自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

ツミデミック(光文社)~一穂ミチ

2024-07-18 | 

『ツミデミック』(光文社)は一穂ミチさんの著作。
昨年の暮れに見た新聞広告のキャッチフレーズは、

稀代のストーリーテラーが放つ
鮮烈なる犯罪小説集、心震える全6話

稀代のストーリーテラーはそのとおりだと思い、鮮烈なる犯罪小説集・・・は
少し違和感あり、でした。

 

原因不明で治療方法が確立されていない感染症、予想もつかない自然災害、格差社会、ネット犯罪・・・、事実は小説よりも奇なり、は言い古された言葉だけれど、実際、最近の「事実」は普通の人間には想像もつかないし、闇は深いと思う。
その事実を小説として数段上に仕上げたのが『ツミデミック』。

読後にそれでこそ人間と、ホッとした感^^があることに救われます。


一穂ミチさんの『ツミデミック』は昨日、第171回直木賞を受賞しました。

 

 

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失くした「言葉」を取り戻すまで(文藝春秋)~清水ちなみ

2024-06-29 | 

清水ちなみという著者名を聞いて、「あ~、あの」と思い浮かぶ人はそう多くないかもしれません。
私は彼女のライターとしての仕事のスタートを知っている年代です。

『週刊文春』の連載コラム「おじさん改造講座」を「そうそう、あるある」と面白がって読んでいました。
もっとも、おじさんネタを拾うOLのほうにだって、困ったちゃんはたくさんいたわけで、昭和のオフィスは実にのどかでした。

 

ちなみ^^に連載開始当時の『週刊文春』編集長は花田紀凱さん。連載は1987年から1997年まで続いたそうです。
また、同誌の名物企画「顔面相似形」も彼女の発案だそう。

ちなみさんはライターとして膨大な量の仕事をし、書籍化され、テレビドラマ化、映画化された作品もあるようですが、私は『週刊文春』以外の仕事に関してはあまりよく知りません。興味の範囲が重ならなかったからでしょう。

その清水ちなみさんの名前を書評で知ったのは最近のことです。

2009年、ちなみさんはくも膜下出血で倒れ、手術で一命は取り留めたものの脳梗塞を発症したのです。
左脳の4分の1が壊死し、失語症になり、手足も不自由になってしまいました。
『言葉』が仕事のツールのライターにとって、どれだけダメージは大きかったことでしょう。

ところが、ちなみさん、ご本人の努力や周りの方、特に旦那さん、子どもたちのサポートで、雑誌連載から本を出版するまでに復活しました。

この本、ただただ苦しい闘病記ではありません。読んでいて面白可笑しい部分も多いのです。
脳梗塞予備軍の私としては、「こうやって乗り越えることができるのだ」と、少し明るい気持ちもわきました。

 

今日(6/29)神宮球場はデーゲーム。阪神・ヤクルト戦は1-6で、阪神敗れました。

 

宝塚歌劇専門チャンネル、タカラヅカ・スカイ・ステージは6月30日まで5日間無料放送中でした。
契約したいのはやまやまですが、野球観戦と両立できません。
今日、宙組・芹香斗亜さんの再開ステージの挨拶を偶然見られました。
今回の事件で、誰もが重苦しい思いでいました。

芹香斗亜さんのトップ就任、宝塚大劇場お披露目公演のチケットをどうにか買えたのに、中止になって見られなかった甥夫婦や私も残念以上の思いです。
その後、どの公演もチケットはすぐ完売です。普通のファンがチケットを手に入れやすいシステムを劇場関係者には作ってほしいです。
(写真はテレビのスカイ・ステージの場面を撮ったものです)

 

 

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80歳、ハッピーに生きる80の言葉 14歳、明日の時間割

2024-06-08 | 

『80歳、ハッピーに生きる80の言葉』(主婦と生活社)~鳥居ユキ と
『14歳、明日の時間割』(小学館)~鈴木るりか
を続けて読みました。年齢に特に意図はなく、たまたまです。


『80歳、ハッピーに生きる80の言葉』は頼もしい人生の先輩本を読むのが好き^^だから手に取りました。




鳥居さんは祖母、母と3代にわたるデザイナー一家に生まれ、19歳でファッションデザイナーとしてデビューという、恵まれた道を歩いてきました。
かといって、何かを創造することは苦しいほどのエネルギーを費やするし、日々の研鑽も必要です。
でも、鳥居さんは1日に1つのハッピーの種を見つけ、楽しみながら仕事をこなして、いまだ現役です。

超セレブな環境にいる鳥居さんと庶民の私の共通点^^がありました。
それは基礎化粧品に資生堂のドルックスの乳液を使っているところ。
このごろは販売店のショーウインドウには並んでいなくて、引き出しにしまわれている廉価品^^です。

 

『14歳、明日の時間割』の鈴木るりかさんは史上初、小学4年、5年、6年と小学館主催の「12歳の文学賞」の大賞を受賞した若い若い小説家です。デビュー作『さよなら、田中さん』も読みましたが、年齢を問わず読める立派な小説でした。


この本の発行は2018年のるりかさん15歳の誕生日。書類の中に埋もれていた書評の切り抜きを見つけ図書館にリクエストしたら、すぐ借りることができました。

中学校の時間割に見立て、国語、家庭科、数学、道徳、昼休み、体育、放課後という7編の短編からなる書き下ろし。道徳なんか特に傑作です。
るりかさんはプロットなど作ることなく、まず書き始めるそうです。


鳥居さんは1943年1月生まれで今年81歳、るりかさんは2003年10月生まれで今年21歳。
ちょうど60歳違いなんですね。

 

今日(6/8)、甲子園はデーゲーム阪神・西武戦でした。相変わらず超満員です。ビジターにかかるレッシャーはいかばかりか。
ビーズリーが完投して、4-1で阪神勝ちました。
夕方から出かける予定でしたが、どうにかヒーローインタビューまでテレビ観戦できました。




 

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青の国、うたの国(ハモニカブックス)~俵万智

2024-06-02 | 

1987年発行の『サラダ記念日』のときから、深くはないけれど途切れることなく、その動静や歌集に接してきた俵万智さん。
この『青の国、うたの国』は宮崎日日新聞に6年半にわたって連載された「海の青通信」をまとめたものです。
毎月1編のエッセイには文頭に1首の歌が置かれています。



サラダ記念日で、和歌ってこんなに自由に作っていいんだと、思った方多かったんじゃないかしら。
思っただけで、作らなかった、いえ作れなかった私ですが、三十一文字に込められたドラマを想像するのは面白かったり、感慨深かったり。

それにしても、東京で生まれた息子さんを土の園庭で走り回らせたいと、幼稚園入園にあわせて両親の住む仙台に越し、東日本大震災後に移動した沖縄石垣島、息子さんの中学進学とともに移り住んだ宮崎、高齢になった両親の近くに住もうと、再度引っ越した仙台。
生き方、暮らし方がとっても自由です。

これからどんな歌を読ませてくれるんでしょう。チラッとご自分の老いも詠んだり・・・するかな?

 

今日(6/2)ZOZOマリンスタジアムでの阪神・ロッテ戦。昨日、一昨日のサヨナラ負けを思い起こしそうな展開でしたが、阪神・才木投手持ちこたえてくれました。1-0で阪神隅(スミ)1で勝ちました。

 

 

 

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私労働小説 ザ・シット・ジョブ(KADOKAWA)~ブレイディみかこ

2024-05-30 | 

『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』以来、私の推し作家のブレイディみかこさん。
彼女のおかげでイギリスの、ある一面を知りました。

『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』は昨年上梓された本。
あとがきで、わざわざ「小説」という言葉をタイトルに入れたのはこの本はノンフィクションではないし、自伝でもない」と作者は強調しています。

 

ただ、福岡市生まれの彼女がイギリスにわたり、いろいろな経験を積みながら、イギリス人と結婚し子どもをもち、ライターとなった経歴が色濃く作品に反映されています。

シット・ジョブとは「シット(くそ)みたいな時給しかもらえないのに、シットみたいにきつくて、シットみたいに扱われる仕事」だとか。
日本ではそのような仕事に就くことをそれほど卑下しないし、させたり、見ているほうも見下したりしていないと私は思っている。

あとがきの最後で、彼女も「ザ・シット・ジョブ」は過去の言葉になると記しています。

 

今夜(5/30)、甲子園の阪神・日ハム戦は、阪神、数少ないチャンスに、タイムリーが出る雰囲気はまったくなく、予定どおり負けました。といった体たらくでした。
0-6で阪神完敗です。
日ハム山崎投手、打席に立たないパ・リーグ投手なのに、打順6番でタイムリーも打ちました。

 

 

 

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コラージュ川柳

2024-05-28 | 

言葉好き、文字好きの私として、恥ずかしながらコラージュ川柳というジャンルがあるのを知りませんでした。

2週間ほど前、新聞の書評で知ってやってみました。

ここ数日の新聞の見出しや、広告から5文字、7文字の言葉を拾ってみたのはいいけれど・・・。
現代芸術家・淀川テクニックさん作の「オバチャンが ヤマタノオロチの ダシを取る」のように、突拍子もなくおもしろい作品はできませんでした。
根が真面目なもんで。


★ダルビッシュ 着物姿で バイオリン

★蓮舫氏 コンドロイチン 初土俵
 さ~て、軍配はどちらに上がるでしょう。

★メタ幹部 しぼみ続ける 幸福度
 便利な小箱が不幸の元になりかねないご時世です。

★プーチン氏 支援計画 加美乃素
 もう争いから手を引いてください。

★自己負担 けど面白い ストレッチ
 けど面白いを、もっとうまく使いたかった。

★大の里 コントライブで 吹き飛ばす
 大の里関いい師匠の下で育てられましたね。

★生まれつき シミに効きます おみそ汁

 

NHK朝ドラ「虎に翼」先週金曜日の出征する優三さんを見送る場面は伊藤沙莉さん、仲野太賀さんの演技素晴らしかったですね。
ところが、翌土曜日の「土スタ」の生放送で、太賀さん、髪の毛ツーブロックにカットして出てきたんです。
「はて? もう朝ドラに出ないんだろうか?」と思った人多いんじゃないかしら?

あの戦死の知らせは間違いで、ある日ひょっこり帰ってきてほしいのだけれど、寅子のモデルになった三淵嘉子さんは再婚しているしね。戦争は絶対ダメです。

 

 

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大ピンチずかん(小学館)~鈴木のりたけ

2024-05-21 | 

以前、NHKのあさイチで紹介されていた絵本『大ピンチずかん』が図書館にあったので借りてきました。
ピンチは子どもが大人になっていくためのテストのようなものだね。

飲み物や食べ物をこぼしちゃったり、トイレの紙がなかったり、お風呂に入ろうと思ったらお湯が入ってなかったり、傘持ってないのに雨が降ってきたり・・・。
解決する道を自分で見つけられたら自信がつくね。

大人の道をもうずいぶん長く歩いてきたおばちゃんがこのごろつくづく思うのは、これまでできていたことができなくなることがあるっていうこと。

この間も、ご飯を食べ終わって歯を磨こうとして鏡を見たら、Tシャツの前が、何かの汁で汚れていたのよ。
食事のときに、よだれ掛けが必要になるのも近いかもね。

こどものための『大ピンチずかん』は高齢者のための注意図鑑でもあるかな。

 

今夜(5/21)、マツダスタジアムでの阪神・広島戦は阪神・村上投手が序盤につかまって2-6で阪神負けました。巨人に3連勝した広島強いです。

 

 

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71歳、74歳夫と97歳義母と大人だけで楽しく暮らす(ワニブックス)~もののはずみ

2024-05-14 | 

71歳、・・・、最近書評で高齢者ものが出ると、つい図書館にリクエストを入れてしまいます。
この『71歳、74歳夫と97歳義母と大人だけで楽しく暮らす』もそのうちの1冊。

タイトルだけ見たら、高齢者3人で年金で、つましく暮らす生活譚と思われそうですが、なんのなんの、本当に楽しく豊かに暮らしているのです。
もっとも、単なる節約話という本の紹介だったら、食指は伸びなかったでしょう。

著者はハンドルネームもののはずみさん、チャンネル登録数7万を超える人気ユーチューバーです。
(この本に記載されているアドレスでは辿れませんでした。あえてリンクは貼りませんでしたがすぐヒットできます)

動画撮影時間を含む日々のルーティーン、食事づくりとレシピ、室内のレイアウトや収納の工夫、ファッション、これからの生き方、同世代として大いに見習いたい日々です。

もののはずみ家にはもう1人同居人がいて、それは40代で未婚の息子さんなのですが、彼の存在も高齢者3人を物心両面で支えているのでしょうね。

 

今夜(5/14)、豊橋市民球場での阪神・中日戦はまたもや好投の先発村上頌樹投手を援護できず、阪神2-4で逆転負けです。
阪神・佐藤、ボールにバットが当たらない、グラブにボールが入らない、1塁にいい球を投げられない、眼がよく見えていないんじゃないかしら。

 

 

 

 

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東京都同情塔(新潮社)~九段理江

2024-04-24 | 

漢字が多くて文章が硬い、テーマが重くて、難しいなんていう先入観で、私は読むことが少なくなった芥川賞受賞作。
この『東京都同情塔』は第170回の芥川賞受賞作です。たまたま近くの図書館で早めに読めることになったのと、九段理江さんが会見で「全体の5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」と発表したのに興味を持ったからでした。



実際は主人公の問いにAIが答える場面に、適宜改変を加え、単行本の1ページにも満たない使用量だったそうで、5%ほど使ったは少し「盛り過ぎ発言」だったようです。


東京オリンピックは2020年にザハ・ハディド設計のままに建設された新国立競技場で敢行されたことになっていて、東京都同情塔は新しい形の犯罪者収容施設(刑務所)でその10年後に建てられたという設定です。

近未来小説ということですが、さほど未来感はありません。10年前の小説が古めかしいと感じないのといっしょですね。

九段さんは1冊の物語を書くときに、資料を100冊ほどは読むそうです。
東京都同情塔の少し前に執筆した『しをかくうま』は200冊ほど資料を読んだそう。

生成AI小説家^^はあっという間に資料を集め、分析するでしょうが、ベストセラー作家になるのは難しいでしょうね。

 

今夜(4/24)、横浜スタジアムでの阪神・DeNA戦は試合開始から終了まで中断をはさんでずっと雨が降っていました。阪神の敗戦を覚悟した9回表、山崎を攻略して、驚異の粘りを見せ、5-3で阪神が勝ちました。

 

 

 

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思い出の屑籠(中央公論新社)~佐藤愛子

2024-04-05 | 

昨年11月に100歳になった佐藤愛子さん。
この『思い出の屑籠』は婦人公論の2022年9月号~2023年10月号に連載されたエッセーを書籍化したものです。



99歳で書き上げた文章の巧みなことと言ったら・・・。
って、後期高齢者になりたての私がこんな上から目線で言っていいものでしょうか?

まあフツーの99歳だったら、少なくとも私がそこまで生きていたとしたら鉛筆持つのすらおぼつかないでしょう。
兵庫県鳴尾村(現・西宮市)で幼い時を過ごした記憶がそこはかとないユーモアをはらんで綴られています。
愛子さんのことが大好きな父親(小説家・佐藤紅緑氏)とのやり取りや母親とのかかわり、妙に落ち着いたお姉ちゃん、いまや死語であるばあやねえやとの暮らし。

恐るべき記憶力や人間観察力が作家・佐藤愛子の原点になったと編集者は語ります。

子どものころの思い出がそのままユーモア小説になったようでした。

 

今夜(4/5)神宮での阪神・ヤクルト戦、延長10回、佐藤のソロホームランで決着。
阪神7-6で勝ちました。ホッ、よかった~。

 

 

 

 

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