斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ういてまてと着衣水泳の奥の深さ

2016年07月09日 09時53分29秒 | 水難・ういてまて
着衣水泳といえば、服を着たまま水の中で泳ぐ、浮く、沈むなどのすべての動作を行うことを示しています。
水難救助隊が素手による入水救助をするときには、その泳ぎ方から根本的に競泳と異なります。ましてや、救命胴衣を着用したままの泳ぎ方など、およそどこでも研究されていないし、標準化されていないし、なにもなしです。
ましてや、潜水・潜行のやり方などまったく考えられてもいません。こういうことが考えられていないと、沈水してすぐの人を助ける方法などあるわけはなく、結局のところ、水難救助隊ですら、着衣素手による入水救助は「やらない」ということになります。水難救助隊がやらないのであれば、一般の人にそれを求めるのは今の段階ではありえません。

ういてまては、着衣水泳の中の、浮くの部分と簡単な移動の部分を持ってきています。それから要救助者側の実技に特化しています。したがって、水難救助隊の人が「溺者はこうやって救助を待っている」と勉強する分にはよいのですが、水難救助隊がなんの目的もなく習っても仕方ありません。むしろ、上述した部分の訓練をやらなければならず、そこをしっかりとやってほしいと思います。