BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

危 惧

2018年03月24日 | 新 刊
不覚をとった。新刊をまさに二重買いしてしまったのだ。読んでいる内にどうも前に読んだ気がそこかしこに。
16年の2月刊だったから、以前もきっと新刊で買っただろう。まあほとんどは正午さん本は古本だったから、
せめてもの著者に対する印税のお返しだと思えばいいのだが。
今読むとどうも理屈ぽくて、面倒になってきた。前に読んだのだからと早読みにした。
佐世保でのひとり暮らし、年1冊ペースでしこしこ今も書いていると思う。でも直木賞をとったばかりだから
そうもいかないかも知れない。まあそんなことぐらいでペースを崩す作家じゃないが。
 「小説家の四季」 著者 佐藤 正午  岩波書店 定価1900円+税
  ( 2016年2月23日 第1刷発行 )

角幡さんが結婚して子供などがなどできたらどんな書きようになるか案じたが、それはとんだ危惧だった。
妻と2歳になった娘さんに見送られて、極夜行へと旅立った。半端じゃない命のやり取りと言える困難に遭って
北極の1日太陽が出ない夜の暗闇を、さまよい歩いた。特製の六分儀は風に飛ばされ失くし、現文明のGPSは
あえて持たなかった。星空の星座観測と、以前の記憶を手繰り寄せて4ヶ月以上もの旅になった。
途中にあてにしていた食料木屋はことごとく北極白クマに荒されて、食料などの補給はできなかった。終盤には
一頭の相棒の犬を殺して喰い、生き抜くしかない状況まで追い込まれた。しかしすんでのところで出発点の村へ
とたどりついた。まあ生きて帰ったのだからこのノンフィクションがあると、自分に言い聞かせて読み進めて行
けたことだけが救いなのだが、著者ともども途中はとても生きた心地がしない(笑)
冒険探検家とはいえ、あまりに危険な旅を今後も続けるのだろうか。少しのことではもう、本人も読者も納得し
ないだろうし、かといって高野 秀行氏路線には行けないのだから、その旅は危険すぎる方向へ向かうのか。
生きて、売れて欲しいと心から願うノンフィクション作家。
 「極 夜 行」 著者 角幡 唯介  文芸春秋 定価1750円+税 
  ( 2018年2月10日 第1刷 )