などを回りました。各地の弁護士会が企画したシンポジウムなどです。東京の中学のPTAからは生徒と保護者向けに話を頼まれました。京都の高校では生徒自身が再審法改正の立法論まで研究している。それだけ広がりはあるし、共感を持ってくれています。
 私自身は二十年近く再審弁護に関わっています。日弁連では二〇一九年の人権擁護大会で再審法改正の決議を採択しましたが、直前に最高裁による大崎事件の再審取り消しがありました。そのころからマスコミの論調も法制度そのものがおかしいと変わってきた感じがします。


 桐山 大崎事件は一九七九年に男性の遺体が発見された事件ですが、物証がなく本当に殺人事件なのか事故死だった可能性が指摘されます。事件当初の鑑定も「他殺か事故死か不明」と変更され、第四次再審請求で出された救命救急医の鑑定では「被害者は家に運び込まれるまでに既に死亡していた」です。それなら殺人事件にならず、犯人とされる原口アヤ子さんも再審無罪のはずです。ところが、福岡高裁宮崎支部は今年六月に「再審認めず」の判断をした。不可解に思えました。

 鴨志田 原口さんは一度も自白せず無実を訴えています。共犯者とされた親族の「自白」が確定判決の支えなのです。でも、その人たちは「供述弱者」。知的障害などがあって、厳しい取り調べに迎合してしまう。今なら供述弱者には録音・録画すべきことが捜査機関内でも共通認識ですが、当時は違った。それなのに裁判所まで供述を信用できると安易に判断するのは、本当におかしい。
 第四次再審請求ではクラウドファンディングで寄付を募りました。集まった千二百万円で映画監督の周防正行さんに再現動画を作ってもらいました。被害者は酒に酔い側溝に転落。道路に引き上げられ、近隣の二人にトラックの荷台に乗せられました。自宅に搬送されるまでを裁判記録に従い忠実に再現しました。CGアニメも制作し、関係者の供述どおりに人を動かすと、近隣の二人の供述の食い違いがビジュアルに分かりました。


 桐山 六六年に起きた袴田巌さんの事件では過酷な取り調べがあり、「自白に至りました。確定判決の証拠である「五点の衣類」は何と事件から一年二カ月もたって発見。その衣類に付いた血痕の変色を手掛かりに再審決定が出ましたが、東京高裁は証拠の捏造(ねつぞう)の可能性に言及しました。

 鴨志田 無実の人が死刑になっていたかもしれない事件です。民主化されていないどこかの国でなく、この日本で何の落ち度もない人が犯人に仕立て上げられる冤罪は多重構造だと思います。まず警察が誤った見込みで捜査すると、そのストーリーに沿った証拠しか集められない。「見立ての呪縛」です。
 国家権力が地引き網みたいに集めた証拠の中には、被告人に有利な無罪の証拠も紛れているわけです。しかし、検察も見立てが固まると、そこから引き返すことができません有罪方向の証拠だけを選択して裁判所に出しているのです。


 桐山 なぜ裁判所は見抜けないんだろうと一般の人は受け止めます。裁判所は本当にちゃんと判断しているのだろうか。司法の根底を揺るがす事態が起こっている気がします。

 鴨志田 無罪方向の証拠は隠され、有罪方向の証拠ばかりをもとに判断するから裁判所も間違えるのですね。再審段階になってもなお、なかなか無罪方向の証拠が開示されない点も大問題です。開示が実現するか否かは裁判官次第という再審格差」がそこにあります。
 大崎事件では、ある裁判官が証拠開示を勧告したら、それまでないと言っていた証拠が二百十三点も出てきました。第三次再審ではさらに十八点の証拠が警察から見つかりました。その中に確定判決を覆す珠玉の証拠があったのです。
 裁判所が職権で取り寄せることができるから証拠開示ルールは必要ないと法務省は言いますが誤りです。袴田さんの事件でも第二次再審になって初めて、確定審で提出されていなかった証拠が六百点以上も開示されました。「五点の衣類」のカラー写真などですね。
 つまり「再審格差」があるから、開示のルールが必要なのです。どんなにやる気のない裁判官の下でも証拠開示せねばならないルールにしないと永久に格差は埋まりません


◆刑事司法はガラパゴス化

 桐山 先進国では例外的に日本には死刑制度が残ります。米国でさえ死刑執行する州は少数派です。一度執行したら取り返しがつかない刑だけに、もっと慎重にチェックすべきです。

 鴨志田 米国では死刑の選択には通常事件以上に慎重で厳格な手続きを要求しています。日本では裁判のどの段階にもそんな配慮はありません。少なくとも死刑という特別な刑には特別な手続きが必要です。確定有罪判決の手続きに憲法違反があれば、新証拠がなくても、再審に入れる制度にすべきです。
 日本には「確定力神話」もあると思います。三審制で裁判官が三回も吟味して有罪だったら、間違いはないだろうと。ひっくり返したら四審制になると。三審制の結論を動かすべきでないという考えに縛られることを確定力神話というのです。検察も、起訴したものは99・9%有罪でしょ、間違いあるはずがないと。真犯人が出てくるとか、DNA鑑定で別人だったとか、そんなことでもない限り再審を認めない考え方ですね。


 桐山 八〇年代には死刑事件の再審無罪が続きました。その後も冤罪が相次いでいますが、再審決定まで歳月がかかり過ぎる問題もありますね。

 鴨志田 冤罪はヒューマンエラーではなく、システムエラーの問題だと捉えないと、永久に解決しないと思います。袴田さんの事件などは「証拠の捏造まで指摘されたのですから、「真相究明委員会」を設けるべきです。航空機事故のように、徹底的に当時の警察や検察、裁判所などの関係者を呼んで、どこに間違いがあったのかを究明しないといけないと思います。
 日本の刑事司法のガラパゴス化は、法務省が考えているよりも深刻です


かもしだ・ゆみ 1962年生まれ。神奈川県出身。早稲田大法学部卒。会社員などを経て2002年に司法試験合格、弁護士に。大崎事件再審弁護団事務局長。日弁連再審法改正実現本部本部長代行。著書に『大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年』(LABO)。共著に『見直そう!再審のルール』(現代人文社)。
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●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》

2023年06月23日 00時00分37秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》


(20230607[])
大崎事件、(第4次再審請求の即時抗告審)再審開始認めず。福岡高裁宮崎支部・矢数昌雄裁判長殿、一体どうなってんのかね、裁判所は? ――― 原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。《「無辜(むこ)の人の救済を目的とする再審の理念》はどこに? (西日本新聞)《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》。
 原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。(2022年07月)《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?
   『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
     らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?
   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
     らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

 西日本新聞の一連の記事。
 【【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった》、《原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた》。
 【【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/)にると、《刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した》。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》
   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
     を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
     今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
     井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
     と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
     改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない
     と話している》。
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
     である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

   『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
     支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》
    《「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用
     した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
     遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
     防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ

   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
         例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
    《袴田事件は、代用監獄長期勾留死刑制度、再審制度など日本の
     刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
     マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている
     今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
     同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ

   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ

 【「再審の在り方に逆行」 大崎事件の高裁決定、元裁判官らが批判】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095326/)によると、《大崎事件の第4次再審請求を認めなかった5日の福岡高裁宮崎支部決定に対し、識者や元裁判官からは「確定判決は正しいとの直感に基づき、証拠から事実を認定していない決定内容は(請求を棄却した)鹿児島地裁決定の焼き直し」との批判が相次いだ。「無辜(むこ)の人の救済を目的とする再審の理念に立ち返るべきだとの声も聞かれた》。
 【【解説】医学的証拠を軽視した判断 大崎事件再審不開始】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095330/)によると、《【解説】今決定は、弁護側の新証拠を否定し、原口アヤ子さん(95)と親族が殺人、死体遺棄の犯人だとする確定判決が正しいと結論付けた。医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》、《疑義ある自白、また吟味されず 弁護側は「被害者は事故死だった」と主張。根拠は埼玉医科大教授で高度救命救急センター長の澤野誠医師による「医学鑑定」だ》。
 【鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける宮崎支部決定】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095332/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めた第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。「男性は事故死だった」と主張する弁護側が根拠とした医学鑑定について「決定的な証拠とはいえない」として請求を棄却した昨年6月の鹿児島地裁決定を追認した》。
 【親族の自白の信用性のなさ「分厚く書くべきだった」 大崎事件第3次請求で再審認めた元裁判長の後悔】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095633/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、殺人罪などで服役後も無実を訴える原口アヤ子さん(95)の裁判のやり直しを認めなかった。同支部の裁判長として第3次請求を審理し、20183月に再審を認めた根本渉弁護士(66)…》。

 袴田事件…事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
 最後に、【再審法改正「超党派で」 日弁連の集会、国会議員ら出席】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095651/)によると、《日本弁護士連合会は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の整備を求める集会を国会内で開いた。法曹関係者に加え、与野党の議員が約60人(代理も含む)出席。証拠開示の制度化や、再審請求審での検察の不服申し立て(抗告)禁止を法制化する必要があるとの認識で一致した。再審を規定する刑事訴訟法の条文はわずか…》。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/

【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部
2023/6/5 11:07 (2023/6/5 12:29 更新)
#大崎事件 #イチから学ぶ 大崎事件 #事件事故裁判
山口新太郎

     (再審開始の可否決定を控え、福岡高裁宮崎支部前で
      のぼりなどを掲げる大崎事件の支援者たち=
      5日午前9時51分、宮崎市(撮影・星野楽))
     (再審開始が認められず、支援者に受け止めを話す
      鴨志田祐美弁護士=5日午前11時5分、宮崎市の
      福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
     (再審開始が認められず、「不当決定」と書かれた旗を
      掲げる関係者(中央)=5日午前11時2分、宮崎市の
      福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
     (福岡高裁宮崎支部に入る大崎事件の弁護団=
      5日午前10時44分、宮崎市(撮影・星野楽))

 鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった。


【解説】司法の判断に疑問、有罪の疑わしさは明白

 原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた。

 原口さんを有罪とした確定判決によると、被害者の男性(原口さんの義弟)は79年10月12日、酒に酔って側溝に転落し、路上に倒れていた。軽トラックで迎えに来た隣人2人が荷台に乗せ、男性の自宅に連れ帰った。原口さんは男性を日頃から良く思っておらず、泥酔して土間に座り込む姿を見て殺害を決意。夫と別の義弟に持ちかけて絞殺し、おいも加わって遺体を牛小屋の堆肥に埋めた-とされた。

 弁護側は「男性は殺害されたのではなく、側溝転落による事故死だった」と主張。第4次請求では新証拠として、救急救命医の医学鑑定などを提出した。医学鑑定は、男性が側溝転落で頸(けい)(ずい)(首の神経)を損傷し、運動まひを負ったと推定。隣人2人の不適切な搬送もあって状態が悪化し、「自宅に運ばれた時点で呼吸停止して死亡していた」と結論づけていた。

 昨年6月の鹿児島地裁決定は、医学鑑定が指摘した状況が起きた可能性は「否定できない高くない」として再審を認めず、弁護側が即時抗告した。

 高裁支部の審理でも、弁護側は医学鑑定を新証拠の柱に位置付けた。検察側は、医学鑑定を「基礎になった情報は限定的で、証明力に限界がある」と主張した。(山口新太郎


イチから学ぶ 大崎事件
解決したはずの殺人事件が「そもそも、実は殺人事件ではなかった」―。そんな可能性が指摘されている「大崎事件」をできるだけ分かりやすく説明します
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/

【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か
2023/6/7 6:00
#総合面 #事件事故裁判 #大崎事件

 刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。

【関連】鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける

 殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。

 福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した。

 この事件は物証に乏しい。関係者の供述が有罪立証の柱で、確定判決は状況証拠の積み重ねから導かれた。

 まず指摘したい。今回の決定は「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の原則にかなっているだろうか。

 最大の争点は、弁護側が提出した救急医による医学鑑定の評価だった。再審開始の要件となる新証拠だ。

 決定は、新証拠により、確定判決で示された解剖医の旧鑑定は証明力が減殺されたとは認めながら、殺人などの事実認定は「客観的状況や共犯の自白」により維持される、と結論付けた。

 刑事裁判は起訴内容に合理的な疑いの余地があれば有罪とはならない。決定に対し弁護団は「(私たちに)無罪の立証を要求しているようだと批判した。確かに、決定の証拠評価には疑問が残る。

 原口さんは逮捕時から一貫して無実を主張している。過去に3回の再審開始決定を受け、いずれも覆った。2019年には、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を最高裁が取り消した。このときも第三者の鑑定より供述に重きを置く論理構成だった。

 この最高裁の判断が、大崎事件再審請求を担当する裁判官に影響を与えていないか。再審は認めずとの結論ありきの審理なら許されない。

 弁護団は「甚だしい人権侵害」として最高裁に特別抗告する。最高裁には丁寧で説得力のある審理を求めたい。

 今回の決定を受け、再確認しなければならないのは刑事訴訟法435条である。再審請求は確定判決を受けた者の利益のためにあると定める。誤判により冤罪(えんざい)が生じる現実を否定できないからだ。

 ただ再審のルールは十分に明文化されてはいない。これまで私たちは社説で、再審開始の決定が出たら速やかに舞台を再審の法廷に移すルール作りを提案してきた

 非公開の再審請求審ではなく、公開の再審法廷で検察、弁護双方が主張を戦わせ、有罪かどうかはその場で裁判所が判断すればよい。確定判決の安定性も大事だが、現状は損なうものが大き過ぎる。

 今年に入り、高裁レベルで再審開始の判断が相次いだ。静岡県で1966年に起きた袴田事件や滋賀県日野町で84年に発生した強盗殺人事件である。専門家の間でも再審法整備を求める声が高まっていることも背景にあろう。これを大きなうねりにしたい。
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●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

2023年02月26日 00時00分05秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



/ (2023年02月12日[日])
NTV【NNNドキュメント’23/あたいはやっちょらん 鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」】(https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html)。元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか? 原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか? 在りもしなかった事件を、鹿児島県警から「強制的に自白させられた」…。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

 弁護団は、そもそも殺人事件ではなく、「事故」の可能性を指摘。遺体はなぜ「堆肥の中に」? 冤罪の原口さんにそこまで解明しろ、とでもいうのだろうか?
 「父、母が刑務所に行った人たち、人殺しだと世間の人たちから一生言われる」「娘とか孫、窓の子供まで関わるから」「罪だけは晴らさなくては生きていたくない」。「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」。

 大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

 再度書く。何度でも書く。………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
     『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

 またしても同じ疑念が頭に浮かぶ ――― 《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。原口さんが物言えぬようになることを待っているのではないか…なんという冷酷・冷血か。「自らの責任を回避するために、検察は奥西勝さんという冤罪死刑囚の死を持っているとしか思えない。裁判所がそれに加担しているのだから、全く冷酷な人たちである」。

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                  ……死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟:映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》

 何度でも、引用する。斎藤貴男さんのコラムの一部―――――― 最「低」裁を頂点とする司法に失望してばかりだが、最近、衝撃を受けたことを再掲。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。

   『●裁判員制度反対…「冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対
       です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」

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https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html

2023年1月29(日) 24:55
あたいはやっちょらん
鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」

43年前、鹿児島県大崎町で牛小屋の堆肥の中から男性の遺体が見つかり、義姉の原口アヤ子さん(95)が殺人犯とされた。物的証拠がなく共犯者の親族の自白だけで有罪となった原口さん。冤罪を訴えるも再審の扉は開かず、認知症が進み今は入院生活を送る。事件を調べ直した記者が感じたいくつもの疑問。会いたい…コロナ禍で厳重警戒の中、許された面会。もう話すことができなくなった原口さん心の叫びに耳を傾ける

ナレーション/田丸裕臣  制作/鹿児島読売テレビ  放送枠/30分

再放送
2023年2月5日(日)5:00~/24:00~ 日テレNEWS24
2023年2月5日(日)8:00~ BS日テレ
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●桜井昌司さん《冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動…冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいもの》

2023年01月27日 00時00分01秒 | Weblog

[↑ 映画『オレの記念日』フライヤー(https://oreno-kinenbi.com/wp-content/uploads/2022/08/oreno-kinenbi_flyer.pdf)]


(20230113[])
(当ブログ主の勝手な想い)gooブログ〝仲間〟の桜井昌司さん。ブログ【桜井昌司『獄外記』/布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。】(https://blog.goo.ne.jp/syouji0124)の記事【人権賞】(https://blog.goo.ne.jp/syouji0124/e/8a1fb29a4c4b0cd011dc73e653cc2c63)で、受賞を知りました。《今日は東京弁護士会の人権賞受賞式だった。推薦文を書いてくださった周防正行監督、布川弁護団の谷萩先生、山本先生も来てくださったのだから有り難い限りだ。わざわざ来て頂くなんて申し訳ない思いだった》。受賞、御目出とうございます。

 東京弁護士会のWeb頁を見てみると、【東京弁護士会人権賞】(https://www.toben.or.jp/know/activity/jinkensyou/)という記事が出ています。《東京弁護士会では、1986年(昭和61年度)から、東京弁護士会人権賞を制定し、人権擁護活動に尽力されてきた方々を毎年表彰しています》《桜井昌司氏は、1967年に発生した布川事件で窃盗容疑により別件逮捕され、以後44年間、自らの無実を訴え続け、2011年に再審無罪が確定しました。…同氏による冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです》。

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている桜井昌司さん。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
        その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
   『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
     ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》

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https://www.toben.or.jp/know/activity/jinkensyou/

「第37回 東京弁護士会人権賞」受賞者は以下の方々に決定しました(50音順)

東京弁護士会では、1986年(昭和61年度)から、東京弁護士会人権賞を制定し、人権擁護活動に尽力されてきた方々を毎年表彰しています。

候補者の方々はいずれも各分野において、人権擁護活動にご尽力されているところ、今年度も多数の推薦・応募があり、選考の結果、下記の方々が受賞者に決定しました。


     一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている
     当事者等に対する法整備のための全国連合会(LGBT法連合会) 様

     桜井 昌司 様


一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(LGBT法連合会) 様

LGBT法連合会の創立は2015年であり、性的指向および性自認に関わる当事者・支援者・専門家の団体97団体から成る日本最大の全国連合会として、困難を抱えている当事者等に対する法整備を目的とした事業を実施してきました。

その活動は、当事者が抱える困難の実態を可視化した「困難リスト」の作成、地域会議の開催による当事者・支援者・専門家とのネットワークの構築、経済団体・労働団体との連携による職場における差別禁止の提言や国際団体との協働による署名キャンペーンの展開、LGBT差別禁止法試案の発表・提案など、多岐に及んでいます。

たとえば、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」と連携して活動しており、同連合会の作成した資料や法試案をもとに、与野党の主要政党が法案を策定あるいは国会に提出などします。また、予算・政策要望の各省庁への提出、性的指向および性自認にかかる差別禁止規定を置いた条例の成立やハラスメント等の事業者への防止措置を義務付ける法制度確立の働きかけとその実現、市民団体の活動へのアドボカシーのサポートや再助成を行い、性的指向や性自認に関する人権擁護のための法施策実現と立法等へ貢献しています。

さらには、同連合会が作成した「困難リスト」や「支援マニュアルガイドライン」が多くの自治体で「職員対応指針」の参考資料とされており、NHKや厚生労働省の調査へ協力して当事者視点の課題を踏まえた支援策の提供にも貢献しています。

以上の諸活動は、東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。


桜井 昌司 様

桜井昌司氏は、1967年に発生した布川事件で窃盗容疑により別件逮捕され、以後44年間、自らの無実を訴え続け、2011年に再審無罪が確定しました。

桜井氏は、無罪判決を勝ち取った後も積極的に活動を続けました。まず、2012年には、冤罪となった原因の究明と責任を問うべく検察(国)と警察(県)に国家賠償請求訴訟を提起し、東京地裁に続き2021年8月には東京高裁においても勝訴しました。この訴訟は、他の冤罪事件・国賠事件の道標となると言われています

また、他の冤罪被害者・支援者と積極的に交流し、冤罪をなくすための活動にも積極的に取り組んできました。たとえば、2019年3月には、桜井氏の呼びかけで「冤罪犠牲者の会」が設立され、冤罪事件同士が情報交換や相互支援を通じて連帯しながら冤罪をなくすための運動をしています。また、同年5月には「再審法改正をめざす市民の会」に参加し、共同代表を務めています。

さらには、衆参両議院の法務委員会における参考人や日弁連・各単位会における諸企画の報告者としての発言、書籍の出版や映画、コンサート活動など、冤罪被害者としての社会活動を行い、冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動をしています。

同氏による冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。
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●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作りながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》

2022年11月02日 00時00分13秒 | Weblog

[↑ 映画『オレの記念日』フライヤー(https://oreno-kinenbi.com/wp-content/uploads/2022/08/oreno-kinenbi_flyer.pdf)]


(20221019[])
高遠菜穂子さんと桜井昌司さんについてのお話が印象に残りました。
 デモクラシータイムスの映像コラム【秋のエンタメ特集 辛淑玉 × 北丸雄二 【マイノリティ・リポート】】(https://www.youtube.com/watch?v=bDukMZWutFA)によると、《北丸雄二と辛淑玉が、マスメディアでは見落とされがちな社会の課題を拾い上げ、マイノリティからのまなざしで語り合い、本質を見抜き、怒り、笑い、ため息をつきながらも前に進む縦横無尽の1時間番組(ときどき長くなる)。エンタメもあります。》

   『●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(1/2)
   『●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(2/2)
     「しかし、彼女ら (郡山さんと今井さん) の予想は全く裏切られ、
      「自己責任」とばか騒ぎし、醜悪なバッシングの嵐。解放後、
      「生まれ故郷に帰るのに「覚悟」が必要」(p.141) な国って、
      いったい何?? 解放後の「新たな不安と恐怖」(p.147) は、
      拘束時以上だったのではないだろうか・・・。」

   『●『ご臨終メディア ~質問しないマスコミと一人で考えない日本人~』読了
   『●『ルポ 改憲潮流』読了(2/3)
   『●『だまされることの責任』読了(2/3)
   『●『靖国/上映中止をめぐる大議論』読了(3/3)
   『●『安心のファシズム ―支配されたがる人びと―』読了
   『●『それでもドキュメンタリーは嘘をつく』読了(2/2)
   『●見損ねた
   『●『筑紫哲也』読了
   『●『ルポ戦場出稼ぎ労働者』読了
   『●「自己責任」を叫ばれた人の立場
   『●「自己責任」バッシングの嵐: 「話す」ことも許さず、「話しても」伝わらず
   『●「自己責任」バッシングと映画『ファルージャ
           イラク戦争日本人人質事件…そして』


【秋のエンタメ特集 辛淑玉 × 北丸雄二 【マイノリティ・リポート】】
 (https://www.youtube.com/watch?v=bDukMZWutFA


 そこでも取り上げられている映画が10月に公開された。飯塚事件では、「気がふれたように情報を拡散」と言われてブログ主は凹んでいるが…。ブログやツイッターでいくら叫んでも、伝わらない人には伝わらない。

   『●「袴田事件の次は狭山事件だ」
      『週刊金曜日』(2014年5月23日、992号)
    「対談金聖雄×小室等【映画『SAYAMA』が静かに伝える
     石川一雄さんの今 「みえない手錠」はいつはずれるのか】、
     「「袴田事件の次は、狭山事件の再審の扉を!」との声が高まるなか、
     逮捕から51年…」。「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」」

   『●「死刑という刑罰」: 飯塚事件では「冤罪被害者」を死刑
            …「冤罪被害者」の命を、最早、償いようもない
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 第239回
     /死刑映画週間『獄友』『白と黒』など8本を上映〜
     「死刑という刑罰」を考える】」
    《金聖雄(キム・ソンウン)監督の『獄友(ごくとも)』は、
     日本で起きた狭山袴田布川足利といったよく知られた
     殺人事件で長期拘束された5人の「冤罪(えんざい)被害者」に
     焦点を当てたドキュメンタリー。彼らはなぜウソの自白をしたのか、
     獄中で何があったのか? 互いに「獄友」と励まし合ってきたこと
     などが描かれる》

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さんについての【映画『オレの記念日』】(https://oreno-kinenbi.com/)。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
        その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》

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https://oreno-kinenbi.com/

オレの記念日
金聖雄監督 最新作 映画『オレの記念日』



映画『オレの記念日』予告編
 (https://youtu.be/7On8fgAOzAM)

出演
布川事件:桜井昌司、桜井恵子、クー、ヒメ、杉山卓男
袴田事件:袴田巖袴田ひで子
東住吉事件:青木恵子
狭山事件:石川一雄、石川早智子

語り
小室等

監督
金聖雄

構成・編集:野村太/撮影:池田俊巳、渡辺勝重/現場録音:池田泰明/録音:吉田茂一
音楽・演奏:吉野弘志/スチール:村田次郎
イラスト:千葉佐記子、石渡希和子/パンフレット制作:松井一恵/デザイン:加藤さよ子
制作デスク:沢口絹枝、若宮まさこ/宣伝:明石薫
製作協力:陣内直行、映像グループ翔の会
企画・製作・配給:Kimoon Film

ドキュメンタリー映画/日本/2022年/カラー/104分


チラシのPDFダウンロード
 


イントロダクション

冤罪により無期懲役判決を受けた20歳の若者が、
29
年の獄中生活で悟った人生の意味とはーー

20歳の時に布川事件で冤罪により殺人犯とされ、29年間を獄中で過ごした桜井昌司さん。2011年に無罪判決、そして2021年には勝てないと言われ続けた国家賠償裁判での完全勝利など、次々に人生を逆転させていく。2019年には末期ガンにより”余命1年”と宣告されるも、食事療法などを続け、3年が過ぎた現在も精力的に全国を駆け巡る。


彼の「記念日」は今日も続くーー
1967年10月10
 夜風に金木犀は香って
  初めての手錠は冷たかった
     ―桜井昌司「記念日」*より―

1967年10月10日の出来事から始まる詩。
桜井さんは、獄中にいた時から塀の外にいる父へ、母へ、そして自分自身へ向けて多くの詩を書きとめてきた。
冤罪により逮捕された日すらも「記念日」にして飄々と前に進み続ける桜井さんの姿は、閉塞感を抱えながら今を生きる私たちに大切なことを教えてくれる。

布川事件とは
1967年8月、茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件。
捜査が難航する中、茨城県警は地元で素行が悪かった桜井昌司さんと杉山卓男さんを別件逮捕。長時間に及ぶ取り調べの末、虚偽の「自白」をさせ、検察は物証がないまま起訴した。1978年無期懲役判決が確定。29年の獄中生活を経て仮出獄。2009年12月再審開始決定。2011年5月24日に無罪が確定した。


『獄友』の金聖雄監督最新作

監督は、『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』『袴田巖 夢の間の世の中』『獄友』を手がけた金聖雄。これまでも冤罪被害者たちの"人としての魅力"を伝え続けてきた。
12年間という長期に渡り桜井昌司さんを追った本作では、冤罪という不運を強さと優しさに変え、しなやかに生きる姿を丁寧に描き出す。

―――――――――― 魔法の言葉 ――――――――――

「冤罪で捕まって良かった!」

「どんなに辛いことや苦しいことがあったとしても、それを喜びに変えられるのが人生だ」

桜井昌司さんが言い放つ言葉には不思議な力がある。どう言えばいいのだろうか、笑った後で深く考え納得させられる。そしていつの間にか自分もがんばろうという気持ちになれる。桜井さんは私たちの想像が及ばないような壮絶な人生を経験している、にもかかわらず苦しみや絶望を決して語らない。だからこそ彼の生き方や一言ひとことは軽やかで重く、誰の心にも響くのかもしれない。

冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作りながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観ることで体感してほしい。きっと誰もが一歩踏み出す勇気をもらえるだろう。

金 聖雄
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 コメントが凄く読み応えがある。

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https://oreno-kinenbi.com/comments

コメント
映画『オレの記念日』にお寄せいただいたコメントをご紹介します


冤罪は、その人の尊厳と自由を奪っていく。
桜井さんはなぜ、ここまで笑顔で笑っているのだろう
桜井さんはなぜ、ここまで受け止めていけるのだろう
この映画を通して「桜井さん」に惚れない人はいない
「自由を取り戻した日のために、仕事をする日のために」
奪われた日々が責任を取ることで戻ってくるわけではない
不思議
桜井さんはいつだって前を見ている
冤罪で収容されていた日々ですら
会いたい、桜井さんに
聴きたい、桜井さんの キンモクセイ。
冤罪によって自由を奪われた人が、今もいるかもしれない
無関心ではいられない問題を
無かった事にしてはいけない

     サヘル・ローズ(俳優/人権活動家)


『不運は不幸ではない』という言葉にたどり着いたその日々を多くの人に知ってほしい。

     周防正行/映画監督


最初から最後までゲラゲラ笑いながら観てしまいました
桜井さんの人間的魅力はそれほど強烈です
「ぴったし カン・カン」というテレビ番組がスタートし、
やがて「ザ・ベストテン」も始まり、
ついに「ニュースステーション」も終了
これが、ぼくにとっての29年間でした
桜井さんの獄中生活と同じです
これは長かったでしょう
その時間を「楽しかった」と言い切る桜井さんは、まさに超人
若い人にとか司法関係者にとかは申しません
すべての人に観てもらいたい映画です

     久米宏(フリーアナウンサー)


語弊を怖れず言うと、なんと面白い冤罪映画なのだろう、と。もちろんこれは「主演」桜井昌司さんのキャラクターに負うところが大きいのだけれど、そんなサービス精神旺盛な主役をそっと軌道修正する「助演」の奥様の存在も効いている。
桜井さんの痛切の念も一方で描かれ、従前の冤罪映画とは一線を画す面も。再審、国賠訴訟と勝利した後の半生を、いまだ冤罪と戦う被害者と生きる桜井さんは、そこで初めて静かな怒りをのぞかせる。

     やくみつる(漫画家)


悪政まみれのクソニッポン国の中で、理不尽にも冤罪事件で29年間の牢獄生活を余儀なくされた桜井昌司さん。私だったら、生きる気力を無くして絶望の淵に沈んでしまうだろう。

しかし、桜井さんは違う。
「冤罪事件が私を生まれ変わらせてくれた、ありがたい、と思っている」と価値観を逆転させる奇跡の言葉。
まさに、国家権力の横暴さを無化せしめる魔法を見せてくれる映画である。

     原一男(映画監督)


映画の観賞中、「この話がドキュメンタリーではなくフィクションだったらよかったのに…」と何度思ったことか。それほど桜井昌司さんに起きたことは辛い。冤罪で29年間にもおよぶ獄中生活を強いられたのだから。
でも桜井さんは最初から最後まで明るい。刑務所の中では毎日はつらつと元気に働いていたと語る桜井さん。現在は冤罪に苦しむ仲間を勇気づけるため全国を駆け回っている。
配偶者となった女性は「彼の明るさに惹かれた」と話す。桜井さんの言葉「不運は不幸ではない」を通して「幸せとは何か」を考えさせられる。「冤罪」だけではなく、「人間の生き方」について考えさせられる映画である。

     サンドラ・ヘフェリン(著述家)


私は、子どもの頃に「警察により無実の罪がでっち上げられる」という国家の闇に触れる機会があった。「冤罪」である。
いわれなき罪を強大な権力にでっち上げられた人の怒りと失望と恐怖を思うと、今も、自分のこぶしを床に打ち付けて叫びたい衝動にかられる。
映画の主人公、桜井昌司さんは、自然体の姿を私たちに見せ、どんな人生でも楽しめると励ましてくれる。その裏側には、想像を絶する失望の夜と、今なお超えていない闇があるだろう。
明るい桜井さんの背中こそが、最大の権力への復讐であるように私には見える。そしてその隊列を共にしたいと、映画を観て改めて心に誓った。

     大石あきこ(れいわ新選組 衆議院議員)


昌司さんと出会ってもう10年以上になる。冤罪事件の救済や再審法改正に向けた活動でともに闘い、時にはライブコンサートで同じ舞台にも立った。
歌、文筆、料理、庭仕事、、、と何でもこなす器用さ、聴衆層に応じて臨機応変に対応できるスピーチの上手さ、何より人を惹きつけて止まない包容力に接するたびに「神様がこの人を選んで、この過酷な運命を背負わせたとしか考えられない」と常々感じていた。
この映画を観て、その思いがますます強くなった。
そのような存在である昌司さんのドキュメンタリーだから、どんなにストーリーが練られた上質なドラマよりも、どれほどプロットの巧みなフィクションよりも、ずっと面白いのだ。
しかも金監督は、昌司さんのすべてをつぶさに描き切るのではなく、彼の日常を淡々と描くことで、観る側に「想像するのりしろ」を残してくれた。
観客の皆さんにはぜひ、ポジティブで楽観的で明るい昌司さんの向こうに、冤罪にどれほどの理不尽と苦悩と怒りが渦巻いているかを、想像していただきたい。
2019年9月、私の夫がステージ4の大腸がんと診断されたのと同じころ(実に1日違いで)、昌司さんもステージ4の直腸がんと診断されたことを知り、衝撃を受けた。
夫はすでにこの世にいない。
布川事件が国賠まで完全勝利した一方、大崎事件はまだ再審請求段階の闘いが続いている。
正直胸が苦しくなるときもあるけれど、だからこそ、昌司さんにはまだまだ生き続けて、ともに闘いを続ける同志でいてほしい。

     鴨志田祐美(弁護士、大崎事件弁護団事務局長、
           日弁連再審法改正実現本部本部長代行)


桜井さんの優しさ、明るさにスクリーンから元気を貰いました。
私は芸人なので「怒り」を「笑い」に変えて伝えると元気になることを知っています。
無実なのに29年間も獄中にいた桜井さんが笑顔で前向きにしかもユーモアを忘れず生きている姿に私も「人を信じて、自分を信じて生きて行こう!」と、勇気をそして元気を貰いました。

     松元ヒロ(芸人)


「冤罪で捕まって良かった」と、言い切れる桜井さんの哲学はあくまでポジティブであり、ただごとでない。

     坂田明 (ミュージャン)


桜井さん、なんて魅力的な人なんだろう。
こんな言葉言える人がいるなんて。
それに引き替え、なんという権力の傲慢さよ。
間違いを認めたならば、あやまりなさいよ。
むかっ腹が立ちました。
無実で29年間も牢獄に閉じ込められる事実。
そんな冤罪が数限りなく存在するこの国。
金監督、渾身の映画。
たくさんの方々に、見てもらいたい。

     白崎映美(歌手)


この映画は「ことばの力」の映画である。
桜井昌司さんは、強制的な「自白」によって、殺人犯としてデッチ上げられ、29年間、塀の中の生活を強いられた。
獄中で、自らの言葉を詩として書きとめ、うたとして歌い、「ことばの力」で、心と身体がバラバラになりそうになる自らを励まし、再生への道を一歩一歩進んでいった。
怒りや怨みつらみの苦い汁をぐっと飲みほし、それらを「笑い」に変えて生きる──その生き方に、毎日つまらないことに凹んで生きるぼくたちは大いなる力をもらえる。
桜井さんは言う。「自分のことばで、自分を汚さないように」と。だからこそ詩を書き、日記をつけ、自らの歌をうたってきたのだろう。
言葉は、ひとを破滅に導きもするし、再生にも導く。桜井さんは「笑い」に包みながら、「ことばの魔力」を、ぼくたちにそっと教えてくれている。

     吉村喜彦(作家)


再審無罪判決、そして針の穴を通す以上に難しいとされる国賠訴訟での勝利。その筆舌に尽くしがたい過酷な闘いのなかでも人間性を失わない桜井昌司さんの日々が鮮やかに記録されていた。映画をなにより魅力的なものにしているのは、お連れ合いの恵子さんの存在だ。冤罪でおなじように苦しむ人たちを支援するため全国を駆け回るなかで、末期のがんにも見舞われるが、昌司さんのよさを自然体で支える姿にこころ洗われる思いがした。警察の捜査の闇や司法の理不尽を、静謐かつ骨太に告発するドキュメンタリー。金聖雄監督の12年にわたるゆるぎないまなざしが、見事な作品に結実したことを喜びたい。

     永田浩三(大学教授・ジャーナリスト)


「死刑になりたい」と人を刺すほどに中学生の少女を追い詰める日本社会。彼女が刃物に握った渋谷で観たこの映画。ことを起こす前に彼女に見せられなかったことを悔やむ。全編に流れる詩人でシンガーソングライター桜井昌司の朗読や歌が観る者、聴く者の心をふるわせ、もう一度前を向こうと励ますからだ。桜井は言外に言う、自分が詩や歌を書き、メロディを紡ぐことができるのは、29年に及ぶ不条理な獄中暮らしがあったから、と。希有な詩人の原点と歌の生まれる在処を探りながら桜井に伴走し、ミュージカルドキュメンタリーに結実させた金聖雄監督。彼の「冤罪三部作」にも通じるブルースもまた、通奏低音となって流れる。「ことを起こす前」に是非、観て欲しい。

     豊田直巳(フォトジャーナリスト)


あれだけ理不尽な裁判を受け続け、30年近い長期の獄中生活を余儀なくされながら、ここまで明るく前向きに生きられる人がいるという事実は、まさに「驚異」である。
ステージ4の直腸がんをも見事に克服しつつある桜井さん。どうか、あのチャーミングな「自慢の恋女房、恵子ちゃん」との生活を、今後も精いっぱい楽しんでください。

     木谷明(弁護士)


刑務所の中でも、楽しいことを見つけ、努力してきた桜井さん。飄々と現実を受け止め、これまでとかわらず、生活をしています。先のことは、誰にもわかりません。
これからも桜井さんと伴侶の方が楽しく暮らせますように。冤罪のない世の中を目指す闘いに、私も強く関心を寄せていきたいと思います。

     宮子あずさ(看護師・随筆家)


僕は桜井さんの姿を通じて自分達が閉じ込められている社会というシステムの機能不全を知り、彼の足元から始まる空の、世界の存在に人間の本来性を思い出す。そして彼の笑顔を眺めながら、彼の歌に痺れるのだ。

     ダースレイダー(ラッパー)


2019年12月、私が現在、音楽の講師を務めている東京都立南葛飾高校定時制に桜井昌司さんを招いて、生徒たちにお話をしていただいた。はじめざわざわしていた生徒たちも、桜井さんの話にすぐに引き込まれ、真剣に深く聞き入っていった。桜井さんに出会うことができた生徒は、その瞬間、人生の軌道が確かに「変わった」。この映画を見た方にもまた、同じ出来事が起こるかもしれない。多くの人たち、特に高校生、大学生にぜひ観てもらいたいと思う。

     李政美(歌手)


29年間獄中生活を強いられ、仮釈放の後も殺人犯の汚名を着せられたまま、計43年間もどうやって耐え抜くことが出来たのか。その感情のメカニズムが僕にはわからない。

僕に言えることは、桜井さん、あなたは誰よりも幸せになる権利がある。残りの人生を恵子さんと共に幸せに過ごしてください。

     小室等(フォークシンガー、作曲家)
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●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

2022年07月07日 00時00分55秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



(20220626[])
大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
       逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●再審無罪が確定した西山さんの国家賠償請求訴訟で、冤罪を生んだ
     滋賀県警が《今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に》…
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん

 決定前の中原興平記者による、西日本新聞の記事【イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/)によると、《✓ 実は「殺人事件」ではなかった?》《✓ 弁護側が主張する「事故死」の可能性》《✓ 一度は裁判所も認めたけれど…》。
 また、後編記事【イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/)によると、《✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟》《✓ 「白い証拠」は隠されていた》《✓ 検察側が繰り返した「うそ」》。

 ………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/

イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?
2022/6/20 6:00 [有料会員限定記事]
中原興平

     (再審開始を認める決定を受けて旗を掲げる弁護団
      =2018年3月、宮崎市の福岡高裁宮崎支部(撮影・古瀬哲裕))
     (大崎事件関係者相関図)
     (3兄弟宅の事件当時の配置)
     (被害者の男性が転落したとされる側溝付近=鹿児島県大崎町)
     (原口アヤ子さん夫婦、義弟一家、被害者が住んでいた
      自宅跡地。雑草や雑木が茂る=鹿児島県大崎町)

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
実は「殺人事件」ではなかった?
弁護側が主張する「事故死」の可能性
✓ 一度は裁判所も認めたけれど…
―――――――――――――――――――――

 犯人が捕まり、刑務所にも入って解決したはずの殺人事件が「実は殺人事件ではなかった」-そんな可能性が指摘されている事件があります。1979年に鹿児島県大崎町で男性の変死体が見つかった「大崎事件」です。「犯人」とされた原口アヤ子さん(95)は当初から一貫して無実を訴え、繰り返し裁判のやり直しを求めてきました。鹿児島地裁は22日、アヤ子さんの裁判をやり直すかどうかの決定を出します。注目を集める大崎事件の「謎」について、できるだけ分かりやすく説明します。(中原興平)


◆ 既に亡くなっていた?

………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/

イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」
2022/6/22 6:00 (2022/6/22 10:21 更新) [有料会員限定記事]
中原興平

     (大崎事件の再審請求の結果)
     (大崎事件関係者相関図)
     (警察が現場で撮影していた「行動再現写真」のイメージ。
      2人のすぐそばに目撃者とされる義弟の妻ハナさんが
      写っていた)
     (早期の再審開始を求め、署名を呼び掛ける原口アヤ子さん
      (左)=2004年12月、鹿児島市)
     (95歳の誕生日を迎えた原口アヤ子さん(左)を祝う
      鴨志田祐美弁護士=2022年6月15日(大崎事件弁護団提供))

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟
✓ 「白い証拠」は隠されていた
検察側が繰り返した「うそ」
―――――――――――――――――――――

 1979年に鹿児島県で起きた「大崎事件」で有罪判決を受け、服役までした原口アヤ子さん(95)の裁判をやり直すかどうかを、鹿児島地裁が22日に判断します。最終回のテーマは大崎事件から見える「制度の不備」。できるだけ、分かりやすく説明します。(中原興平)


こっそり見聞きしたはずでは…

 大崎事件の犯行に関わったとされるのは、原口アヤ子さん▽夫の一郎さん▽義弟の二郎さん▽おいの太郎さんの4人。被害者は義弟の四郎さんでした(アヤ子さん以外はいずれも仮名)。前回は一郎さんたちの自白と、二郎さんの妻ハナさん(仮名)が「アヤ子さんと夫の共謀の場面を見た」とする目撃供述の不自然さについて説明しました。

 唐突ですが、アヤ子さんが二郎さんに犯行を持ちかけている場面を、ハナさんはどんなふうに見ていたと思いますか。

 以前、「家政婦は見た!」という人気のテレビドラマが...………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/

【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却
2022/6/22 10:05 (2022/6/22 12:26 更新)
山口新太郎

     (鹿児島地裁)
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、「不当決定」と
      書かれた旗を掲げる関係者=22日午前10時過ぎ、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、悔しさをにじませる
      鴨志田祐美弁護士(右から2人目)=22日午前10時3分、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))


 鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。

【関連】イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?

 一貫して無実を訴えてきた原口さんは、繰り返し再審を請求。これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた

 確定判決によると、被害者は原口さんの義弟。79年10月12日、酒に酔って道路の側溝に転落し、午後9時ごろ、隣人2人に車の荷台に乗せられて自宅に運ばれた。同10時半ごろ、泥酔して自宅の土間に座り込む義弟を見た原口さんが日頃の恨みを募らせ、同11時ごろに元夫らに持ちかけて絞殺。翌未明に遺体を牛小屋に埋めた-とされている。

 今回の再審請求で弁護側は「被害者は殺されたのでなく、事故死だった」と主張。埼玉医科大高度救命救急センター長の澤野誠医師の医学鑑定と、心理学者らによる隣人2人の供述鑑定を「無罪を言い渡すべき明白な新証拠」として提出した。

 澤野医師の医学鑑定は、遺体の解剖写真や弁護団による再現実験などを基に、被害者が隣人2人に搬送された際の状況を分析した内容。被害者は側溝転落事故で頸髄(けいずい=首の神経)を損傷しており、救急救命の知識のない2人の不適切な搬送で状態が悪化したため、自宅に到着した午後9時過ぎの時点で既に死亡していた可能性が高いと指摘した。

 供述鑑定は、被害者を運んだ2人の話について「隣人供述には体験に基づかない兆候があり、生きている被害者を自宅土間に置いて帰ったとする核心部分は信用できない」と分析。医学鑑定の結論を補強する証拠とした。

 これに対し検察側は、澤野医師の鑑定について「遺体の状況から乖離(かいり)した仮説に過ぎない」、供述鑑定も「結論ありきの分析」と反論。「確定判決の事実認定に何ら影響を及ぼさない」と主張していた。(山口新太郎)
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●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

2021年08月28日 00時00分31秒 | Weblog

(20210718[])
西日本新聞の2月のシリーズ記事【検証「大崎事件」 アナザーストーリーを追う】(https://www.nishinippon.co.jp/serialization/the_osaki_case/)。

 《「殺人犯」は存在しない? 解決したはずの殺人事件にショッキングな疑惑が浮かんだ。40年前に鹿児島県で起きた「大崎事件」を、調査報道で追う》。

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

 《殺人などの罪で懲役10年が確定、服役した原口アヤ子さん(92)が一貫して無実を訴え、再審を求めてきた大崎事件は発生から40年が過ぎた。3度目の請求で地裁、高裁が再審開始を認め、開くかに見えた「再審の扉」は昨年6月、最高裁で閉ざされるという異例の経過をたどっている》。最「低」裁だけが、こだわる〝殺人〟…《被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だったのではないか、と》。

 以前の引用から。中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)によると、《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》
 「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)
   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を
     見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》

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https://www.nishinippon.co.jp/serialization/the_osaki_case/

検証「大崎事件」 アナザーストーリーを追う

 「殺人犯」は存在しない? 解決したはずの殺人事件にショッキングな疑惑が浮かんだ。40年前に鹿児島県で起きた「大崎事件」を、調査報道で追う。


連載目次

 1 殺人なき遺体遺棄事件? 揺らぐ死因 #鑑定①
   2020/2/17 6:00

 2 驚きの展開 鑑定は訂正されていた #鑑定②
   2020/2/18 6:00

 3 不可解な「空白の30分」 #被害者①
   2020/2/19 6:00

 4 「空白」をつなぐ目撃者に会う #被害者②
   2020/2/20 6:00

 5 「虚像」? 泥酔は本当か #被害者③
   2020/2/21 6:00


https://www.nishinippon.co.jp/item/n/584658/

殺人なき遺体遺棄事件? 揺らぐ死因 #鑑定①
2020/2/17 6:00 (2021/5/17 21:55 更新)

 殺人などの罪で懲役10年が確定、服役した原口アヤ子さん(92)が一貫して無実を訴え、再審を求めてきた大崎事件は発生から40年が過ぎた。3度目の請求で地裁、高裁が再審開始を認め、開くかに見えた「再審の扉」は昨年6月、最高裁で閉ざされるという異例の経過をたどっている。3月末に予定される第4次請求を前に、現場を訪ねた。
 事件は1979年10月12日に起きた。鹿児島県大崎町で、被害者の四郎さん=当時(42)=が酒に酔い自転車ごと側溝に転落。路上に倒れている姿で発見される。被害者宅の近くに住む男性2人が迎えに行き、1・1キロ離れた自宅へ軽トラックで連れ帰った。

     (現場地図)

 横たわる被害者を最初に見つけた西崎良一さん(61)に話を聞くことができた。当時21歳。「車で徐行しながら見て父親の知人だと気付き、すぐに父親に知らせた。けがや出血はない様子でした」と振り返る。
 自宅まで運んだ2人は、当時47歳のIさんと37歳のTさん。被害者は側溝に落ちたためか、びっしょりぬれていた。40年前に軽トラが通った道を、車で走った。農地が広がる風景は、東九州自動車道の建設工事が進んだ以外は当時とあまり変わっていないという。

     (「この辺りに倒れていました」と語る西崎良一さん。
      右側が、被害者が自転車ごと転落したとみられる側溝
      =1月、鹿児島県大崎町)

 わずか1キロ余り。被害者宅があった所まで数分。被害者の長兄でアヤ子さんの夫だった一郎さん=当時(52)、次兄の二郎さん=同(50)=の自宅も同じ敷地内にあった。転落事故の3日後、被害者宅の牛小屋から遺体が発見される。その後、アヤ子さん、一郎さん、二郎さん、その息子の太郎さん=同(25)=が相次いで逮捕された。

     (大崎事件相関図)

 車を止めて100メートルほど歩くと、竹と雑木に囲まれた空間に出た。一角に朽ちた小屋。「アヤ子さん宅の物置でした」。彼女の支援者、武田佐俊さん(76)が教えてくれた。左手に被害者方と牛小屋があったというが、やぶに覆われて前に進めない。住人がいなくなった一帯は、人を寄せ付けない雰囲気だった。
 被害者は倒れていた地点から車で自宅へ運ばれた-。ここまでは事件当日の出来事として、アヤ子さんら4人を有罪とした確定判決と、冤罪(えんざい)の可能性を認め再審開始決定を出した福岡高裁宮崎支部決定(2018年)は一致する。
 その後の犯行ストーリーは異なる。確定判決は、自宅土間に放置された被害者がアヤ子さんら3人にタオルで絞殺され、太郎さんを加えた4人によって堆肥に埋められた、と認定した。
 一方、高裁は新証拠を基に「アナザーストーリー」に踏み込む。被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だったのではないか、と。
 筋書きを分けた「自宅到着後」。一体、何があったのか。
 大崎事件は1980年の一審判決で「親族間で起きた殺人・死体遺棄事件」と認定され、確定した。
 原口アヤ子さん(92)の当時の夫で長兄の一郎さん、次兄の二郎さん、被害者の四郎さんの3兄弟はいずれも農家で、自宅も隣接していた。酒飲みだった被害者はトラブルを起こすこともあり、兄たちとの仲は良くなかったという。
 事件発生の79年10月12日。確定判決によると、酔いつぶれた被害者が自転車ごと側溝に転落、連絡を受けた隣人のIさんとTさんが午後9時ごろ車で連れ帰る。2人は被害者を土間に運び、帰宅する。
 連絡を受けたアヤ子さんはIさん宅に謝罪に行き、被害者宅へ。「泥酔して土間に座り込む姿を見て日頃の恨みが募り、殺害を決意」「一郎さんと二郎さんに持ち掛けて午後11時ごろにタオルで首を絞めて殺害し、翌13日未明、二郎さんの息子の太郎さんにも頼んで遺体を牛小屋に運び、堆肥に埋めた」-これが確定判決による犯行の流れだ。
 警察の調べに対し一郎さんと二郎さんは、タオルで首を絞めたと「自白」。(1)死因は「首の圧迫による窒息死」とした鹿児島大教授による法医学鑑定(2)「共謀の場面を見た」とする二郎さんの妻の目撃供述-で裏付けられたとされた。

     (被害者宅があった辺りを指さす武田佐俊さん。
      右手はアヤ子さん方の朽ちた物置小屋
      =1月、鹿児島県大崎町)

   ◇    ◇

 3度目の再審請求で弁護団は東京医科大の吉田謙一教授による新鑑定を提出した。遺体の解剖所見や写真、死亡前の行動を分析し、死因は「窒息死ではなく、自転車ごと側溝に転落した事故による出血性ショック死の可能性が高い」。「タオルによる絞殺」という自白の信用性を揺るがす新証拠だった。
 2018年の福岡高裁宮崎支部決定は吉田鑑定を基に「被害者は自転車転落事故により、自宅に運ばれた際には出血性ショックで死亡するか、瀕死(ひんし)状態だった可能性が相当程度ある」と指摘した。Iさん、Tさんは「被害者を土間に置いた」と供述していたが、その時、そもそも被害者は生きていたのか-。確定審で信用性が問題になることはなかった「第三者」の2人の供述内容に、吉田鑑定が疑問を差し挟む形になった。
 吉田鑑定を認めれば「土間で座り込む被害者に(アヤ子さんが)殺意を抱く」場面から始まる確定判決の筋書きは成り立たない。高裁は「既に死亡していた被害者が『何者か』によって堆肥に埋められた」というアナザーストーリーに踏み込み、再審開始の結論を導いた。

     (確定判決と高裁の犯行ストーリーの違い (1979年10月12日午後))

   ◇    ◇

 これに対し最高裁は、高裁の推認通りであれば「堆肥に埋めたのは最後に被害者に接触したIさん、Tさん以外に想定し難いことになるが、それは証拠上、全く想定できない」と一蹴。Iさん、Tさんの供述内容や共犯者の自白、親族の目撃供述について「相互に支え合っており、供述の変遷に問題があることを考慮しても、信用性は相応に強固だ」として確定判決を「支持」した。
 再審に詳しい元東京高裁裁判長の門野博氏は「搬送した被害者の死亡に驚いて、予想外の行動に出てしまう可能性は全く考えられないだろうか。最高裁は致命的な誤りを犯していないか」と疑問を投げ掛ける。 (親族、関係者は全て仮名。いずれも故人)

   ■    ■

 大崎事件は地裁で2回、高裁で1回の計3回、再審開始決定が出た。「これを取り消さなければ著しく正義に反する」とまで言い切った最高裁決定(小池裕裁判長)は正しかったのか。25年に及ぶ再審請求の歳月で積み上げられた証拠を基に検証する。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/584965/

驚きの展開 鑑定は訂正されていた #鑑定②
2020/2/18 6:00 (2021/5/30 16:43 更新)

     (城哲男氏が証人尋問で事故死の可能性に言及したことを
      1面で報じた1997年7月10日付の南日本新聞)

 変死体が発見された場合、その状況と併せて「死因」が事実を知る鍵を握る。殺人事件なのか、殺害方法はどうだったのかを、遺体から探る。大崎事件も例外ではなかった。
 確定審では、被害者の遺体を解剖した鹿児島大の城哲男教授(当時)による「城旧鑑定」がその役割を担った。(1)死因は窒息死を推定(2)頸部(けいぶ)内部の組織間出血は頸部への外力作用を推測させ、他殺と想像する-との内容。原口アヤ子さん(92)の元夫らが自白した「タオルによる絞殺」を裏付ける証拠とされた。
 一方、2015年の第3次再審請求で弁護団は東京医科大の吉田謙一教授による法医学鑑定書を新証拠として提出。吉田鑑定は「自転車転落事故による出血性ショックの可能性が高い」とした。これが正しければ「タオルによる絞殺」と認めた確定判決は誤りになる。司法判断は分かれた。
 福岡高裁宮崎支部は18年、吉田鑑定の信用性を認めて再審開始を決定。最高裁は昨年6月、この決定を取り消し、吉田鑑定を否定して「自白の信用性は強固」と結論付けた。ならば、被害者の死因は城旧鑑定の指摘通り「窒息死」でなければならない。
 実は第1次再審請求の段階で驚く展開があった。城氏が再度鑑定し、自らの鑑定を「訂正」していた
 1997年7月。当時82歳の城氏の体調を考慮して宮崎地裁都城支部であった出張尋問で語っている。

「旧鑑定では(堆肥に埋まっていた遺体の)状況で他殺であろうと一部先入観を持たされていたから、新鑑定では先入観をよけた。自転車で側溝に転落すれば、頸椎(けいつい)損傷で死亡することもありえる

 その上で、こう認めた。「今の時点では、他殺か、事故死かは分からないというのが正しいですね」。旧鑑定当時は自転車転落事故のことを警察から聞いていなかったと、新鑑定書に明記していた。
 4カ月後、城氏はがん性腹膜症のため死去した。なぜ弁護団の求める新鑑定を行い、証人尋問にも応じたのか。九州大法医学教室出身の城氏の後輩で、本人をよく知る九州大の池田典昭教授は「法医学者として、確定判決への疑問があったのだと思う」と語る。
 この城旧鑑定について最高裁決定は「被害者の遺体は、頸部圧迫の他に著しい所見を認めないので窒息死を推定するほかない、というものにすぎず、死因を断定するものではなかった」としている。
 もともと弱い証拠だから、それが崩れても影響は小さいという論理-。だが、最高裁が「信用性は強固」と言い切る自白が、法医学の裏付けを欠いていることは確かだろう。
 客観的裏付けを失った以上、最高裁は自白自体に疑わしい点がないか精査すべきだったのではないか。決定文14ページのうち、6ページの「当裁判所の判断」に、その痕跡は見当たらない。


https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585283/

不可解な「空白の30分」 #被害者①
2020/2/19 6:00 (2021/6/5 12:28 更新)

     (事件当日の被害者の足取り(1979年10月12日午後))
     (被害者が自転車ごと転落したとされる側溝付近=1月、鹿児島県大崎町)

 殺人事件ではなく、自転車ごと側溝に転落したことによる事故死だったのではないか-。仮にそうなら、大崎事件は冤罪(えんざい)ということになる。裁判記録を基に、事件当日の被害者の「足取り」を追ってみた。
 1979年10月12日。被害者は朝から酒を飲み、午後から外出。午後6時ごろ、自宅から1キロ余り離れた路上に倒れているのが見つかり(❺)、近所のIさんとTさんが午後9時ごろ自宅に連れ帰ったとされる。外出後、雑貨店を訪ねたり(❶❹)、自転車を押したり(❸)する姿が目撃されている。
 午後3時半ごろには、自宅前で酒気を帯びて車を運転し(❷)、警察官から注意されたことも確認できた。
 不可解なことがあった。午後5時半ごろ、雑貨店で店主と会話をしていた被害者(❹)が、わずか30分後、店から約300メートルしか離れていない路上で倒れ、寝ていた(❺)という点だ。
 確定判決によると、被害者はその後「酔いつぶれて前後不覚のまま」自宅に運ばれ、殺害時刻とされる午後11時ごろの段階でも「自宅の土間に座り込み泥酔のため前後不覚だった」と認定されている。泥酔状態が午後6時から11時まで、実に5時間も続いた計算になる。いつ、どこでそんなに飲酒したのか。
 「泥酔」の一番の根拠は被害者を連れ帰ったIさんらの供述だった。路上に倒れていたときの様子を「物事を言える状態ではなく、1人で立つこともできない泥酔状態でした」と説明していた。
 当時の目撃者の裁判記録も調べた。目撃情報のない「空白の30分」を挟む前後の様子はこうだ。
 午後5時半ごろ、被害者が雑貨店に立ち寄る(❹)。焼酎の2合瓶2本、タマネギ1袋を「ツケで売ってほしい」と頼み、断られるが「そげん言わんで」と言って持ち帰った。「話しぶりからは、そう酔っている様子はなかった」(雑貨店主の記録)
 午後6時ごろ、同店から約300メートルの場所で、車で通行中の当時21歳の男性に発見される(❺)。「被害者が自転車もろとも倒れ、寝ていたらしい」。これは男性本人の記録ではなく、男性から話を聞いた父親の話として記録に残る。息子の説明に「泥酔」はない。
 どうだろうか。「そう酔っている様子はなかった」被害者が、わずか30分後、路上に倒れていた。雑貨店で買った焼酎のせいか。転落現場に転がっていた2合瓶2本のうち「1本は封を切っておらず、1本は半分ほど残っていた」とIさんは警察に供述している。
 被害者が道路に横たわっていたのは、泥酔ではなく転落事故の影響だったのではないのか。既に紹介したように、2人の法医学者も「事故死の可能性」を指摘している。当時を知る目撃者2人を訪ねた。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585580/

「空白」をつなぐ目撃者に会う #被害者②
2020/2/20 6:00 (2021/6/17 21:18 更新)

     (事件当日に被害者が通ったとみられる付近=鹿児島県大崎町)

 元気だった被害者がわずか30分後、300メートルしか離れていない路上で倒れていたのはなぜか-。被害者の当時の様子を聞くため「空白の30分」をつなぐ目撃者2人を訪ねた。
 被害者が最後に元気な姿を見せた雑貨店は、当時と同じ場所にあった。幸運にも、40年前に接客した店主(76)に会えた。「焼酎好きでね、よく来られてましたよ」。事件当時を驚くほど覚えていた。
 当時の供述記録には、こうある。

<「銭を持ってきておらん。焼酎をツケで売ってくれ」と言うので断ると、「そげん言わんで」と持参の袋に無断で入れた。私が盗むのをやめるように言うと、「今までツケを払わなかったことがあるか。貸してくれよ」と申された>

 このやりとりを店主に聞いてみた。「盗むということではないですよ。ツケにしてください、という話でした」と振り返った。供述記録とは微妙にニュアンスが異なる。
 供述記録はこう続く。

<店の品を盗むような人ではなかったので酔いすぎかなと思ったが、話しぶりや態度から、そう酔っている様子ではなかった

 深酒状態ということか。

「いや、そうじゃないですよ。ちょびちょび飲まれている状況だから。うん、飲んでらっしゃるという感じがするわけです」「いつもここで飲んで、ちょっといい気分になって帰るという感じでしたね」

 事件発生は1979年10月12日。来店した午後5時半段階では、確定判決が認定する「泥酔」の印象はない。30分後、突然路上に倒れていた理由は、やはり自転車事故の影響ではないのか。そうであるならば、共犯者が自白した「タオルによる絞殺」と矛盾する可能性が高まる。

     (事件当日に被害者が通ったとみられる付近=鹿児島県大崎町)

 もう1人のキーマンは、午後6時ごろ、自宅そばの路上に横たわる被害者を最初に発見した西崎良一さん(61)。当時の自宅で今も暮らす。玄関払いも覚悟していたが、来意を告げると居間に通された。

「路上に寝転んでいた記憶はありますよ。車で走っていて50メートルほど手前から見えた。顔も分かった。牛の世話の関係で、うちのおやじの知り合いでした。そのまま通り過ぎ、おやじに知らせた。体がぬれている印象で、酔っぱらって小便して寝ていると思った」

 出血やけがはなかったのか。

「なかったですね。なぜすぐに救護しなかったのか? 酒癖が悪い人だと聞いてましたから、絡まれたくなくて通り過ぎました。でも出血していたら、さすがに助けますよ」

 こんな話もした。「当時刑事さんがここに来て、おやじと一緒に調書を取られました」。そこには何が書かれているのか。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585867/

「虚像」? 泥酔は本当か #被害者③
2020/2/21 6:00 (2021/7/11 12:38 更新)

     (事件当日に被害者が買った銘柄の焼酎。当時購入した
      「大金の露」の2合瓶は現在なく、写真は1合瓶)

 路上に倒れた被害者を最初に発見した西崎良一さん(61)は、再審請求審の重要証人といえた。倒れていた理由は、確定判決の認定通り「泥酔」だったのか、それとも側溝への自転車転落事故で瀕死(ひんし)状態だったのか。もし事故の影響による死亡なら、原口アヤ子さん(92)の元夫らの自白(タオルによる絞殺)も、それを証拠にした確定判決も成り立たなくなる。
 第1次再審請求の2001年、弁護側の求めにより、鹿児島地裁で西崎さんの証人尋問が行われた。
 「倒れている被害者を車を止めて見たのか、通りすがりに見たのか」。弁護人に問われ「止めて見たと思う」と答えたが、「降車して近寄って見たのか」と詰められると「はい、いや…だと思います」。発言が揺れていた。尋問当時で事件から22年。記憶に曖昧な部分があるのは無理もない。
 倒れていた被害者の様子については「酔っていた記憶がある」と説明。その理由を聞かれ「焼酎の瓶か何か知らんけど、開けたものが断片的に記憶に残っているんです」と答えた。

   ◇    ◇

 今回の取材で、西崎さんには2回会った。1月22日の初訪問の際は、うかつにも大切な点を聞き忘れており、翌々日に再訪した。
 なぜ被害者が酔っていると分かったのか。証人尋問でも弁護人が入念に尋ねていた点だ。「あの時、私は車から降りていません。徐行しながらのぞきこんだ。酒癖が悪いという話を聞いてたから、その先入観が入っていたと思いますよ」。「泥酔」を確かめていたわけではなかったのか。
 当時西崎さんから連絡を受けた父親も約1時間後、同じ場所で被害者を目撃。だが、確認できた父親の供述記録は、アヤ子さんの元夫らの逮捕から6日後のものだった。泥酔については「被害者が泥酔して道路に寝込み、自宅に連れ帰られたことは聞いて知っているのです」と、出所が定かでない記述があるだけだ。
 「人間の記憶は意外なほどもろい」。目撃供述に詳しい今村核弁護士(東京)に別の事件の取材で教わった注意点だ。目撃後、さまざまな暗示の影響で記憶が上書きされ、本人もそれに気付いていないことが珍しくない。西崎さんの話も、19年前の証人尋問よりも今回の方が記憶が鮮明な点は気になった。
 ただ、もう一人の目撃者である雑貨店主の話からも、酔いつぶれて道路に寝ていた-という被害者像が「虚像」であった疑いは拭えなかった。
 「当時刑事さんが自宅に来られ、調書を取られた」と西崎さんは言った。この説明は19年前と同じ。存在が確かな供述調書に何が書かれているのか。16年の裁判所の開示勧告に対し、検察側は「廃棄されたと思われる」と回答した。

   ■    ■

 「泥酔して自宅土間に放置された被害者をアヤ子さんが目撃した」という場面から始まる確定判決の犯行ストーリーは、被害者を運び込んだ「IさんとTさん」の供述が土台になった。次は2人の供述を詳しくみていく。
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●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

2020年07月22日 00時00分54秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)。

 《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》。

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》

 「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/

風向計
裁判の公正らしさとは 中島邦之
2020/6/26 11:00
西日本新聞 オピニオン面 中島 邦之

 裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断するこれは、公正と言えるだろうか

 裁判には公正らしさが求められる。「公正らしさ」とは何か。「裁判官が国民に信頼されるには中立・公正であることが必要だが、それは裁判官の心の中にあり、外からは見えない。外形的にそれを担保するのが、外から公正だと見える公正らしさ」。元裁判官で法政大法科大学院の水野智幸教授(刑事法)はこう説く。

 滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。

 弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る。

 刑事訴訟法は、通常審の一審や二審を担った裁判官が、上級審に関与することを禁じる。ところが、再審を始めるか否かを審理する再審請求審には定めがない。最高裁は59年、禁止とはしなかった。背景には、再審は通常審からつながる「上訴」ではないという論理があるとされる。

 だが、水野氏は解説する。「75年の最高裁決定によって、再審請求審では新旧の全証拠を総合評価することになり、上訴に近い性格を持つようになった。それ以前の59年の判例が今も妥当かは疑問」。その上で「裁判の公正らしさを損なわないよう、長井氏本人が回避すべきだ。しない場合は、裁判所が担当を変更するなど対応すべきだ」と指摘する。

 同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた

 根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。 (社会部編集委員)
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●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》

2020年04月29日 00時00分31秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]


西日本新聞のコラム【〈風向計〉コロナ禍と大崎事件 中島邦之】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603202/)。

 《これは当然なのだが、他の大切なニュースの影が薄くなっているのが気になる。例えば、森友学園公文書改ざん問題自殺した財務省近畿財務局職員の「改ざんは本省幹部の指示だった」とする手記公表後も、この問題の再調査を安倍晋三首相や麻生太郎財務相が否定している件などだ。可能な限りの自宅勤務を求められる中、私がチェックしているのが、映画監督の周防(すお)正行さんが「あたいはやっちょらん大崎事件第4次再審請求・糾(ただ)せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げたクラウドファンディング(CF)だ》。

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を処罰しない
              という強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
        《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?

 《あたいはやっちょらん》…冤罪・大崎事件大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と仰っていた。三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し、という前代未聞。検察・警察・裁判所、ニッポンの行政と司法はこれでいいの?

   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
     裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603202/

コラム
風向計
コロナ禍と大崎事件 中島邦之
2020/4/24 11:00

 新型コロナウイルスの感染拡大で、新聞の紙面も、テレビのニュース番組も、コロナ関連で埋まる日が続く。これは当然なのだが、他の大切なニュースの影が薄くなっているのが気になる。例えば、森友学園公文書改ざん問題自殺した財務省近畿財務局職員の「改ざんは本省幹部の指示だった」とする手記公表後も、この問題の再調査を安倍晋三首相や麻生太郎財務相が否定している件などだ。

 可能な限りの自宅勤務を求められる中、私がチェックしているのが、映画監督の周防(すお)正行さんが「あたいはやっちょらん大崎事件第4次再審請求・糾(ただ)せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げたクラウドファンディング(CF)だ。

 1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった大崎事件で殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(92)の再審無罪に向け、弁護団の活動資金を募る。3月24日のプロジェクト開始から、わずか10日間で当初の目標額500万円を突破した。

 周防監督は痴漢冤罪(えんざい)事件を題材にした映画「それでもボクはやってない」で知られ、法務省の法制審議会特別部会委員を務めるなど日本の刑事司法の問題点を訴えてきた。アヤ子さんの長女と弁護団が第4次再審請求を申し立てた3月30日には、鹿児島市に駆けつけ、集会で「この事件のことを、とにかく多くの人に知ってほしい」と訴えた。

 大崎事件は25年前の第1次請求後、過去3回も再審開始決定が出た。そのたびに検察官が抗告し、上級審で覆されてきた。特に、昨年6月の最高裁決定は、地裁と高裁がともに認めた開始決定を取り消した初のケースとみられる。その証拠評価や事実認定のおかしさは、私も検証取材の中で痛感した。高齢のアヤ子さんの生のあるうちの名誉回復を目指す弁護団の活動資金はほぼ手出し。他の仕事ができず事務所が昨年、1千万円の赤字だった弁護士もいる。

 CFは1千万円を次の目標に定め、6月16日まで寄付を募る。「アヤ子さんの再審無罪と再審制度の法改正を実現するためさらなるご支援を」と周防監督は呼び掛ける。

 最初の目標額達成後、寄付の集まりは鈍っているようだ。いや、違う。感染が拡大し多くの人の収入が減り生活が脅かされる中で、500人が803万円(23日現在)を寄せたことは、真実究明への期待の大きさとみるべきだろう

 まずは外出自粛と「3密」の徹底回避で感染を収束に向かわせよう。「日常」に戻らなければ再審の審理も進まない。 (社会部編集委員)
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●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

2019年08月21日 00時00分38秒 | Weblog


マガジン9のレポート【伊藤塾 明日の法律家講座レポート/冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明氏】(https://maga9.jp/190807-4/)。

 《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。

 是非、ご一読ください。裁判官だけでなく、検察官・弁護士への重要なメッセージを含みます。

 大崎事件について、木谷明さんは「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」と、裁判所を批判。木谷さん自身は、《裁判官時代に約三十件もの無罪判決を書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった》そうだ。
 その木谷さんからの重要なメッセージ、《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。裁判官・検察官・弁護士、それぞれと立場を考えた重いメッセージが続く。さらに、結論。《最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っています。それは、法曹三者、いずれにも共通です。冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です》。

   『●PC遠隔操作…事件…
    《後から「発見」された証拠の危険性 これに続いて、元東京高裁判事で
     現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した
     再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。
     それは、かの有名な白鳥事件。…袴田事件でも、有罪の決め手の1つ
     である血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、
     事件から1年2か月も経ってから。…やはり再審請求中の狭山事件でも、
     石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった
     被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、
     有罪証拠に使われた》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
     「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    「《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。
     木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。
     4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという」
    《元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を
     書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の
     著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある…》
    《「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも
     例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、
     再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。
     再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない

   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
     裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

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https://maga9.jp/190807-4/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明
By マガジン9編集部  2019年8月7日

1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」について、先日(2019年6月26日)、最高裁判所が一審、二審の決定を覆し再審請求を認めない決定をしたことが社会に大きな衝撃を与えました。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%以上と言われており、いったん有罪判決が確定した後に新証拠を提出して行う再審手続は、針の穴に駱駝を通すより難しいとさえ言われているそうです。

今回の講演では、元高等裁判所判事で弁護士の木谷明先生に、具体的な再審事件(恵庭OL殺人事件)を例に引きながら、刑事裁判の現実の姿を明らかにするとともに、冤罪を阻止・根絶するために法曹が果たすべき役割・責任についてお話しいただきました。[2019年7月13日(土)@渋谷本校]


決して「ひとごと」ではない冤罪事件

 ある日、突然、あなたが身に覚えのない罪で警察に連れて行かれたと想像してみてください。いくら弁解しても受け付けてもらえず、釈放してもらえません。最大23日間、家族や社会から断絶され、厳しい取調べが続く中で、あなたは否認を貫くことができるでしょうか。現実には、警察の厳しい取調べと誘導によって自白してしまう人は少なくありません。
 いったん自白してしまえば、検察は警察の作った自白調書が正しいものとして質問してきます。そして、起訴されてしまった場合の有罪率は99.9%以上です。無罪判決は1000件に1件もありません。残念ながら、「公明正大な裁判官なら自分の言い分をちゃんと聞いてくれるだろう」という期待は、よほどの幸運に巡り合わない限りかなわないのです。
 冤罪事件はたくさんあります。特に痴漢事件など比較的刑の軽い事件では、警察に「認めたら罰金にしてやる」と言われて嘘の自白をしてしまう人がたくさんいます。死刑や無期懲役に当たる重罪ですら、冤罪は決して珍しくありません。では、冤罪をなくすために法曹は何をすべきでしょうか。今日は私が現在弁護の一角を担っている「恵庭OL事件」を例にお話したいと思います。


恵庭OL事件とは

 2000年3月17日の朝、北海道恵庭市の雪原上で全身真っ黒こげになった女性の死体が発見されました。解剖の結果、犯人は被害者の首を絞めて殺害したうえ、車で死体を運び灯油をかけて火をつけたと想定されました。
 死体発見前夜の午後11時15分頃、現場近くに住むHさんが犬の散歩に出た際に、現場方向に数メートルに及ぶ大きな炎が立ち上がるのを見たという目撃証言がありました。Hさんの証言によると、散歩中にも現場方向に2回大きな炎を見ており、帰宅後の12時5分頃には最初に見た炎の3分の1ほどの大きさになっていたそうです。
 現場付近からタイヤ跡や複数の足跡が検出されたものの犯人の目星はつかなかったのですが、警察がさらに捜査を進めると、被害者A子さんは会社の同僚のOさんと、ある男性社員を挟んで三角関係にあったということが分かりました。
 事件当日の3月16日、A子さんとOさんは夜9時半頃に連れ立って会社から帰っています。Oさんが言うには、その後駐車場で別れた後はA子さんには会っていないそうです。しかし、OさんがA子さんに対し嫌がらせの無言電話をかけていたことや、Oさんが事件前日に灯油10リットルを買っていたことなどから、警察は三角関係のもつれからOさんがA子さんを殺したと想定しました。
 警察による厳しい取調べが1ヶ月ほど続き、精神状態が不安定になったOさんは神経科に入院してしまいましたが、退院後に逮捕勾留され、5月23日に起訴されました。何かの因縁でしょうか、2000年5月23日というのは私が裁判官を辞めた日でした。


間接事実による立証の難しさ

 この事件では犯人を特定するための直接証拠がないため、間接証拠によって事実を認定しなければなりません。これはなかなか難しい作業です。
 Oさんが犯人だとする想定を根拠づける積極的間接事実として、事件前夜に購入した灯油の処分方法についてOさんが嘘をついていたことが非常に重要視されました。Oさんは警察が自分を疑っていると知って怖くなり購入した灯油を捨ててしまっていたのですが、後に灯油を持っていた方が無実の証明になるのではないかと考え直し、再度灯油を購入し、それを事件前夜に買った灯油だと言い張っていたのです。弁護士がその事実を知ったのは公判が始まってしばらく経ってからでした。
 他方、Oさんを犯人と認める上で障害となる消極的間接事実としては、後に述べるアリバイのほかに、物理的にOさんにA子さんが殺せるのかという問題があります。OさんはA子さんより体格的に劣るうえ、短指症で右手の握力が極めて弱いという障害があります。そのような人が後部座席から助手席に座った女性を殺すことが出来るのでしょうか。仮に殺せたとして、50kg以上もある死体を一人で車から降ろして現場まで運べるでしょうか。現場からは引きずり痕もOさんの靴に合う足跡も見つかっていません。また、Oさんの車内にもA子さんの髪の毛や血液、指紋、DNAなど一切ありませんでした。検察はOさんが車内の清掃をしたのだろうと言いますが、いくら掃除したつもりになっても、痕跡を何一つ残さないということは事実上不可能と考えるべきです。


検察による証拠の偽装工作

 私が決定的だと思うのは、Oさんのアリバイの問題です。Oさんについては、事件当日の午後11時36分頃に現場から15km離れたガソリンスタンドで給油したという給油伝票が発見されました。しかし、付近の住民Hさんは、死体発見当日の事情聴取で、「午後11時15分ころ、死体焼損現場方向から大きな炎が上がるのを見た」という明確な供述をしています。ですから、もしOさんが犯人であれば、この給油伝票の記載を前提としても、Hさんが大きな炎を目撃した午後11時15分からわずか20分の間に街路灯のない雪道を移動しなければなりません。
 検察は20分もあれば十分移動できると言いましたが、実際に実験してみると25分ほどかかりました。しかも控訴審段階になって、マスコミの報道から、正確な給油時刻が記録された防犯ビデオの存在が発覚し、これによって、Oさんが給油を受けた時刻は11時31分であることがはっきりしたのです。検察は、防犯ビデオを隠した上で、給油伝票に記載されている時刻が誤ったものであることを知りながら、その給油伝票を証拠として提出して、虚偽の主張・立証をしていたことが分かりました。
 それだけでは不安だったのでしょうか、検察は目撃者Hさんの初期の供述調書も隠していました。取調べの初期の頃、Hさんは、「犬の散歩を終わって帰宅するまでの間に、何度も大きな炎が上がるのを見た」「帰宅後の12時5分頃にも、最初に見た3分の1くらいの炎を見た」とされていたのです。10リットルの灯油は、3~4分もすれば炎が小さくなって遠方から見えない状態になることが明らかなので、Hさんの初期供述によると、犯人は途中で灯油を継ぎ足しながら1時間くらい現場で死体を燃やしていたことになります。こうなるとOさんのアリバイは完全に成立してしまいます。これでは都合が悪いので、検察はHさんを繰り返し尋問し、最初の目撃時刻を曖昧にさせたり、「その後何度も炎を見た」という記述を消させたりした後、最終的に起訴直前に作成した検察官調書だけを証拠として提出しました。そのため、弁護人は、HさんがOさんの「完全なアリバイを証言している事実」を知らないまま一審判決を受けさせられたのです。
 他方、A子さんのロッカーキーがOさんの車から見つかったという問題は、一見するとOさんが犯人だということを裏付ける事情になりそうです。判決によると、Oさんの車内の捜索中にグローブボックスからロッカーキーが出てきたのでA子さんのロッカーを開けてみたら開いた、と認定されています。しかし、A子さんのロッカーはふだんから鍵をかけられておらず、鍵はロッカー内に放置されていたのです。そのような状況の中、事件当日にA子さんが、この日に限ってロッカーキーを持って出たと考えるのは不自然です。仮に持ち出したとしても、Oさんがそれを奪う必要がどこにあったのでしょうか。さらに、検察が言うようにOさんが殺人の痕跡を消すために車内を完璧に掃除したのであれば、なぜロッカーキーだけが車内に残っていたのでしょうか。こういう疑問を辿っていくと、この問題は、「警察が事前にA子さんのロッカーからキーを持ち出し、それをOさんの車内捜索中にグローブボックスに置いて、あたかもそこから発見されたという外観を作り出したのではないか」という疑問に行き着きます。そして、私はそれが最も合理的な推測であると思います。


なぜ裁判官は判断を誤ったのか

 ロッカーキーの問題について、裁判所は、警察が令状なしにOさんの車内からキーを持ち出した点については令状主義に違反すると認めているのですが、ロッカーキー自体の証拠能力は認めています。そして、裁判所は、警察がA子さんのロッカーからキーを持ち出してOさんの車に置いた(つまり、証拠を捏造した)という弁護人の主張を認めません。裁判所は、正義のために仕事をしている警察や検察が、証拠を捏造するなんて有り得ないと思っているのです。しかし、検事ですら物的証拠を捏造することがあり得ることは、村木厚子さんの郵便不正事件で実証済みです。
 Oさんのアリバイを巡る問題は、証拠開示に関する重大な問題を孕んでいます。弁護側が、正確な時刻が記録されている防犯ビデオの存在を知り証拠開示を求めることができたのは控訴審に入ってからです。また、Hさんの初期供述調書は、確定審では遂に開示されず、それが開示されたのは、再審段階に入ってからでした。つまり一審裁判所は、防犯ビデオの存在もHさんの初期供述調書の存在も知らずに、犯人は死体に火をつけたらすぐに現場から逃げたとしてOさんを有罪と認定したのです。基本的に控訴審もそれを踏襲し有罪判決が確定しました。
 なぜ裁判所はそのような不合理極まりない判断をしたのでしょうか。そこで思いつくのがOさんの嘘の問題です。裁判所は嘘をつく被告人は犯人だと思い込むことが多いです。しかし、犯人として疑われて追いつめられた無実の人間が窮地を脱しようとして嘘をついてしまうことはよくあります。これまでの冤罪事件においても、多かれ少なかれ嘘をついている被告人は多いのです。嘘をついているからといって犯人と決めつけると重大な間違いが起こることはこれまでの冤罪の歴史ではっきりしているのですから、裁判所はそのくらいのことは勉強してくれなければ困ります。
 いま、この事件は第二次再審請求が特別抗告審に係属している段階です。弁護団は、次々に最高裁へ補充書を提出していますが、果たして最高裁が聞く耳を持ってくれるでしょうか大崎事件についてあんなにひどい決定が出てしまったので、情勢は決して楽観できる状況ではありませんが、いつかは必ずOさんの無実を晴らしてあげなければいけないと思っています。


冤罪を回避するために法曹が心がけるべきこと

 冤罪を回避するために法曹三者裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです。
 検察官は、なりたての頃はそのような気持ちで頑張りますが、無罪を出すと上司に叱られ有罪にすると褒められるという環境の中でだんだん変わっていってしまいます。しかし、立ち止まる勇気、引き返す勇気は必要です。ましてや違法捜査、違法な公判活動は絶対にやってはいけません。
 弁護士は、無実の人は自分の力で救済するんだという格別に強い意欲と熱意を持って全力でぶつかる必要があります。生半可な気持ちで型通りの弁護活動をやっているだけでは強大な権限を持った国家権力に勝てません。被疑者、被告人の言い分をしっかり聞き取って、被告人に有利な証拠を収集することに全力を尽くさなければなりません。そのためには、刑事訴訟法で与えられた権限を最大限に活用して、検察が開示していない証拠をなんとかして突き止め開示させるように努力することが大事です。
 裁判官は、まず謙虚であることが大事です。真実は神のみぞ知ると言われますが、もう一人、被告人が真実を知っています。『それでもボクはやってない』という映画を作った周防正行監督は、「裁判官は被告人に裁かれているという意識を持たなくてはならない」と言っておられましたが、全くそのとおりだと思います。そのためには、真相は被告人の言っているとおりではないのかと考えるところから出発しなければいけません。また、被告人が嘘の弁解をしたということから短絡的に有罪の判断をするということは絶対にあってはなりません。検察官や警察官も人間である以上、困ったときには違法行為に出ることはあり得るし、検察官の手元には国が公権力で集めた証拠が全部あります被告人側がそれを見るチャンスがないという状況を、なんとか変えていかなければいけません
 私はすでに81歳ですから、これからの活動にはおのずから限界があります。したがって、今後の刑事裁判の質の向上、冤罪の阻止・撲滅・根絶はこれから法曹を目指すみなさんに期待を託すしかありません。どうか、皆さん、頑張ってください。
 最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。
 冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っていますそれは、法曹三者、いずれにも共通です冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です

木谷明(弁護士、「法学館法律事務所」所属、元東京高等裁判所部総括判事、元法政大学法科大学院教授)
神奈川県平塚市出身。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1961年 大学卒業後、司法研修所に入所。1963年判事補任官(東京地裁)。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て2000年5月、東京高裁部総括判事を最後に退官。同年6月公証人(霞ヶ関公証役場)となる。2004年から2012年まで法政大学法科大学院教授を務める。著書の『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(法律文化社)は、痴漢冤罪を描いた映画『それでもボクはやってない』を撮った周防正行氏の映画作りの参考にされた。その他の著書に『「無罪」を見抜く-裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店)、『刑事事実認定の理想と現実』(法律文化社)など多数。
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●冤罪(その2/2): せめて補償を

2013年02月10日 00時00分15秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html)。CMLに出ていたリンク先の前田朗さんのブログより(http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html)。また、asahi.com(http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html)と東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html)。

 飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、何と表現して良いのかわからないが・・・・・・遺族の方たちも複雑な感情を抱いてしまうはずだ。
 どんな背景や力学が働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件足利事件・・・・・・、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。しかし、その扉は当方もなく厚い。
 もちろん、徹底した冤罪の原因解明と再発防止も。「警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか」。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html

布川事件で国家賠償請求 再審無罪の桜井さん 
2012年11月12日 13時58分

 1967年に茨城県利根町で男性が殺害された布川事件で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)が12日、当時の捜査や公判活動で捜査当局に不法行為があったとして、国と茨城県に約1億9千万円の賠償を求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。

 桜井さんは、冤罪が生まれた原因や責任の所在を明らかにし、取り調べの全面可視化や証拠開示を求めていく方針。刑事司法や捜査当局の改革も訴えていく。

 桜井さんと杉山卓男さん(66)は強盗殺人罪などに問われ、78年に最高裁で無期懲役が確定。2010年7月に再審公判が始まり、昨年5月、水戸地裁土浦支部が無罪を言い渡した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html

【社説】
新しい刑事司法 冤罪防止を最優先に
2012年12月25日

 法制審議会の特別部会は、新時代の刑事司法制度について、年明けから中間取りまとめに入る。取り調べの可視化や全面的な証拠開示などは必須である。冤罪(えんざい)防止の観点を最優先に考えるべきだ。
 「再審無罪が相次いで起きているのは、現在の刑事司法制度が深刻な“病根”を抱えているからに他ならない。 二〇一〇年の足利事件、一一年の布川事件、今年の東京電力の女性社員殺害事件…。三年連続で無期懲役が確定した人が、やり直しの裁判で「無罪」となった
 現代社会で冤罪事件がなくならないのは、重大事態だ。
 “病根”の在りかは、再審裁判の過程などではっきりしている。長時間にわたる密室の取り調べで、捜査員が自白を強要したり、自白をしない限り、身柄を拘束し続ける「人質司法」の捜査手法がまかり通っているからだ。
 裁判で検察側が被告に有利な証拠を隠したりする、現行の証拠開示の在り方にも大きな問題が潜む。とくに布川事件や東電女性殺害事件で、それがはっきりした。
 後者の場合は、被害者の体内に残っていた精液や爪にあった付着物をDNA型鑑定したところ、被告とは別人のものだと判明した。検察は裁判所に促されても「鑑定書はないなどと不誠実な姿勢だったのは非難に値する
 税金を使って、大勢の捜査員を動員し、集めた膨大な証拠は、すべて開示すべきである。全証拠リストも必要で、弁護側はそれを手掛かりに、無罪を訴える被告に有利な証拠を発見しやすくなる。
 取り調べの全面的な録画録音(可視化)は、待ったなしに導入すべきである。しかも、逮捕時からの録画ではなくて、任意で取り調べている段階からの可視化が必要だ。捜査員が自白を強いるのは、任意段階にも起きるからだ。
 四人が誤認逮捕されたパソコンの遠隔操作事件では、警察庁などが「自白の誘導や強要はなかった」とする検証結果を公表した。だが、誤認逮捕された少年は否認したら、少年院に入ると言われた」などと説明したという。こうした水掛け論にしないためにも、可視化は不可欠なのだ。
 米国の刑事裁判は、一審が無罪なら検察官は上訴できない。「疑わしきは被告人の利益にの大原則を徹底するためにも、日本でも導入の可否を真剣に検討してはどうか。「新時代」の名にふさわしい大胆な改革を求める。
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http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html

火曜日, 1月 08, 0025
「下からの司法改革」えん罪原因調査第三者機関設置運動
日弁連えん罪原因究明第三者機関WG編著

『えん罪原因を調査せよ――国会に第三者機関の設置を』
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b103234.html

9月に出た本を今頃ようやく読んだ。

<誤判もえん罪も昔の話ではない。警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか。もはや裁判所を聖域にしてはおけない。問題に正面から向き合い、えん罪原因を究明する独立した第三者機関の必要性を多面的に訴える。>

志布志事件、足利事件、東電OL事件などあいつぐ冤罪、大阪地検特捜部の証拠改竄事件などで、日本の捜査の在り方がひどいことが一般の人にも理解され始めた。冤罪原因の検証は日本ではまったく行われてこなかった。東京地検最高検おざなりの調査をしただけである。これではダメということで、福島原発事故と同様に、国会に冤罪原因究明の機関を設置しようという運動と理論の書である。

著者はみな知り合いなので推奨するのも気が引けるが、重要な本だ。

これまで代用監獄廃止、取調べの可視化、取調べへの弁護人立ち会いなどを求めてきた運動の次の課題として、ぜひ実現したいものだ。

「上からの司法改革」ばかり先行する現状に対する、「下からの司法改革」の提起としても重要だ。


目次

はしがき[西嶋勝彦]

特別インタビュー 周防正行監督に聞く
  「僕があまりにもショックを受けた日本の刑事裁判の現状を皆さんに知ってもらいたい」

第1章 “えん罪原因究明第三者機関”を考える――その必要性と要件をめぐって[指宿信]
第2章 えん罪原因の解明から刑事司法の根本的改革へ[小池振一郎]
第3章 日本版「えん罪原因究明第三者機関」はどうあるべきか[泉澤章]
第4章 えん罪原因究明第三者機関設置をめぐる憲法問題[木下和朗]
第5章 米イノセンス・プロジェクトの発展から見た日本の課題[伊藤和子]
第6章 えん罪委員会の役割――誤判の発見、組織的改革またはその両方?
       [ケント・ローチ/倉新喜訳・菊地裕子協力]
第7章 科学的証拠の強化が刑事司法の発展を促す[ピーター・ニューフェルド、
       サラ・チュー/徳永 光訳・菊地裕子協力]

[資料]
1 えん罪原因調査究明委員会の設置を求める意見書
2 えん罪事件一覧表(解説・西嶋勝彦)

執筆者・訳者紹介
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http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html

2013年2月6日(水)付
DNA型管理―法律にもとづき厳格に

 この姿勢は腑(ふ)に落ちない。すみやかに見直す必要がある。
 犯罪の捜査や裁判で、きわめて大きな意味をもつDNA型資料の取りあつかいをめぐる警察当局の対応である。
 採取、保管、利用、抹消などに関する法律をさだめ、捜査に役立てつつ、人権侵害がおきない仕組みをつくるべきだ。そんな声に対し、警察庁は「国家公安委員会規則にしたがって適正に運用しており、法制化の必要はない」と反論している。
 新しい時代の刑事司法のあり方を議論する法制審議会の特別部会でも取りあげられた。
 しかし意見が対立したまま方向性を見いだせず、先日まとまった基本構想では、別途検討すべき課題と仕分けられた。「別途」の場が、いつ、どこにできるのかははっきりしない。
 社会の治安と個人のプライバシーという、一人ひとりにかかわる大切な問題だ。
 国民の代表でつくる国会で議論し、その結論を「法律」という形で内外に明らかにして、民主的コントロールの下におく。
 それが当然のことわりではないか。役所の意向でいかようにもなる「規則」で処理し続けるのは、筋がちがう。
 警察も立法に前向きだというのが、つい最近までのおおかたの受けとめだった。
 国家公安委員長が識者を集めてつくった研究会は、昨年2月に報告書を公表している。そこには「法制化をめぐる議論を踏まえ、DNA型データベースの抜本的な拡充をめざすべきだ」とある。席上、どんな法律が考えられるか、警察側がイメージを例示したこともあった。
 それがなぜ変わったのか。
 考えられるのは、法制化によって手足をしばられるのを避けたいという思いだ。
 いざ議論になれば、採取に裁判所の令状を必要とするか▽データベースに登録する容疑者の範囲をどうするか▽冤罪(えんざい)を証明するため弁護側が利用することを認めるようにするか――などの論点が持ちあがるだろう。
 ほとんどの容疑者が任意で採取に応じている現状のほうが、当局には好都合かもしれない。登録件数は先月末の時点で34万件を超え、規則のもとで順調に「拡充」している。
 だが、外国では法律にもとづく運用が当たり前だ。国を超えた捜査協力がますます必要になる時代に、国際標準に届かないやり方が通用するのか。よくよく考えるべきだろう。
 人々の理解と支持があってこその捜査である。「信じよ。任せよでは立ちゆかない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html

【社説】
刑事司法改革 冤罪防止策を固めて
2013年2月8日

 新しい刑事司法制度の基本構想が、八日の法制審議会に報告される。冤罪(えんざい)は深刻な人権侵害だ。この反省に立つはずの改革案に、古い発想がにじんでいる。これで冤罪をなくせますかと問いたい。
 法制審の特別部会がまとめた基本構想は取り調べの可視化について、二つの案を出した。
 一つは原則として、被疑者取り調べの全過程録画を義務づけるとした。ただし、対象事件は「裁判員裁判対象事件を念頭に置き、さらに範囲のあり方を検討する」という内容だ。
 もう一つは、可視化の範囲を「取調官の一定の裁量に委ねる」という案だ。
 裁判員対象事件に限ってしまえば、起訴事件の3%にとどまる。厚生労働省の局長・村木厚子さんが巻き込まれた郵便不正事件や、パソコンの遠隔操作事件などは対象外となってしまう。対象は基本的にすべての事件に広げられるべきだ。可視化は捜査の基本だと発想を大逆転してほしい。
 また、録音・録画を取調官の裁量に任せては、違法・不当な取り調べを抑制することは到底、できまい。「裁量」の文字を入れること自体が、捜査機関側の古い体質が読み取れる。論外だ。
 身柄拘束前の任意段階でも、自白の強要などが行われる捜査実態を考えれば、逮捕時からの録画でも遅いほどである。可視化は最重点テーマだけに、捜査側の都合ではなく、冤罪防止の観点に立って考えられるべきである。
 証拠開示については、「検察官が保管する証拠の標目を記載した一覧表を交付する」案が出た。実現すれば前進になるが、「採否も含めた具体的な検討を行う」とのあいまいな表現が付いた。過去の冤罪事件でも、検察による証拠隠しが問題になった。全証拠のリスト開示は不可欠で、さらに全証拠開示に向かってほしい。
 見逃せないのが、共犯者らの情報提供と引き換えに刑を減免する「司法取引」の導入や通信傍受の拡大、さらに盗聴器を仕掛ける会話傍受の導入などの検討である。これらは警察・検察の捜査力を強化させる“道具”である。
 そもそも特別部会は、自白偏重の捜査が冤罪を生んだ経緯から設けられた。基本構想には、この反省が感じられない。仮に可視化などが中途半端な形で終わり、捜査側が新たな“武器”を得ては、本末転倒になる。今後、分科会で具体案が検討されるが、まず冤罪防止策をしっかり固めるべきだ。
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