杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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O157 Outbreak

2006年09月17日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。青木眞先生のサイトを見ていたら
O157のoutbreakが米国で起きているようです。
9月16日現在まで102人の報告があり、うち16人がHUSとなり一人死亡している
ようです。以下参照
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01452.html
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/5bfbca6a320b918e66ded657c9c20bc3
時を同じくして今週のAm Fam PhysicianはHUSについてです。
http://www.aafp.org/afp/20060915/991.html
このE coli O157:H7はHUSにおちいるSTEC
(shiga toxin producing Escherichia coli)の80%を占めるようです。
この菌は健常者の便には存在しないがhealthy beef cattleの腸管に存在
しているようです。Toxinが病態に関与していると言われているようですが
明確な機序は不明なところもあり、抗菌薬や血漿交換,ステロイド
shiga-toxin-binding agentsは効果がなく
結局は対症療法になります。米国では今回のOutbreakはほうれん草が
原因ではないか、と報道されています


Asymptomatic Bacteriuria in Adults

2006年09月17日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。
特に新たな内容はないのですが、今週のAm Fam PhysicianにはAsymptomatic Bacteriuriaについてのまとめが載っています。
http://www.aafp.org/afp/20060915/985.html
■Diagnosis Criteria for Asymptomatic Bacteriuria

Midstream clean-catch urine specimen
For women, two caonsecutive specimens with isolation of the same species in quantitative counts of at least 100000 CFUs per mL of urine

For men, a single specimen with one bacterial species isolated in a
quantitative count of at least 100000 CFUs per ml.

Catheterized urine specimen:
In women or men, a single specimen with one bacterial species isolated in
a quantitative count of at least 100CFUs per ml.

以下にはIDSAのガイドラインが載っています。
http://www.journals.uchicago.edu/CID/journal/issues/v40n5/35309/35309.html

いずれにしても妊婦さん以外では無徴候性細菌尿は治療したり検査することも
必要ない、ということでしょう。糖尿病患者、脊髄損傷の患者、カテーテル
挿入患者でも基本的には同様の考えでいいと思います。

Diabetes management, HbA1c などなど

2006年09月17日 | Kanpo-Master の部屋
 Kanpo-Masterです。
平成15年12月より超持続型インスリン製剤ランタス
(一般名:インスリングラルギン、アベンティスファーマ株式会社)
が国内で発売されたようです。従来型の中間型インスリン製剤と
超速効型インスリン製剤を投与されていた1型糖尿病の患者さんに対して、
中間型をランタスに変更していくという戦略により夜間の低血糖の予防や
朝食前空腹時血糖値の上昇を抑えることがより可能になったようです。
さらに2型糖尿病に関してもSU剤でコントロール不良例でも使用すると
改善が見込まれます。ランタスはピークがないので24時間ゆっくり効かせる
ことができる点がいいようです。使ったことないですが、、
http://www.aafp.org/afp/20060915/971.htmlにはRapid-acting, Regular-acting,
Intermediate-acting(NPH), Long-acting(Glargine)
について分かると思います。インスリン注射は運動時には吸収が上がり、
特に下肢に注射した場合には吸収が早くなるので注意が必要です。
食後1時間、もしくは運動後の血糖測定は
指以外の部分では信頼性に欠けるらしい。しかしそれ以外の状況では
指以外が血糖測定には適しているようです。
(どっちやねん、という突っ込みがきそうですが、、、)
1型の糖尿病の場合には意識がなくて経口摂取できない状況では、
グルカゴンの注射(1mg IV or SC)も効果ありますね。
さらに、BMJではここ数週でhttp://bmj.bmjjournals.com/current.shtml#PRACTICE
や、http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/extract/333/7566/475
でNIDDMのvascular complicationやHbA1cについて知ることができます。
HbA1cは診断には用いてはならないこと、血糖値との"ぶれ”が生じる
ため絶対的なものではない。例えば、出血時などではHbA1cはglycationする
時間が減少するので低めに出る、とあります。
HbA1cは赤血球の寿命の120日の間、せっせと糖化され続けれる結果なのですが、
90日までに半分、90日~120日までに半分が糖化されるためにその寿命が
短くなるときにはおのずとHbA1cも低値となるのは明白です。
あと当たり前ですが、HbA1cの測定は最低3ヶ月程度あけるべきで
上記ペーパーによると2ヶ月以内の再測定はもってのほか、だそうです。





カリニ肺炎の名前

2006年09月17日 | 新たな発見? 常識?
Pneumocystis cariniiが名前変わりましたよね?
Pneumocystis jiroveciかPneumocystis jiroveciiかが分からなくなりました。そこで、PubMedでしらべたところ、(2006年9月16日19:30分時点)
P jiroveci 221件
P jirovecii 181件
と混乱しています。
さあ、どちらが正しいのでしょうか。
スペルミスはよくありますが、こういうようにほぼ1:1となる例は少ないのでは・・・。(わ)


解答でーす.

2006年09月17日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
さて,質問の解答です.
鼻カニューラ2L/minの酸素流量でした.ここで重要なのは呼吸とは吸気と呼気があることです.吸気:呼気を計算しやすいように1:1としましょう.すると鼻カニューラで吸入している100%酸素は吸気のみ吸入されるので鼻カニューラから1L/minの100%が吸入されることになります.
上記の内容が理解できますね.

次に分時換気量が4L/minの症例と7L/minの症例との比較でした.
分時換気量が4L/minの症例では
鼻カニューラから1L/minの100%酸素と
大気から3L/minの21%酸素が吸入された事になります.
ですから吸入酸素濃度は
1.0x1 + 0.21x3 = A x 4 という式になり,Aを求めることになります.
答えは40.8%になります.
同様に分時換気量7L/minの症例で考えると
1.0x1 + 0.21x6 = B x 7となり,Bを求めることになります.
答えは32.2%になります.

結果より分時換気量が減少していると同じ酸素流量でも
吸入酸素濃度は高くなってしまいます.
つまり,大切なことは
換気量
酸素流量
吸気:呼気
の3因子が酸素吸入濃度に影響するということです.

ちなみに実際には吸気:呼気は1:2なので計算は面倒ですが
ちゃんとやると鼻カニューラ2L/minの酸素流量で分時換気量6L/min
あれば酸素吸入濃度は28%になりますよ.

今週のランチョンは、

2006年09月15日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
さて今週のランチョンカンファレンスのテーマですが、
吸入酸素濃度についてでした。
臨床的に低酸素血症の状況に対し、最も頻繁に使用されるのは
鼻カニューラでしょう。
一般的に
酸素吸入量1L/minでFiO2(酸素吸入濃度)24%
      2L/min           28%
      3L/min           32%
とされています。
これは、どのような計算で考えられているのでしょうか?という話でした。

まあ、年に1回ずつ話しているので、スタッフは3回聞いた人もいるでしょう。
この内容を理解していないと以下の意味がわからないと思います。
初めての方は考えてみてください。
鼻カニューラで酸素2L/min吸入する場合、
分時換気量4L/minの人と7L/minの人では、
吸入酸素濃度(FiO2)がどのくらいちがうでしょうか?もしくは変わらない?
コメントお待ちしております。
もちろん吸気:呼気(I:E比)は両者とも同じと仮定してください。

コメントが数件きてから、解答をだしますね。よろしゅうお願いします。

Lesson of the week 腎不全と造影剤

2006年09月15日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。院内での腎不全発症のうち12%程度がcontrast medium(造影剤)
投与による、というデータもあるようです[Radiology 1993;188:171-8]

http://bmj.bmjjournals.com/cgi/search?loct=ehom&andorexactfulltext=and&resourcetype=1&disp_type=
&sortspec=relevance&author1=&fulltext=&volume=333&firstpage=539

そもそもの造影剤による腎不全の定義は、、
造影剤投与後72時間以内に生じた腎機能の増悪
増悪の程度は、serum creatinineが少なくとも44umol/l (0.498mg/dlくらい)
ベースラインよりも増加すること、のようです。

腎機能の増悪は造影剤投与後3日~5日以内にピークを迎え
2週間以内にベースラインに戻ることが多いようです。

 リスクファクターは、、
Pre-existing renal insufficiency
Diabetes mellitus
Age>75 years
Concurrent use of nephrotoxic drugs
(non-steroidsal anti-inflammatory drugs, aminoglycosides)
Dehydration
Hypotension
Heart failure
Cirrhosis
Nephrotic syndrome
Hypertension

予防方法
決まったものはないが、、
1ml/kg/hourの生食を造影剤投与12時間前から開始し、合計で24時間投与
するというものです。制限なしで水分摂取している人と比べると
造影剤による腎症は3.7% vs 34.6%と予防効果はあるようです。
[Nephron Clin Pract 2003;93:C29-34]

また、NSAIDSなどのnephrotoxicityがある薬剤を少なくとも
造影剤投与24時間前に中止することも大事だそうです。

Chronic venous disease (Varicose veins)

2006年09月14日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです

20&where=fulltext&tyear=
2006&andorexactfulltext=and&fyear=1996&fmonth=Sep&searchterm=
varicose+vein&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT


http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/extract/333/7562/287
にChronic venous diseaseのmanagementと病態生理などが載っています。
いつも思いますが、BMJの方がprimary careをやる人には読みやすい気がします
下腿の静脈瘤のある老人は一般内科の外来では
結構、よく見ます。治療の適応は極めてすくないです(と思います)
以下にもあるように、DVTとの直接の関連はない、
静脈炎はおきたとしても感染ではない、ということも
書いてあります。潰瘍が出たら危ないですね。

Tips for GPs
The most important medical reason to refer is recognition of complications
such as bleeding or skin damage due to venous hypertension

There is no need to assess the precise sites of venous incompetence:
clinical tests are inaccurate, and Doppler ultrasound assessment can be done
after referral.

Superficial thrombophlebitis is not an infective condition and does not
require antibiotic treatment. A hard, red, tender are just above the ankle
is often inflammatory liposclerosis and not thrombophlebitis.
http://www.edogawa.or.jp/byouin_annai/shippei_info/kashi.html
http://www.kakinoki-geka-clinic.jp/kasi/index.html
http://www.itoortho.or.jp/kobu.html
上記3つのサイトでは分かりやすい図解も載っています
今日も健診でくもの巣状静脈瘤と思われる患者さんに相談を受けました

伏在静脈瘤
側枝静脈瘤
網の目状静脈瘤 → 皮膚直下の静脈が拡張してできます
クモの巣状静脈瘤 → 皮膚内の細い静脈が拡張してできます。

リスク
 ・立ち仕事
 ・妊娠
 ・肥満
 ・加齢
 ・遺伝(約70%)
 ・民族的な相違(欧米人に多い)


HIV-PCP (第17回morning conference)  by Dr三倉

2006年09月14日 | Kanpo-Master の部屋
 Kanpo-Masterです
今日のmorning conferenceは三倉先生ががんばってくれました。
ありがとうございます。若干、徹夜気味だったそうですが、
ガッツありますね。分かりやすかった
by小出まん、です。全く関係ありませんがコルヒチン効くといいですね。
HIVとnon-HIVでのPCPの違いも僕は強調したい点でした。
疑わなければ診断できないところが、みそ、ですね。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=15489347&query_hl=2&itool=pubmed_docsum
余裕のある人はこの文献を読むとnon-HIVのPCPの概要がつかめると思います。
第18回morning conferenceはこいでまん、の間質性肺炎
の分類をまず簡単に教えてもらいましょう。マウスをさばき続け、
   いつか
自分が裁かれる気がしています。

Trimethoprim-Sulfamethoxazole (バクタ)

2006年09月12日 | Kanpo-Master の部屋
  Kanpo-Masterです
HIVやPCPなどの話が出てきたので、、
http://www.mayoclinicproceedings.com/Abstract.asp?AID=2652&UID=&Abst=Abstract
にST合剤のまとめが少し載っています。ST合剤はBurkholderia cepacia,
Stenotraphomonas maltophilia, Serratia marcesecensに効くこともある
ようです。
ここで大事な点は通常は耐性を示す菌を把握しておくことです。
  Pseudomonas aeruginosa, Bacteroides fragilis
and most other obligately anaerobic bacteria, Mycobacterium tuberculosis,
Campylobacter, Treponema pallidum, and rickettsiaeなどには
効果なく、MRSAは感受性は様々です。

penicillin-resistant pneumococciにも効果ありません。
Heamopholus influenzae, Salmonella typhi, staphylococci,
UTIでのGNRでの耐性の増加が問題になっているようです。
咽頭炎の起炎菌であるgroup A β-hemolytic Streptococcus pyogenes
もSTも薦められません。豆知識で終わってしまった。
呼吸器領域ではWegener's syndromeでlimited typeでCR後に
ST合剤を内服しているとrelapseのリスクを下げるというデータ
があります。確かハリソンにも書いてあったと思います。

TMP 80mgとSMXの160mgのsingle strengthは
(TMP160mgとSMXの800mgのdouble strengthも同様だが)この配合の
メリットは血中濃度がTMP:SMX=1:20になる丁度良い状況に持っていく
ためだそうだ。妊婦ではFDAでcategory Cである。

Acute appendicitis

2006年09月12日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。どうして今さらアッペちゃん?と言わないで、、
僕も忘れかけていたのですが
■Rovsig's sign
■ Psoas sign
■Obturator sign
の3つは虫垂炎を疑う際には使えると思います。
これは下記のサイトで見れます。
Obturator signをとりあえず載せておきます。
http://www.usuhs.mil/fap/capcon/AbdominalPain.ppt

今週のBMJのclinical reviewはAcute appendicitisなのです。
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/extract/333/7567/530
虫垂炎は10代から20代に多いが実はどの年齢でも起こりえるようです。
小児科の先生に聞くと小児では大体4歳から5歳くらいで虫垂炎が
出始めると聞きますが、、
英国では生涯の虫垂炎のリスクは男性で8.6%,女性で6.7%だそうです。
消化器症状では便秘になったり、直腸刺激症状で下痢になったりもします。
嘔吐もよくありますね。microscopic hematuriaやleucocytesも尿所見で
見られることがあるようです。あまり気にしてなかったなあ、、
患者さんが女性の場合には妊娠の可能性も常に考えることが大事ですね。
ちなみに妊婦さんでは1000人あたり0.15~0.2%程度に虫垂炎を合併するようです。

perforationなどは症状の訴えにくい小さい子供や症状が出にくい
高齢者に多いようです。症状出現から36時間後のperforationは
16%~36%程度でそのリスクはその後12時間毎に5%ずつ増加する。
BMJのこの文献で印象深かったのは昔、指導医にジギタールで9時方向の圧痛を
調べるようによく言われたのですが、診断に関してはnon-specificだったり
(もちろんやった方がいいと思うが)、鎮痛剤を処方することは臨床症状を
マスクするので控えるべきだ、ということにはevidenceはないということです。
あと咳払いをさせて右下腹部の痛みを見たりするのもいいかも知れません。
僕は診察室で患者さんにジャンプしてもらって右下腹部に響くかどうか
を調べていますが、、

Pertussis-Not Just for Kids

2006年09月11日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。最近病棟に成人女性の百日咳疑いの人がいたのでちょっとまとめてみます。百日咳は診断が難しいのと診断がついても治療の時期を過ぎている場合が多い、というのが問題だと思います。漢方的には越婢加朮湯の証でしょうか?http://content.nejm.org/cgi/content/extract/352/12/1215?firstpage=1215&volume=352&sendit=GO&searchid=1&FIRSTINDEX=0&volume=352&firstpage=1215&resourcetype=HWCIT
http://www.aafp.org/afp/20060801/420.pdfが参考文献です。以下大事だと思った点について述べます。臨床経過は3期に分けられる
■Catarrhal phase(カタル期) 7日間~10日間続く→この時期に診断するのは困難
■Paroxysmal phase (痙咳期)2~3週間続く→すでに菌は培養で検出されにくくなるPhaseである。成人はこの時期に咳を主訴に受診する。咳嗽出現後3週間が感染源となりうる(菌が咽頭に生存している)ので、この間に抗体価や培養、PCRで診断する。(診断のgold standardは培養であるが感度が低いため、やるなら咽頭鼻汁のaspirationがベター)ちなみに適切な抗菌薬が投与されれば5日間で百日咳菌は死滅するようである。大事な点は5日間の抗菌薬の投与によってClinical courseは変えないが、周囲の感受性のある乳幼児への暴露のリスクを無くすことができるという点だと思います。しかし治療機間はEMなら14日間、その他は7日間必要。この時期の特徴的な小児の咳はhttp://homepage3.nifty.com/kodomoER/sympt/soundlink.htm
http://www.allergysa.org/sounds.htmで聞いてみてください。短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る(笛声:whoop)。この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼ぶ。しばしば嘔吐を伴う。
■Convalescent phase (回復期)
治療はマクロライド(EM,CAM,AZM)が第一選択で、その他ST合剤、キノロンあたりでしょうか、、
以下はIDWRからの百日咳ワクチンについて。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_36.html副作用の多かった全菌体ワクチン(whole cell vaccine)にかわって無細胞ワクチン(acellular vaccine)が開発された。1981年秋からこの無細胞(精製、とも表現する)百日咳ワクチン(aP)を含むDPT 三種混合ワクチン(DTaP)が導入され、その結果、再びDPT の接種率は向上したようです。しかしここでも問題なのが日本では生後3 ~90カ月(標準的には生後3~12カ月)に3回、及びその12~18カ月後に追加接種されるが、第2期摂取(11才~12才)には百日咳が抜けている→boost効果が得られないことを意味していると思われる(Masterの意見です)確定診断のためには、鼻咽頭からの百日咳菌の分離同定が必要である。培養には、ボルデ・ジャング(Bordet ‐Gengou)培地やCSM (cyclodextrin solid medium )などの特殊培地を要する。菌はカタル期後半に検出され、痙咳期に入ると検出されにくくなるため、実際には菌の分離同定は困難なことが多い。血清診断では百日咳菌凝集素価の測定が行われることが多く、東浜株および山口株を用い、ペア血清(2 週間以上の間隔)で4 倍以上の抗体価上昇があるか、シングル血清で40 倍以上であれば診断価値は高い

松本珍道中 その4

2006年09月11日 | お知らせします
敦子姫の初学会発表は、落ち着いてしっかり発表できていました。座長としては時間ばかり気にしていましたが、しっかり5分ほぼぴったりに終了しました。
すばらしかったです。
さて、今回は珍しく肺癌(5演題)の座長でした。
座長として予習した中のもので2つの論文を紹介します。
Neuro-oncology 8(2):137-44,2006
 これは、Gefitinib(イレッサ)がEGFR(epidermal growth factor receptor)発現のある原発性肺癌であれば脳転移巣にもかなり有効であるというものです。EGFRに関しては以前からイレッサの効果との関連性がみとめられていますが、脳転移巣に焦点を絞って治療効果を調べているのは臨床上貴重です。ちなみに杏林では呼吸器外科の大塚先生が現在基礎研究していますが、そこでTBLBなどの組織でもEGFRを調べてくれます。転移巣にも効果があるのであれば、今後治療前にEGFRの評価を優先して検討すべきかもしれませんね。
続きまして
Lung Cancer 49(2):171-9,2005
 これは、原発性肺癌の扁平上皮癌において空洞性病変のものと非空洞性病変のもので臨床的もしくは生物学的に違いはあるのか?というものです。
腫瘍の組織像、増殖性としてMIB-1,EGFR mutation、そしてpTNMを予後と検討しています。結果として長期生存と関連性があるのは、非空洞性病変のなかでlow pTNM, high MIB-1がみられるものだけであった。つまり空洞性でも非空洞性でも診断時のpTNMが予後に関連性をもつ重要なものとなります。
 我々が臨床で重要なことは、この扁平上皮癌のみならず(腺癌でも)空洞性病変を感染症、もしくは炎症性病変として無闇に経過観察していると病期を進ませてしまい予後を悪化させるということです。空洞性病変の鑑別に肺癌もしっかり検討しましょう。本当に肺癌ではないのか?という眼で写真をみてね。