その本は少しばかり横長で、棚からはその分はみ出ていて
目についた。白く無垢な表紙は何人もの人の手に渡って読まれた
のであろうか 汚れが多い。それでも、市井の人の名はその場を
立ち去らせない何かを感じさせた。 手にとって読んでみると、18才で亡く
なった方の、子供のころから なにかと書き綴った遺稿を編集したものだった。
清楚で白磁のようなその少女の生命の言葉は、カバーの汚れを洗い流している。
急性骨髄白血病という病気は、若いいのちを 輝くいのちと才能を狙ったかの
ように奪った。
絶筆となった「病室の窓」という題名の、切ない詩を残して 彼女は逝った。
「山藤 久仁子 遺稿集 ひとすじのいのちを」〔安藤修平 編〕 北海道新聞社
(定価1300円 昭和57年11月20日 再版)
目についた。白く無垢な表紙は何人もの人の手に渡って読まれた
のであろうか 汚れが多い。それでも、市井の人の名はその場を
立ち去らせない何かを感じさせた。 手にとって読んでみると、18才で亡く
なった方の、子供のころから なにかと書き綴った遺稿を編集したものだった。
清楚で白磁のようなその少女の生命の言葉は、カバーの汚れを洗い流している。
急性骨髄白血病という病気は、若いいのちを 輝くいのちと才能を狙ったかの
ように奪った。
絶筆となった「病室の窓」という題名の、切ない詩を残して 彼女は逝った。
「山藤 久仁子 遺稿集 ひとすじのいのちを」〔安藤修平 編〕 北海道新聞社
(定価1300円 昭和57年11月20日 再版)