斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

本日の講義項目

2011年12月10日 23時51分19秒 | 講義記録
本日の講義の受講、お疲れ様でした。講義内容をまとめたので事後学習の参考にして下さい。

講義冒頭の事例紹介は、東松島市立野蒜小学校での事例でした。また、最後まで市民の避難誘導にあたった消防士の例は名取消防署閖上出張所の方々です。事後学習では、被災者から学ぶ気持ちで情報を集めてください。

水災害現場には次の立場の人々がいます。
1.犠牲者  同時に多数発生する場合がある。
2.救助者  遅延・困難なアプローチに陥る。
3.目撃者  目の前の要救助者を救助する余裕がない。自責に陥る。

行政は、水災害時には高台に避難することが重要と強調して啓発します。全くそのとおりです。逃げ切れなくて水に浸かったらどうする?と質問しても、市民の税金で動いている限り「自分の命は自分で守りなさい」と行政は言えません。だから、水に浸からないように逃げろと言うわけです。行政も最大限努力しています。

しかしながら、避難場所が安全である保証はほんとうにあるのか。避難場所に水が押し寄せた時「行政が悪い」と叫んでも仕方なし、自分の命を最後のところで守るのは自分です。命をつなぎとめている間に救助を待つのが、本当の現場です。まず、学生のみなさん自身が自分の命を守る知恵を身につけ、それから家族、市民の命を守る方法を身につけないといけません。生還者の証言はたいへん貴重で、それを次に伝えるのが、生還者を含めたわれわれの使命です。

溺水は次の2つにわけることができます。
浸漬 体が水に浸かるが、窒息を伴わない。低体温症によって死にいたることがある。
没水 体が水に浸かり、窒息を伴う。呼吸停止により死にいたることがある

水災害にて、没水を避けるために背浮きすれば浸漬の状態となり直ちに命を落とすことは無いが、浸漬から生還するには水から上がり保温しなければなりません。

http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/surindex.htm も参考にしてください。