帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二十八〕心ゆくも物

2011-03-23 06:12:35 | 古典

 



                                    帯とけの枕草子〔二十八〕心ゆくも物

 

 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」だけ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。

 


 清少納言 枕草子〔二十八〕心ゆくも物



 心ゆく物
(心が満たされて胸がすっとするもの)、


 よく描けてある女絵が、言葉をおかしく付けて、多くある。


  祭見物の帰りに、乗り零れるほど男どもたいそう多く、牛をよく御す者が車を走らせている。


 白く清げな陸奥紙に、極々細くて書けそうもない筆で文を書いている。


 麗しい糸のしなやかにしたのを合わせ手繰っている。


 賽に、揃い目が多くでる。


 
ものよく言う陰陽師と河原に出て、ず所のはらへしたる
(呪詛の祓えをしている…す所の祓えをしている)。


 夜寝起きに飲む水。


 することもない時に、たいして親しくはない客人が来て、世の中の状況を語り、この頃の出来事のおもしろいのも快くないのも不審なのもあれこれにわたって、公私の別なく、聞き良い程に語っている、とっても心満たされる心地がする。

 
 神社、寺などに詣でて、(もの…願い事)申させるときに、寺なら法師、神社は禰宜などが、暗くならずさわやかに、思うよりも丁寧に滞らずに聞き良く、願文を・申している。

 


 言の戯れを知り言の心を心得ましょう
 「ずそ…じゅそ…呪詛…神仏に祈願して相手を呪うこと」「祓え…呪詛の祓え…誰かに呪詛されていると感じることをお祓いする…呪う者を処罰し追払うこと」「すそ…す詛…す所…す処…女…呪って神に処罰を願うのは当然相手のす…わがす所をお祓いするのは呪われているかもと思えばこそ」「す…洲…おんな」「そ…詛…神仏に請い罪とがを加えること…所…処…処置…処罰」「ものなど…願い事など…言い難きこと」。


 

現実に胸がすっとする事柄を並べてある。

 

 

伝授 清原のおうな

聞書  かき人しらず    (2015・8月、改訂しました)

 枕草子の原文は、新 日本古典文学大系 岩波書店 枕草子による