BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

いま 8 5 才

2008年03月15日 | 古本
 3分の1程読み進めたところで、葉書きがパラっと落ちた。
本の最終ページには 1999、4,3、と日付だけが記入
されていたが、そのカードには気付いていなかった。
古本にはいろんな書き込みや、愛読者カードが残っている事は珍しく無い。
だが記入欄の事項を全て埋めてあり、投函するばかりのカードが残されていた
のは初めてだ。その方は札幌市中央区にお住まいの女性で、76才とある。
今から9年前のことで、計算上現在85才になっているはずだ。として、この
カードが投函されなかった理由はなんなのだろうか。また記入済みをそのままに
して、チェーン店の古本屋さんの棚に置かれていた事情はなんだろう。
 葉書きには[平成11年4月2日 道新で購入]とある。そうすると1999、
4、3、の記入はこのカード本人に間違いはないだろう。ただ少し不思議なのは
カードは和暦で、本には西暦で購入日をかいてある。これはどうしたことか。
カードの差出有効期間は和暦で、平成12年5月31日迄と印刷されてあり、
それに習った気遣いというものだろうか。(筆跡は似ています)
購入日を記入するのは本を買い慣れ、しかも相当量の読書をする方に違いない。
投函するばかりの、切手不要期間内のこの愛読者カード、そして本自体が古本
チェーン店に流通しているその事情、なんだかいろいろ考えてしまう。
ご本人がお元気でいることを 祈るばかりだ。
 この愛読者カードをどうするべきか、方法は3つ考えられる。
① 差出有効期間過ぎなので、切手を貼って投函しておく。
② 元のまま本にはさみ、アタシが保管しておく。
③ 封書に入れて短い経緯を書き、本人宛にお返しする。
(③は少しばかり危険だろうか。もし、この蔵書をご家族の方が処分していた
としたら、気まずい思いをさせることになる。余計なお世話というべきか。)
どうあれ、76才の女性がこの本 小檜山 博 さんを読んでくれたことが嬉しい。
さてどうしたものか。

「夢の通い路」 著者 小檜山 博 北海道新聞社 定価1500円+税
   (1999年2月20日 1刷発行)
 ※ 愛読者カードは 個人情報がバレないように、撮りました。