[『放射線を浴びたX年後』(http://x311.info/part1.html)↑]
井上能行記者による、東京新聞のコラム【【私説・論説室から】第五福竜丸の教訓】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019080702000175.html)。
《調べてみると、静岡県焼津市の市場では、大みそかの午前中まで検査をし、基準値超えのマグロがあった。午後からは検査がなくなり、すべてのマグロが出荷されたという。こうして汚染魚は“ゼロ”になった》。
『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」…
2011年から「X年後」を怖れる』
「東京新聞のコラム【【私説・論説室から】「放射線を浴びたX年後」】
…《登場人物はみな、静かな語り口だが、私たちは被ばく船員を
見捨ててきたと痛感する。ビキニ事件で政府が積極的に調べたのは、
船体と魚の放射能汚染。船員はおざなり。米国から賠償金二百万ドルを
受け取ると調査もやめた。漁港では風評被害を恐れ、
誰も被ばくは口にできない。そんな時代だ》」
「同じ構図を…3.11東京電力原発人災でもやってしまっているのではないか…、
ということをとても怖れる。過小に見積り、情報が隠され、
「ただちには影響はない」とした「X年後」に、取り返しのつかない何かが
起こってしまいはしないか? …「事故直後の1巡目の検査では「異常なし」
とされた子ども4人が、4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑い
と診断…1986年のチェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの
甲状腺がんが急増した」。取り返しのつかない「X年後」が経過してしまった
のではないでしょうか」
『●人類は核と共存できるのか? 『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
「東京新聞の社説【核と人類 パグウォッシュ会議を前に 世界を動かした死の灰】
…《第五福竜丸は一九五四年、太平洋で操業中に、米国がビキニ環礁で行った
水爆実験で被ばくした。大量の放射性降下物(死の灰)を浴び、乗組員の一人が
帰国後、死亡した》。これは一面にしか過ぎない…『放射線を浴びたX年後』」
『●東電核発電人災から6年が経過し、全て廃炉へ…な訳がない:
高速炉「アベシンゾウ」がゴジラに変身する日』
「井上能行記者によるコラム【【私説・論説室から】福島を忘れない仲間たち】」
『●《失われた古里》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》
…原状回復して見せたのか? 誰か責任は?』
「井上能行記者によるコラム【【私説・論説室から】福島の声に耳を傾けて】」
《「五五年…以降、一切の追加調査や補償を放置してきた国の不作為」…『ビキニ事件』は終わっていない》。でも、《1954年12月末》で終わったことにし、《こうして汚染魚は“ゼロ”に》させられて。
そして、2011年3月11日東京電力原発人災の『X年後』を怖れる…。《子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる》…慄くし、怒りが湧く。「こうして東京電力核発電所人災の影響は“ゼロ”に」させられる…。
『●映画『放射線を浴びた『X年後』』:
「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」』
『●米軍の「差別性の極み」:NNNドキュメント’14
『続・放射線を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今』』
『●東電原発人災の『X年後』: 厚生省「1.68ミリシーベルト」
vs 研究者「1400ミリシーベルト」』
『●『放射能を浴びたX年後』: 「国はこれまで
福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった」』
『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・
取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?』
『●人類は核と共存できるのか?
『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん「ビキニと
福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」』
『●「太平洋核被災支援センター」事務局長山下正寿さん
「『ビキニ事件』は終わっていないんです」』
「《子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の
影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は
進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる》
…慄く。怒りが湧く」
==================================================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019080702000175.html】
【私説・論説室から】
第五福竜丸の教訓
2019年8月7日
東京・夢の島にある都立第五福竜丸展示館。リニューアルしたというので見に行った。入ると眼前に船体がある。そして死の灰も。一九五四年三月、米国のビキニ水爆実験の際、百六十キロ離れた海域で被ばくした。
展示館のパネルには、多くのマグロ漁船が被ばくしていたことも記されている。漁船八百五十隻が五百トン近いマグロを処分した。
「秋から冬にかけて汚染海流が日本の沿岸にたどりつき、汚染魚が捕れるようになった。しかし国・厚生省は魚の検査を1954年12月末で打ち切ってしまった」とある。
調べてみると、静岡県焼津市の市場では、大みそかの午前中まで検査をし、基準値超えのマグロがあった。午後からは検査がなくなり、すべてのマグロが出荷されたという。
こうして汚染魚は“ゼロ”になった。
パネルは、日米両政府が「法律上の責任問題とは関係なく慰謝料として200万ドル(当時、7億2000万円)をアメリカが支払う」という交換公文を五五年一月四日に交わして「すべてを終わったものとしました」と説明する。「完全かつ最終的合意をした」ということだろうか。残念な説明が次にあった。「水産業界には5億8000万円が支払われ」たが「多くの乗組員には補償もなく健康診断などもおこなわれなかった」。
元乗組員らは二〇一六年、国家賠償請求訴訟を起こした。 (井上能行)
==================================================================================
東京新聞の二つの記事【核兵器は絶対悪 「ICAN」ノーベル平和賞 サーローさん演説】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017121102000067.html)と、
【ノーベル平和賞 サーロー節子さん演説全文】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017121102000059.html)。
《「核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ」と強調。「世界の全ての国の大統領と首相に懇願する。条約に参加し、核による滅亡の脅威を永久に絶ってほしい」と訴えた…核の傘に頼る国々を「共犯者」と呼び、条約に署名しない日本政府を暗に批判した》。
『●ささやかな核兵器廃絶の願い…高校生の言論封殺:
アベ様のメンツを守るための外務省の横やりという大愚』
『●「核兵器禁止条約」…「核なき世界」への
その先頭を走るべきアベ様やニッポン政府は一体何をしていたの?』
『●「核保有国とみられる一部の加盟国が、
高校生にスピーチをさせないよう日本政府に圧力をかけていた…」』
『●「核の傘」の下のニッポン…オーストリア軍縮大使
「世界で唯一の被爆国として特別な役割がある」』
「核なき世界」へのその先頭を走るべきアベ様やニッポン政府は一体何をしていたの?
「「核の傘」の下のニッポン…オーストリア軍縮大使「世界で唯一の被爆国として特別な役割がある」と仰るけれども、「日本への核拡散」「核保有」を思い描くアベ様や石破茂氏には全くその気はないようだ。《核爆弾を神とあがめ》ているような人たちですもの」…。
ニッポンの様に核の傘に頼る国々は「共犯者」との指摘…そして、感動を呼んだサーロー節子さんのスピーチ《核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ》、それを直接聞きに来ることもなかった核保有国と「共犯者」たち。
東京新聞の社説【週のはじめに考える 「核には核」ではなくて】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017121002000153.html)には、《各国の大使も授賞式に参加しますが、今年は、異例にも世界の核兵器保有国の大使の大半が欠席するのだそうです。なぜ、そんな大人げない振る舞いをするのでしょう。外交官はマナーを重んじる人たちですよね。欠席の理由は簡単。核保有国が一貫して唱えてきた「核を持つ理由」を、この条約が真っ向から否定したからです》。
また、同紙の別の記事【傘に頼る国へ「共犯者となるのか」 ICAN 平和賞授賞式演説】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017121202000117.html)によると、《しかし「世界の安定は核の均衡でのみ保たれる」(ロシアのペスコフ大統領報道官)と主張する核保有国が姿勢を軟化させる気配はない。十日の授賞式には、世界に約一万五千個あるとされる核弾頭の九割以上を保有する米、英、仏、中国、ロシアの五大国が恒例だった駐ノルウェー大使の出席を見送った。事実上のボイコットで、条約を「核不拡散や核軍縮の害悪」(ロバート・ウッド米軍縮大使)と批判する米国は、条約に署名や批准をしないよう呼び掛けている。日本には、国際社会に「世界で唯一の被爆国としての特別な役割がある」(オーストリアのトーマス・ハイノツィ前軍縮大使)と、条約参加を期待する声が強いが、菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日、「条約の署名、批准は行わない」と言い切った》。
一方、リテラの記事【ICANノーベル賞授賞式でサーロー節子さん感動のスピーチも日本マスコミは無視! 普段は“日本スゴイ”が好物なのに】(http://lite-ra.com/2017/12/post-3650.html)によると、《NHKは『ニュース7』も『ニュースウオッチ9』も授賞式を取り上げず…マスコミの消極報道の裏に反・核廃絶・安倍政権への忖度》…だそうです。
「核なき世界」へのその先頭を走るべきアベ様やニッポン政府は一体何をしていたの?…その責任の一旦は、この国のマスコミの情けなさにもある。
最後にマガジン9の記事【こちら編集部/「あきらめるな、押しつづけろ、光の方へ」〜ノーベル平和賞受賞講演を聞いて〜(水島さつき)】(http://maga9.jp/171213-4/)によると、《ICAN…のベアトリス・フィン事務局長と13歳の時に広島で被爆をしたカナダ在住のサーロー節子さんの講演…50歳も年の離れた二人の女性が世界の核廃絶を目指す同志となり、奮闘をしてきたわけですが、授賞式のこの日、手を取り合い互いの健闘をたたえ合う姿には、純粋に感動しました》。
…なのに、このニッポンという国は…。
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017121102000067.html】
核兵器は絶対悪 「ICAN」ノーベル平和賞 サーローさん演説
2017年12月11日 夕刊
(10日、オスロで、ノーベル平和賞の授賞式でメダルと賞状を
授与されたサーロー節子さん(中)とICANの
ベアトリス・フィン事務局長(右)=共同)
【オスロ=沢田千秋】広島、長崎の被爆者らと連携し、核兵器禁止条約の採択に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))に対するノーベル平和賞の授賞式が十日、ノルウェー・オスロの市庁舎で行われた。ICANの一員として英語で被爆体験を語り続けて来たカナダ在住のサーロー節子さん(85)が、被爆者として初めて授賞式で演説し「核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ」と強調。「世界の全ての国の大統領と首相に懇願する。条約に参加し、核による滅亡の脅威を永久に絶ってほしい」と訴えた。
サーローさんは演説で、十三歳で被爆した体験を証言。「肉や皮が垂れ下がり、眼球が飛び出て、裂けた腹から内臓を出している人々が幽霊のように列をなして歩いていた」「四歳だったおいは、溶けた肉の塊となり、死ぬまで水を求め続けた」と生々しく語った。
核保有国と「核の傘」に頼る国々に「私たちの証言を聞き、警告に従いなさい。あなたたちは人類を危険にさらす暴力を構成する不可欠な要素だ」と忠告。核の傘に頼る国々を「共犯者」と呼び、条約に署名しない日本政府を暗に批判した。
ICANのベアトリス・フィン事務局長(35)も演説し、「私たちは偽りの(核の)傘の下にいる。他者を支配するために造った核兵器に、実際は私たちが支配されている」と強調した。
北朝鮮の核開発を例に「核兵器は私たちを安全にするどころか、紛争を生み出している」と述べ、核抑止力による安全保障政策を重ねて批判。「全ての国に、私たちの終わりではなく、核兵器の終わりを選ぶよう呼び掛ける」と、核兵器禁止条約への参加を訴えた。
二人は演説に先立ち、賞状と記念メダルを受け取った。授賞式にはICAN国際運営委員の川崎哲(あきら)さん、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)、藤森俊希事務局次長(73)も出席した。
<サーロー節子さん> 32年広島市生まれ。トロント大大学院修了。13歳のとき広島で被爆し、姉やおいを失う。55年にカナダ人と結婚し、同国に移住して核廃絶運動に尽力。これまで国連総会の委員会など世界中で開かれる国際会議で、被爆証言を重ねてきた。カナダ政府が民間人に贈る最高位勲章オーダー・オブ・カナダを受章した。 (共同)
<核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN=International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)> 核兵器廃絶を目指し、2007年にオーストラリアで設立された非政府組織(NGO)の連合体。100カ国超からの約470団体で構成し、平和や軍縮、人権といったテーマに取り組む。啓発イベントの開催のほか、国連や各国議会での演説が主な活動内容。日本のNGOピースボートは主要運営団体の一つ。事務局はスイス・ジュネーブ。 (共同)
==================================================================================
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017121102000059.html】
ノーベル平和賞 サーロー節子さん演説全文
2017年12月11日 夕刊
(ノーベル平和賞の授賞式で演説するサーロー節子さん
=10日、オスロで(共同))
十日オスロで行われた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))へのノーベル平和賞授賞式で被爆者サーロー節子さんが行った演説は次の通り。
◇
両陛下。ノルウェー・ノーベル賞委員会の高名なメンバーの皆さま。ここにいる、そして世界中にいる運動家の仲間たち。淑女、紳士の皆さま。
ICANの運動を形づくる傑出した全ての人々に成り代わってベアトリス(・フィン事務局長)と共にこの賞を受け取ることは大変な栄誉です。私たちは核兵器の時代を終わらせることができる、終わらせるのだという、かくも大きな希望を皆さま一人一人が私に与えてくれます。
▼座視しない
被爆者は、奇跡のような偶然によって広島と長崎の原爆を生き延びました。私は被爆者の一人としてお話しします。七十年以上にわたって私たちは核兵器の廃絶に取り組んできました。
私たちは、この恐ろしい兵器の開発と実験から危害を被った世界中の人々と連帯してきました。(核実験が行われた)ムルロア、エケル、セミパラチンスク、マラリンガ、ビキニといった長く忘れられた地の人々。土地と海を放射線にさらされ、人体実験に使われ、文化を永遠に破壊された人々と連帯してきました。
私たちは犠牲者であることに甘んじることはありませんでした。灼熱(しゃくねつ)の終末を即座に迎えることや、世界がゆっくりと汚染されていくことに対し、手をこまねいていることは拒否しました。いわゆる大国が、無謀にも私たちを核のたそがれから核の闇夜の間際へと送り込むことを、恐怖の中で座視することは拒否しました。私たちは立ち上がりました。生き延びた体験を分かち合いました。人類と核兵器は共存できないのだと声にしました。
▼叫び声聞こえた
きょう、この会場で皆さまには、広島と長崎で死を遂げた全ての人々の存在を感じてほしいと思います。雲霞(うんか)のような二十数万の魂を身の回りに感じていただきたいのです。一人一人に名前があったのです。誰かから愛されていたのです。彼らの死は、無駄ではなかったと確認しましょう。
米国が最初の原爆を私が住んでいた都市、広島に投下した時、私はまだ十三歳でした。私は今もあの朝を鮮明に覚えています。八時十五分、窓からの青みを帯びた白い閃光(せんこう)に目がくらみました。体が宙に浮かぶ感覚を覚えています。
静かな闇の中で意識を取り戻すと、倒壊した建物の中で身動きできないことに気付きました。級友たちの弱々しい叫び声が聞こえてきました。「お母さん、助けて。神さま、助けて」
そして突然、私の左肩に手が触れるのを感じました。「諦めるな。頑張れ。助けてやる。あの隙間から光が差すのが見えるか。あそこまでできるだけ速くはっていくんだ」。誰かがこう言うのが聞こえました。はい出ると、倒壊した建物には火が付いていました。あの建物にいた級友のほとんどは生きたまま焼かれ、死にました。そこら中が途方もなく完全に破壊されているのを目にしました。
幽霊のような人影が行列をつくり、足を引きずりながら通り過ぎていきました。人々は異様なまでに傷を負っていました。血を流し、やけどを負い、黒く焦げて、腫れ上がっていました。体の一部を失っていました。肉と皮膚が骨からぶら下がっていました。飛び出た眼球を手に受け止めている人もいました。おなかが裂けて開き、腸が外に垂れ下がっている人もいました。人間の肉体が焼けた時の嫌な悪臭が立ち込めていました。
このようにして、私の愛する都市は一発の爆弾によって消滅したのです。住民のほとんどは非戦闘員でした。彼らは燃やされ、焼き尽くされ、炭になりました。その中には私の家族と三百五十一人の級友が含まれています。
▼愚行を許さない
その後の数週間、数カ月間、数年間にわたって、放射線の後遺症により予測もつかないような不可解な形で何千もの人々が亡くなりました。今日に至ってもなお、放射線は人々の命を奪っています。
広島を思い出すとき、最初に目に浮かぶのは四歳だった私のおい、英治の姿です。小さな体は溶けて、肉の塊に変わり、見分けがつかないほどでした。死によって苦しみから解放されるまで弱々しい声で水が欲しいと言い続けました。
今この瞬間も、世界中で罪のない子どもたちが核兵器の脅威にさらされています。おいは私にとって、こうした世界の子どもたちを代表する存在となりました。核兵器はいつどんなときも、私たちが愛する全ての人々、いとおしく思う全てを危険にさらしています。私たちはこの愚行をこれ以上許してはなりません。
苦しみと生き延びるためのいちずな闘いを通じて、そして廃虚から復興するための苦闘を通じて私たち被爆者は確信に至りました。破局をもたらすこうした兵器について、私たちは世界に警告しなければならないのです。繰り返し私たちは証言してきました。
しかし、広島と長崎(への原爆投下)を残虐行為、戦争犯罪と見なすことをなお拒絶する人たちもいたのです。「正義の戦争」を終わらせた「良い爆弾」だったとするプロパガンダを受け入れたわけです。こうした作り話が破滅的な核軍拡競争をもたらしました。今日に至るまで核軍拡競争は続いています。
今も九つの国が都市を灰にし、地球上の生命を破壊し、私たちの美しい世界を未来の世代が住めないようにすると脅しています。核兵器の開発は、国家が偉大さの高みに上ることを意味しません。むしろ、この上なく暗い邪悪の深みに転落することを意味するのです。こうした兵器は必要悪ではありません。絶対悪なのです。
▼終わりの始まり
今年七月七日、世界の大多数の国々が核兵器禁止条約の採択に賛成した時、私は喜びでいっぱいになりました。私はかつて人類の最悪な側面を目撃しましたが、その日は最良の側面を目撃したのです。私たち被爆者は七十二年の間(核兵器が)禁止されることを待ち続けてきました。これを核兵器の終わりの始まりにしようではありませんか。
責任ある指導者であれば、必ずやこの条約に署名するに違いありません。署名を拒否すれば歴史の厳しい審判を受けることになるでしょう。彼らのふるまいは大量虐殺につながるのだという現実を抽象的な理論が覆い隠すことはもはやありません。「抑止力」とは、軍縮を抑止するものなのだということはもはや明らかです。私たちはもはや恐怖のキノコ雲の下で暮らすことはありません。
核武装した国々の当局者と、いわゆる「核の傘」の下にいる共犯者たちに言います。私たちの証言を聞きなさい。私たちの警告を心に刻みなさい。そして、自らの行為の重みを知りなさい。あなたたちはそれぞれ、人類を危険にさらす暴力の体系を構成する不可欠な要素となっているのです。私たちは悪の陳腐さを警戒しましょう。
世界のあらゆる国の、全ての大統領と首相に懇願します。この条約に参加してください。核による滅亡の脅威を永久になくしてください。
▼光に向かって
私は十三歳の時、くすぶるがれきの中に閉じ込められても、頑張り続けました。光に向かって進み続けました。そして生き残りました。いま私たちにとって、核禁止条約が光です。この会場にいる皆さんに、世界中で聞いている皆さんに、広島の倒壊した建物の中で耳にした呼び掛けの言葉を繰り返します。「諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かってはっていくんだ」
今夜、燃え立つたいまつを持ってオスロの通りを行進し、核の恐怖という暗い夜から抜け出しましょう。どんな障害に直面しようとも、私たちは進み続け、頑張り、他の人たちとこの光を分かち合い続けます。この光は、かけがえのない世界を存続させるために私たちが傾ける情熱であり、誓いなのです。 (オスロ・共同)=ノーベル財団公表の公式テキストによる
==================================================================================
琉球新報の池田哲平記者による記事【「沖縄差別、まっぴら御免」 「通販生活」冬号が特集】(http://ryukyushimpo.jp/news/entry-383547.html)。
《「左翼雑誌」という批判に対して「戦争、まっぴら御免。原発、まっぴら御免。言論圧力、まっぴら御免。沖縄差別、まっぴら御免。通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな『まっぴら』を左翼だとおっしゃるなら、左翼でけっこうです」…自民党だけを批判するのではなく、民主党政権時には、民主党の原発政策に対しても注文を付けた。沖縄問題も頻繁に取り上げ、本土への米軍基地引き取り論も展開してきた》。
アベ様礼賛、壊憲バンザイ、戦争大好きな、アレらの「ウヨク雑誌」「ウヨク広報機関」と比較にならぬほど、この真っ当な「左翼雑誌」。戦争・人殺しを推進し、核発電で「麻薬」中毒となり、言論に圧力をかけ、沖縄を差別する、そんな「ウヨク雑誌」「ウヨク広報機関」から『通販生活』が「左翼雑誌」と呼ばれるのならば、それは大きな勲章だ。
『●恐ろしくて「原発人災」国民投票など・・・・・・』
《俳優の大滝秀治さんのナレーションが、とても味わい深く響く。
<原発、いつ、やめるのか、それとも いつ、再開するのか。
それを決めるのは、電力会社でも 役所でも 政治家でもなくて、
私たち 国民一人一人。通販生活秋冬号の巻頭特集は、原発国民投票>
▼声と字幕だけの短いテレビCMが今、話題になっている。「通販生活」を
発刊しているカタログハウスがテレビ朝日の夜の番組で流そうとしたが、
拒否され幻になったCMだ▼原発をこれからどうするのか。
政府や官僚任せではなく国民投票をして決めよう-。そんな特集の記事を
宣伝する「商品広告」とカタログハウス側は考えていた。
どこかタブーに触れたのだろうか》
『●『放射線を浴びたX年後』伊東英朗監督、
「ビキニ事件…全貌を知ることが、福島の今後につながります」』
■東京電力原発人災から「X年後」を怖れる 『映画『放射線を浴びたX年後』
監督・伊東英朗さんインタビュー|今週の原発|読み物|通販生活®』
(https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/genpatsu/itoh/?sid=arrowBtn#contentsContainer)/
「日本人の記憶から消し去られてきたビキニ事件。
その全貌を知ることが、福島の今後につながります」
■東京電力原発人災を忘却するニッポン 『『放射線を浴びたX年後 2』
監督・伊東英朗さんインタビュー|通販生活®』
(https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/151117/?sid=top_main)/
「福島第一原発事故をビキニ事件のように『忘却』しないために、
放射能のリスクを室戸から世界へ示していきたい」
==================================================================================
【http://ryukyushimpo.jp/news/entry-383547.html】
「沖縄差別、まっぴら御免」 「通販生活」冬号が特集
2016年10月27日 07:30
通販生活 雑誌 参院選 沖縄差別 日米安保
(「沖縄差別、まっぴら御免」などと記載された通販生活冬号の特集記事)
今年7月の参院選前に発売された通信販売カタログ誌「通販生活」は2016年夏号の参院選特集で「自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか」との特集を組んだ。買い物雑誌としては“異色”とも言える政治的なメッセージには、172人の読者から批判や質問が届いたという。「通販生活」はその批判や質問に対して、11月15日ごろ店頭に並ぶ2016年冬号で真正面から雑誌の姿勢を答えている。すでに定期購読している読者の元に雑誌は届き、SNSやインターネット上で話題になっている。
冬号には、夏号への読者から寄せられた「政治的記事を載せている」「両論併記をしていない」「通販生活は左翼雑誌になったのか」などの批判の声を掲載した。これに対し「編集部からの答え」を掲載。「左翼雑誌」という批判に対して「戦争、まっぴら御免。原発、まっぴら御免。言論圧力、まっぴら御免。沖縄差別、まっぴら御免。通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな『まっぴら』を左翼だとおっしゃるなら、左翼でけっこうです」とした。
夏、冬号の特集について、通販生活で読み物編集をしている平野裕二さん(51)は「権力を点検、チェックをした上で批判するのはジャーナリズムとしては当然のことではないか」と淡々と語る。これまでも、自民党だけを批判するのではなく、民主党政権時には、民主党の原発政策に対しても注文を付けた。沖縄問題も頻繁に取り上げ、本土への米軍基地引き取り論も展開してきた。
沖縄を取り上げ続ける意図について、平野さんは「沖縄には日米安保のしわ寄せがあると思う。日米安保を日本の人たちが賛成するならば、基地を引き取るべきだ。差別が当然だということには、われわれは嫌と答えるしかない」と語る。「買い物は平和じゃなければできない。買い物雑誌こそ平和であるべきだ」との理念の下、通販生活の編集部は記事を書き続けていく。(池田哲平)
==================================================================================
東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016060202000140.html)と、
社説【7月10日参院選へ 「安倍政治」こそ争点だ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016060202000141.html)。
『●『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』を
持つ人達は反省してくれるでしょうか?』
『●「俺様王国」ニッポン、
「俺様王国」大阪「ト」を造りたい強権的政治手法好きな二人』
『●大阪「ト」構想のその後……元「ト」知事がアベ様へ
「”うそ”を駆使して「相手を丸め込」む方法」伝授?』
《絶対にやると言っていた約束を一方的に破る場合の対応である…講師によると、まずは絶対に「約束を破った」と認めてはならないという。約束を破るのではなく、新しい判断とか、異なる判断をすると言い換える。なるほど間違いを認めなければ、謝る必要もない》
座礁したアベドアホノ丸・船長の虚しき言い訳…盟友・橋下徹元大阪「ト」知事とどこか似ている。やはり、2016年7月参議院選、自公お維大地に投票してはいけない。「ネジレ」を意地でも取り戻さないと。
《第三次安倍内閣にとって初の国政選挙は「安倍政治」こそ争点だ》。
誰の目にも明らかな「ドアホノミクス」(©浜矩子さん)や辺野古破壊、狂気の核発電推進、明確な公約違反の消費税増税問題・「TPP断固反対」、「知る権利」や「報道の自由」の破壊、自民党議員の数々の不祥事などは、自公が認めるかどうかに関係なく、来る参院選の争点の「そ」の字にもならない。明確な失敗した悪政、それらを認める論理などない。
争点は明確。クーデターや違法な手法での壊憲こそが争点。平和憲法の破壊を認め、戦争国家・死の商人になることを良しとするかどうか、親として子を「人殺し」に行かせることを是とするかどうか、それが明確な争点。せめて、参院選で投票すべきでない議員たちは明確なはず。
『●「五五年…以降、一切の追加調査や補償を放置してきた
国の不作為」…『ビキニ事件』は終わっていない』
『●ナトリウムを取り扱う技術を持つ日本原子力研究開発機構
…ナトリウムを使う原子炉の解体技術は?』
『●「日本政府による命の二重基準」にウンザリ:
「日米両政府の空虚な言葉」は不要、基地撤去が抜本対策』
『●「核兵器のない世界」か?、「核廃絶」「核なき世界」か?』
『●オバマ氏の広島訪問さえも単なる選挙対策…
自民党は「口だけ」、選挙で同じ過ちを繰り返してはいけない』
『●なぜマスコミや与党・癒党、民進党はバカ騒ぎしないのか?
口利きの御返し・甘い利はOK?』
『●無意味な、裏切りのイセシマサミット:
「ヒロシマ、ナガサキとフクシマは絶えず伝えている」というのに』
『●オバマ大統領の米国、「核なき世界」にはほど遠く、
「核兵器のない世界」を唱えつつその現実は?』
『●「今、声を上げなければ」!: 「戦争の実態を
伝えるために作家になった」城山三郎さんはきっと怒り心頭』
『●異常過ぎる非情な自己責任論者達…安田純平さんの
「罪は、人々が『お上』と呼ぶ政府に反抗したこと」?』
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016060202000140.html】
【コラム】
筆洗
2016年6月2日
昨日の夕方に<自分が悪い場合でも謝らなくても済む方法>というテレビ番組の放送があると聞いて、首を長くしてその時間を待った▼失敗しない人間はいない。それでも謝らなくてもよいとは何とも魅力的な番組ではないか。会社でつまらぬミスをしては上司に叱責(しっせき)される。家庭において生ごみを出し忘れ、妻にうんざりされる。この技術を覚えれば、謝る日々とはおさらばである▼こんな場合を例にその方法を教えていた。絶対にやると言っていた約束を一方的に破る場合の対応である。耳を疑った。そんな場合に謝らないで済む方法などあるはずがない▼ところがである。その方法はあった。講師によると、まずは絶対に「約束を破った」と認めてはならないという。約束を破るのではなく、新しい判断とか、異なる判断をすると言い換える。なるほど間違いを認めなければ、謝る必要もない▼もし約束を守れば、世界の破滅が待っていると恐怖を煽(あお)るのも相手を納得させる効果があるそうだ。世界のリーダーや立派な学者も自分を支持していると加えることもお忘れなく。決めぜりふは「どっちが正しいか、町の意見を聞いてみよう」。これで、そもそも約束を破ったという事実を完全にけむに巻ける。謝らずに済む▼素晴らしい技術である。自信にあふれた講師の顔がわが国の首相に似ていた気がするが、見間違いであろう。
==================================================================================
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016060202000141.html】
【社説】
7月10日参院選へ 「安倍政治」こそ争点だ
2016年6月2日
消費税率の引き上げ再延期にばかり気を取られてはいられない。七月十日の参院選。第三次安倍内閣にとって初の国政選挙は「安倍政治」こそ争点だ。
通常国会がきのう閉会し、安倍晋三首相は記者会見で、来年四月に予定されていた消費税率10%への引き上げを二〇一九年十月まで二年半、再び延期することを正式に表明した。
逆進性が高い消費税の増税を見送ること自体は妥当ではある。
しかし、首相は増税見送りの根拠を、途上国経済の減速など世界経済のリスクに求めているが、無理があるのではないか。
◆経済「失政」を認めよ
消費税率は一四年四月に5%から8%に引き上げられた後、一五年十月には10%に二段階で引き上げられることが決まっていたが、首相は予定通り10%に増税すればデフレ脱却が危うくなるとして、再増税の時期を一七年四月に一年半延期する方針を決め、衆院解散・総選挙で国民に信を問うた。
そのとき語っていたのは「(増税を)再び延期することはない。はっきりと断言する。一七年四月の引き上げは確実に実施する。三年間『三本の矢』をさらに前に進めることで、必ずやその(増税を実施する)経済状況をつくり出すことができる」との決意である。
しかし、結果として、経済成長を重視する首相の経済政策「アベノミクス」では、増税に耐え得る経済状況をつくり出すことはできなかった。格差を拡大し、個人消費を低迷させているからだ。
首相が指摘した世界経済のリスクは、主要国首脳の共通認識とは言えまい。増税延期の根拠とするのは筋違いだろう。
衆院解散にまで踏み切った「再び延期しない」との約束を違(たが)えるのなら、アベノミクスの誤りを認めることが先決ではないのか。
◆憲法改正の分水嶺に
首相は会見で「アベノミクスを加速させるのか、後戻りさせるのか」と、経済政策を参院選の最大争点と位置付け、改選議席の過半数獲得を目指すと強調した。
政権選択選挙とされる衆院選に対し、参院選は政権への中間評価を問う選挙と位置付けられる。
七月の参院選は、一四年の衆院選を経て発足した第三次安倍内閣には補選を除けば初の国政選挙。失政と批判されるアベノミクスのみならず、他国同士の戦争に加わる集団的自衛権を行使するための安全保障関連法を成立させた強権的な政治手法など「安倍政治」全体の是非が問われるべきだ。
加えて見過ごせないのは、七月の参院選が憲法改正に道を開くか否かの分水嶺(ぶんすいれい)となり得ることだ。
衆参同日選挙が見送られたことで自民、公明の与党は衆院で引き続き三分の二以上の議席を維持。七月の参院選で自公両党と「改憲派」とされるおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党が三年前の前回参院選並みの議席を得れば参院でも三分の二以上の議席を確保し、衆参両院で憲法改正の発議に必要な議席に達する。
首相は一八年九月までの自民党総裁の在任中に憲法改正を成し遂げたい、と明言したことがある。
どの条文を改正するのか、各党の意見は一致してはいないが、自公両党と改憲派が参院でも三分の二以上に達すれば、現実的な政治課題に浮上するのは間違いない。
参院選は、政権の中間評価以上に憲法改正に道を開いて「国のかたち」を変えるのか否かを国民に問い掛ける重要な選挙でもあることを、肝に銘じたい。
民進、共産、社民、生活の野党四党は、選挙戦の行方を左右する三十二の「改選一人区」のすべてで候補者一本化を実現した。
野党がバラバラに候補者を擁立して戦った前回参院選では、自民党は一人区で二十九勝二敗と圧勝した。批判票が割れて、自民党が「漁夫の利」を得たからだ。
「自民一強」を変え、安倍首相の下での憲法改正を阻むには、野党の結束が重要だ。政権側は「理念も政策もバラバラ」と批判するが、憲法違反と指摘される安保関連法の廃止や立憲主義の回復は、共闘の大義としては十分だろう。
◆若者の声生かしたい
七月の参院選は、十八、十九歳の約二百四十万人が有権者に加わる初の国政選挙となる。
高齢者層は若年層よりも投票率が高く、政治に対する影響力は大きい。年金、介護、医療など高齢者向けの支出は増え、教育や子育てなど若年層に必要な予算は抑制される傾向にある。
この状況を変えるには、全国民の代表たる国会議員が若者の声を政治に生かすのは当然だが、若者の側も積極的に意思表示することが必要だ。棄権せず、投票所に足を運んでほしい。若者の声が反映されるようになれば、政治はきっと変わるはずだ。
==================================================================================
asahi.comの平山亜理記者による記事【米核実験の被害者「私たちの実態見て」 オバマ氏に訴え】(http://www.asahi.com/articles/ASJ5W4WN7J5WUHBI01V.html?iref=comtop_list_int_n01)。
《「トリニティ・サイト」…オバマ大統領に「私たちの所にも来て、実態を見てほしい」と訴え》。
『●広島・長崎の教訓を活かせない日本』
『●「核兵器廃絶」に対するニッポンの歯切れの悪さ…
原発は『プルトニウムをつくる装置』、双子の兄弟の一人』
『●「核兵器のない世界」か?、「核廃絶」「核なき世界」か?』
「核廃絶」「核なき世界」にはほど遠く、「核兵器のない世界」を唱えつつその現実は? 「マンハッタン計画」の後始末、「ビキニ事件」の巨大な被害の放置、…プラハ演説以降の行動一つとってみても、オバマ大統領が広島訪問したからと言って、劇的に「核兵器のない世界」へとアメリカが変わるわけではないでしょうし、アベ王国・ニッポンを含む「世界」も「核廃絶」「核なき世界」へとは、残念ながら、向かわない。取りあえず、ニッポンでは、「ネジレ」を取り戻し、自公お維大地の議員を一人でも減らし、核発電を止め、「核廃絶」「核なき世界」を目指すところから始めないと。
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
「『X年後』…そして、烏賀陽弘道さん
『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』。
口にしたくは無いのだけれど、「棄民」という言葉が思い浮かびます。
「マンハッタン計画」から『X年後』に何が起き、いま、ニッポンで
何が起きているのか?」
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「太平洋核被災支援センター」事務局長
山下正寿さん「『ビキニ事件』は終わっていないんです」』
『●核の軍事利用と原子力の平和利用』
「〝アメリカ定義の悪の枢軸国〟に対しての「核開発」と「原子力開発」の
使い分け。詭弁を弄しても、両方ともにやっていること、技術は同じこと。
《米が臨界前核実験 2011年7月20日…オバマ政権下で
明らかになった臨界前核実験は計三回。
「核兵器なき世界」の追求を掲げつつ核兵器保有に執着する姿勢が
鮮明になった。…イランや北朝鮮の核開発を糾弾しながら自国の
核戦力を保持する姿勢に非難が強まる可能性もある》」
==================================================================================
【http://www.asahi.com/articles/ASJ5W4WN7J5WUHBI01V.html?iref=comtop_list_int_n01】
米核実験の被害者「私たちの実態見て」 オバマ氏に訴え
トゥラローサ=平山亜理 2016年5月29日09時03分
(世界初の核実験で、立ち上るキノコ雲を見たという
ヘンリー・エレラさん。がんの治療に訪れたアルバカーキで、
自分の写真を手にする=平山亜理撮影)
広島への原爆投下の直前に、世界で最初の核実験が行われた米ニューメキシコ州の「トリニティ・サイト」。その周辺で健康被害を訴えている住民らが、オバマ大統領に「私たちの所にも来て、実態を見てほしい」と訴えている。
トリニティ・サイトでは1945年7月16日、原爆を開発する「マンハッタン計画」の一環として、プルトニウム型原爆を使った実験が行われた。近くのトゥラローサに住むヘンリー・エレラさん(82)は、当時11歳。立ち上るキノコ雲を自宅の庭から見たという。
核実験の実施を事前に知らされていなかった住民らは避難せず、その後も地元の農作物を食べ、水を飲み続けた。「トゥラローサ盆地風下住民組合」の共同創立者で、今は同州のアルバカーキに住むティナ・コルドバさん(58)は「サイト近くに住んでいた4万人は放射能の影響を受けた」と話す。実験から10年、20年と経つうちにがんで亡くなる人が増えたという。自ら始めた住民の健康調査のデータは約千人に上り、分析して公表する予定だ。………。
==================================================================================
東京新聞の記事『ビキニ被ばく 国賠提訴 「情報不開示」元船員ら初』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050902000237.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016051202000152.html)。
《被ばくに関する調査結果を日本政府が長年開示せず、米国への賠償請求の機会を奪われた…》。
《<目はあっても何も見ることができず/耳はあっても何も聞くことのできない/…>(『脱原発・自然エネルギー218人詩集』)》。
長年こつこつと、この問題に取り組んでこられた「太平洋核被災支援センター」事務局長山下正寿さん、「『ビキニ事件』は終わっていないんです」。
『●「太平洋核被災支援センター」事務局長山下正寿さん
「『ビキニ事件』は終わっていないんです」』
<目はあっても何も見ることができず/耳はあっても何も聞くことのできない/…>その典型が、正にアベ様ら。
『●烏賀陽弘道さん
『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了』
《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人を
「いないこと」にしてしまった。原発と核兵器の「血のつながり」を
論ずることはタブーになった》
『●核発電所は『プルトニウムをつくる装置』…
《核兵器六千発分相当の四十八トンを抱える》ニッポン』
『●アベ様ら「貧しい人」=「ぜいたくな暮らしを際限なく求め、
欲の奴隷となって」政を行い、人殺しへと誘う』
「ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領は、《日本政府が憲法解釈を変更し、
他国を武力で守ることを可能にした安全保障関連法を制定した
ことについて「日本が先走って大きな過ちを犯していると思う」と批判》、
《私たちには戦争を終わらせる義務がある。それは世界の若者が
完成させなければならない大義であり、可能なことだ》。
涙が出ました…《日本に来て広島を訪れないのは
日本国民の皆さんに対して敬意に欠けるのではないか》…とまで言う、
貴重な「先輩」「真の友人」の助言には、耳を傾けるべき。」
『●「核兵器廃絶」に対するニッポンの歯切れの悪さ…
原発は『プルトニウムをつくる装置』、双子の兄弟の一人』
広島や長崎で核兵器が使用され、ビキニ事件で多くの船員の皆様が亡くなり、福島では核発電所が人災を起こしても、何も変わらないニッポン。「核の非人道性」を訴えることもしません。それをタブー視しつつある、とさえ感じます。ヘレン・ケラーが指先で感じ取った《「戦争の早期終結に寄与した」と米国が主張する核兵器の真の姿》や《人類の不条理》…ニッポンが主張せずして誰がするのでしょうか? そのためには、まずは、アベ様らがやることは何? 出来ないのならば、分からないのならば、分からないフリをしているのならば、政権から降りてもらうしかありません。
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」』
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」
…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「太平洋核被災支援センター」事務局長
山下正寿さん「『ビキニ事件』は終わっていないんです」』
『●「教訓を学ばないアベ様ら」を教訓に選挙を:
戦前を忘れて壊憲し、東電人災を忘れて核発電所再暴走』
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050902000237.html】
ビキニ被ばく 国賠提訴 「情報不開示」元船員ら初
2016年5月9日 夕刊
一九五四年の米国による太平洋・ビキニ環礁での水爆実験の際に周辺海域にいた元漁船員やその遺族ら四十五人が九日午後、被ばくに関する調査結果を日本政府が長年開示せず、米国への賠償請求の機会を奪われたなどとして、元船員一人当たり二百万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を高知地裁に起こした。
原告側によると、ビキニ実験を巡る国賠訴訟は初めて。被ばくした第五福竜丸(静岡県焼津市)の元船員らには五五年に米側から見舞金が支払われており、提訴で国の責任を追及するとともに、救済実現を目指す。
訴状などによると、高知県選出で共産党の故山原健二郎元衆院議員が八六年、衆院予算委員会で実験による被ばくに関する過去の調査結果の開示を求めたが、政府側は「見つからない」として拒否した。
しかし支援者らの度重なる求めに応じ、国は二〇一四年に当時周辺海域にいた漁船延べ五百五十六隻の検査結果を開示。うち延べ十二隻に一定線量以上の被ばくがあったが「健康被害が生じるレベルを下回っている」との見解を示した。
原告は主に高知県の漁船の元船員とその遺族らで、高知、神奈川、兵庫の各県在住。訴訟では、国が事前に実験について知っていたのに漁船に周知しなかったと主張。さらに被ばくに関する調査結果を意図的に隠し、実験から六十年もたった後に開示した結果、元船員らは米国への賠償請求権などを時効で失い、精神的打撃を被ったと訴える。また五五年の米側の見舞金で政治決着して以降、一切の追加調査や補償を放置してきた国の不作為についても追及する。
提訴を前に高知市で開いた原告団の結成会で、周辺海域にいて被ばくした漁船の元船員桑野浩さん(83)=同市=は「仲間の中には四十代で亡くなった人もいて、国の対応には怒りを感じる」と訴えた。
ことし二月には、周辺海域で被ばくし、後にがんなどを発症したとして今回の原告のうち高知県内の元船員やその遺族ら十人が船員保険適用を全国健康保険協会(東京)に申請している。
◆1954年に6回、「死の灰」広範囲
<ビキニ水爆実験> 米国は1954年3~5月、6回にわたり太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁などで水爆実験を実施、放射性物質「死の灰」が広範囲に降り注いだ。3月1日の水爆「ブラボー」の実験では静岡県焼津市のマグロ漁船、第五福竜丸の23人が被ばくし、半年後に無線長久保山愛吉さん=当時(40)=が死亡。日本で反核世論が高まる契機となった。
==================================================================================
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016051202000152.html】
【コラム】
筆洗
2016年5月12日
ヘレン・ケラーは一九四八年の秋、広島を訪れた。見ることも聞くこともできぬ彼女は、原爆ドームを見ることも、被爆者の声に耳を傾けることもできなかった▼だが、一人の男性が彼女の手を自分の顔に導き、触れさせた。その顔に原爆が刻んだケロイドの感触が、「戦争の早期終結に寄与した」と米国が主張する核兵器の真の姿を、ヘレン・ケラーにまざまざと伝えたのだ▼この逸話をもとに長崎の詩人・志田昌教(まさのり)さんは、こんな詩を書いた。<視覚も聴覚も失ったヘレンにとって/触れることが世界を知る唯一の術(すべ)であった/そしてヘレンの細いゆびさきは/健常者の目や耳の感覚を超えて/人類の不条理をあまねく読み取った…>▼<目はあっても何も見ることができず/耳はあっても何も聞くことのできない/束(つか)の間の繁栄に執着するだけの/わたしたちの罪を受け止めるように/ヘレンのゆびさきは不条理と対峙(たいじ)する…>(『脱原発・自然エネルギー218人詩集』)▼米国のオバマ大統領が今月二十七日に、広島を訪れることになった。現職の米大統領による初の被爆地訪問だが、米政府の説明によると、被爆者と会う機会を持つかどうかは未定だという▼しかし米大統領は、その指で核兵器の発射ボタンを押すこともできる。だからこそ、ゆびさきで原爆の傷痕にじかに触れ、核の不条理を読み取ってほしいのだ。
==================================================================================
東京新聞の佐藤直子記者のによるコラム【【私説・論説室から】 阿賀から那須への教訓】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016032302000142.html)。
東京新聞の佐藤直子記者の視点が好きだ。
『●どちらの国に生まれた子どもが幸せだろうか?』
『●「戦争も、原発も、本当の怖さを知る人の言葉をかみしめたい」:
あ~、アベ様らは聞く耳持たず』
『●辺野古、自虐な気持ちにさせてはいけない:
「海のイヌ」と「陸のイヌ」=「アベ様のイヌ」の犯罪再び』
『●自公投票者が目指す社会?、「公園の人の命を支えるために
かけずり回る石崎さんを思うと、情けなくなる」』
『●壊憲法案・戦争法案に反対!: 多くの市民、幅広い世代が
その本質を理解し、大反対している』
『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」?
「市民の正義」無き国ニッポン』
『●吉沢正巳さん「被ばく牛は原発事故の生き証人。
処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる」』
《一九六五年に公式確認された新潟水俣病の発生地、阿賀野川。「阿賀に生きる」(佐藤真監督)はその流域に生きる人々を描いた記録映画だ。栃木県那須塩原市で植木卸業を営む伊藤芳保さん(53)は、四半世紀も前に公開された映画が古びていないと、原発事故の放射能で汚染された那須の今を重ねて思う…「国や企業のやり方は昔も今も同じ。その土地で暮らす人を見ていない」》。
『●『ドキュメント・森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』読了
「原一男・佐藤真(「阿賀に生きる」、2007年自死)・安岡卓治・
綿井健陽さんら」
『●『それでもドキュメンタリーは嘘をつく』読了(1/2)』
「随所に佐藤真さんと土本典昭さんの名が。「その土本は、
今はもういない。・・・肺がんのために逝去した。/そして
・・・ドキュメンタリー映画監督であり、僕とは数少ない同世代の
作り手だった佐藤真が、様々な悩みや惑いを抱えながら、
・・・高層団地から地上へと飛び降りた」(p.316)」
『●「差別を考える」: 『週刊金曜日』
(2012年11月16日、920号)についてのつぶやき』
「「『金曜日』で逢いましょう 旗野秀人さん 自然と共生する
日常生活から影絵のように浮かび上がる新潟水俣病の記録」、
佐藤真監督『阿賀に生きる』が二〇年ぶりにニュープリントで再上映」
「教訓を学ばないアベ様ら」を教訓に選挙に臨みましょう。戦前を忘れて壊憲し、わずか5年前の東電核発電人災を無きものにして核発電所を再暴走させ、さらに、『X年後』を学ばずに目を逸らし、犯罪的に子どもを傷つけ続ける…。自公お維大地を支持し、それら議員に投票するということは、子どもらに赤紙を渡し、傷つけ続ける子どもらを見殺しにすることに等しい。
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」』
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」
…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「太平洋核被災支援センター」事務局長
山下正寿さん「『ビキニ事件』は終わっていないんです」』
==============================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016032302000142.html】
【私説・論説室から】
阿賀から那須への教訓
2016年3月23日
一九六五年に公式確認された新潟水俣病の発生地、阿賀野川。「阿賀に生きる」(佐藤真監督)はその流域に生きる人々を描いた記録映画だ。栃木県那須塩原市で植木卸業を営む伊藤芳保さん(53)は、四半世紀も前に公開された映画が古びていないと、原発事故の放射能で汚染された那須の今を重ねて思う。
農家、舟大工、餅つき職人。映画は阿賀野川の恵みとともに生きる三組の老夫婦の日常を活写しながら、メチル水銀を含んだ昭和電工の工場排水によって水俣病に罹患(りかん)した被害家族でもあることを伝える。祖父の代から那須の地で苗木を育ててきた伊藤さんはその姿に自身を重ね、失われたものの重さを知る。
原発事故の半年後、娘の部屋の放射線量を測ると毎時〇・五マイクロシーベルトと高い値を示し、慌てて娘を避難させた。周りの親も子どもたちの健康を心配している。だが、国は被災者を原発からの距離などで選別し、甲状腺がんの検診も那須の子どもは対象になっていない。
新潟水俣病が半世紀たってもなお全面解決せず、認定をめぐる裁判が続いているのは、被害拡大を嫌がった国が当初、認定基準を高く設定したことが大きい。「国や企業のやり方は昔も今も同じ。その土地で暮らす人を見ていない」。被害者が孤立させられてはならないと伊藤さんは思う。原発事故から五年の十一日、地元で「阿賀に生きる」を上映した。思いを同じくする五十人が集まった。(佐藤直子)
==============================================================
asahi.comの西村奈緒美記者による記事【(核リポート)ビキニ被曝、第五福竜丸だけじゃなかった】(http://www.asahi.com/articles/ASJ334H8XJ33PLPB00K.html?iref=comtop_list_nat_f01)。
《「あのとき、私たちも、あの海にいた」。第五福竜丸以外の漁船の元乗組員らが2月、自らも被曝したとして「労災」申請に踏み切った。この問題は、核が人間にもたらす被害に終わりがないことを物語っている…市民団体「太平洋核被災支援センター」事務局長の山下正寿(まさとし)さん(71)…周辺海域には約550隻の船が航行し、4分の1が高知の船だったこと、がんで亡くなる元乗組員が相次いでいること…「『ビキニ事件』は終わっていないんです」》。
《国はこれまで福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった》。山下正寿さんの貢献はとても大きい。その山下さん、曰く《『ビキニ事件』は終わっていないんです》。さらに、第五福竜丸元乗組員大石又七さんは「ビキニと福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」と仰っている。
『●映画『放射線を浴びた『X年後』』:
「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」』
『●米軍の「差別性の極み」:NNNドキュメント’14
『続・放射線を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今』』
『●東電原発人災の『X年後』: 厚生省「1.68ミリシーベルト」
vs 研究者「1400ミリシーベルト」』
『●『放射能を浴びたX年後』: 「国はこれまで
福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった」』
『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・
取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?』
『●人類は核と共存できるのか?
『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん「ビキニと
福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」』
何度でも繰り返し言わなければならない。
映画・TVドキョメンタリー『放射線を浴びた『X年後』』にある様な経過と同じようなことが、東京電力核発電人災についての『X年後』への懸念が、ブログ主には、拭えません。アベ様ら核発電「麻薬」中毒患者は、なぜ、平気でいられるのか?
《子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる》…慄く。怒りが湧く。
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」』
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」
…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●3.11東電人災の5年、王様・アベ様からして
核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッポン』
『●歴史的役割踏まえた原発に頼らない国へ:
「人の命と安全は経済性に優先する」=「人格権の尊重・倫理」』
『●吉沢正巳さん「被ばく牛は原発事故の生き証人。
処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる」』
=====================================================
【http://www.asahi.com/articles/ASJ334H8XJ33PLPB00K.html?iref=comtop_list_nat_f01】
(核リポート)ビキニ被曝、第五福竜丸だけじゃなかった
高知総局・西村奈緒美 2016年3月15日18時43分
(元乗組員から話を聞く山下正寿さん(左)
=2015年10月12日、高知県土佐清水市、西村奈緒美撮影)
(元乗組員が保管していた船員手帳や海技免状
=高知県室戸市、西村奈緒美撮影)
(「労災」申請に向け、山下さんや医師がチームを
作り、準備を進めた=2015年11月8日、東京都江東区
夢の島の都立第五福竜丸展示館)
米国による太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が被曝(ひばく)してから、3月1日で62年がたった。この長い時を経て、新しい動きが出てきた。「あのとき、私たちも、あの海にいた」。第五福竜丸以外の漁船の元乗組員らが2月、自らも被曝したとして「労災」申請に踏み切った。この問題は、核が人間にもたらす被害に終わりがないことを物語っている。
被曝したのは第五福竜丸だけではない――。それに気づかされたのは今から1年半ほど前。高知市内で開かれた講演だった。
マイクを握っていたのは市民団体「太平洋核被災支援センター」事務局長の山下正寿(まさとし)さん(71)。米国が1954年に太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁やエニウェトク環礁で実施した水爆実験の被災者を30年以上にわたり調査してきた。当時、周辺海域には約550隻の船が航行し、4分の1が高知の船だったこと、がんで亡くなる元乗組員が相次いでいること。初めて聞くことばかりだった。
2010年には米国の公文書でビキニ環礁の周囲に広がる汚染実態が確認され、13年には広島大の研究者の協力で元乗組員の被曝線量を推定する作業が始まったことも報告された。
「第五福竜丸以外の被曝を明らかにし、『被災者』の救済につなげたい」。山下さんは力を込め、訴えた。「『ビキニ事件』は終わっていないんです」
当時の漁船にはおおむね20人程度が乗っていたという。約550隻が被曝したとすると、1万人以上が被曝した計算になる。多くの人が今なお救済を待ち望んでいるかもしれない。ただ、数字が大きすぎて実感がわいてこなかった。
昨年2月、元乗組員らの取材を始めた。「室戸に行けば今も数十人はいる」。山下さんにそう教えられ、遠洋マグロ漁業で栄えた高知県室戸市に車を走らせた。けれども、訪ねた家が空き家になっていたり、本人が介護施設に移っていたり、会えたのは数人だった。体の不調を感じていた元乗組員は1人だけだった。
その後も取材を続け、数人の乗組員と遺族に話を聞くことができた。「当時は一番の若造。船長や漁労長ならともかく、どこを走っているかもよくわからんかった」「日本に戻ると、(被曝した)魚を捨てろと言われて沖に船を走らせたけど、もったいないき、食おうか、という話になった。危ないという認識は全然なかった」
………。
=====================================================
東京新聞の佐藤直子記者の社説【フクシマで考える(中) 起きた事実を見つめよ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022702000152.html)と、
記事【原発関連死1368人に 本紙集計 1年で136人増】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030602000127.html)。
《福島原発から北西に十四キロ、避難指示で居住制限区域とされた福島県南相馬市 小高区と浪江町にまたがる「希望の牧場ふくしま」。牛が草をはんでいる》。
《事故から五年近い今も約九万九千人の県民が県内外で避難生活を送り被害は拡大を続けている》。
アベ様、一体何をしてるのですか? 「アンダーコントロール」? ご冗談を。壊憲なんて、やっている暇とカネ、手間はあるのか? ここに集中せずして、「原状回復」を図ろうともせずに、アベ様は一体これまで何をしてきたのですか? 《原発関連死1368人に 本紙集計 1年で136人増》だそうです。この驚くべき数字に、自公お維議員たちは何も感じないのでしょうか?
『●原発人災避難者自殺訴訟の福島地裁判決、東電は控訴見送り:
「原発関連死」は千人を大きく超える』
『●「原発さえなければ」を福島地裁が認定:
原発「事故によって死亡者が出ている状況ではない」という寝言』
『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言』
『●「鼻血」「死の街」問題と「金目でしょ」発言に対するマスコミ対応の落差』
『●反省なき自民党を体現:
「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」』
『●東京電力原発人災という「原発事故で遭遇した
過酷な経験でうつ状態となり、最終的に自死に至らしめた」』
『●原状回復できない現実: 「12万円で、
あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」』
『●東電核発電人災避難者の《「怒り」と「慟哭」》、
「理由も知らされず避難し、人格が否定された気がした」』
『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…』
「震災さえ」ではなく、「原発さえなければ…」。
『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」』
『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」』
『●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」
『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)』
『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」:
東京電力原発人災と自殺には因果関係あり』
『●終わらない原発人災の影響:
「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」』
吉沢正巳さんは、《被ばく牛は原発事故の生き証人。処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる》と言います。いま、アベ様らは、東京電力核発電人災を「なかったこと」にしようとしています。腐った「経済性」「経済神話」を喧伝し、核発電「麻薬」患者は次々と核発電を再稼働し、輸出を画策しています。
《福島原発事故で故郷の町を奪われ、避難生活を強いられる根本昌幸さんの「柱を食う」である》… 《/牛よ/恨め恨め/憎き者を恨め/お前を飼っていた者ではない。/こういうふうにした者たちを》。そして、《福島県いわき市の芳賀稔幸さんの「もう止まらなくなった原発」だ》…《失ったものは永遠に帰っては来ない/元通りに出来ないはずだのに/責任をはたすって?/何の責任をだ/一体責任って何だ?》。
『●「こういうふうにした者たち」とは誰だ?
……東京電力原発人災の自覚無き犯罪者たち』
《子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる》…慄く。怒りが湧く。
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」』
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」
…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022702000152.html】
【社説】
フクシマで考える(中) 起きた事実を見つめよ
2016年2月27日
福島原発から北西に十四キロ、避難指示で居住制限区域とされた福島県南相馬市 小高区と浪江町にまたがる「希望の牧場ふくしま」。牛が草をはんでいる。
五年前の原発事故直後、畜産農家の吉沢正巳さん(61)は、放射線被ばくした三百二十頭の黒毛和牛を殺処分するよう政府から求められた。悩んだ末に、生かすことを選んだ。なぜなのか。
「被ばく牛は原発事故の生き証人。処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる」
経済動物としての意味を失っても、放射能汚染の検証に役立てようとした吉沢さんの判断は正しかったようだ。一年後、約二十頭の体に白い斑点が出た。水素爆発の時に放出されたセシウムが体内から検出された。原発に近い大熊町の牧場でも、五十頭の牛のうち十頭に斑点が出ている。
長い畜産生活で初めて見る。この異常が被ばくと関係があると考え、農林水産省に調査を求めたが「原因は不明」。今も国立大の研究チームが牛の血液を採取したり、首輪につけた計器で放射線量を測定したりしているが、吉沢さんには解明に消極的だとも映る。
「いつまで生かしておくんだ」と、同業者の非難めいた声も聞こえてくる。吉沢さんには言いたくなる気持ちが分かるのだという。原発事故は牛を殺処分した者と、しなかった者と、命を扱う仲間をも分断してしまったのだ。
被災地の内外で原発事故の記憶の風化が進む。被ばく牛は復興の邪魔者ではない。事実を見つめよと、人間たちに問いかける生き物たちの象徴ではないか。
子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる。
放射能汚染が生命にもたらす影響はまともに調査されているとはいえない。そんな状況で原発再稼働は進んでいる。逆戻りさせてはならない。起きた事実と向き合うのは将来の世代に対する大人たちの責任である。 (佐藤直子)
=====================================================
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030602000127.html】
原発関連死1368人に 本紙集計 1年で136人増
2016年3月6日 朝刊
東京電力福島第一原発事故で避難した後、病状や体調が悪化して死亡した人を、本紙が独自に「原発関連死」として福島県内の市町村に取材したところ、二〇一一年三月十一日の発生後から、総数は少なくとも千三百六十八人になったことが分かった。昨年三月の調査から一年間で百三十六人増えた。事故から五年近い今も約九万九千人の県民が県内外で避難生活を送り被害は拡大を続けている。 (原発関連死取材班)
同県内の各市町村は、東日本大震災の直接の犠牲者だけでなく、避難生活の影響による死亡も「震災関連死」と認定し、災害弔慰金(最高五百万円)を支給。各市町村の弔慰金申請資料に「原子力災害の避難中の死亡」などの項目があり、本紙はこれらをもとに原発関連死を集計した。
県内の市町村が認定した震災関連死は四日現在で二千二十八人。このうち67%が原発関連死にあたった。
福島第一原発が立地する大熊、双葉両町などを含む双葉郡は原発被害が大きく、原発関連死は昨年三月十一日と比べ、浪江町が二十一人増の三百八十人、富岡町が四十五人増の三百三十六人、双葉町が十二人増の百四十人となっている。
いわき市は震災関連死者が百三十一人いるが、原発を理由とした死者数を把握していない。南相馬市は本紙の取材に、震災関連死した四百八十五人のうち、この一年間に増えた十六人全員が原発事故による避難者と答えたが、昨年三月以前については、原発避難者かどうかの統計はないという。
ただ、両市の担当者は、これまでの震災関連死者について「多くは原発避難者」と話しており、この分を加えると原発関連死の割合はさらに増える。
震災から五年近くが経過し、震災関連死の申請が認められない例も増加。認定率は今年一月末で76・7%となった。
宮城県の震災関連死は九百二十人(一月末現在)、岩手県は四百五十八人(同)。福島県の震災関連死は二千人を超え突出しており、原発事故の影響が大きい。
本紙は一三年三月から定期的に原発関連死を集計している。
<震災関連死と原発関連死> 避難生活での体調悪化など震災の間接要因による死亡を市町村が「震災関連死」と認めれば、最高500万円の災害弔慰金が遺族に支払われる。審査の統一基準はない。死後いつまでに申請しなければならないという決まりはないため、過去1年間に認定された人でも、亡くなったのは数年前というケースも多い。
本紙は震災関連死のうち、原発事故での避難の影響で病気が悪化するなどして死亡した人の数を、各自治体に弔慰金申請書類などを調べてもらい、原発関連死として集計している。
=====================================================
東京新聞の二つの社説【命の安全第一に 3・11から5年】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030802000136.html)と、
【原発に頼らない国へ 2011年8月6日付】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030802000135.html)。
《本紙は五年前の一面に「原発に頼らない国へ」と題した下の評論を掲げた。事故への反省と未来に向かっての決意です。現実はそうは進んでいません。事故後、私たちは原発に対する認識をよくよく思い返したものでした。…五年は歳月の節目だが、被災者にはただ通過する一日でもあるでしょう。原発事故と地震津波被災への悲しみと苦しみ、そして怒りを私たちは日々共有しよう。よりよい社会、人を大切にする国にするために》。
《広島、長崎の原爆忌が巡ってきます。毎年訪れる日ですが、今年は特別です。三月に福島原発事故が起きたからです。私たちは、日本は原発のない国に向かうべきだと考えます》
慟哭や悲しみを無視するアベ様らではダメ。
『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために
核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?』
『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…』
第五福竜丸元乗組員大石又七さんは、《私たちビキニの被曝者がたどった道を、福島で放射能を浴びた人たちもたどっているんだと思います。本当に気の毒だと思うばかりです。福島の人たちの苦労が始まったわけですからね》と仰っています。映画・TVドキョメンタリー『放射線を浴びた『X年後』』にある通り、この人災の『X年後』への懸念が、ブログ主には、拭えません。アベ様ら核発電「麻薬」中毒患者は、なぜ、平気でいられるのか?
『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん
「ビキニと福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」』
大石さんも同様なことを仰っていますが、烏賀陽弘道さんは《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人を「いないこと」にしてしまった。原発と核兵器の「血のつながり」を論ずることはタブーになった》と述べています。「兄」の「核」はダメだけども、「弟」の「原発」は良いものとしてきた日本。でも本質は、「核兵器=原子力発電」じゃないのか。
『●烏賀陽弘道さん
『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了』
原発に頼らない国を目指しましょうよ。《人の命と安全は経済性に優先する》=《裁判用語では人格権の尊重であり、社会用語なら倫理》を、福井地裁や大津地裁の仮処分決定のように、「司法の良識」として受け止め、《日本の歴史的役割》をそこに定めるべきです。
『●大津地裁山本善彦裁判長、
高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分決定!』
『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」』
『●3.11東電人災の5年、王様・アベ様からして
核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッッポン』
『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
自ら発した声に法廷はどよめいていた」』
『●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、
樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?』
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030802000136.html】
【社説】
命の安全第一に 3・11から5年
2016年3月8日
本紙は五年前の一面に「原発に頼らない国へ」と題した下の評論を掲げた。事故への反省と未来に向かっての決意です。現実はそうは進んでいません。
事故後、私たちは原発に対する認識をよくよく思い返したものでした。
五年前の評論にあるように、核制御の難しさはもちろん、日本は世界有数の地震国であること、また原子力の危険性を地方に押し付けてきたことをまざまざと思い知らされたのです。
だが以来、私たち日本人は一体何をどう進めてきたのか。
国会や政府の事故調は原因と責任をよく突き止めえず、そのため被災者らが中心となって東電元幹部を強制起訴へと持ち込んだのはつい先日のことです。事故にかかわるすべてを法廷で明らかにせよ、と願うのは福島県民だけでなく多くの国民の思いでしょう。
原発再稼働は進むけれど、どこかに黒い雲のようなものがかかったままのようなのです。本当は進めてはいけない、原発はやはり危険だと考える人が世論調査などで過半を占めるのは当然なのではないでしょうか。
それもこれも国が原発ゼロへの道筋を決めないからです。事故のあと、民主党政権は原発の寿命四十年を順守して自然的消滅の政策をいったんは立てたものの、政権も代わって今は原発維持策です。
温暖化対策をいい、経済性をいい、エネルギー安保も持ち出される。それらはむろん重要です。しかしながらより守らねばならぬものは命の安全です。原発代替の手段も技術もあるのです。
五年前の評論では、なぜ原発に頼らないかは、人の命と安全は経済性に優先するからだと記しました。人間を大切にすることが、私たちの従来の主張だから、と。
裁判用語では人格権の尊重であり、社会用語なら倫理ということになるでしょう。
事故で私たちが思い知らされたのは、原発とは巨大な核施設であり、人間も組織もミスを犯しうるということです。
五年は歳月の節目だが、被災者にはただ通過する一日でもあるでしょう。原発事故と地震津波被災への悲しみと苦しみ、そして怒りを私たちは日々共有しよう。よりよい社会、人を大切にする国にするために。
=====================================================
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030802000135.html】
【社説】
原発に頼らない国へ 2011年8月6日付
2016年3月8日
広島、長崎の原爆忌が巡ってきます。毎年訪れる日ですが、今年は特別です。三月に福島原発事故が起きたからです。私たちは、日本は原発のない国に向かうべきだと考えます。
原発には賛否さまざまな議論があります。脱原発への一番の反論は、電力が足りなくなったらどうするのか、ということです。しかし、それには人の命と安全は経済性に優先すると答えたい。人間を大切にするというのが私たちの従来の主張だからです。核の制御の難しさはもちろん、日本が四枚のプレート上にある世界有数の地震国であることも大きな理由です。
原発の安全、安価、クリーンの神話は崩れ去りました。私たちは電力の自由化、自然エネルギー庁の新設、徹底した情報公開を提言します。
原発のない国へ、という挑戦はもちろん容易ではありません。日本は現在エネルギーの大半を海外に頼っています。経済活動に支障は出るでしょうし、弱い立場の人を苦しめることも許されません。実現には年月も努力も必要です。しかし、指針を掲げねば前へとは進めません。
放射能被害は、被爆国の国民として、また福島の惨状を知った同胞として、深刻かつ重大に受け止めねばなりません。よく考え、議論し、行動しようではありませんか。一人の理想は小さくとも、合わせれば世界の理念にもなるでしょう。
戦後日本の経済成長は世界を驚かせました。大いに誇るべきです。だが原子力については平和利用の名の下、その恐るべき危険性を見過ごし、原発の立地は多くを地方に押しつけてきました。率直に反省すべきことです。
歴史を学ぶのは未来を考えようと思うからです。原子力の過去を知るほど、今が私たちの変わらねばならない時と考えます。それは欧米では再生エネルギーの活用という形で始まっているのです。
世界では、原発は中国やインド、中東などで増えそうです。各国の事情はあります。しかし核はますます拡散し、巨大事故や核テロの危険性も増えると懸念します。日本は持ち前の技術と結束力で、原発がなくとも豊かな社会が築けるというモデルを世界に示すべきです。それは日本の歴史的役割でもあるのです。
(論説主幹・深田実)
=====================================================
東京新聞の記事【<東日本大震災5年>教訓を未来へ 風化させない…各局特番】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016022702000212.html)。
『吉永小百合さんも巻き込まれた? 高市「電波停止」発言と忖度するテレビ局』(http://dot.asahi.com/wa/2016022400189.html)。
《あの日何が起きていたのか、災害から身を守るために何をすべきか。5年の歳月を振り返り、教訓を未来へつなげる取り組みが続く》
《吉永さんへの批判について小川氏は、「丁寧な議論を展開していると自負している」》。
東電核発電人災からちょうど5年。その「教訓」を発信できず、アベ様や「寄生」委員会の核発電「麻薬」中毒ぶりを批判せずしてジャーナリズムか? 好き勝手に核発電を推進させていて、それを報道が批判もせず、「教訓を未来へつなげる取り組み」なんて言えるのか?
『●電力会社やアベ様、原子力「寄生」委員会は「原状回復」して見せよ』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長
「現時点で放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●原状回復できない現実: 「12万円で、
あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…』
『●いま、核発電所を再稼働する「地元」へ:
立地する地域住民にも染み渡っていた「日本の原発は安全」…』
『●3.11東京電力核発電人災、
菅直人(当時)首相談話草案の全文が公開された』
『●東電核発電人災避難者の《「怒り」と「慟哭」》、
「理由も知らされず避難し、人格が否定された気がした」』
『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん
「ビキニと福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」』
『●今中哲二さん「被災した人々にもたらされた災難の大きさは、
放射線測定器で測ることはできない」』
『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために
核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?』
『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…』
アベ様らの暴走した政、何一つ止めることのできないジャーナリズム。「電波」な「凶器」は高市総務相だけじゃない。「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが攻撃を開始しているというのに、それを援護する新聞まで在る始末。《日本は今や世界の笑い者ですよ。…官邸の意向を忖度した上層部が、政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した》。
「20XX年、再び戦争が始まった…。2016年、アベ様のあのトンデモ「壊憲」草案が現実のものになり、坂を転げるように、戦争できる国へ…。その時、ジャーナリズムは死に絶え、アベ様の広報機関となり、…。…核発電「麻薬」患者らは、『プルトニウムをつくる装置』=核発電所を次々に再稼働させ、それらは格好の周辺国の飛翔体の標的とされることに…。悪いことは重なるもので、九州では火山が大噴火し、ニッポンのあらゆる地域が核発電所の「地元」であることを思い知ることになった。2045年、小出裕章さんの予言通り、「国破れて、山河も無く」、真の意味でニッポンは終わり、終戦を迎えた」。
『●いま、「陰謀論丸出し」で
アベ様の取り巻きが攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する』
『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」:
「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」』
『●20XX年、再び戦争が始まった…: 立憲主義を否定し、
クーデターで壊憲しといて、そりゃぁないでしょ』
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016022702000212.html】
【放送芸能】
<東日本大震災5年>教訓を未来へ 風化させない…各局特番
2016年2月27日 朝刊
東日本大震災から5年。各放送局は3月に震災関連の特集番組を集中的に放送する。あの日何が起きていたのか、災害から身を守るために何をすべきか。5年の歳月を振り返り、教訓を未来へつなげる取り組みが続く。
NHKは、ラジオを含め七十六番組計九十七時間の震災関連番組を放送予定だ。板野裕爾(ゆうじ)放送総局長は「集中編成することが風化を防ぎたいという気持ちの表れ。復興がどれくらい進んでいるか、将来の課題は何かなどを一つの節目としてまとめる番組が多い」と話す。
■喪失と再生と
NHKスペシャル(総合)は、五~十三日に計七本を放送。東京電力福島第一原発事故の検証を続けてきた「メルトダウン・シリーズ」の決定版(十三日)のほか、原発事故避難の全体像に迫る番組(五日)や、「私を襲った津波」(十一日)など、五年前に向き合う内容も。十日は、遺族と故人が対話する場として設置された「風の電話」に密着し、人々の喪失と再生の五年間をつづる。
■勇気と強さを
フジテレビ「消防隊だけが撮った0311 彼らは『命の砦(とりで)』となった」(四日)は、全国から被災地に駆けつけた消防隊員が撮影した未公開映像と証言で構成。石田英史(ひでふみ)チーフプロデューサーは「凄惨(せいさん)な体験で心の傷を負った消防隊員たちが今だから明かす証言とともに、被災現場で何が起き、絶望的な状況をどう乗り越えていったのか、人間の勇気と強さを見てほしい」。
日本テレビ「NNNドキュメント’16」(日曜深夜)が継続している「3・11大震災シリーズ」。七十作目はテレビ岩手、宮城テレビ、福島中央テレビが共同制作した「ふるさと」(六日深夜零時五十五分)だ。家族を失い、古里を奪われた三県の人たちの五年間と、これからの暮らしを見つめる。
■知識や備えも
災害はいつ私たちを襲うか分からない。各局は啓発にも力を入れる。日テレ「教科書で学べない災害」(一日)は、池上彰と人気グループ「嵐」の櫻井翔が、スーパー台風が襲ったフィリピンや噴火が懸念される富士山などを現地取材。災害から命を守るために知っておくべき知識や備えを多角的に伝える。
池上はTBS「緊急!池上彰と考える“巨大地震” その時命を守るためにIV」(九日)にも出演し、震災を教訓にした災害対策の最新情報を解説する。
三月十一日には、NHK総合の「明日へ つなげよう」(十二、十三両日も随時)のほか、TBS「Nスタ」やテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」も特別番組を編成。被災地からの生中継などを交えながら現状を伝え、いま一度、被災地と全国の視聴者を結ぶ。
=====================================================
=====================================================
【http://dot.asahi.com/wa/2016022400189.html】
吉永小百合さんも巻き込まれた? 高市「電波停止」発言と忖度するテレビ局
(更新 2016/2/26 07:00)
(「電波停止」発言に踏み込んだ
安倍首相と高市総務相 (c)朝日新聞社)
国会で高市総務相が「電波停止を命じる」と恫喝するなど、安倍政権の“テレビ局支配”が強まっている。民放でも政権を批判した看板キャスターらが3月、一斉に降板する。
2月17日、英ガーディアン紙は「日本のテレビキャスターたちが政治的圧力で職を失う」と題した記事を掲載した。「クローズアップ現代」の国谷裕子氏、「報道ステーション」の古舘伊知郎氏、「NEWS23」の岸井成格(しげただ)氏の3人が、3月に同時に番組を降板することを紹介。さらに、2月8日の衆院予算委員会で高市早苗総務相が、政治的な公平性を欠く放送が繰り返された場合、電波停止を命じる可能性に言及したことも驚きをもって伝えられた。テレビ局幹部は、悔しさをにじませながら言う。
「日本は今や世界の笑い者ですよ。表向きは番組改編期での
交代や自主的な降板になっていますが、実態は違う。官邸の
意向を忖度(そんたく)した上層部が、政権批判をいとわない
キャスターの首を差し出した」
中でも岸井氏は2013年成立の特定秘密保護法で安倍政権を厳しく批判し、15年の安保関連法案の可決直前にも「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と番組で主張した。勇気ある発言と称賛された一方で、右派論客からは放送法第4条が定める「政治的に公平であること」に違反していると、批判された。
昨年11月には、任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)が、読売新聞と産経新聞に1ページ全面の意見広告を掲載。そこでは、岸井氏を名指しで「放送法第4条の規定に対する重大な違反行為」と批判した。
TBS関係者が岸井氏の降板の内幕をこう話す。
「安保法制で岸井さんの政権批判のボルテージが上がった
昨夏ごろから、上層部は本人に何も相談せず、後任の
キャスター選びを水面下で進めていました。それが秋ごろ、
岸井さんの耳にも入り、本人はとてもショックを受けていた。
降板の表向きの説明は『NEWS23』の視聴率低迷ですが、
うちの朝の番組、『あさチャン!』『白熱ライブ ビビット』の
低迷のほうがひどく、立て直しが急務だったはずなのに……」
視聴者の会が安倍首相を応援する論客を中心に構成されていることも、臆測を呼んだ。
呼びかけ人や賛同者には、12年の自民党総裁選前に設立された「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人37人のうち11人が参加していた。高市総務相が「電波停止」発言をした直後の2月13日には、読売新聞に再度意見広告を掲載した。その関連性について視聴者の会は本誌に対し、広告は1月中旬から準備していたと否定。掲載の理由をこう説明する。
「(特定秘密保護法と安保法制で)夜の主要テレビ番組の
賛否バランスが8対2、9対1など極端すぎる状況なので、
国民の知る権利の侵害だと訴えている」
同会事務局長の小川榮太郎氏が雑誌「正論」3月号に寄稿した「吉永小百合さんへの手紙」も話題だ。この論考では、安保法制に反対した吉永さんが「しんぶん赤旗」に繰り返し登場していることから、「日本共産党の広告塔」だと指摘。キャスターだけでなく、今後は芸能人の政治的発言も問題視されるのではとの懸念の声もある。
吉永さんへの批判について小川氏は、「丁寧な議論を展開していると自負している」としたうえで、こう回答した。
「(論考は)会の活動とは全く関係ありません。
個々の発言者をターゲットにすることなどありえません」
政権と民間の双方から強まるテレビ局への批判と圧力。元TBS報道局アナウンサーで、安倍政権初期まで2年余り内閣広報室に勤務した下村健一氏は、「メディアと権力の両側」を経験した立場から言う。
「高市発言は、権力を持つ者の発言としては明らかに不適切だが、
文言だけ見れば、当たり前のことしか言っていない。問題は、
それを受けたテレビ局側が過剰な自主規制に走ること」
では、テレビ局の自粛の進行を食い止めるにはどうすればいいのか。
「放送内容が今後、もし政府寄りに偏ったら、まさに放送法第4条の
求める政治的公平を、是正を求める根拠として視聴者側が使えます。
政権に批判的なことも言えるキャスターやコメンテーターの降板を
憂うる視聴者は、『視聴者の会』と同じ論理で、テレビ局に意見表明の
圧力をかけていけばいい」(下村氏)
冒頭に紹介した記事では、もし、英国で厳しい質問をするキャスター3人が同時に職を失えば、「英国の多くの政治家は大喜びするだろう」と書いている。今、日本ではどこかで政治家がほくそ笑んでいるに違いない。
(取材班 今西憲之、本誌・長倉克枝、西岡千史)
※週刊朝日 2016年3月4日号
=====================================================
東京新聞の社説【高浜原発停止 「安全最優先」は本当か】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030302000156.html)。
《再稼働に伴う気がかりなトラブルが相次いで、関西電力高浜原発4号機はすぐに停止を余儀なくされた。安全は最優先されたのか。それを確かめない限り、原発再稼働などありえないということだ》。
《住民の不安や疑念が晴れないままの再稼働は危険である》
『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい:
高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」』
核発電賛成派の「地元」の住民の皆さんに、感想・意見を聞いてみたい。
なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために核発電する必要があるのか? 核発電「麻薬」患者のアベ様ら、関西電力、原子力「寄生」委員会に唆されて、ひどく後悔しておられないだろうか?
この5年間、関電や九電は一体何をしてきたのか? 核発電ゼロの努力を少しでもしたのか? 核発電ありきの「麻薬」状態だったのではないか。
神様、「仏様のおかげ」はもう期待できず、暴発すれば、「地元」に帰還することさえできなくなるというのに…。
『●電力会社やアベ様、原子力「寄生」委員会は「原状回復」して見せよ』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長
「現時点で放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●原状回復できない現実: 「12万円で、
あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…』
『●いま、核発電所を再稼働する「地元」へ:
立地する地域住民にも染み渡っていた「日本の原発は安全」…』
『●3.11東京電力核発電人災、
菅直人(当時)首相談話草案の全文が公開された』
『●東電核発電人災避難者の《「怒り」と「慟哭」》、
「理由も知らされず避難し、人格が否定された気がした」』
『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん
「ビキニと福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」』
『●今中哲二さん「被災した人々にもたらされた災難の大きさは、
放射線測定器で測ることはできない」』
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016030302000156.html】
【社説】
高浜原発停止 「安全最優先」は本当か
2016年3月3日
再稼働に伴う気がかりなトラブルが相次いで、関西電力高浜原発4号機はすぐに停止を余儀なくされた。安全は最優先されたのか。それを確かめない限り、原発再稼働などありえないということだ。
拙速だ。急ぎすぎていた。拙速には危険がつきまとう。
先月二十日、4号機の原子炉補助建屋の配管から、放射性物質を含む冷却水が漏れ出した。
配管の弁のナットの緩みが原因だった。外部への影響はなかったが、原子炉を冷やす冷却水の漏出は、重大事故につながりかねない“事件”である。
関電は起動試験を一日遅らせ同種の弁を再点検はしたものの、当初の予定通り二十六日に再稼働。スケジュールを堅持した。
それから三日、タービンを回し、発送電を始めた直後に、発電機や変圧器の異常を知らせる警報が鳴り響き、原子炉は緊急停止した。詳しい原因は、わかっていない。
政府が“世界一厳しい”と自画自賛する原子力規制委員会の審査に通ったあとだけに、住民の不安と疑念はなお募る。
関電幹部らが繰り返す「安全最優先」の掛け声は、むなしく響き、規制委の権威や信用もまた傷ついた。
関電の「スケジュール優先」を不安視する声は上がっていた。
規制委の審査のスピードを、海外の規制当局者は「想像を絶する速さ」と驚いているという。
なぜ、そんなに急ぐのか。原発ゼロで過ごした約二年、日々の暮らしに大きな支障は出なかった。
原発依存度の高いまま、自由化の波にさらされる電力会社の台所への配慮だろうか。
高浜原発3、4号機は、プルサーマル発電による再稼働。プルトニウムを含む使用済み燃料が使われる。核兵器の材料になるプルトニウムの保有を減らしたい政府の意向をくんでのことか。
4号機のトラブルは、スケジュールではなく「安全最優先」の姿勢こそ堅持せよとの警鐘ではないのだろうか。
トラブルの原因究明だけではない。避難対策、免震施設、隣接自治体の同意権、ケーブルの防火対策や原子炉内部の老朽化チェック…など。とりあえず再稼働ありきで先送り、あるいは切り捨ててきたとしか思えないものなどにも「安全最優先」の物差しを当て直し、再検討するべきだ。
住民の不安や疑念が晴れないままの再稼働は危険である。
=====================================================
asahi.comの田井中雅人記者による記事【(核の神話:15)福島原発が呼び起こしたビキニの記憶】(http://www.asahi.com/articles/ASJ2N5D1MJ2NPTIL00P.html?iref=comtop_fbox_d1_01)。
《日本のマグロ漁船「第五福竜丸」など多くの漁船の乗組員らが「死の灰」(放射性降下物)をあびて被曝(ひばく)したビキニ事件。2011年の福島原発事故を受け、「ビキニと福島はつながっている」と訴える第五福竜丸元乗組員の大石又七さん(82)の話に、今こそ耳を傾けた……私たちビキニの被曝者がたどった道を、福島で放射能を浴びた人たちもたどっているんだと思います。本当に気の毒だと思うばかりです。福島の人たちの苦労が始まったわけですからね》。
映画・TVドキョメンタリー『放射線を浴びた『X年後』』にある通り、大石又七さんの仰るように、《あのころ、ビキニ環礁では、のべ1千隻に及ぶ日本の漁船が漁をしていて、アメリカの一連の核実験の放射能を浴びて、あとになって大勢の人が発病して亡くなっているんだけど、だれもその責任を認めていない》。本インタビュー記事を、是非、読んでもらいたい。
『●映画『放射線を浴びた『X年後』』:
「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」』
『●米軍の「差別性の極み」:NNNドキュメント’14
『続・放射線を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今』』
『●『放射能を浴びたX年後』: 「国はこれまで
福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった」』
『●人類は核と共存できるのか?
『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
大事なことは、東京電力核発電人災との関連である。
この人災の『X年後』への懸念に加えて、記事の末尾で、大石さんは、《核兵器とおんなじで、原発も被害を作り出すものだってことは証明されたよね、福島でね。核兵器は悪いけど原発はいいもんだってことを盛んに言ってきたけど、そうじゃないわけで、いまや原発のほうが核兵器よりも直接の害を及ぼしてますからね。・・・、原発の方が直接的には悪いんじゃないの》とも仰っている。
『●烏賀陽弘道さん
『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了』
『●社説:核廃絶と脱原発』
『●アメリカのちょっかいとナチソネ氏、原子力の「安全」利用』
『●原発と核兵器は同じ: 「怖いと思わなかった。何も知らなかったから」』
『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続』
『●東電の「万全」神話: 「作業員の安全を祈らずにはいられなかった」』
『●米国ビキニ環礁水爆実験『放射線を浴びた『X年後』』:
福島でも、X年後に「因果関係の証明は困難」と』
『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・
取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?』
『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい:
高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」』
『●ビキニ水爆実験からの『X年後』、
そして、3.11東京電力原発人災からの・・・・・・』
『●東電原発人災から『X年後』でも同じことが…
「死は個人の不摂生のせい」に、そして、「上から口封じ」』
=====================================================
【http://www.asahi.com/articles/ASJ2N5D1MJ2NPTIL00P.html?iref=comtop_fbox_d1_01】
(核の神話:15)福島原発が呼び起こしたビキニの記憶
核と人類取材センター・田井中雅人 2016年2月23日14時30分
(大石又七さん=東京・夢の島の第五福竜丸展示館、
田井中雅人撮影)
1954年3月1日、太平洋ビキニ環礁で米国が実施した「ブラボー」水爆実験で、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」など多くの漁船の乗組員らが「死の灰」(放射性降下物)をあびて被曝(ひばく)したビキニ事件。2011年の福島原発事故を受け、「ビキニと福島はつながっている」と訴える第五福竜丸元乗組員の大石又七さん(82)の話に、今こそ耳を傾けたい。
◇
■第五福竜丸元乗組員・大石又七さん
福島原発事故が起きるまでは、ビキニ事件のことは世間から忘れられていました。マスコミも私のところに全然来なかったです。福島の事故がなければ、完全に消えていったでしょうね。放射能と内部被曝っていう大きな問題を福島が呼び起こしちゃったよね。半世紀以上前にあったことを忘れていたのか、抑えられてきたからか。みなさんが知らないで生きているだけのことだと、私の目には映ります。知ってることは話しておかなきゃね。
私たちビキニの被曝者がたどった道を、福島で放射能を浴びた人たちもたどっているんだと思います。本当に気の毒だと思うばかりです。福島の人たちの苦労が始まったわけですからね。
第五福竜丸の乗組員23人のうち、半分以上は放射能が原因とみられる病気で亡くなりました。放射能の中に放り出されている福島の人たちには、これからいろんな形でいろんなことが起こる。そのことの始末ができない以上は、これから先もずっと続いていくということになりますのでね。あまり声を大きくして言えないようだけど、ほんとは声を大きくして言わないといけない。声を大きくすると困る人が出てくるってことが、まったく困ったことなんだよね。
これから福島原発の放射能による病気が見つかっていくんでしょうけど、お医者さんはきちんと事実を発表して、それが起こらないようにしないと、いつまでたってもなくならない。まあねえ、国自体がこのことを隠そうとして一生懸命になってるんだから、お医者さんにしろ学者さんにしろ、わかってても手をつけないんでしょう。だって自分が不利になるもん。そういうものなんだよね、この放射能とは。日本はこれまで、核というものの扱いをそういうふうに持ってきたから、福島の核の被災地にもそういうことが起こるんだよ。そんなことは分かってることなんだけど、やっぱりそれにお金がからむと、人間ってのはお金に弱いのかな。負けちゃうんだよね。いやだね。
危険ということより、お金が先に来ちゃってる。よく調べたら、原発自体がやっちゃいけないことだったんだよね。よく調べないから、それに手を出して、つかんでしまう。いったんカネをつかんだら、放さないですからね。あとにひきずって、いま、こういう結果になってるんでしょ。どっかで道を間違えているわけですよ。人間の弱さが、そういう道をつくってるんですよ。だれを責めるっていうのは、難しいんですよね。責任者を探せばいないことはないけれども、だからっていってその人に決めつけられないし、歴史の大きな流れの中でそういうことが起こってくる。はっきりどっかで線引きしないと、また原発事故が起こっちゃうでしょう。
【被爆させられた船】
(東京・夢の島の第五福竜丸展示館で展示されている)福竜丸を見るたびに思うのは、この船もおどらされたんだな、と。福竜丸自体が被曝したんじゃなくって、そういう時代の中で被曝させられた船なんだって。大きく考えたら、日本人の心がヒバクしたんだよね、あの時。それを船が警告してる。ずっと教えてるんだよ。「おれは被曝したあわれな船じゃないんだ」って言ってるように見えます。都合の悪いことは全部この船に押しつけて。この船だけが被曝したってことで終わらせてるわけでしょ。あのころ、ビキニ環礁では、のべ1千隻に及ぶ日本の漁船が漁をしていて、アメリカの一連の核実験の放射能を浴びて、あとになって大勢の人が発病して亡くなっているんだけど、だれもその責任を認めていない。
私は言わないと気がすまないっていうのがあったね。被曝させられたことすら知らずに死んでいった仲間がかわいそうでならなかった。福竜丸乗組員の中で短い人では今の私の半分くらいですよ、人生が。私は普通の人以上に長生きができたんだから、自分の寿命はまっとうできたと言っていいと思うんですよ。苦労はしたけどね。その代わり、いろんなことを教えてもらったよね。どっかで恩返ししなきゃ申し訳ない。ただ、だらだら長生きしたで終わりたくないから。使命なんて立派なもんじゃないけどね。
私の最初の子供は死産、私も肝臓がん、慢性心房細動、高血圧、気管支ぜんそく、糖尿病、肺には腫瘍(しゅよう)を抱え、二十数種類の薬を飲みながら命をつないでいます。4年前、家内のアルツハイマー病の悪化による看病疲れで自分が脳出血で倒れ、右半身と言葉に支障をきたしました。
もう、これ以上体が良くなることはないですけどね、仲間が若くして死んじゃってることを考えればまだまだ幸せなほうで、助けられてます。神様がビキニ事件のことを伝えるために、こいつだけは生かしておけと言ってるのかもしれない。そうでないと、死んでいった連中に申し訳ないもの。生き残ったことが幸せかどうかはわかんないけどね。ああだこうだと文句は言えるから、いいんじゃないですか。仲間は言いたいことも言えないで死んでいってるからね。
ふるさとを捨てて出てきてますから、帰るところはない。つきあいはありません。生まれ変わったら、この船に乗って同じことをしたいとは思わないけど、海の生活や魚は好きだから、そこには戻りたいね。陸の生活っていうか、人間同士の生活はだましあいをしているようにしか見えません。
もともと、静岡から東京に出てきたのは隠れるため。福竜丸の仲間うちで私が一番ガキだったんで、地元に残って静かに暮らしていくことができなかった。地元では「罪人」でしたよ。ほかの船の漁師たちを苦しめたんだからね。(ビキニ被曝事件によって)漁はできないし、お金は入ってこないし、生活も苦しいっていうのをみんなが味わったから。そういう怒りは、それを持ってきた我々福竜丸のほうへと向けられたんですよ。人間ってそういうもんだよね。あいつらが持って来なきゃ、自分たちも苦労しなくてすんだんだっていう考えになるんですよ、単純に、事件の内容がわかんない人は。それが普通の漁師ですからね。カネが入らない、食うものがない、苦しい、となれば、その原因をつくったやつが悪いやつになるんだよね。
地元に残った仲間もそういうことでずっといじめられて、いまもそれが抜けないんだよね。重荷をしょって地元で暮らしたって面白くもなんともない。ほんとに罪人とおんなじですよ。私はそんなこといやだから、せめて都会へ出て、みんなとおんなじような気分で生活したいと思って、おおぜいの中にまぎれこんだ。事件のことを言わなきゃわかんないんですから、東京ではね。
だから、私は平和運動家じゃないんです。東京の雑踏にまぎれて洗濯屋になって隠れてたんです。それが半世紀の長い間に逆転しちゃった。ずっとビキニ事件のことは隠してたんだけと、政府と交渉したときに、私たちの病気はたいしたことないというふうに言われて、これは間違いなく放射能の影響があったんだ、それでずいぶん悩んで苦しんだんだっていうことを伝えなきゃ意味がないと思うようになったんだよね。
アメリカの公文書館で調べて日米交渉の真実を教えてくれる人も出てきた。ビキニ事件そのものが根本的な解決をしていないし、このままでは人類のためにもマイナス面のほうが大きい。そういうことが年を追うごとにわかってきた。なのに日本の政治家や役人はアメリカの家来になって、今もひた隠しにしてる。裏切りですよ。
いまや戦争好きの軍国主義者らが政権を握っている。これも裏切りですよ。そういうことのために戦場に行かされた人たち、たくさんの人たちが帰りたくても帰ってこられなかったという歴史的事実をいまの若い人はなんにも知らない。
私は戦時中の教育を受けて、特攻隊員になろうと思って勉強してたんだから、当時の指導者がどういうことを言って若者を戦場に送ったか知っている。それはもう腹がたちますよ。表だっては言えないけどね。でも、それが本心なんですよ。それが私のいまの発言の根底にあるんですよ。怖いからみんなが黙ってるけどね、腹の中には私と同じ考え方を持っているはずです。
【政治決着という不合理】
(ビキニ事件で、米政府は日本政府に200万ドルの「見舞金」を支払い、核実験で第五福竜丸の乗組員23人を被曝させた米国の責任を不問にすることに日本側が応じた)あの政治決着という、私たちが受けた扱いは正当じゃないですよ、不合理です。いくら敗戦国だといっても、当時は戦争中じゃなかったわけですからね。間違ってるよ。
間違ってるけれども、そういう時代で、戦争に負けた国の弱さが、そういうところに出てくるってことを、みんな知らなきゃいけない。力で抑え込まれたっていう事実だけは、ちゃんと記しておかなきゃ。負けた国の弱みだよね。戦争に負けたってことなんだよね。
当時の(日米政府交渉をめぐる機密)文書が少しずつ出てきてますね。そういったものが出てくるから、判断ができるわけです。何が間違ってたか。過去の歴史を学ばなかったら、今の判断が出てこないですよ。
福島原発事故について、政治家や科学者は自分たちの誤りで起こしてしまったという認識はあるのでしょうか。経済が優先され、ビキニ事件のように人権と命が無視され、真実は隠されている。責任問題も補償問題も健康問題も、ビキニ事件に立ち返って考え直さないと答えは出てこないと思いますよ。
ビキニ事件当時、日米政府は水面下で大変な取引をしたんだよね。それは、原発の導入です。「日本は地震大国であり、放射能についてはまだ十分に分かっておらず、危険である」と言って反対していた学者もいたんだけど、その考えは押しのけられた。ビキニ事件でこうむった膨大な被害を200万ドルというわずかな見舞金にすり替え、太平洋で行われていたアメリカの水爆実験を容認する代わりに、原子力技術と原子炉が日本に導入されたんです。ヒバクシャを切り捨て、地球汚染も容認し、地震大国である日本に危険な原発を安易に導入したんだよね。
今また同じことをやってるな、と思います。過去を知らない人は、いいか悪いかが分からないまま過ごしていっちまう。それは、間違いだと思うんですよ。無責任。政治家にしても学者にしても、過去を知ってりゃ、こんなことは出来ないと思うよ。放射能が人間に及ぼす影響というものをはっきり知ってたらね。原発を再稼働させて、それをよその国にまで売ってカネにしようなんていう考え方は出てこないはずですよ。できないはずですよ、人間としてね。それを平気でやれるってことは、過去を知らないから、おカネになるんなら、事故が起こらないようにするんならっていう、そういうことに流されちゃう。もっとひどいことが必ず起こりますよ。
核兵器とおんなじで、原発も被害を作り出すものだってことは証明されたよね、福島でね。核兵器は悪いけど原発はいいもんだってことを盛んに言ってきたけど、そうじゃないわけで、いまや原発のほうが核兵器よりも直接の害を及ぼしてますからね。核兵器は持って威嚇してるだけだけど、原発は実際に人類に害を与えているんだから、原発の方が直接的には悪いんじゃないの。そういうふうに見えるもんね。
………。
=====================================================
東京電力の記事【原発事故 政府の力では皆様を守り切れません 首都圏避難で首相談話草案】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022002000148.html)と、
記事【福島事故 首相談話草案全文 妊婦、乳幼児連れの方 優先乗車させて】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022002000157.html)。
菅直人氏もその存在を知らなかったようですが…。
《菅直人・民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している》。
《特に、これまで四十年間、首都圏の電力を支えてきてくださった大熊町、双葉町の皆様(みなさま)、近隣市町村、福島県民の皆様、隣接する茨城県、宮城県の皆様には、本当に多大なご迷惑をおかけし、お詫びの言葉もございません。申し訳ありませんでした…》。
それが、今や核発電再稼働、核発電輸出……あの惨劇からたった5年です。
核発電再稼働賛成派の皆さんも内心では、《政府の責任を認めて謝罪し、原発を所管する経済産業省や東電の責任追及を約束》していたはずだというのに、このザマである。アベ様や東電、原子力「寄生」委員会は、「原状回復」して見せてほしい!
『●電力会社やアベ様、原子力「寄生」委員会は「原状回復」して見せよ』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
『●原状回復できない現実: 「12万円で、
あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」』
『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」』
『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…』
『●いま、核発電所を再稼働する「地元」へ:
立地する地域住民にも染み渡っていた「日本の原発は安全」…』
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022002000148.html】
原発事故 政府の力では皆様を守り切れません 首都圏避難で首相談話草案
2016年2月20日 朝刊
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故の際、首都圏で大規模な避難が必要になる最悪のシナリオに備え、当時の菅直人・民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している。
草案を作成したのは、民主党政権で官邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏。当時、文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党参院議員が原発事故発生から一週間後の一一年三月十八日、作成を依頼し、平田氏は二日後の二十日に書き上げた。四百字詰め原稿用紙七枚に相当する約二千八百字の長文で、避難の範囲といった具体的な数値については、発表時の放射性物質の拡散状況に対応できるよう「○○キロ圏内」などとした。
赤字で「重要原稿草案 2011・3・20」と書かれた草案は冒頭、政府の責任を認めて謝罪し、原発を所管する経済産業省や東電の責任追及を約束。その上で「国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりました」などと避難を呼び掛けた。パニックを警戒し「西日本に向かう列車などに、妊娠中、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい」「どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたい」などと訴えている。
平田氏はパソコンで草案を書き、鈴木氏に渡した。福島原発事故の放射能汚染が首都圏に及ぶ可能性が少なくなったことから、公表しなかった。
鈴木氏は本紙の取材に「官邸の指示ではない。私が独断で準備した」と説明。ただ、原発事故の影響がさらに拡大すれば、菅首相らに提案するつもりだったという。平田氏は「談話が必要になる可能性は極めて低いという前提で、シミュレーションとして作った。実際に発表する場合にはさらに専門家を加えた検討が必要だと思っていた」と話した。
首都圏避難を伴う「最悪のシナリオ」をめぐっては当時の近藤駿介 原子力委員長が一一年三月二十五日に作成。福島第一原発1~4号機の使用済み核燃料プールが空だきになって燃料が溶融するなどの想定で、首都圏の住民数千万人の避難を示唆する内容だった。
◆私は知らない
菅直人元首相の話 東京を含め五千万人の避難が必要になるという最悪の事態は、事故発生当初から私の頭にあった。スタッフはいろんなことを想定して準備する。ただ私は(首相談話草案の存在を)知らないし、見たのも初めて。本当に避難が必要になった場合は、特別立法を含めて何らかの手だてをしたはずだ。
=====================================================
=====================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016022002000157.html】
福島事故 首相談話草案全文 妊婦、乳幼児連れの方 優先乗車させて
2016年2月20日 朝刊
東京電力福島第一原発事故の際、当時の菅直人・民主党政権下で作成された首相談話の草案全文は以下の通り。
この度(たび)の福島第一原子力発電所の大規模事故にあたり、多くの国民のみなさまに大きな不安をお与えしていることを、改めてお詫(わ)び申し上げます。
特に、これまで四十年間、首都圏の電力を支えてきてくださった大熊町、双葉町の皆様(みなさま)、近隣市町村、福島県民の皆様、隣接する茨城県、宮城県の皆様には、本当に多大なご迷惑をおかけし、お詫びの言葉もございません。申し訳ありませんでした。
この度の事故は、政府、経済産業省はじめ関係諸機関、東京電力のいずれにも、多大な責任があり、今後、事態が収拾したのち、きちんとした反省、検証のみならず、責任の追及を行っていく所存です。
しかしながら、いまは、政府、東京電力、自衛隊、消防庁など関係諸機関、そして全国民の総力を挙げて、被害を最小限に食い止めなければなりません。どうか、その点をご理解いただければと存じます。
福島第一原子力発電所は、廃炉を前提として、とにかく、被害を最小限に抑えるように、今後も全力を挙げて対策を講じてまいります。
しかしながら、いまの時点において、国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりましたので、その点をご報告させていただきます。
まず、お願いしたいのは、現在の放射線量から考えて、いま、すぐに健康被害が起こるわけではありませんので、どうか落ち着いて、各自、冷静に対処、行動をしていただきたいということです。
繰り返します。今すぐに健康被害が起こるような事態は起こっておりません。これからの説明をよく聞いていただき、国民各位が、冷静な行動をとっていただきますようにお願いいたします。
まさに、いま、日本国民の叡智(えいち)、理性、自制心が問われています。
なにとぞ、よろしく、ご協力ください。
まず、立ち入り禁止区域を、現在の20キロ圏内から、○○キロ圏内に拡大いたします。これは、念のため、最悪の事態を想定しての避難です。
○○圏内というのは、放射性物質の拡散による直接の健康被害が起こりえる、最大限の距離をとっています。この圏内の皆様には、たいへんなご心配とご不便をおかけいたしますが、どうかご協力いただきたい。
すでに関係する自治体には連絡を取っており、現在、避難経路などを策定、指示をしていただいております。各自治体の指示に従って、ゆっくりと、焦らずに避難を行ってください。繰り返しますが、すぐに危険が迫っているわけではありません。念のため、最悪の事態を想定しての避難ですので、ゆっくりと避難をしてください。
なお、この区域の皆様には、今回の事故の安全確認が完了するまで、○か月以上の長期間の避難をお願いせざるをえません。まことに申し訳ありませんが、ご不便に耐え、安全確保にご協力いただきたいと思います。
政府としても、最大限の支援を行ってまいります。避難の長期化が避けられない地域に関しましては、政府が責任を持って、全面的に持続的な支援を行い、ご不便を最小限に抑えます。
また、放射線量の推移を見ながら、定期的に、車両などを出して、各家庭からの必要な生活用品の移動なども支援いたします。
なお、大熊町、双葉町の住民の皆さまには、最悪の場合、数年の単位で将来的にも居住が難しくなることが予想されます。完全移住も含めて、政府と自治体で対応を協議してまいります。地元住民の皆様の、政府、東京電力への信頼を裏切るような結果となってしまったことを、重ねてお詫び申し上げます。
さらに屋内待避区域を、現在の30キロ圏内から○○キロ圏内に拡大いたします。繰り返しになりますが、立ち入り禁止を指示した○○圏内は、放射性物質の拡散による直接の影響が起こりえる、最大限の距離をとっています。ですから、屋内待機区域は、けっして、24時間外出禁止という区域ではありません。あくまでも念のための措置です。
外出時の注意は別途申し上げますので、極力外出を避けていただければ、健康被害は防げます。
この地域の皆様にも、食料など生活必需品の配給を責任を持って行いますので、ご協力ください。
また圏外避難をご希望される皆様にも、西日本の自治体にも協力を仰ぎ、受け入れ体制を整えます。
今日、明日、健康被害が出るわけではありません。どうか慌てずに行動してください。
それ以外の周辺地域の皆様に、健康被害の可能性について申し上げます。
お手元の資料をご覧ください。
妊娠中の方、乳幼児、○○歳以下の子ども、40歳未満の成人、40歳以上の成人について、距離別の想定される健康被害の可能性をお示ししました。
またこの数値は、風向きによって大きく変化しますが、強風の風下に立った場合の、最悪の状況を想定しての数字となっております。
たとえば、50キロから100キロの地域では、○○歳以下の子どもの、十年以内の甲状腺癌(がん)発症の可能性が、○○%から○○%となっています。屋内待避を続けていただければ、この数値は、大幅に下がります。
他の地域でも同様に、屋内待避を続けていただければ、長期にわたる健康被害の可能性が、大幅に低下します。
ただ、比較的安全な○○キロ圏外の皆様でも、妊娠中の方、乳幼児をお持ちの方が、それでも不安を感じられるということは否定できません。こうした方々の不安に応えるためにも、ぜひ全国民にご了解いただきたいのですが、西日本に向かう列車などに、妊娠中の方、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい。
くりかえしますが、成人に、すぐに健康被害が出るわけではありません。100キロ圏内に、一週間以上とどまっていても、屋内待避を続けていれば、健康被害は起こりません。
どうか、理性と、強い自制心を持って、この最大の国難に、国民一丸となって対処していただきたいと存じます。
放射線の量は、風向きなどで刻一刻と変化します。ふさわしくない喩(たと)えかもしれませんが、花粉の飛散に似ています。政府は、各地の放射線量の情報を逐次、国民のみなさまに提供し、待避、外出の指針としていただくよう努めてまいります。
なお、念のため申し上げておきますが、この度の原発事故では、チェルノブイリ原発事故で起こったような放射性物質の大量拡散、いわゆる「死の灰」の飛翔(ひしょう)、大気に乗っての拡散の可能性はありません。放射線の拡散だけならば、政府の指示に従って充分な距離を置けば被害は防げますし、また時間をおけば、安全性の回復が望めます。この点をご信頼いただき、冷静な行動をとっていただくことをお願いいたします。
政府は、全力を挙げて、事故対策、避難支援、生活支援に取り組みます。しかしながら、ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様の生活をすべてお守りすることができません。どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたいと願います。
重ねて、政府、東京電力の不手際をお詫びし、国民全般の最大限のご協力をお願いいたします。
※文中の「○○」など草案全文は原文のまま。避難の範囲や期間など具体的な数値は、発表時の状況に対応できるよう空白とされた。
=====================================================
asahi.comの西村奈緒美・佐藤達弥記者による記事【あの灰が降る、ビキニの海にいた 元船員ら被害解明訴え】(http://www.asahi.com/articles/ASJ2M5S7BJ2MPTIL017.html?iref=comtop_list_nat_f01)。
《第二幸成丸…数年後、鼻血が突然出るようになった桑野さんは「周囲に体を悪くしたと思われれば、仕事を失う」と恐れ、誰にも相談しなかった》。
『●映画『放射線を浴びた『X年後』』:
「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」』
《たとえば「第二幸成丸」の乗組員20人中17人が、「新生丸」では
19人中17人が死亡している。それなのに米政府は、200万ドルの
慰謝料を支払うことで“完全解決”を図り、日本政府が受諾し、
一切の調査を打ち切って隠蔽した。翌年から、すべての魚が無検査で
全国の食卓にのぼった》
《山下は語る。「こんな巨大な事件が、全体像が明らかにされないまま
現代史に埋没するなんてことは、日本人としての資質が問われる」と。
この映画から、フクシマの「X年後」が見えてきて誰しも愕然となろう》
『●東電原発人災の『X年後』: 厚生省「1.68ミリシーベルト」
vs 研究者「1400ミリシーベルト」』
『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・
取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?』
『●人類は核と共存できるのか?
『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
映画・TVドキュメンタリー『放射線を浴びた『X年後』』。3.11東京電力核発電人災の『X年後』を想像できない、想像しようともしない核発電推進派のニッポンの人達。傲慢で申し訳ないが、「知性」の問題ではないのか? 「反知性」。
人類は核と共存できないことはビキニ環礁での愚かな核実験による、船員らを含む、多くの人々の被害状況を見れば分かっていたはずなのに。そして今、3.11東京電力核発電人災の教訓を活かさず、九電や関電はまたしても暴走を始めた。それを止めるどころか、煽っているとしか思えない、アベ様ら自公議員、野田元首相ら、原子力「寄生」委員会、さらに、賛成する「地元」。最大の人災当事者・東電さえもが、柏崎刈羽原発を再稼働したいそうだ。核発電「麻薬」患者。
『●「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」』
『●原発関連交付金・固定資産税などで
「財政豊かな」玄海町で、3.11東京電力原発人災後初の町長選』
『●関西電力八木誠社長のあの高浜原発:
「プルサーマル原発」に続き「寿命原発」を動かしたいそうです』
『●「値上げ脅迫」: 無策の関西電力・・・
東京電力原発人災以降、一体何をやってきたのか?』
『●川内原発再稼働: 「経済麻薬」=思考停止、
「他の方法で経済発展する手を考えることを放棄させる」』
『●「電力会社と共同での原発PRに、
中立性を疑う指摘も」…「ツーツー」で「ズブズブ」』
『●「伊方原発は、日本一細長いという佐田岬半島の付け根にあり、
その西の海側には約五千人が暮らしている」』
『●湯水のごとくカネ浪費:核燃料サイクルに
十二兆円をドブガネし、今後も毎年千六百億円ずつ増えていく悪夢』
『●全く知恵の無い「もんじゅ」は発電もせずに、
「年間の電力消費量は一般家庭約二万五千世帯分にも上る」』
『●アベ様による「組織的ドーピング」……カネカネカネ病という「麻薬」患者』
『●「こういうふうにした者たち」とは誰だ?
……東京電力原発人災の自覚無き犯罪者たち』
『●浜岡原発という凶器:
砂上にペラペラの壁を造って、な~にが「安全」なのか?』
『●狂気・凶器「プルサーマル発電は新規制基準下では初」
……もう何でもアリな原子力ムラの大暴走』
『●「大切なのは「信頼」だ」…
だからもう病気なんですってば!? 核発電「麻薬」患者』
『●「原発強国」目指す中国の核発電事情:
隣国の愚な轍を踏むべきじゃないというのに…』
『●今中哲二さんも京都大学原子炉実験所を退職』
『●もんじゅ「エサ代」の無残さ: 《ナトリウムを使う
原子炉の解体技術は確立されておらず》…無責任過ぎる』
62年前のあの日の元船員の方は、いま、《行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう》と仰っている。何もしようとしないアベ様やその取り巻き自公議員、アベ様の言いなりな原子力「寄生」委員会、その「無策」「無責任」「反知性」…3.11東京電力核発電人災の『X年後』を激しく怖れる。
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」』
『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となった
ハンフォードと東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…』
『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」
…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!』
『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で
放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?』
=====================================================
【http://www.asahi.com/articles/ASJ2M5S7BJ2MPTIL017.html?iref=comtop_list_nat_f01】
あの灰が降る、ビキニの海にいた 元船員ら被害解明訴え
西村奈緒美、佐藤達弥 2016年2月22日11時09分
(「第二幸成丸」に乗っていた桑野浩さん=高知市)
(武政昭善さんの遺影を手に話す妻の弘子さん
=高知県土佐清水市)
(「第十一高知丸」の甲板で仲間と写真におさまる
武政昭善さん=1955年4月1日、妻・弘子さん提供)
(父が「第七大丸」に乗っていた下本節子さん=高知市)
あのとき、私たちも、あの海にいた――。マーシャル諸島ビキニ環礁でマグロ漁船「第五福竜丸」が被曝(ひばく)した米国の核実験から、3月1日で62年。周辺海域にいた船の元乗組員らが事実上の「労災認定」を求め、船員保険を申請する。長い歳月を経ても消えない「核の被害」を訴えるために。
‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐
核実験で被曝、船員保険を集団申請へ 高知の元乗組員ら
特集:核といのちを考える
‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐
「仲間の死の理由が少しでも分かるきっかけになれば」。桑野浩(ゆたか)さん(83)=高知市=はそう考え、船員保険の申請を決めた。
第五福竜丸が被曝した1954年3月1日、桑野さんが乗る「第二幸成丸」もビキニ環礁の周辺海域にいた。甲板にいた時、黒っぽい灰のようなものが降ってきた。「ハワイの火山が爆発でもしたかな」。ほかの乗組員と顔を見合わせ、首をかしげた。
この日から5月までの約3カ月間、米国はマーシャル諸島で6回の水爆実験を繰り返していた。だが、桑野さんらには何の事前の連絡もなかった。数年後、鼻血が突然出るようになった桑野さんは「周囲に体を悪くしたと思われれば、仕事を失う」と恐れ、誰にも相談しなかった。
40歳をすぎたころ、第二幸成丸に乗っていた仲間たちが相次いで亡くなった。「次は自分か」とやけになり、酒量が増えた。12年前に胃がんを患い、昨年は心筋梗塞(こうそく)になった。
自分の病気や仲間の死が核実験と関係があるのか分からない。ただ、行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう――。桑野さんの今の思いだ。
■ □ ■
80歳だった2年前に肺塞栓(そくせん)で亡くなった武政昭善(あきよし)さんは「第十一高知丸」に乗り、54年2月18日に神奈川・浦賀を出港。54年3月1日は第五福竜丸や第二幸成丸と同じように、ビキニ環礁の周辺にいた。
………。
=====================================================