阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
1942年生まれが江戸川区から。

東日本大震災が起こった翌年の [ 2012年07月10日(火)の阿智胡地亭の非日乗ブログ ] 再掲載

2024年08月10日 | 東日本大震災ブログ
2012年07月10日(火)
 
日本ペンクラブ声明「大飯原発再稼働決定に反対する」(全文)
 
 野田首相は先ごろ、関西電力大飯原発三、四号機の再稼働を決定した。これは、福島第一原発の危険がつづき、事故原因の究明も覚束ないなかでの政治判断である。

 各種世論調査でも明らかなように、国民の過半数はいま、いかなる原発再稼働も望んでいない。今夏の節電にも協力しよう、と電力消費地の四人に三人までが答えている。

 首相は「国民生活を守るため」と言うが、「国民」とは誰のことなのか。誰の利益を守ろうというのか。

 首相は、計画停電や突発的な停電によって、あるいは電力料金の高騰によって「命の危険にさらされる人」「働く場のなくなる人」が出る、「日常生活や経済活動が混乱する」と言う。

しかし、いまやどの医療機関にも自家発電装置がある。また、企業や経済や日常生活に仮に混乱が起き得るとしても、原発の危険性はその規模と質において
 
、これらを何百倍、何千倍も上回ることは、すでに福島第一原発事故が明らかにした。

 結局、野田首相の決断は、根拠のない「原発安全神話」を蒸し返し、政府・電力会社・関連業界と一部の専門家による隠微な「原子力ムラ」を生き延びさせ、
 
「原子力マネー」漬けになった原発立地自治体の自治能力を腐食させることでしかない。

 そのための隠れ蓑として、国民を持ち出さないでもらいたい、と国民のひとりとして私たちは思う。もし首相が「原子力ムラ」とそこに連なる人々を国民と言いたいなら、
私たちをそこに含めないでいただきたい。

 いま野田首相がやるべきは、福島第一原発事故の原因を究明し、そこから教訓を引き出し、首相みずからが宣明した脱原発依存の方針に基づいて
国内の原発をいかになくしていくかの工程表を具体的に明らかにするとともに、代替エネルギーの研究と実用化を促進することである。
 
それなしに大飯原発三、四号機の再稼働を指示することは、破綻した旧来の原子力政策をなし崩し的に温存させることにしかならない。

 日本ペンクラブはこれまでも種々の活動や声明を通じて、核兵器開発と原発依存のエネルギー政策に反対の姿勢を明らかにしてきた。
 
私たちは今回の野田首相の民意を無視した反民主主義的な「判断」についても、強く批判し、撤回を求めるものである。


二〇一二年六月十八日
日本ペンクラブ会長 浅田 次郎
同 環境委員会委員長 中村 敦夫
同 平和委員会委員長 高橋千劔破

◎浅田次郎 インタビュー  こちら  (週間通販生活)から
 
 
 
関電は動いていた火力発電を止めて発電能力を算定している
 
関電、節電奏功し当面は需給安定 要請から一週間
 日経新聞 2012年7月7日
記事をクリックすると読みやすくなります。

☆さらっと読んでしまうと関電のトリックを見逃してしまう。

経団連ご用達の新聞らしい巧妙な筆さばきで記事が書かれている。

物差しを自分たちの都合のいいように変えて、期間を通じての同一基準を出さない(使わない)関西電力という組織の体質。

 公共の便益より自社利益を優先するこの体質。

独占企業を今の日本で残すからこうなる。発電と配電を別会社にして
競争業界に早く法改正しなといけない。
 
 
 
20120703 大飯原発「活断層」指摘でも関西電力資料出さず
 
報道ステーションより再稼働がはじまった大飯原発の2号機と3号機の間に断層がある。 これにこのところ注目が集まっている。 これが動くのではないか、活断層ではないかという指摘が出ている。しかし今日、経産省で地震・津波に関する意見聴取会が開かれたが、関西電力はこの断層に関する資料を出さず、議論が先送りされた。 再稼働が進む大飯原発に関する議題が急きょはずされたのだ。危険性を指摘してきたのは、東洋大の渡辺満久教授ら。 「6年前からずっと主張してきて、とにかく調査、審査をしてくれ、審査がおかしいんじゃないかと言ってきた」という。「敷地の中に活断層を否定できないものがあり、それが重要施設を横切っているので、このまま動かすのはよろしくないと」 関西電力側は資料が見つからず、探しているというが、渡辺教授は会議で審査するより早急に現地調査を行うべきだと言う。

20120703 大飯原発「活断層」指摘でも関西電力資... ☆資料紛失? 公共事業をやっている組織体の不正で意図的な必死の画策だ。こういうことを平然とやる人間集団に原子力発電を任せるのはおかしい。
 
 
 
首相官邸前デモはノンポリ日本人が出ている。 そろそろ公安が仕掛けるか
 

「K.V.ウォルフレン氏が予言した『首相官邸包囲デモ』の不気味な的中 
週刊ポスト2012/07/20・27号  

近年、多くの日本人は政治への不満を口にこそすれ、行動には移してこなかった。しかし今回の官邸包囲デモは、そうした「政治的無関心」といわれた層を突き動かした。

これは国民を裏切り続けた民主党政権へ突きつけた「最後通牒」なのか。この展開を一年前に予言したカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の言葉を元に、

「転換期にある日本人と日本政治」を読み解いていく。

■「政治への信頼は戦後最低」

首相官邸を取り巻く人の波。

最寄りの地下鉄駅では、警察官や駅員の「ここからは地上に出られません!別の出口に移動してください!!」という叫び声が群集のざわめきにかき消され、

デモの光景を議員会館から眺めていたあるベテラン議員は、「安保闘争の頃を思い出すねえ」と呟いた。

6月29日夕方に開かれた「反原発デモ」の参加人数は主催者発表が「15万~20万人」、警察発表が「1万7000人」と大きな隔たりがあるものの、

「政治的無関心」の時代が長く続いたといわれる日本人の大きな変化を示したことは間違いないだろう。

安保闘争以降も永田町や霞が関では数え切れないほどのデモ行動が行われてきた。が、今回の特徴は参加者の多くがネットでの呼び掛けに賛同した「一般市民」だった。

60年安保闘争を新聞記者として取材した経験を持つ評論家の塩田丸男氏はこう語る。

「安保闘争は血気盛んな学生が中心だったが、今回のデモの特徴は、参加者の層がサラリーマン、ブルーカラー、子連れの主婦、高齢者、若者と幅広かったことです。

考え方がバラバラという弱さを持つ反面、そうした不特定多数の人々が集まった理由は、原発再稼働という単一のテーマに限らず、現在の政治全体への怒りが広がっているからでしょう」

「官邸包囲デモ」は、4月に野田政権が原発再稼働方針を決めた直後に始まった。初回(4月14日)の参加者は千数百人。それが日を追うごとに増え続け、

6月に入ると1万人を超え、野田首相も「(デモの)シュプレヒコールはよく聞こえている」と国会で発言するまでになった。

当初は一切報道しなかった新聞・テレビも、さすがに無視できなくなったのか、29日の集会は各メディアで大きく報じられた。

が、こうした「国民運動」が起きることを1年前に予言していた人物がいる。

「ニュースで見ましたが、デモの発生自体には驚いていません」

そう語るのはオランダ・アムステルダム大学教授で、20年以上にわたる日本政治研究で知られるカレル・ヴァン・ウォルフレン氏だ。

ウォルフレン氏は昨年8月、本紙のインタビューで「小沢一郎氏に対する人物破壊」について語り(この内容は9月2日号に掲載した)、さらにこう指摘した。

「日本人は良くも悪くも従順で、時の権力者の決定に不満があっても声を上げない。震災対応や原発事故処理を巡る政府の対応が象徴的です。

被災された方々は政府の支援を受ける立場ですから、批判すれば助けてもらえなくなるという不安を抱えている。

しかし、政治が国民を裏切り続ける状態が続けば、おとなしい日本人も黙ってはいないでしょう。1年後には日本人が首相官邸や国会議事堂を取り囲むような事態が起きると思うのです」

この予言はまさに的中した。ウォルフレン氏が改めて語る。

「国民を脅迫するという政治手法を目の当たりにしたことで、日本人の政治への信頼は戦後最大レベルで失墜していると感じます。

日本政府は、原発再稼働では”原発がなければ大停電が起きて生活に支障が出るぞ”、消費増税では”ギリシャのようになってもいいのか”という論理をふりかざしています。

ですが、そうした説明にエピデンス(証拠)は提示されず、それどころか政府にとって都合の悪い情報を隠してきた。そうした政治に対する怒り、そしてそれが続いていく恐怖が、”普通の日本人”を突き動かすことになったのだと思います」


■「アジサイ革命」の意味

ウォルフレン氏が指摘する「普通の日本人」の変化は、今回のデモが「アジサイ革命」と呼ばれるようになったことからも読み取れる。

チュニジアの「ジャスミン革命(10~11年)」やグルジアの「バラ革命(03年)」、キルギス「チューリップ革命(05年)」など

世界各地で起きた民主化革命になぞらえた表現であると同時に、「今回の自然発生的なデモは、ひとつひとつの小さな花が集まって

大きな房をつくるアジサイに似ている」(デモ参加者)ことから、この呼び名はツイッターやフェイスブックで広がった。

デモに初めて参加した都内の主婦は、「野田さんは自分の責任で原発を動かすと言っているけど、自分や子供の安全をあの人に預けられるわけないでしょ。

難しいことはわからないけど、信用できない政治家には任せられない」と憤る。

20代サラリーマンは、「仕事帰りに偶然通りかかった」という理由でデモに参加した。

「野次馬根性で思わず付いて行ったけど、参加者が叫んでいることは頷ける内容が多い。デモというと右翼や左翼の活動家のような人とか、

労働組合が仕切っているという印象を持っていたけど、今回は僕みたいな人も多くて、”押し付けられてる感”がなかった」

かつての安保闘争ではデモに参加する学生としない学生ははっきり分かれ、後者は政治に無関心な「ノンポリ」と呼ばれたが、

その中には組織化されていく運動を敬遠して離れていく者も多く含まれている。だが、今回の官邸包囲デモの「ほどよいユルさ」(同前)は、

”現代のノンポリ層”が積極的に参加できる理由のひとつになっているようだ。

実際、官邸包囲デモはある意味で”無秩序”だった。「大飯原発の再稼働反対」を叫ぶ者が多数を占めつつも、

「消費税を増税するな」「マニフェストを守れ」「オスプレイ配置阻止」を唱えるプラカードも散見される。

ウォルフレン氏は言う。

「デモのテーマは様々だが、共通しているのは”国民の手に政治を取り戻す”と掲げた民主党政権にことごとく裏切られたフラストレーションです。

それが多くの日本人が共有している思いなのでしょう」


■「これは日本の転換点だ」

そうしたデモの広がりを政府側が恐れているのは間違いない。

政権幹部の一人は、

「このままでは原発問題が消費税や年金問題とも結び付き、全国的な運動になりかねない。労働組合や特定の政治団体が主催する”儀式的”なデモならば気にする必要はないが、

今回は日増しに参加者が増えているうえに、相手が不特定多数だから(デモを収束させるための)交渉もできない」

そういって苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

だが、手をこまねいて見ているばかりではないようだ。公安筋からはこんな声が聞こえてくる。

「抗議行動を抑える方法はある。カッとなりそうな者を挑発して、暴力的な行動を起こさせればいい。そうなれば、一般の参加者は普通のサラリーマンや

学生だから”一緒にされたくない”と冷めていくはずだ。投げられたペットボトルを”火炎瓶の可能性がある”とマスコミにリークすることだって可能だ」

この点はデモ団体側も危惧している。

「”暴力的な行為は絶対にしないように”と注意していますが、ただ”騒ぎたい”といって酒を飲んで参加する人もいます。なにより、参加者の名前もわからないデモですから

、(鎮圧側が)確信犯的に暴動を起こす人を紛れ込ませたら防ぎようがない」(主催団体関係者)

だが、”デモの作法”を知らないのは参加者側ばかりではないという。ある警察庁OBが語る。

「今の機動隊は一般人の大規模なデモをほとんど体験していない。反社会的な団体や”デモのプロ”が相手なら、警棒で殴ったり、

安全靴で蹴っ飛ばしても相手が文句を言うことはほとんどないが、ごく普通の主婦を怪我させたりすれば世論は政府批判に回ってくる。

万一、樺美智子のような事件(※)が起きようものなら、政権がひっくり返りかねない事態に発展する。

※1960年の安保闘争に参加していた東京大学学生の樺美智子が、警官隊と衝突して圧死した事件(6月15日)。

学生側に死亡者を出したことは世間に大きな衝撃を与え、警察側が激しく批判されたが、在京新聞各社はこれを日本が社会主義・共産主義革命へ移行する危機と見て、

17日に「議会政治を守れ」との共同宣言を発表。警察側の暴力や、岸信介内閣が受けていた批判を不問とした。事件の影響を受けてアイゼンハワー米大統領は来日を延期。

19日に日米安保条約は成立した。


双方が危うさを抱えたまま、デモの参加者は日増しに参加者が膨れあがる。毎週金曜日の「官邸包囲」だけでなく、7月29日には「国会大包囲」と題した反原発デモが予定され、

「規模は6月29日より大きくなるのは間違いない」(前出の主催団体関係者)とみられている。

今後の展開をウォルフレン氏はどう見るのか。

「日本人が政治の不誠実さに対して声を上げるようになったことが、良い意味での日本の転換点になることを期待しています。

重要なのは新聞やテレビなどの大メディアです。彼らは一方的に政府側の説明を垂れ流すのではなく、国民の声も公平に取り上げるべきです。

声を上げる国民が欲しているのは正しい情報です。原発にしても消費税にしても、そして小沢一郎氏の資金問題にしても、権力側は不都合な情報を隠してきた。

そうした問題の真実をメディアが国民に知らせることができるなら、この国民運動は日本を良い方向に変えていく力になると思うのです」

 
 
英フィナンシャル・タイムズ紙は原発事故報告書をこう読んだ
 
文化のせいにしては将来の原発危機を防げない
「メード・イン・ジャパン」のラベルに潜むリスク

一部引用・・

(2012年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

津波に見舞われた福島第一原子力発電所の事故を調査する委員会のトップ、黒川清氏は、この原子力危機の根本的な原因は日本文化の欠点にあると考えている。果たして本当にそうなのだろうか?

 この問いの答えは全世界にとって重要だ。福島第一原発では昨年3月に原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こし、この四半世紀で世界最悪となる原子力危機に発展した。

 同原発がなぜこれほど脆弱だったかを理解しておくことは、各地にあるほかの原発での事故を防ぐうえで極めて重要なことになる可能性がある。

事故の背景に文化的な欠点の兆候を見いだすのは容易だが・・・
 黒川氏は医学博士で、日本学術会議の前会長でもある。今回の災害が「日本製(メード・イン・ジャパン)」だったと主張するための弾薬には事欠かない。


東京電力の福島第一原子力発電所3号機建屋〔AFPBB News〕
 黒川氏の率いる国会事故調査委員会はその最終報告書で、規制当局と電力業界が甘い安全基準を導入したり地震や津波による脅威を説く警告を退けたりするために結託したと批判している。

 このような馴れ合いは、「日本株式会社」に見られる大企業と官僚の協力的な――非常に生産的になることもある――関係の負の側面だった。

 日本の新聞の読者やテレビの視聴者の多くは、主流派メディアには「権力者を疑問視したがらない態度」を取ってきた責任があるとの指摘にも同意するだろう。黒川氏はこれを、危機を引き起こすことになった「日本文化に根差した慣習」の1つと見なしている。

全文はこちら
 
 
 
政府のエネルギー・環境会議の設問に大きな疑問
 
選択肢から抜け落ち  原発比率本来5%
2012年7月10日 東京新聞朝刊

将来の原発比率はどれくらいがいいのか、政府のエネルギー・環境会議は十四日から全国各地で国民の意見を聴く会を開く。ただ、政府が示す二〇三〇年の比率案は0%、15%、20~25%の三つしかない。政府が「四十年廃炉」と「安全かつ必要な場合のみ再稼働」という二つの約束を守るなら、5%以下という選択肢があって当然なのだが…。 (鷲野史彦)

 「最終的に国民の民意を踏まえ判断する。ゼロか15か、20~25という結論しかあり得ないと、決め打ちをしているわけではない」。枝野幸男経済産業相はこう強調する。ただ、三つの案のうち、エネ環会議が落としどころと考えているのは15%案のようだ。

 エネ環会議のホームページで公開している選択肢によると、0%(脱原発)案は、省エネ性能の劣る電化製品には販売制限を実施することが必要だと、ことさら負担感を強調。20~25%案は「原子力行政に対する国民の強固な信任が前提」と、あり得ないとのニュアンスだ。

 これに対し、15%案は「エネルギー情勢などさまざまな環境の変化に柔軟に対応する」と、かなり偏った評価をしている。

 確かに、政府が原発の運転を四十年間に制限する約束を守れば、三〇年には現在五十基ある原発は自然と二十基に減り、全て再稼働するとしても原発比率は約15%になる。

 だが、政府がもう一つ約束した「安全性が確認され、電力不足という必要性がある場合に限り再稼働」の内容が抜けている。

 二十基のうち、中部電力浜岡4、5号機(静岡県)などは、より大きな海溝型地震の想定が必要とされる太平洋側にあり、安全面に大きな不安を残す。

 さらに、原発ゼロと猛暑を想定した今夏の電力需給見通しで、かなり電力が足りないとされたのは関西のみ。北海道や四国、九州は若干足りない程度。このことを考えれば、残すかどうか検討対象にする原発は、四電力管内の泊2、3号機、大飯3、4号機、伊方3号機、玄海3、4号機の七基しかない。

 これらを全て稼働させ、稼働率を80%とやや高めに仮定し計算しても、原発比率は5%程度にしかならない。本来は、この数字をスタート地点に、どう脱原発依存を進めていくかを考えていくのが、政府の務めのはずだ。
 
 
大蘇ダム 農水省の大きな失敗例 誰も責任をとらない
 
【第48回】 2012年7月10日 相川俊英 週刊ダイヤモンド
誰も責任をとらず、湯水のように注がれる修復費用
“底抜け”大蘇ダムに振り回される住民たちの失意

山奥に造られた巨大プールの愚
水の貯まらない「底抜けダム」

 まるで山奥に巨大なプールを造るようなものだ。農水省九州農政局は6月18日、水漏れにより利用ができずにいる大蘇ダム(熊本県産山村)を全面補修する案を発表した。

 ダムののり面や底面など地盤全体にコンクリートを吹き付け、水漏れを防ぐという。コンクリートで巨大な器を造り、その中に水を貯めるというものだ。工事費は約100億円にのぼる見込みで、九州農政局ではダム水を利用する地元の自治体にも追加負担を求める方針だという。

 日本は世界に冠たるダム大国で、建設の実績と技術力の高さで他国を圧倒している。しかし、その一方でとんでもない欠陥ダムを生み出していた。代表事例が、水の貯まらない底抜けダムだ。ダム湖の底やのり面から水が漏れ出し、計画通りに貯水できないという欠陥品である。

「まさかそんなバカなことが」と思うだろうが、本当に漫画みたいなダムが日本社会に存在している。それも2つもである。

 熊本県の大蘇ダムと北海道の東郷ダムが、その「底抜けダム」である。いずれも農水省が農業用ダムとして建設したもので、完成後に水漏れが発覚し、水利用ができずにいる。

 大蘇ダムは、熊本県産山村を流れる大蘇川をせき止めて造られた。農水省九州農政局が「大野川上流農業水利事業」として建設したもので、計画上の有効貯水量は約390万トンとなっていた。

 受益地は大分県と熊本県に広がり、延べ2158ヘクタール。畑作が中心で、受益地の7割以上を大分県竹田市が占める。ハウスでのトマト栽培を手がける農家が中心だった。

 大蘇ダムの堤本体が完成したのは、今から8年前の2004年のこと。工事は基礎掘削時に亀裂が見つかるなど、難航を極め、1979年の事業着手から4半世紀もの時を要した。計画変更は2度に及び、事業費は約595億円と当初(約130億円)の4.6倍にまで膨れ上がった。

 完成が延び延びとなったため、水利用を断念する農家も少なくなかった。待ちくたびれてしまったのである。農業を取り巻く環境が激変したことも影響した。

 それでも、大蘇ダムからの水を熱望する農家が存在し、彼らはひたすら待ち続けた。大分県竹田市のトマト農家などだ。彼らには切迫した事情があった。近くの大谷ダム(熊本県高森町)の水を利用しているが、不安定要因を抱えていたからだ。
ダムの老朽化により水の供給力が減少していたのである。

 もともと年間150万トンだったのが、いまや82万トンと半減している。ダム湖に溜まった土砂による現象である。このため、トマト農家などが荻柏原土地改良区(組合員は約700人)を結成し、大蘇ダムからの水に地域の将来を賭けていた。

ダムの底では信じられないことが
農水省がひた隠しにした欠陥工事
 大蘇ダムの堤がやっと完成し、試験湛水となった。何事もなければ、そのまま供用開始となるはずだったが、ダムの底でとんでもないことが起きていた。

 ダム湖の底やのり面から水が漏れ出し、計画通りに水が貯まらないのである。地盤にいくつもの亀裂が生じていて、まるで底に穴があいたバケツ状態になっていた。前代未聞のあり得ない事態であった。

 九州農政局は当初、水を待ち望む受益農家らに対し、この重大事実を明らかにしなかった。黙ったまま伏せていたのである。しかし、土地改良区の関係者が試験湛水のデータなどが示されないことなどに不審を抱き、水漏れの事実を突き止めた。こうして水漏れダムの存在が初めて、表面化した。

 大蘇ダムは阿蘇カルデラの北東斜面に造られた。周辺一帯はいわゆる火山灰地である。地盤が悪く、地元の人たちは当初から「水を貯めるのは難しいのではないか」と、語り合っていた。そもそもダムを造るような場所ではないと心配していたのである。

 だが、ダム建設の関係者らは「ここにダムが造れれば、世界中のどこにでも造れることになる」と、全く意に介さなかったという。技術力への自信と驕りをみなぎらせていたのである。

質問に怒りの表情さえ見せた関係者
「浸透抑制」という名目で修復に着手
「ちょっと待ってください! 欠陥! 欠陥! と言わないでください」

 顔色を変えて厳しい口調でこちらの話を遮ったのは、九州農政局の担当者。ダム事務所を直撃取材したとき(08年秋)の一幕だ。その時点では、大蘇ダムの水漏れは広く知られてはいなかった。

 彼らは奇妙な言い訳を繰り返した。ダムからの漏水を認めず、「水の想定外の浸透によるもの」と言い張るのだった。水がダムの底や周辺から地中に浸透していくのは、当たり前のこと。それらを全て想定した上で、水を貯めるのに適した場所を選定し、ダムを建設するものではないか。そもそも水が貯まらないところにダムを造ってしまったことが、大きな間違いだったのでは――。

 そんな質問を重ねたところ、彼らは怒りの表情さえ浮かべた。そして、「水漏れ欠陥ダム」という事実を頑として認めず、水の「想定外の浸透だ」と繰り返すのだった。自分たちの過ちを認めず、平然としていた。

 その後、水漏れダムの存在が世間に広く知られるようになり、事業主体の九州農政局に批判の声が寄せられるようになった。国民の多くがとんでもない欠陥品を造った不手際に呆れ返り、憤激したのである。

 さすがにこのままでは「まずい」と考えたのであろう。農水省は漏水の事実を認め、対策工事を行なうことにした。2010年度から3年間かけ、ダムののり面や底面の一部(約3万平方メートル)にコンクリートを厚さ約10センチまで吹き付けるというものだ。要するに、地盤にできている亀裂をコンクリートで塞いでしまおうというアイディア(?)だ。

 補修工事は、その効果を調査する意味合いもあった。それで、まずは地盤全体の10分の1の面積を対象とした。そうは言っても、バケツの底の穴を塞ぐのとはわけが違う。全体の10分の1とはいえ、かかる費用は約8億4000万円と見積もられた。

 この補修工事を九州農政局は「貯水池浸透抑制対策調査工事」と命名した。ダムの水漏れ対策ではなく、「あくまでも『浸透抑制対策』」だというのである。

総事業費は当初の5倍、700億円に膨張
なぜ誰1人として責任を取らないのか
 九州農政局はこうした水漏れ対策を2年ほど続け、「効果あり」と判断したのであろう。大蘇ダムの地盤全体にコンクリートを吹き付け、遮水する案を地元自治体や土地改良区に新たに提示したのである。ダム湖の底とのり面の全体をコンクリートで覆いつくすというのである。補修事業費は100億円規模に達し、完了するまで早くても5年はかかるという。

 大蘇ダムの事業着手は1979年で、当初の計画では事業費は約130億円と見積もられていた。それが約700億円にまで膨れ上がり、その上、実際に水を利用できるまで40年以上も待たされることになる。

 民間企業でこんな仕事をしていたら、間違いなく懲戒解雇ものだ。というより、会社そのものが存続し得ないはずだ。しかし、日本の役所の世界は極めて異質なところである。「水漏れ欠陥ダム」を造った責任を農水省の誰かがとったという話は、聞こえてこない。

 追加負担を求められた地元の大分県や竹田市などが6月30日、対策を話し合う会合を開いた。大蘇ダムの水を待ち続ける竹田市の荻柏原土地改良区の関係者は、「とにかく早く(補修工事を)やってもらいたい」と訴えたが、負担を強いられる自治体側は二つ返事とはいかない。そもそもずさんなダム建設の責任は国(農水省九州農政局)にあるからだ。

 しかし、国(農水省)が全て負担すればよいというものでもない。税金であることに違いはないからだ。欠陥ダムの建設に関わったお役人が誰1人、責任を取らぬまま、血税が投じられるのはどう考えてもおかしい。納税者として到底、納得できない話である。

☆これは農水省九州農政局と請負ゼネコンと地元下請け業の三者が仕組んだ長期優良プロジェクト(彼らにとっての)だ。

地元の需要者と国民の税金のことは全く蚊帳の外の話だ。
3者は切れ目なく仕事にありつける、この不況下でも。

こういう無惨な大出費を監視し押さえるのは、本来は我らが代表の国会と国会議員さんたちだが、地元選出の自民党議員はむしろ率先してこの長期プロジェクトを推進してきた。

この国ではいったん動き出した土木事業を止める力を持つ人間はおらず、そういう仕組みはあっても機能していない。国交省の八つ場ダムと全く同じ、長期工事に持ち込む図式を真似る農水省は賢い??
 
 
韓国でも傍若無人な行為 駐留米軍兵
 

在韓米兵が市民に手錠 警察の解錠要請を無視
2012.7.7 22:57 [韓国] MSN産経ニュース

 韓国京畿道の在韓米軍烏山基地周辺で5日、巡回中の米兵が路上駐車をめぐり韓国人男性とトラブルになり、男性を含む一般市民3人に手錠を掛けて基地まで連行する騒動があった。

聯合ニュースなどが7日伝えた。

 韓国政府は7日、在韓米軍側と緊急協議を行い、越権行為だとして厳重抗議。米軍側は遺憾を表明し、捜査に積極的に協力することを約束した。

 楽器店を経営する男性が自分の店の前に一時駐車していたが、米兵は駐車禁止のため車を移動させるよう要請。男性は「食事中なので後で移動させる」と答えたが、

米兵の催促により車を移動させたという。

 この過程で口論となり、男性が店に戻った後、米兵7人が男性を取り押さえて手錠を掛けた。米兵は止めに入った通行人ら2人にも手錠を掛けて基地に連行。

通報で駆け付けた警官が手錠を外すよう求めたが、しばらく応じずに連行を続けた。(共同)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 長崎「焼き場の少年」広がる... | トップ | 08月09日に目に留まったSNS・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

東日本大震災ブログ」カテゴリの最新記事