斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

昨日の中日新聞

2011年09月03日 05時34分58秒 | 水難・ういてまて
中日新聞の特集、3.11の家族を読みました。
東松島市 野蒜小学校の体育館に避難した親子4人の、体育館で津波にのまれた瞬間の出来事が描かれていました。親子全員が浮いて助かったのですが、特に12歳の女の子は、学校で習った着衣泳を思い出し背浮きで浮いていたそうです。お母さんに声をかけられても、肺の空気が減って浮力がなくなるといけないと、一回しか返事をしなかったと。

釧路空港で記事を読みながら、涙がこみ上げてきました。野蒜小学校では10年にわたり水難学会理事の安倍夫妻が津波の防災教育と着衣泳を組み合わせて毎年子どもたちに講習会を実施してきました。水難学会の前身の着衣泳研究会でも5年前から津波で逃げ切れなかった人の最終手段として着衣泳を位置づけて、高知県消防防災航空隊と共同研究を重ねてきました。その成果をこれまで養成した1200人の着衣泳指導員によって全国の小学校を中心に伝えてきました。そういった取り組みを行った中で、助かると信じて背浮きを実践した女の子に感動したのです。

水難の世界はむずかしい。
思い込み、机上の空論、迷信、言い伝え、出鱈目が錯綜する中で、人の命を左右する実技を伝えなければなりません。地道に研究を重ね、大勢の人の意見と実データをもとに、生還のための実技を形成しなければなりません。それを正しく伝えて、いざというときに効果が発揮されなければいけません。

次の水災害にそなえて、皆さんと協力しながら進みたいと思います。




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