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●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』: 「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」

2013年03月04日 00時00分41秒 | Weblog


田中龍作ジャーナル』(http://tanakaryusaku.jp/)の記事http://tanakaryusaku.jp/2013/02/0006697)と東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2013022702000161.html)。

 「・・・500万円の借金をして堆肥小屋を建てた。2011年1月のことだ。/2ヵ月後の2011年3月11日、原発事故が起きる。放射能を浴びた生乳は出荷停止となり、堆肥も売れなくなる。一家は収入の道を閉ざされた」・・・。「原子力郷土の発展豊かな未来」・「原子力明るい未来のエネルギー」・「原子力正しい理解で豊かなくらし」・・・果たして「豊かな未来」「豊かなくらし」をもたらし、人々が生きる「未来のエネルギー」足り得ただろうか? 日本は、「原子力を正しく理解」し、「安全神話」に再び騙されることなく正しい選択をしようとしているだろうか?

   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」

 2番目の記事の末尾、「都内で記者会見した酪農家の妻は「気持ちが苦しいです」と心境を述べた。作品は、酪農家の男性が堆肥小屋の壁に書き残した遺言をクローズアップし、震災の傷痕の深さを伝えている」のだろうか? 「原発さえなければ・・・」という遺言は「震災の傷痕の深さ」を伝えているのではなく、想定不適当事故であるとして「安全神話」で騙くらかし原発の暴走になにも対処できなかった「原発人災の傷痕の深さ」を伝えているのではないだろうか。「震災さえなければ・・・」ではないのだから。

   『●想定不適当事故: 1000万年に1回発生する事故どころか、発生確率は「ゼロ」
   『●原発人災の犯罪者デタラメ委員長が評価・審査するなどデタラメ過ぎる
   『●「想定不適当事故」と割り切ってきたくせに、いまさら遅いよっ!!
   『●FUKUSIMAでも変わらないNIPPON

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http://tanakaryusaku.jp/2013/02/0006697

原発事故苦に自死 酪農家の妻が東電に乗り込む
2013年2月20日 17:13

     (2人の息子の将来を思い東電に誠実な対応を求めるバネッサさん。
      =20日、東電本店 写真:田中撮影=)

 「原発さえなければ…」の遺書を残して自死した福島の酪農家の妻が、東電を相手取り1億円余りの損害賠償を求める裁判を起こす。提訴を来月に控えた妻の菅野バネッサさん(34歳)がきょう午前、東電本店を訪れ「誠実な対応」を求める申し入れ書を手渡した。

          ~     ~    ~ 

 2000年に相馬市の酪農家、菅野重清さん(享年54歳)と国際結婚したフィリピン人のバネッサさんは、牛と自然に囲まれ何ひとつ不自由のない生活を送っていた。重清さんとの間に2人の男の子(現在8歳と6歳)も授かった。
 生乳、育牛と堆肥で生計を立てていた菅野さんは、500万円の借金をして堆肥小屋を建てた。2011年1月のことだ。
 2ヵ月後の2011年3月11日、原発事故が起きる。放射能を浴びた生乳は出荷停止となり、堆肥も売れなくなる。一家は収入の道を閉ざされた
 4月17日、バネッサさんは2人の息子を連れてフィリピンに帰国する。28日、重清さんもフィリピンに。牛38頭の世話は知人、友人に頼んだ。
 5月4日、重清さん単身で日本に帰国する。
 6月10日、フィリピン時間の午前5時、日本の重清さんからバネッサさんに電話、「戻って来なくていいからね」。
 「借金を抱えているし、ストレスがたまっているのかなあ?と思いながらも悪い胸騒ぎがした」。バネッサさんは当時を振り返る。
 この日、重清さんは堆肥小屋で首を吊り自らの命を絶った。
 訃報を聞きすぐに日本に戻ったバネッサさんと2人の息子は、現在、伊達市の借り上げ住宅で暮らす。貯金を取り崩しながらの生活だが、蓄えは間もなく底を突く。途方に暮れる日々だ。

     (菅野さんが堆肥小屋の壁に残した遺書。=四ノ宮浩監督提供:
      映画「わすれないふくしま」画面より(c)2012 Office Four Production.Ltd.=)

 東電を訪れたバネッサさんと2人の息子は、本店1階の応接室に通された。東電側は補償相談室の向山稔浩副室長ら4人が対応した。
 「どうやって子供を育ててよいのか分からない。私の夢も子供の夢も全部原発(事故)で奪われた…」。バネッサさんはハンカチで涙を拭いながら、申し入れ書を向山副室長に手渡した。
 「亡くなられた菅野重清様に心からお悔やみを申しあげます。福島原発事故によりご迷惑、ご負担、ご心労をおかけしまして申しわけございません。申し入れを受けて真摯に対応させてもらいます」。向山副室長は判で押したようなセリフで答えた。
 メディアはここで退出となった。バネッサさんは東電に「子どもたちのために助けてほしい、と伝えた」という。「東電に対する憎しみは?」筆者が問うと「(東電には)怒っていますが、子どものことが重要です」と答えた。
 日本に住み続けたいというバネッサさんだが、「原発が危ないから福島には住みたくない。子どもたちの健康のために西の方に住みたい」。
 菅野さんのケースは氷山の一角に過ぎない。おびただしい数の人々が原発事故により人生を暗転させられている。損害賠償は遅々として進まない。にもかかわらず政府もマスコミも福島の惨劇などなかったかのように新しい話題作りに余念がない

    (申し入れを終え東電本店を出るバネッサさん。身長150センチ
          そこそこの小柄な彼女が巨大企業に挑む。=写真:諏訪撮影=)

《文・田中龍作 / 諏訪都》
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2013022702000161.html

【放送芸能】
<3・11あの日を伝える> 変わるドキュメンタリー映画
2013年2月27日 朝刊

 東日本大震災を題材とするドキュメンタリー映画が三月十一日に合わせ、今年も相次いで劇場公開される。震災直後の被災地の状況を撮影して直ちに伝える速報性や記録性に重きが置かれた段階から一歩進んで、作り手の視点を掘り下げたドキュメンタリーへと、求められる作品像も変わりつつあるようだ。 (小田克也)

 「ドキュメンタリーでは今年上半期のナンバーワンだ」。ドキュメンタリーに詳しい映画評論家の村山匡一郎さんがこう評価するのは、東京・渋谷のイメージフォーラムで公開中の「先祖になる」(池谷薫監督)だ。
 津波で長男を亡くした岩手県陸前高田市の男性(78)が先祖の土地に根差して生きる姿を追い、ベルリン国際映画祭で十六日、コンペ部門以外の審査員が選ぶエキュメニカル賞の特別表彰を受けた。
 昨年の三月十一日の前後は、被災地の被害状況を片っ端から撮ったり、住民の悲しみや怒りの声をとにかく集めたドキュメンタリーの上映が目立った。「質より量」の感があったが、「先祖になる」は、男性の言動に焦点が絞り込まれている。カメラは彼の生活に入り込み、話を聞くため枕元まで接近する。中国の元残留日本兵の姿に迫った「蟻(あり)の兵隊」の池谷監督らしい作品だ。

      ■

 個人の生き方をクローズアップするのは、一九六〇年代以降、水俣病の問題を追い続けた土本典昭監督や、三里塚闘争をフィルムに収めた小川紳介監督ら先達が取ってきた手法、と村山さんは解説しており、こうした手法が東日本大震災を扱うドキュメンタリーでも今後は求められるのだろう。
 震災により廃虚と化した街並みの様子などはテレビでも繰り返し放送されており「その先を描かなければならない」と村山さんは指摘する。
 昨年の三月十一日前後に公開されたドキュメンタリーは十本程度。今年は、ほぼ半減している。震災発生時に比べると事態が落ち着いてきたこともあるが、ドキュメンタリーの作り手たちが、自らの視点について熟考を迫られていることが要因の一つとみられる。

      ■

 このほか今年は、阪神大震災を扱った作品で知られる青池憲司監督の「津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録」が東京・中野のポレポレ東中野で、中田秀夫監督の「3・11後を生きる」がオーディトリウム渋谷で公開中。
 また「原発さえなければ」などと書き残して自殺した酪農家(福島県相馬市)の妻らを取材した「わすれない ふくしま」(四ノ宮浩監督)が三月二日から、東京・目黒の東京都写真美術館ホールで公開される。
 四ノ宮監督とともに二十日、都内で記者会見した酪農家の妻は「気持ちが苦しいです」と心境を述べた。作品は、酪農家の男性が堆肥小屋の壁に書き残した遺言をクローズアップし、震災の傷痕の深さを伝えている。
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