杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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松本珍道中 その1

2006年09月10日 | お知らせします
去る9月9日土曜日に日本結核病学会、日本呼吸器学会関東支部合同学会が松本で開催されました。
長野県での開催ということもあり尾地 優先生も駆けつけてくれました。
前夜祭ということで、尾地先生張り切って夕食を頼みまくりでした。
いつも通り、注文しすぎです!!
ちなみに尾地氏は伝説のフードファイターです。

Jolt AccentuationとNeck Flexion Test

2006年09月10日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。Dr荒岡よりTICのレポートがきましたのでついでに載せます。以下は池田正行先生のケアネットからのお言葉です。表も載せておきます。
髄膜炎の除外診断に役立つ感度の高い所見があるのだろうか? それが、Jolt Accentuation(Uchihara T et al. Headache 1991 31:167-71)であり、Neck Flexion Test(中泉ら。家庭医療 6: 10-15, 1999)である。Jolt Accentuationは、“いやいや”をする要領で頭を数回振ると頭痛が増強す場合を陽性、Neck Flexion Testは顎を胸につけるように首を曲げようとしても首が痛くて曲がらない場合を陽性とするが、その感度はそれぞれ97%、81%と非常に高い。だから、これらの所見がなければ髄膜炎は除外できる.ということで、Kernig signや頚部硬直がなくても髄膜炎は除外できないが、上記2つの所見がなければ除外できるのである。

CHEST CTで異常影があり発熱を主訴に来院した57歳女性

2006年09月09日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。外来のあと、実験4時間でへとへとです。しかもイッシー休みだし、、、、4人くらい代診しました。 ところでとれたてほやほやの「CHEST」からです。臓器症状が出にくいのでFUOの鑑別としても大事なこの症例は薬剤性肺炎を疑っているJ先生の症例で僕が”しまうま探し”の一貫でDDXに挙げた疾患です。3ヶ月の発熱と胸部CTでのnonspecific interstitial infiltratesがありおよそ入院後3週間であっという間にDICとなり死亡しています
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/130/3/924
三菱ウエルファーマーでは当たり前のように出てくるこの症例ですが、English literatureでの報告は以外にも150報程度だそうです。Liver, spleen ,lymphnode,bone marrowが比較的spareされやすいことも診断を難しくしているようです。呼吸器科医なら必見の症例だと思います。まさに知らなければ鑑別にはあがりません。そういえば血ガスのデータがこの症例は抜けていたなあ・・・
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/115/4/1207?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&andorexactfulltext=and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&volume=115&firstpage=1207&resourcetype=HWCITや北大からの報告http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=9150341&query_hl=3&itool=pubmed_docsumがあります

non-HIVのニューモシスチス肺炎 パート2

2006年09月08日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。はっぎー先生コメントありがとうございます。 ご紹介の論文は以下にもアップしました。
http://www.rheumatology.org/publications/ar/2000/aug.asp

確かにRheumatology全体では免疫抑制剤使用患者でのPCPの発症は1%-2%程度のようですが、WGでPCPというのは6%程度で高いようです。以下参照です(大庭先生に教えていただいた論文です)
http://www.journals.uchicago.edu/CID/journal/issues/v34n8/011245/brief/011245.abstract.html
米国ではさらにTransplantation後やallo BMT後のPCPは5%-15%ともっと罹患率が高いようです あと病棟でたまに遭遇するのは脳外科領域でradiationと一緒にステロイドが投与されていて減量されている最中に肺が真っ白になりPCPというパターンがあります。脳外科領域ではほぼS/Tの予防内服はしてないのではないかと想像します(施設によってはしているかも)

More Than Meets the Eye [NEJM 2006;355:1048-52]

2006年09月08日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです
本題とは関係ありませんが、写真はMGHです。世界屈指のこの病院のスケールの大きさに圧倒されました。ところで今週のClinical Problem-solvingは

red urineの勉強になります。61才の女性で2日間の動悸と息切れを主訴に来院した症例です。この疾患は手術、ワクチン接種、輸血、感染などの後に出たりするようです。かぜっぽい症状のあとのRed urineではこの疾患もDDXに挙げる必要があるようです。
http://content.nejm.org/cgi/content/short/355/10/1048Hematuriaなのか、Pigmenturia (hemoglobiunuria or myoglobinuria)なのか、はたまた超レアケースのbeeturia or porphyriaなのかの
鑑別も含めて重要です。尿中にまず本当にRBCがあるか、どうか、dipstickで陽性となるかどうかが大事です。本疾患と同様の病態をとるのはinfections (typhoid fever, malaria, mumps, and clostridial sepsis), scorpion and snake bites, heavy exertion(march hemoglobiuruia)などなど。





ステロイドとnon-HIVのニューモシスチス肺炎

2006年09月07日 | Kanpo-Master の部屋
 Kanpo-Masterです
HIV陽性のPCPは経過が数ヶ月とゆっくりですが、臨床的な判断が
すばやく要求されるのはnon-HIVのPCPです。あっというまに、
iutubationされることが多いですね。ではどの程度のステロイドをどのくらい
使用するとnon-HIV患者において、PCPになりうるか、、、というstudyがあります1985年から1991年までのMayo Clinicでの116人のfirst episodeのnon-HIVのPCP患者、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=8538233&query_hl=5&itool=pubmed_docsum
retrospective studyです。結論は、、prednisone換算で30mgを平均12週でPCPになっている.
しかし25%の患者は16mgを平均8週投与されてPCPとなっている。以上の結果から
長期戦になりそうなステロイド投与患者ではPCPの予防投与が必要だと結論づけています。最低2週程度でもPCPになっている症例もあることからやはり1ヶ月以上のステロイド投与になりそうな基礎疾患を持つ患者はPCPの予防が必要だと思います。
http://www.chestjournal.
org/cgi/content/abstract/118/3/712maxtoshow=&HITS=10&hits=
10&RESULTFORMAT=&fulltext=PCP+CD4&andorexactfulltext=
and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&resourcetype=HWCIT

では、non-HIVの場合、PCPのリスクとしてCD4 300個/ul以下というのを挙げています。PCPを疑うnon-HIV患者で、まずリンパ球が何個あるか、というのを数えてみるのはいいかも知れません  第17回morning conferenceは三倉先生がHIV陽性のPCPを、僕がnon-HIVのPCPを担当します

慈雲堂内科病院漢方外来 その2

2006年09月07日 | Kanpo-Master の部屋
  Kanpo-Masterです。
生来健康な23才女性、華奢なごく普通にいる女性。現在勤務している病院のスタッフである。主訴はあまり食べられない、体重が増えない、よく下痢をするです。元来胃腸系が弱くすぐ下痢をするそうです。貧血なし、舌は黄苔+歯瘢舌あり腹部には心下振水音+、心下否硬+、腹部のAortic palsationあり、明らかに虚証の患者である。ちなみに、トライしてみた漢方は茯苓飲→六君子湯→人参湯→半夏厚朴湯→四君子湯→半夏瀉心湯→小建中湯→人参養栄湯→帰脾湯、をそれぞれ2週間づつ。手ごたえのあったもの、なかったものいろいろだったが、自分にあった漢方を探し続けている主治医と患者(それにしても良くいろいろ飲んでくれると思うが、、)であった。ちなみに腹部所見は改善、食欲はかなりアップし体重もこの数ヶ月で3kg増えた。下痢は消失しています。患者さんと一緒に宝物探しをしている、そんな気分です。まだまだ挑戦は続くのでした。

以外と覚えていない? げんさんより

2006年09月06日 | 新たな発見? 常識?
我々、がん治療の一般状態の評価にはPerformance status (PS)を用いています。いわゆる一般全身状態の評価として、Karnofsky Performance Status があります。普段使用していないでしょうが、知識としては理解しておいてちょんまげ!
100% 正常、臨床症状なし
90% 軽度の臨床症状あるが、正常の活動可能
80% かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
70% 自分自身の世話は可能だが、正常の活動や労働は不可能
60% 自分に必要なことはできるが、ときどき介護は必要
50% 病状を考慮した看護および定期的な医療行為は必要
40% 動けず、適切な医療行為および看護が必要
30% 全く動けず、入院が必要だが死はさし迫っていない
20% 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10% 死期が切迫している
0% 死
というものです。

急性下痢症 by 荒岡

2006年09月06日 | Kanpo-Master の部屋
今日のmorning conferenceは慢性下痢症の鑑別診断の他にDr荒岡の急性下痢症の
鑑別診断もやりました。荒岡先生お疲れさまです。発症機序①毒素型:黄色ブドウ球菌、セレウス菌、ボツリヌス菌 抗菌薬無効 ②感染型:サルモネラ、腸炎ビブリオ、キャンピロバクター③生体内毒素型:腸管出血性大腸菌、コレラ
院内発症の下痢症は①薬剤性②偽膜性腸炎を第一に考える。特に偽膜性腸炎に関しては彼の熱い思いがあって治療はメトロニダゾール(フラジール250mg 41.60円)で!バンコマイシン0.5gで4270.20円と薬価がかなり違う。フラジールで治療だ!彼が出していた参考文献は
Increasing Risk of relapse after treatment of Clostridium difficile Colitis in Quebec, Canada [CID 2005;40:1591-7]
Relatively Poor outcome after treatment of Clostridium difficile difficile colitis with Metronidazole [CID 2005;40:1586-90]
Acute Infectious diarrhea [NEJM 2004;350:38-47]
An update on diagnosis, treatment, and prevention of Clostridium difficile-Associated disease [Gastroenterol Clin N Am 2006;35:315-335]
Practice Guidelines for the management of Infectious diarrhea [CID 2001;32:331-50]


慢性下痢症の鑑別診断(第16回 morning conference)

2006年09月05日 | Kanpo-Master の部屋
 Kanpo-Masterです
明日は慢性下痢症の鑑別診断です。診断のアルゴリズムにおいては便中白血球が
まず最初に出てきます。研修3年目か4年目のころに経験した救急外来での初診の潰瘍性大腸炎の症例で微熱、慢性下痢、腹痛を主訴に来院した40代の女性でした。一生忘れることがないと思います。痛みのため悲鳴に近い声を出されたのですが、ジギタール後の便を見るとグラム染色で多数の白血球が、、後のメチレンブルー染色では添付した画像のような多数のWBCが確認されています。

いわゆる初期悪化

2006年09月04日 | 新たな発見? 常識?
皿健さん、ブログ病ですね。いや中毒でしょう。
いわゆる初期悪化を経験していますか?
これはSM,INHの時代から化学療法開始の比較的早期に、肺病変の局所的悪化やリンパ節腫脹または胸膜炎をおこす現象です。
その頻度はSM,INHの時代に1~4%、RFPの時代になってから8~14%というデータがあります。
詳細にみると確かにこのくらいの頻度で局所の悪化はみとめます。
さて、これは何がおこっているのでしょうか?

結核研究所の岩井先生がRFP,INH投与開始3ヶ月後の初期悪化を病理で診て報告しています。
さすがです。 結核 54;473-,1979 です。
実はもとの肺病変周囲には壊死物質の吸引性肺炎が生じています。
また肺胞間質、気管支や血管壁間質または小葉隔壁に肉芽腫が数珠状にみられたようです。
つまり結核菌もしくは菌体成分がリンパ行性に拡がった証です。
この反応機序は現在も不明ですが、病理組織もしっかり悪化っしていることは確かです。

日本の結核病学はすばらしく、古くから病理所見と画像所見の対比、また免疫学への発展と医学の中心にあった学問といっても過言ではありません。
海外文献に劣らないすばらしい論文は多くあります。
みんな、結核診療をしてね。

Paradoxical Upgrading Reactions with Lymph Node TB

2006年09月04日 | Kanpo-Master の部屋
 Kanpo-Master(sara)です
静岡がんセンターからの出題は22才女性の左鎖骨上窩,胸部大動脈周囲のリンパ節腫脹が主訴の患者さんについてであった。腋窩リンパ節はsurgical excisionまでされていたのだが診断つかずがんセンターに来た、というものだった。自覚症状出現からおよそ半年が経過したところでの来院。主訴は微熱、CTではnecrosisを疑わせるLDAを伴う軟部陰影が左鎖骨上窩、胸部大動脈周囲に認めた。DDXはHIV, EB,CMV, Cat scratch, スポロトリコーシス....Malignancy(消化器癌、乳がん、lymphomaなど)いろいろ挙がったが、ツ判強陽性で最終的には左鎖骨上窩surgical excisionでリンパ節結核と診断された。
Key paperと思われたのは、、紹介されたものも含めて
Assessement of lymph Node Tuberculosis in Northern Germany: A clinical Review [CHEST 2002;121:1177-1182]
Characterization and Management of Paradoxical Upgrading Reactions in HIV-Uninfected Patients with Lymph Node Tuberculosis [CID 2005;40:1368-71]
Paradoxical Reaction during Tuberculosis treatment in HIV-seronegative patietns [CID 2006;42:893-895]
でざっと3つ読んでみると、どうやらcase reportレヴェルでdisseminated TBやそれに近い状態(HIVやinfliximab投与患者)ではParadoxical Reactionがおきやすい傾向にある。それは結核菌そのものの耐性の問題により再活性したというより、菌体成分に対する免疫応答であるという説がある。HIV陰性患者でも25%程度におきうる治療開始後およそ6週から7週までに起こり、2ヶ月ほど続くが期間はvariationがある。ステロイド治療は脳実質病変のparadoxical reaction(PR)であればedemaをとるなどのメリットがあるかもしれないが、リンパ節に関してはRCTが存在せずその効果は不明である。リンパ節でPRを起こしやすいのは頚部がダントツで顎下、腋窩、縦隔、腹部、鼡径リンパ節は比較的稀らしい。CHESTの文献では60人のHIV陰性のリンパ節結核の患者のうち20%でPRを起こし、10%でulceration, fistulas, abscessesなどの局所合併症を認めている。70%はすんなり治っていた。現時点での疑問は診断について、FNA+culture or Surgical excision+cultureはどうも診断に関しては同等のようなことが書いてあるのだが、静岡がんセンターの症例ではsurgical excisionに踏み込んだ。僕も同様の処置をしたと思うが、FNAの方がcosmeticな問題も考えるとどうだったのか、と考えてしまう。上記に加えて、PCRを出すこともできる。もちろんその感度は様々であるので補助診断として使うわけだが、実際この文献でもCultureと組織で診断がつかずPCR陽性で2例診断されていた。まだ読んでいないが、以下の文献も紹介されていたと思う。
 Clinical Evaluation of 16s Ribosomal RNA PCR test for the
Diagnosis of Lymph Node Tuberculosis [CID 2006;43:855-9]
さらに、PRがおきたとして、リンパ節結核に実際にステロイドを使用するかどうか
ということも上記を読んで聞いてみたかった。実際にはprednisoloneを20-90mg/dayくらいで期間は平均52.5日(14日ー160日)で投与したということも書いてあったが、、
ブログに夢中になっていたらこんな時間だ、、
もう寝ます



ID Conferenceのサイト

2006年09月04日 | Kanpo-Master の部屋
  Kanpo-Master(sara)です。
http://idconference.cocolog-nifty.com/
     
のサイトはこのサイトに遊びに来てくださった管理人さんのサイトです。
僕もまた勉強させていただきたいと思います。
呼吸器、感染症の輪(和)が広がっていくというのはうれしい限りです
みなさんもグラム染色やいろんな問題に挑戦してみてください 


イロベジーっていう発音よ!

2006年09月04日 | 新たな発見? 常識?
今日は朝9時から夕方5時までボス主催の呼吸器感染症画像研究会に出席してきました。テーマは、関節リウマチ(RA)のMTX治療中にみられる肺野病変で、薬剤性肺炎、リウマチ肺の悪化、もしくは日和見感染としてのPneumocystis jiroveci pneumoniaなのかの鑑別が画像上できるかどうかという事でした。確かに臨床的には判断に困るポイントだと思います。
しかしなかなか客観的に判断できる所見は難しいことを再確認しました。しかしRAに合併したPCP 15例、RAのMTX lung 15例、HIVのPCP 11例の臨床情報や画像をみれたことはうれしかったです。
我々、呼吸器内科には、かなり呼吸不全に難渋した段階でnon HIVのPCP s/oを紹介されるので、non HIV+PCPはかなり予後不良の印象がありますが、以外にも早期発見のせいか死亡率が低値でした。
今日の研究会症例では
    RA+PCP mortality 3/15 (20%)
    HIV+PCP mortality 0/11    でした。
報告されている文献では、
non HIV PCPをHIV PCPと比較しているものにChest 2000;118(3):704-711
があります。これだと
    non HIV PCP overall mortality 39%,
    HIV PCP overall mortality 6.6% です。
ちなみにこのnon HIVとはRAに限らず悪性腫瘍も含まれている事、そして
1995年までの診療結果なので現在の診断、治療とは単純に比較できないと思います。
急性の重症呼吸不全を呈しているとPCPなのかIPなのか鑑別できる手段は時間的にも状況的にも限られており、致死性疾患という観点からはsteroidと共にPCPの治療もempyric therapyとして行う必要が現段階ではありでしょう。
もちろん気管支鏡などの積極的な検査をできるかぎり感染症に関してはアプローチできるようなら積極的に行ってください。

あ、、たけDr,やなDr, 自宅で夕食たべれませんでした。ビールでお腹いっぱいでした。昔話をしてしまうようではジジイかもとちょっと反省しています。
お付き合いありがとう。

IDATEN(米国式感染症ケースカンファ)講演部門総括(真菌)

2006年09月03日 | Kanpo-Master の部屋
  Kanpo-Masterです
これは以前にも聞いたことのある先生の講演だった。得た知識としては、、、さほどなかったが、確認になった。

■患者がクラッシュしている場合
たとえば、ライン感染でのカンジダ等も疑われた場合には治療はどうするか?
亀田総合病院ではC.glablataなども考慮してMCFGで治療を開始している。しかし[CID 2006;42:753-7]で亀田の血液内科から報告されているようにMCFGでのbreakthroughによりTrichosporonなどの感染も出てきている、、という問題も...
演者の回答は、FLCZを5mg/kg~10mg/kgを使用するだろう、という回答だった。
ほとんどはC.albicansによるものだから、、という主旨であった。が、この回答は
僕は反対でやはりクラッシュしている場合にはAzole系は避けるべきだと思う。実際のTrichosporonならばAmbisome極量で治療か、と演者は言っていた。

■MCFGの使用によるEmerging Fungiの台頭
元来MCFGはカンジダには静菌的に、アスペルには殺菌的に効く。しかしもともと効力のないPenicillium spp. Fusarium spp. Rhizopus spp.Scedosporium などが増えてくるのは当たり前だ(多分つづりがどっかで違うがすいません)ということ、さらにAntifungal therapyに関してはPK/PDはいまだ意味あるか不明であるということ。AMPH-BはCmaxに依存しているということは、有る程度認めていた。しかしこれもBMJにはAMPH-Bの24時間点滴持続投与と2時間静注だったか忘れたがRCTでの比較試験があり効果はほぼ同等で腎障害の副作用は24時間の方が少なかったと記憶している。ので、どうかなあ、、、

■演者がIPAの比較的な典型例(どんな画像もとりうるが)と出していた
Increasing volume and changing characteristics of invasive pulmonary aspergillosis on sequential thoracic computed tomography scans in patients with neutropenia [JCO 2001;19:253-259]
もざっと読んでみたが、この対象が化学療法を受けhalo signを呈した25人(外科手術で確定診断されている)の画像だが、いずれもallo-BMTがなされているわけではなく本当に一般的なIPAの病態を示しているかは疑問だ、CNPAに近い気がした。ただしhalo signを早期に見つけて治療する、という点は同意するが、、IPAでは浸潤影の方が多い気がする。

■5FCはもはや古い薬か?
クリプトコッカスでの治療は今でもIDSA guidlineではAMPH-B+5FCでinduction therapyである。この先生の講演を聞くといつも思うが、もはや5FCは使用されない薬となった、と言う。しかしN=1だが僕はHIV陽性患者のcrypotococcus meningitisでAmbisomeなどに反応不良な患者がFLCZ+5FCで効いた経験がある。髄液で分裂しまくっていたcryptococcusがいなくなっていく様は5FCがsynergy効果を発揮しているとしか考えられなかったので、これも異論がある。分裂まじかのクリプトちゃんを上記画像に添付しています。参照してください。いずれにしても年末までにITCZのシロップや静脈注射も出るということで、抗真菌薬のラインナップはここ10年は変化ないから、この中でうまくつかっていこうという話であった。日本から呼吸器領域からCNPAの症例をまとめて出すといいデータになるのに、と思った。