落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ルール

2008年12月01日 | diary
旅行のネタの続き(旅のメモ)。

今回いっしょに旅行した3人は3人ともアジア方面は初体験。とはいえぐりも3年ほど前にシンガポール・香港・中国をまわったことが一度あるきりである。ただそれだけでも免疫があるのとないのとではそれなりに違う。
たとえば香港でも中国でも韓国でも、日本人と比べるとアジアの人たちはたいてい話し声の音量がかなり大きいし、喋り方に勢いがある。慣れない人だとやかましく感じるし、場合によっては喧嘩腰に聞こえることもある。それに加えて香港の女性は化粧気も愛想もないので、買物をしたり食事をしたりしていて店員の態度が妙に粗忽に見えることもある。電車の中ではみんな平気で携帯電話を使うし、興味を惹くものがあれば無遠慮にじっと見つめたり指を指したり笑ったり平気でする。飲食店は常に激混みで料理が出てくるのはひどく遅いし、わからないことがあって訊ねても親切に教えてくれる人はほとんどいない。一通りいいたいことだけいってほったらかし。
日本から行くと香港人の容貌が日本人とよく似ていることもあって、「なぜこの人たちはこんなに無礼なんだろう」「どうしてもっと効率を考えないんだろう」という違和感を感じる人もいるだろう。

でも正直な話、ぐりは最初にアジアを旅行した時も今回も、全然まったく違和感を感じなかった。同行者がそういう話をしているのを聞いて初めて、「ああそう感じる人もいるんだな」と思ったくらいである。
ぐりはどこへ旅行してもわりとなんでも「ここはこういうところなのかもしれない」と思って受け流してしまうところがあるのだが(もしかしたらそういう受け止め方は間違っているのかもしれないが、今までそれで真剣に困ったことはとりあえずない)、とくにアジアを旅行していると逆に日本社会の特異性を如実に感じることの方が多い。日本人の話し方は穏やかではあるが抑揚がなくて念仏みたいだともいわれるし、日本人は意味がなくてもとりあえずにこにこしてすぐ「すみません」という。誰に見せるためなのか若者は猫も杓子も目いっぱいつっぱらかってオシャレに精を出しているし、電車の中はいつも妙な緊迫感と静寂に包まれている。見知らぬ誰かに注視されることはないけど、自らも注視してはいけないという暗黙の了解も守らなくてはならない。飲食店で必要以上に待たされることはまずないが、逆に食事を追いたてられているように感じる店もある。
どちらが良いとか悪いとかいう問題ではなくて、日本には日本の風土とルールがあるし、香港には香港の、マカオにはマカオの風土とルールがある。道行く人の顔立ちが似てたって外国は外国である。日本人共通のホスピタリティは確かに素晴らしい国民性だといえるかもしれないが、世界的にも高い水準の物価を思えばきっとそれはタダで提供されているわけじゃない。その代り、マカオでは絶品のお粥が$18(約¥220)で食べられるし、香港ではフレッシュなフルーツたっぷりのデザートが$33(約¥400)で堪能できる。ものには何でも適した対価というものがあるのだ。礼儀がタダじゃなくたっていいじゃないか。

でももしかしたらぐりがこんな風に思うのは関西人だからかもしれない。
今回現地で会った友人は関西出身なのだが、香港在住の日本人には関西人が多いそうだ。香港人のメンタリティと関西人のメンタリティには共通するところが結構あるらしい。へー。
まあ確かに香港のおばちゃんと大阪のおばちゃんは似てるかもしれない。なんて関西離れて20年近く、ほとんどイメージだけでいっちゃってますけど。ははははは。
あるいはもしかしたら、ぐりが日本生まれの移民の子で、いつでもどこでも常にそこはかとない「よそ者感」を抱えて暮らしているからかもしれない。
つってもこれだけは比較対象がないからほんとうのところはよくわからないけどね。


中國冰室のフレンチトーストと鴛鴦茶。カップのデザインが可愛い。
マカオでもフレンチトーストを食べたんだけど、彼の地のフレンチトーストのレシピはどーも日本で一般的な「ミルクと砂糖を加えた卵液に食パンを浸してバターで焼く」というレシピとは違うらしい。卵液を表面だけにからめてあってパンの中には浸みてなくて、見た目は厚揚げそっくり。食感は揚げた食パンという感じ。しかも若干冷め気味。これはこれでおいしいけど、なんか釈然としない気分も拭えませんでしたー。
ところで中國冰室ではナイフやフォークはあったかいお茶の入ったタンブラーにつっこんで出てくる。なぜお茶?なぜあたたかい?謎。