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●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

2019年08月21日 00時00分38秒 | Weblog


マガジン9のレポート【伊藤塾 明日の法律家講座レポート/冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明氏】(https://maga9.jp/190807-4/)。

 《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。

 是非、ご一読ください。裁判官だけでなく、検察官・弁護士への重要なメッセージを含みます。

 大崎事件について、木谷明さんは「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」と、裁判所を批判。木谷さん自身は、《裁判官時代に約三十件もの無罪判決を書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった》そうだ。
 その木谷さんからの重要なメッセージ、《冤罪を回避するために法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです》。裁判官・検察官・弁護士、それぞれと立場を考えた重いメッセージが続く。さらに、結論。《最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っています。それは、法曹三者、いずれにも共通です。冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です》。

   『●PC遠隔操作…事件…
    《後から「発見」された証拠の危険性 これに続いて、元東京高裁判事で
     現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した
     再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。
     それは、かの有名な白鳥事件。…袴田事件でも、有罪の決め手の1つ
     である血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、
     事件から1年2か月も経ってから。…やはり再審請求中の狭山事件でも、
     石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった
     被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、
     有罪証拠に使われた》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
     「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    「《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。
     木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。
     4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという」
    《元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を
     書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の
     著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある…》
    《「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも
     例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、
     再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。
     再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない

   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
     裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

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https://maga9.jp/190807-4/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
冤罪の阻止・根絶と法曹の責任 講師:木谷明
By マガジン9編集部  2019年8月7日

1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」について、先日(2019年6月26日)、最高裁判所が一審、二審の決定を覆し再審請求を認めない決定をしたことが社会に大きな衝撃を与えました。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%以上と言われており、いったん有罪判決が確定した後に新証拠を提出して行う再審手続は、針の穴に駱駝を通すより難しいとさえ言われているそうです。

今回の講演では、元高等裁判所判事で弁護士の木谷明先生に、具体的な再審事件(恵庭OL殺人事件)を例に引きながら、刑事裁判の現実の姿を明らかにするとともに、冤罪を阻止・根絶するために法曹が果たすべき役割・責任についてお話しいただきました。[2019年7月13日(土)@渋谷本校]


決して「ひとごと」ではない冤罪事件

 ある日、突然、あなたが身に覚えのない罪で警察に連れて行かれたと想像してみてください。いくら弁解しても受け付けてもらえず、釈放してもらえません。最大23日間、家族や社会から断絶され、厳しい取調べが続く中で、あなたは否認を貫くことができるでしょうか。現実には、警察の厳しい取調べと誘導によって自白してしまう人は少なくありません。
 いったん自白してしまえば、検察は警察の作った自白調書が正しいものとして質問してきます。そして、起訴されてしまった場合の有罪率は99.9%以上です。無罪判決は1000件に1件もありません。残念ながら、「公明正大な裁判官なら自分の言い分をちゃんと聞いてくれるだろう」という期待は、よほどの幸運に巡り合わない限りかなわないのです。
 冤罪事件はたくさんあります。特に痴漢事件など比較的刑の軽い事件では、警察に「認めたら罰金にしてやる」と言われて嘘の自白をしてしまう人がたくさんいます。死刑や無期懲役に当たる重罪ですら、冤罪は決して珍しくありません。では、冤罪をなくすために法曹は何をすべきでしょうか。今日は私が現在弁護の一角を担っている「恵庭OL事件」を例にお話したいと思います。


恵庭OL事件とは

 2000年3月17日の朝、北海道恵庭市の雪原上で全身真っ黒こげになった女性の死体が発見されました。解剖の結果、犯人は被害者の首を絞めて殺害したうえ、車で死体を運び灯油をかけて火をつけたと想定されました。
 死体発見前夜の午後11時15分頃、現場近くに住むHさんが犬の散歩に出た際に、現場方向に数メートルに及ぶ大きな炎が立ち上がるのを見たという目撃証言がありました。Hさんの証言によると、散歩中にも現場方向に2回大きな炎を見ており、帰宅後の12時5分頃には最初に見た炎の3分の1ほどの大きさになっていたそうです。
 現場付近からタイヤ跡や複数の足跡が検出されたものの犯人の目星はつかなかったのですが、警察がさらに捜査を進めると、被害者A子さんは会社の同僚のOさんと、ある男性社員を挟んで三角関係にあったということが分かりました。
 事件当日の3月16日、A子さんとOさんは夜9時半頃に連れ立って会社から帰っています。Oさんが言うには、その後駐車場で別れた後はA子さんには会っていないそうです。しかし、OさんがA子さんに対し嫌がらせの無言電話をかけていたことや、Oさんが事件前日に灯油10リットルを買っていたことなどから、警察は三角関係のもつれからOさんがA子さんを殺したと想定しました。
 警察による厳しい取調べが1ヶ月ほど続き、精神状態が不安定になったOさんは神経科に入院してしまいましたが、退院後に逮捕勾留され、5月23日に起訴されました。何かの因縁でしょうか、2000年5月23日というのは私が裁判官を辞めた日でした。


間接事実による立証の難しさ

 この事件では犯人を特定するための直接証拠がないため、間接証拠によって事実を認定しなければなりません。これはなかなか難しい作業です。
 Oさんが犯人だとする想定を根拠づける積極的間接事実として、事件前夜に購入した灯油の処分方法についてOさんが嘘をついていたことが非常に重要視されました。Oさんは警察が自分を疑っていると知って怖くなり購入した灯油を捨ててしまっていたのですが、後に灯油を持っていた方が無実の証明になるのではないかと考え直し、再度灯油を購入し、それを事件前夜に買った灯油だと言い張っていたのです。弁護士がその事実を知ったのは公判が始まってしばらく経ってからでした。
 他方、Oさんを犯人と認める上で障害となる消極的間接事実としては、後に述べるアリバイのほかに、物理的にOさんにA子さんが殺せるのかという問題があります。OさんはA子さんより体格的に劣るうえ、短指症で右手の握力が極めて弱いという障害があります。そのような人が後部座席から助手席に座った女性を殺すことが出来るのでしょうか。仮に殺せたとして、50kg以上もある死体を一人で車から降ろして現場まで運べるでしょうか。現場からは引きずり痕もOさんの靴に合う足跡も見つかっていません。また、Oさんの車内にもA子さんの髪の毛や血液、指紋、DNAなど一切ありませんでした。検察はOさんが車内の清掃をしたのだろうと言いますが、いくら掃除したつもりになっても、痕跡を何一つ残さないということは事実上不可能と考えるべきです。


検察による証拠の偽装工作

 私が決定的だと思うのは、Oさんのアリバイの問題です。Oさんについては、事件当日の午後11時36分頃に現場から15km離れたガソリンスタンドで給油したという給油伝票が発見されました。しかし、付近の住民Hさんは、死体発見当日の事情聴取で、「午後11時15分ころ、死体焼損現場方向から大きな炎が上がるのを見た」という明確な供述をしています。ですから、もしOさんが犯人であれば、この給油伝票の記載を前提としても、Hさんが大きな炎を目撃した午後11時15分からわずか20分の間に街路灯のない雪道を移動しなければなりません。
 検察は20分もあれば十分移動できると言いましたが、実際に実験してみると25分ほどかかりました。しかも控訴審段階になって、マスコミの報道から、正確な給油時刻が記録された防犯ビデオの存在が発覚し、これによって、Oさんが給油を受けた時刻は11時31分であることがはっきりしたのです。検察は、防犯ビデオを隠した上で、給油伝票に記載されている時刻が誤ったものであることを知りながら、その給油伝票を証拠として提出して、虚偽の主張・立証をしていたことが分かりました。
 それだけでは不安だったのでしょうか、検察は目撃者Hさんの初期の供述調書も隠していました。取調べの初期の頃、Hさんは、「犬の散歩を終わって帰宅するまでの間に、何度も大きな炎が上がるのを見た」「帰宅後の12時5分頃にも、最初に見た3分の1くらいの炎を見た」とされていたのです。10リットルの灯油は、3~4分もすれば炎が小さくなって遠方から見えない状態になることが明らかなので、Hさんの初期供述によると、犯人は途中で灯油を継ぎ足しながら1時間くらい現場で死体を燃やしていたことになります。こうなるとOさんのアリバイは完全に成立してしまいます。これでは都合が悪いので、検察はHさんを繰り返し尋問し、最初の目撃時刻を曖昧にさせたり、「その後何度も炎を見た」という記述を消させたりした後、最終的に起訴直前に作成した検察官調書だけを証拠として提出しました。そのため、弁護人は、HさんがOさんの「完全なアリバイを証言している事実」を知らないまま一審判決を受けさせられたのです。
 他方、A子さんのロッカーキーがOさんの車から見つかったという問題は、一見するとOさんが犯人だということを裏付ける事情になりそうです。判決によると、Oさんの車内の捜索中にグローブボックスからロッカーキーが出てきたのでA子さんのロッカーを開けてみたら開いた、と認定されています。しかし、A子さんのロッカーはふだんから鍵をかけられておらず、鍵はロッカー内に放置されていたのです。そのような状況の中、事件当日にA子さんが、この日に限ってロッカーキーを持って出たと考えるのは不自然です。仮に持ち出したとしても、Oさんがそれを奪う必要がどこにあったのでしょうか。さらに、検察が言うようにOさんが殺人の痕跡を消すために車内を完璧に掃除したのであれば、なぜロッカーキーだけが車内に残っていたのでしょうか。こういう疑問を辿っていくと、この問題は、「警察が事前にA子さんのロッカーからキーを持ち出し、それをOさんの車内捜索中にグローブボックスに置いて、あたかもそこから発見されたという外観を作り出したのではないか」という疑問に行き着きます。そして、私はそれが最も合理的な推測であると思います。


なぜ裁判官は判断を誤ったのか

 ロッカーキーの問題について、裁判所は、警察が令状なしにOさんの車内からキーを持ち出した点については令状主義に違反すると認めているのですが、ロッカーキー自体の証拠能力は認めています。そして、裁判所は、警察がA子さんのロッカーからキーを持ち出してOさんの車に置いた(つまり、証拠を捏造した)という弁護人の主張を認めません。裁判所は、正義のために仕事をしている警察や検察が、証拠を捏造するなんて有り得ないと思っているのです。しかし、検事ですら物的証拠を捏造することがあり得ることは、村木厚子さんの郵便不正事件で実証済みです。
 Oさんのアリバイを巡る問題は、証拠開示に関する重大な問題を孕んでいます。弁護側が、正確な時刻が記録されている防犯ビデオの存在を知り証拠開示を求めることができたのは控訴審に入ってからです。また、Hさんの初期供述調書は、確定審では遂に開示されず、それが開示されたのは、再審段階に入ってからでした。つまり一審裁判所は、防犯ビデオの存在もHさんの初期供述調書の存在も知らずに、犯人は死体に火をつけたらすぐに現場から逃げたとしてOさんを有罪と認定したのです。基本的に控訴審もそれを踏襲し有罪判決が確定しました。
 なぜ裁判所はそのような不合理極まりない判断をしたのでしょうか。そこで思いつくのがOさんの嘘の問題です。裁判所は嘘をつく被告人は犯人だと思い込むことが多いです。しかし、犯人として疑われて追いつめられた無実の人間が窮地を脱しようとして嘘をついてしまうことはよくあります。これまでの冤罪事件においても、多かれ少なかれ嘘をついている被告人は多いのです。嘘をついているからといって犯人と決めつけると重大な間違いが起こることはこれまでの冤罪の歴史ではっきりしているのですから、裁判所はそのくらいのことは勉強してくれなければ困ります。
 いま、この事件は第二次再審請求が特別抗告審に係属している段階です。弁護団は、次々に最高裁へ補充書を提出していますが、果たして最高裁が聞く耳を持ってくれるでしょうか大崎事件についてあんなにひどい決定が出てしまったので、情勢は決して楽観できる状況ではありませんが、いつかは必ずOさんの無実を晴らしてあげなければいけないと思っています。


冤罪を回避するために法曹が心がけるべきこと

 冤罪を回避するために法曹三者裁判官、検察官、弁護士)に共通して言えることは、無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたることです。
 検察官は、なりたての頃はそのような気持ちで頑張りますが、無罪を出すと上司に叱られ有罪にすると褒められるという環境の中でだんだん変わっていってしまいます。しかし、立ち止まる勇気、引き返す勇気は必要です。ましてや違法捜査、違法な公判活動は絶対にやってはいけません。
 弁護士は、無実の人は自分の力で救済するんだという格別に強い意欲と熱意を持って全力でぶつかる必要があります。生半可な気持ちで型通りの弁護活動をやっているだけでは強大な権限を持った国家権力に勝てません。被疑者、被告人の言い分をしっかり聞き取って、被告人に有利な証拠を収集することに全力を尽くさなければなりません。そのためには、刑事訴訟法で与えられた権限を最大限に活用して、検察が開示していない証拠をなんとかして突き止め開示させるように努力することが大事です。
 裁判官は、まず謙虚であることが大事です。真実は神のみぞ知ると言われますが、もう一人、被告人が真実を知っています。『それでもボクはやってない』という映画を作った周防正行監督は、「裁判官は被告人に裁かれているという意識を持たなくてはならない」と言っておられましたが、全くそのとおりだと思います。そのためには、真相は被告人の言っているとおりではないのかと考えるところから出発しなければいけません。また、被告人が嘘の弁解をしたということから短絡的に有罪の判断をするということは絶対にあってはなりません。検察官や警察官も人間である以上、困ったときには違法行為に出ることはあり得るし、検察官の手元には国が公権力で集めた証拠が全部あります被告人側がそれを見るチャンスがないという状況を、なんとか変えていかなければいけません
 私はすでに81歳ですから、これからの活動にはおのずから限界があります。したがって、今後の刑事裁判の質の向上、冤罪の阻止・撲滅・根絶はこれから法曹を目指すみなさんに期待を託すしかありません。どうか、皆さん、頑張ってください。
 最後に、冤罪の阻止・根絶と法曹の責任に関する私の結論を申し上げます。
 冤罪の阻止・根絶について法曹は重大な責任を負っていますそれは、法曹三者、いずれにも共通です冤罪の阻止・根絶に向けて最大限の努力をすることは、法曹に与えられた最も重要な、そして法曹だけに与えられた崇高な責務です

木谷明(弁護士、「法学館法律事務所」所属、元東京高等裁判所部総括判事、元法政大学法科大学院教授)
神奈川県平塚市出身。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1961年 大学卒業後、司法研修所に入所。1963年判事補任官(東京地裁)。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て2000年5月、東京高裁部総括判事を最後に退官。同年6月公証人(霞ヶ関公証役場)となる。2004年から2012年まで法政大学法科大学院教授を務める。著書の『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(法律文化社)は、痴漢冤罪を描いた映画『それでもボクはやってない』を撮った周防正行氏の映画作りの参考にされた。その他の著書に『「無罪」を見抜く-裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店)、『刑事事実認定の理想と現実』(法律文化社)など多数。
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コメント
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●PC遠隔操作冤罪事件: やはり捏造しようとしていないか?

2013年05月30日 00時00分56秒 | Weblog

付記(140521): ブログ主にとっては意外な結果になりました・・・・・・●PC遠隔操作”冤罪”事件: 意外な結果に・・・・・・ブログ主自身の無能さを痛感』]

ブログ主注(130824): 5月29日に、「・・スミマセンhttps://twitter.com/ActSludge/status/339364755481432065こちらのご発言について、「拘留」は刑事罰用語で「勾留」とは全く異なります。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%BE%E7%95%99片山クンの名誉にもかかわりますので、ご認識いただけましたら幸いです」というダイレクトメールを〝ぺんてるはインテルに勝るんじゃ〟様より頂いていることに今頃気づきました。お知らせ、有難うございます。勾留(「カギこうりゅう」)と拘留(「テこうりゅう」)(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8B%98%E7%95%99)が全く異なることを、恥ずかしながら知りませんでした。改めて、以下のブログの「拘留(「テこうりゅう」)」を「勾留(「カギこうりゅう」)」に修正しました]


PC遠隔操作冤罪事件について、YAHOO!ニュースに出ていた記事(http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130522-00025135/)。

 「弁護士の怒り炸裂」がよく分かります。特にその怒りの矛先はマスコミにも向けられていて、以前もブログに書きましたが、「「隠し撮りか何か知らないがあれだけ浮かれた報道をしたマスコミ」は、犯人であろうとなかろうととんでもない人権侵害をしておいて、容疑者や弁護士の言い分にどこまで耳を傾けた報道をしているだろうか?」と改めて思いました。山中かどこかで記憶媒体が見つかったからと言って、それがなぜ容疑者のものである、なんていう報道を出来るのでしょうか? 理解に苦しみます。

   『●PC遠隔操作冤罪事件: なぜこんなに長期にわたり勾留しないといけないのか?、マスコミは報じるべき
   『●PC遠隔操作事件でまたしても暴走?
   『●遠隔操作ウィルス冤罪事件: 「2人は自白まで」させられた
   『●『週刊金曜日』(2012年10月19日、916号)についてのつぶやき
   『●「自民圧勝の憂鬱」: 『週刊金曜日』
                 (2012年12月21日、925号)についてのつぶやき
   『●「「3.11」から2年 封じ込められる福島」
               『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号)

 5月29日のニュースでも流れていましたが・・・:

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    AS‏@ActSludge
    ■一体いつまで勾留([])するつもり
    http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7822bf375561c51411a85f1ccd1db68e …? 
    冤罪の香り 『勾留理由開示法廷で無実主張 遠隔操作事件の片山被告』
    http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY201305280402.html …
    「片山容疑者は「出口の見えないトンネルの中にいる気分」と容疑を否認し、
     釈放を求めた」
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 何度も逮捕を繰り返し、こんなに長期間勾留([])しないといけないのか、さっぱり理由が分かりません。批判できないマスコミも酷いし、勾留([])の繰り返しや長期勾留([])を認めてしまう裁判所って、一体何なんでしょうか? 警察や検察の言いなり? 裁判官の「矜持」なんてないのかな? 検察が例の「懲戒請求」(安田好弘弁護士らに対して、(元?)弁護士でありながら橋下元大阪〝ト〟知事による懲戒請求扇動で有名: 『●元大阪〝ト〟知事の懲戒請求TV舌禍事件: 弁護士も弁護士なら、裁判所も裁判所』)まで使って弁護士を脅しているのに、御咎めなし?

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http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130522-00025135/

【PC遠隔操作事件】第1回公判前整理手続きで、弁護人の怒り炸裂
江川紹子
2013年5月22日 21時20分

主任弁護人の佐藤博史弁護士の怒りが炸裂した。まずは検察官に。そして報道陣に対して。5月22日の第1回公判前整理手続きが終わった後の記者会見の席上である。検察側が提出した証明予定記載事実に事件と被告人のつながりについてまったく記載されていないという異常なもの」(佐藤弁護士)だった。唯一の警察官調書が開示されたものの、肝心の部分は黒塗り。弁護側の公訴棄却の申し立てはほとんど報じられず、また雲取山山頂から今月になってメッセージ入りの記憶媒体が発見されたという警察情報はそれなりの大きさで伝えられた。この警察情報を無批判に報じたマスメディアについて、佐藤弁護士は「警察の御用聞きはやめてもらいたい!」と一喝した。


「異例」づくめの検察の対応

この日の公判前整理手続きには、被告人の片山祐輔被告もスーツ姿で出廷した、という。裁判官が黙秘権の告知をしたが、特に本人が話す場面はなかったようだ。

弁護側は佐藤弁護士ら6人。検察側も、平光信隆公判部副部長(元那覇地検次席)を筆頭に、捜査担当者も含めて6人もの検事が列席した。

検察側は、3月2日付起訴状に記載された3つの事件について、5月17日に「検察官証明予定事実記載書1の1」と題する書面を提出。だが、それには被告人の身上経歴と事件による被害の経過や状況などは書かれていたが、片山氏がこのような被害をもたらすどのような行為を、いつ、どこで行ったか、という犯人性に関する記載が全くなかった

さすがに、裁判官も「異例、または異常だが、こうなった事情を説明してもらえますか」と尋ねた、という。

それに対し検察側は、「犯行と被告人の結びつきについては、捜査を終了しないと明らかにできない。それに関する証拠も、罪障隠滅のおそれがあるので開示できない」と述べた。いつになったら捜査が終わるのか、という裁判所の問いに対しては、「変更の可能性はあるが」としたうえで、次のように答えた。

   「現在勾留中の事件は5月29日が満期だが、その後も捜査は続き、
    終了するのは6月末、ずれ込めば7月中旬以降になる」


迅速な裁判を受ける権利はどこへ?

これに対し佐藤弁護士は、次のように批判を展開した。

   「3月2日の時点で、片山さんが犯人だという確証があるなら、
    その証拠を出すべきだ。『見込み逮捕』というのはあるが、
    本件は『見込み起訴』であり、(犯人であるとの証拠が
    見つかっていないうちの)見切り発車での起訴ではないか。
    (証拠が見つからないので)検察官は公判前整理手続き
    引き延ばしのために使っている。こんなことは許されない。
    裁判所はただちに公判前整理手続きを打ち切って、
    第1回公判期日を指定すべきだ

さらに弁護側は、検察の対応は、「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」を保障している憲法にも違反する、と主張。

検察側は、片山氏が「どこで」「どのPCを使って」犯行に及んだのかも明らかにしていない。起訴状では、「東京都内又はその周辺」「インターネットに接続したコンピュータから」としか書かれていない。これについて、「証明予定事実記載書には何も書かれていなかった。弁護側は「被告人の防御権を著しく侵害している」として、裁判所にただちに公訴棄却の判断をするよう求めた。これについて、検察側は1週間以内に意見を書面で提出することとなった。


唯一の調書も墨塗り

検察側がこれまでに開示した証拠は全部で67点。そのほとんどは、事件で送られてきた犯行予告メールやそれが送られてきてからの対応など被害状況を示すもの。そんな中で、片山氏が逮捕された当日の警察官調書が1通開示された。身上に関する調書だが、その中で使えるプログラム言語などについて書かれていると思われる13行が黒塗りされていた、という。弁護側の追及に、検察側も「被告人の能力に関する部分」と認めた、という。

弁護人によれば、逮捕直後の取り調べで、片山氏は「使えるのはCとC++、それにJava。C#は研修で勉強したことはあり、他人が書いたプログラムを実行できるかどうかのテストをしたことはあるが、書くことはできない」と供述。しかし、調書にはC#も使えるかのような記載がされたかもしれない、という片山氏の話を重くみた佐藤弁護士が、取り調べの録音・録画を強く求めた。捜査機関がそれに応じず、以後の取り調べはまったくできない状況が続いている

記者会見で佐藤弁護士は、次のように指摘した。

   「黒塗りされた部分は、トリッキーな取り調べがされた証拠
    しかも、片山さんがC#を使えることを示す他の証拠がないから、
    隠さざるをえないのだろう」

この部分の開示を求めた弁護側に対し、裁判所の求めで、検察側は本日中に意見を出すことになった。


情報を公表するな、と検察

こうしたやりとりの後、検察側は2つの「要望」を行った。

  1 「公判前整理手続きが非公開となっているのは、
     公開されると弊害があるから。弁護人はくれぐれも
     注意してもらいたい」と、弁護側が手続きの進行状況を
     公表しないように求めた

  2 「弁護人が検察側証拠を第三者に提示した場合は、
     懲戒請求もありうる」と半ば恫喝的な言葉を述べた。

こうした対応から見ると、検察は、できる限り事件の詳細が広く伝えられないことを望んでいるらしい。

これに対して、佐藤弁護士は「とんでもない証拠開示をしておいて、盗っ人猛々しい。余計なお世話だ。片腹痛い」と憤慨。特に1点目については、発言の撤回を迫ったが、検察官は「撤回しません」と突っぱねた、という。


「何のためのペンとカメラなのか!」

佐藤弁護士は、記者会見の席上でも、検察とメディアに対して、怒りを隠さなかった。

   「検察だってレクをやっているではないか。しかも、警察のリーク
    雲取山で記憶媒体が発見されたという記事も出たばかり。
    中には、『片山容疑者が真犯人で記録媒体を埋めたとみて』などと
    書いている新聞もある。(雲取山山頂は)1月に、みんなで
    探したわけじゃないですか!それでも見つからなかったのですよ
    片山さんが逮捕後に埋められたものかもしれないじゃないか!!
    いったい皆さん方がペンを握り、カメラを持つのは何のため
    なんですか?! 『捜査側は自信を見せている』などと書いている社も
    あるが、検察は(起訴から2か月半経っても)未だに犯人性を
    示せていないことをどう思っているのか。
    警察の御用聞きはやめてもらいたい

火を噴くような佐藤弁護士の批判。記者たちは、その迫力に押されたのか、あるいはこういうことは記事にするつもりはないからか、多くがパソコンでメモをする手を止め、固まっていた


後から「発見」された証拠の危険性

これに続いて、元東京高裁判事で現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。

それは、かの有名な白鳥事件。物証がほとんどなく、被害者を射殺した凶器の銃も発見されなかった。警察は、「被告人らが武装蜂起をするために峠で射撃訓練をした」とみて、何度も捜索を行ったが、それらしい証拠は見つからず仕舞い。ところが、2年後になって、銃弾が「発見」され、その線条痕が被害者の体内の弾と一致したとの鑑定を元に有罪判決が下された。しかし、「発見」された銃弾は2年間も山に放置されていたとは思えないほど新しく、その鑑定も後に捏造された疑いが出た。

死刑判決が確定して現在再審請求中の袴田事件でも、有罪の決め手の1つである血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、事件から1年2か月も経ってから。この着衣は、袴田巌氏のもので犯行時に着ていた、とされたが、サイズがはるかに小さく、新たに行われた鑑定では、血痕から被害者のDNAは検出されなかった

やはり再審請求中の狭山事件でも、石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、有罪証拠に使われた。


有罪に取り憑かれた捜査機関をチェックする役割は…

佐藤弁護士は、声を少し穏やかにして、次のように訴えた。

   「証拠改ざんを行った大阪地検特捜部の検事も、
    シロの者をクロにするという意識ではなく、村木さんが犯人だ
    と思い込んでおり、それと矛盾した証拠が弁護士の目に触れて
    紛糾するのを避けようとして、ああいうことになった。警察も検察も、
    いったん(捕まえた人が)有罪という思い込みに取り憑かれると、
    とんでもないことをすることがある。だからこそ、
    それをチェックする必要がある」

果たしてジャーナリズムは、そのチェック機能を果たすことができるのだろうか…。
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