パパとりの雑記帳

酉年生まれの後期高齢者。健康不安を抱えながら、新聞、TV等からの情報を元に、好奇心に駆られて、近郊の社寺を中心に散策。

饅頭の祖

2015年02月07日 | 日記
建仁寺塔頭の両足院方丈の襖絵には、中央に花を手に説法する釈迦如来、右に建仁寺開山の栄西禅師と白象、左に両足院開祖の龍山徳見禅師と獅子と共に「林淨因」が描かれています。
「林淨因」とは…
龍山徳見禅師が、1349年宋から帰朝する際、禅僧17名、船主以下中国人11名を随侍した。その中にいたのが俗弟子「林淨因」。
林淨因は、中国浙江省の人、林和靖の末裔で、龍山徳見禅師に従って来朝し、その後、奈良漢国神社社頭に居を構え、故国で習いおぼえた饅頭を作りました。我が国へ初めて「饅頭」を伝えとされています。
中国で肉を詰めて食べる「饅頭(マントゥ)」にヒントを得て、肉食が許されない僧侶のために、小豆を煮つめ、甘葛の甘味と塩味を加えて餡を作り、これを皮に包んで蒸し上げました。林淨因は、龍山徳見禅師のもとへ饅頭を携え上洛したそうです。
お饅頭の、ふわふわとした皮の柔らかさ、小豆餡のほのかな甘さが、寺院に集う上流階級に大評判となりました。
将軍足利義政公より直筆の「日本第一番饅頭所」の看板を、後土御門天皇からは「五七の桐」の御紋を拝領。その後、林家は、将軍のおひざ元、京都烏丸三条の北家と、奈良林小路の南家の分かれ繁盛したそうです。
以後代々「塩瀬」を家号とし、江戸に移っては将軍家の御用、明治初年より、宮内省御用となり、現在も東京で「塩瀬総本家」として有名老舗です。
奈良市内「漢国神社」境内に「林神社・林淨因命」として祀られています。店のあった場所(林小路)と言われ「饅頭塚」も社の横に在ります。
また、林神社には「菓祖神・田道間守命」も合祀され、饅頭・菓子の祖神となりました。毎年4月19日「饅頭祭」が盛大に行われています。
京都の吉田神社の参道にも「林神社」などが分祠され、「菓祖神社」として祀られてており、「饅頭祭」や節分の際、京都菓子卸商業組合の方たちの接待があります。

「塩瀬総本家年表」
寛正元年(西暦1460年) 四代惟天盛祐が京都に移ったことにより、奈良の南家(後に転業)と京都の北家とに分かれる
応仁元年(西暦1467年) 京都を焼け野原にした応仁の乱による戦火を逃れ三河国塩瀬村に移る 苗字を「塩瀬」と改姓
天正3年(西暦1575年) 長篠の合戦にて、七代目林宗二が徳川家康に本饅頭を献上
元和元年(西暦1615年) 大坂夏の陣、徳川家康が真田幸村に攻めたてられた際、わずかな手勢を引き連れ逃げ込んだの が、林浄因が、かって居を構えていた所
            (漢国神社に奉納された鎧が宝物としてあります)

<徳川家康公御鎧由緒略記>
慶長19年11月15日、大阪陣の際、徳川家康公木津の戦に破れ、当社境内の桶屋に落忍ばれ九死に一生を得給う。依って報賽祈願の為、翌16日当社に御参拝、御召鎧一領を御奉納遊ばさる。其の後鎧蔵を建立し、累世の将軍家は年々使者をお立てになりました。                     (鎧は現在 国立奈良博物館に出陳中)
                               平成9年11月吉日 漢国神社
             
文明九年(西暦1477年) 屋号を「塩瀬」と改め再び京都に戻り、宮中や将軍家に出入りを許され大変繁昌する
万治2年(西暦1659年) 塩瀬清兵衛が江戸に上り日本橋一丁目に店を出し、徳川家綱の御用を承る
明治元年(西暦1868年) 塩瀬総本店の仁木準三が宮内省の御用を拝命
昭和25年(西暦1950年) 現本店所在地に渡辺亀次郎が合資会社塩瀬総本家を設立

「林家」と「塩瀬家」
日本の饅頭の起源には1つに塩瀬家がある。林浄因三世の妻が、三河塩瀬を領地としていた豪族の娘という縁で,三河国塩瀬村(現在の愛知県新城市)に身を寄せました。
両足院の墓地に昭和6(1931)年に建立された饅頭屋町合塔の碑文には、林浄因が饅頭屋町の始祖であり、その子孫が奈良と京都に住み、のちに塩瀬と改称したなど、同家の歴史が記されています。
なお、昭和61(1986)年に中国に林浄因碑が立てられて以来、毎年10月初旬に碑の前で紅白饅頭2000個を配るという「饅頭祭」を続けられています。
そして、昭和61(1986)年、塩瀬総本家34代当主によって「日本饅頭創始人鹽瀬始祖林淨因記念碑」と刻まれた碑が中国に建立され、平成5年(1993)には、中国側からの打診により家祖・林和靖の眠る西湖・弧山に記念碑が移転されている。

林小路入口


漢国神社


扁額


林神社


饅頭のお供え


饅頭塚


御朱印


中国に建立された「日本饅頭創始人鹽瀬始祖林淨因記念碑」と刻まれた碑(転載)


徳川家康公御鎧由緒略記


徳川家康公御鎧(パンフレットより)