ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『牛の鈴音』

2010-02-02 12:06:32 | 映画
韓国の山村に住むおじいさんとおばあさんと家畜の老牛。カメラは、その日常と忍び寄る老いを見続ける。

おじいさんは毎日休まず牛車に乗って田んぼへ向かう。牛には鈴が付いていて、歩を進めるたびにチリーン、チリーンと田園風景に響く。これがなんとも哲学的な音。托鉢の僧侶が鳴らしているのに似ている。

ある日、おじいさんは疲労で倒れてしまう。おばあさんは、世話をできないから牛を売れという。最初は抵抗したものの渋々、市場へ向かう。この件の中で、牛が涙を流すシーンがある。もちろん感情を持って泣いているわけではないのだろうけど、その表情が切ない。

牛に名前はない。でも、おじいさんは、老牛のエサまで食べようとする若い牛を棒で払う様子を見ると、そこに深い愛情があることに気づかされる。もちろん、おばあさんも牛を売りたくて売れと言っているのではない。おじいさんの身体をいたわってのことだ。この三者の関係が画面からジワジワ伝わってくる。

インサートされる風景や物もよく考えられていて、ドキュメンタリーのお手本と言うべき作品。

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