船舶の起こす海難は除いて、市民が遭遇する屋外の水難について、問題点を記します。
市民が遭遇する水難を大きく分けると次のようになります。
1)管理施設
2)管理水域
3)その他水域
管理施設とは、プールのことです。通常は自然水域とはつながっていないので、水域の隅々にまで監視の目が行き届いています。このような場所で万が一溺水することになっても、監視員がすぐに救助に向かいます。
管理水域とは、海水浴場や河川、湖などで特に水泳場として利用されている場所です。隅々とはいわなくても監視されている例が多数です。ただし、監視員がボランティアである場合があり、必ずしも常時監視されているとは言えません。
このいずれも、溺水することになった場合に訓練されている(ことを期待する)監視員によって入水救助されるために、日本赤十字社をはじめとするさまざまな団体により救助法の講習会が提供されて、その講習会によって監視員の能力向上が図られます。因みに、長岡技術科学大学の室内プールは平日と土曜日に学生と教職員向けに開放されており、赤十字水上安全法救助員の資格をもつ水泳部の学生が監視に当たり、万が一の水難のときには適切に救助、応急手当ができるようになっています。
問題は、その他水域における水難です。監視員もおらず、すぐに救助できる体制にもありません。そして、その他水域において亡くなる人が毎年700人ほどの溺死者のうちの600人であることが重要です。水難では、ほとんどの場合事故発生とともに沈んでしまいます。目撃者が救助員資格を持っている場合以外は、沈んだら助かる見込みはきわめて低くなります。この700人のうちの600人を助けるためには、水難に遭った溺者が浮いて呼吸を確保し、目撃者が119番通報して救助隊を呼び、救助隊により浮いている間に陸にあげる必要があります。
これまで、我が国をはじめ、欧米諸国でも「その他水域」で水難に遭った場合の対処法については、物語程度でテキストに記述があるだけでした。もともとプールや海で来場者の救助を行うことを想定しているので、その救助法が目撃者しかいないその他水域の状況(目的者が救助員でない)で入水救助で救うことはできないと考えられているからです。
ういてまては、そのような世界的な問題を解決する方法として、我が国ばかりでなく世界的に注目され、広がっています。溺者が浮いて呼吸を確保し、その間に目撃者が119番通報して救助隊を呼べば、救助隊により救助されるまでの間、生命を維持することができます。
しかしながら、このところ、消防の救助隊の水面救助の能力が考えられているように高くないことが問題として指摘され始めています。これまで、水難というと現場で行う作業は行方不明者捜索が主で、水面というよりは水中作業が求められていました。そのため、消防の救助隊の訓練が潜水に偏ってしまっていました。20年ほど前までは全国の消防学校の初任科の学生に水上安全法の講義と実技が行われていましたが、近年はめっきり少なくなりました。つまり水面救助の勉強をする機会がめっきり減ったことも水面救助能力の低下につながっていると考えざるを得ません。
たとえば、戻り流れで海に流されて、砕波帯のすぐ沖側で浮いていた溺者を救助する場合、陸からアプローチするのに砂浜から波の下に一度潜り、砕波帯の向こう側で水面に出れば溺者に近づくことができます。しかしながら、これを実行するのに救助者が救命胴衣を装着していたら潜れないし、救命浮環を持っていても潜れません。つまり、浮き具なしで救助に向かわないとならないわけです。安全管理が叫ばれる消防の活動現場で、果たして浮き具を所持せず救助に行くことを許す隊がどれくらいあるのか、心配になります。
ういてまてとプロ向けの水面救助術。このふたつを両輪とするシステムをきちんと構成していかなければなりません。
市民が遭遇する水難を大きく分けると次のようになります。
1)管理施設
2)管理水域
3)その他水域
管理施設とは、プールのことです。通常は自然水域とはつながっていないので、水域の隅々にまで監視の目が行き届いています。このような場所で万が一溺水することになっても、監視員がすぐに救助に向かいます。
管理水域とは、海水浴場や河川、湖などで特に水泳場として利用されている場所です。隅々とはいわなくても監視されている例が多数です。ただし、監視員がボランティアである場合があり、必ずしも常時監視されているとは言えません。
このいずれも、溺水することになった場合に訓練されている(ことを期待する)監視員によって入水救助されるために、日本赤十字社をはじめとするさまざまな団体により救助法の講習会が提供されて、その講習会によって監視員の能力向上が図られます。因みに、長岡技術科学大学の室内プールは平日と土曜日に学生と教職員向けに開放されており、赤十字水上安全法救助員の資格をもつ水泳部の学生が監視に当たり、万が一の水難のときには適切に救助、応急手当ができるようになっています。
問題は、その他水域における水難です。監視員もおらず、すぐに救助できる体制にもありません。そして、その他水域において亡くなる人が毎年700人ほどの溺死者のうちの600人であることが重要です。水難では、ほとんどの場合事故発生とともに沈んでしまいます。目撃者が救助員資格を持っている場合以外は、沈んだら助かる見込みはきわめて低くなります。この700人のうちの600人を助けるためには、水難に遭った溺者が浮いて呼吸を確保し、目撃者が119番通報して救助隊を呼び、救助隊により浮いている間に陸にあげる必要があります。
これまで、我が国をはじめ、欧米諸国でも「その他水域」で水難に遭った場合の対処法については、物語程度でテキストに記述があるだけでした。もともとプールや海で来場者の救助を行うことを想定しているので、その救助法が目撃者しかいないその他水域の状況(目的者が救助員でない)で入水救助で救うことはできないと考えられているからです。
ういてまては、そのような世界的な問題を解決する方法として、我が国ばかりでなく世界的に注目され、広がっています。溺者が浮いて呼吸を確保し、その間に目撃者が119番通報して救助隊を呼べば、救助隊により救助されるまでの間、生命を維持することができます。
しかしながら、このところ、消防の救助隊の水面救助の能力が考えられているように高くないことが問題として指摘され始めています。これまで、水難というと現場で行う作業は行方不明者捜索が主で、水面というよりは水中作業が求められていました。そのため、消防の救助隊の訓練が潜水に偏ってしまっていました。20年ほど前までは全国の消防学校の初任科の学生に水上安全法の講義と実技が行われていましたが、近年はめっきり少なくなりました。つまり水面救助の勉強をする機会がめっきり減ったことも水面救助能力の低下につながっていると考えざるを得ません。
たとえば、戻り流れで海に流されて、砕波帯のすぐ沖側で浮いていた溺者を救助する場合、陸からアプローチするのに砂浜から波の下に一度潜り、砕波帯の向こう側で水面に出れば溺者に近づくことができます。しかしながら、これを実行するのに救助者が救命胴衣を装着していたら潜れないし、救命浮環を持っていても潜れません。つまり、浮き具なしで救助に向かわないとならないわけです。安全管理が叫ばれる消防の活動現場で、果たして浮き具を所持せず救助に行くことを許す隊がどれくらいあるのか、心配になります。
ういてまてとプロ向けの水面救助術。このふたつを両輪とするシステムをきちんと構成していかなければなりません。