名画座パルシネマで「鑑定士と顔のない依頼人」、「ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル」を観てきました。
5月は風邪(気味)が長引いたこともあって、なかなか映画館まで行けませんでした。
ともに、高齢の男性^^が主人公です。
「鑑定士と顔のない依頼人」はゴージャスな調度品、テンポのいいオークション風景、潔癖症でかたくななどこかにいそうな肖像画コレクター。平凡な人間には一生係われそうもない世界が見られました。
それにしても、周到に用意された「詐欺」のシナリオです。
そこまでして、鑑定士バージルを痛めつける理由があったのでしょうか。
理由なんて特にないのかも。
生身の女性を知らない以外は非の打ちどころのない、金持ちのじいさんをからかってみたかったのかもしれません。
テンポのいい面白い映画でした。
「ふたりのアトリエ」はモノクロです。
観たかった「鑑定士と顔のない依頼人」とセットだったので、たまたま観ることになった映画です。
それが思いの外、心に残る映画になりました。
主人公のモデルは彫刻家のマイヨール。
第2次世界大戦末期のフランスが舞台で、スペインとの国境近くのアトリエに老彫刻家とモデルが身を置きます。
創作意欲を失っていた彫刻家に、若いモデルをあてがったのは老妻。演じたのは、そう言われなければ分からなかったクラウディア・カルディナ―レです。
アトリエで塑像が出来上がります。
マイヨールの代表作「地中海」の原型です。
日本国内では岐阜県美術館だけで、そのブロンズ像が見られます。
一緒にいる必要がなくなったモデルは彫刻家が紹介した画家のもとに向かいます。
枯れ木に鳥が群れ止まっているラストシーンに猟銃の音が重なり、鳥が一斉に飛び立ちます。
それをどうとるか、観客の意志にゆだねられます。