落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

みやこにて

2007年08月15日 | movie
『いちげんさん ICHIGENSAN』
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元テレ朝の報道記者デビット・ゾペティの同名小説の映画化作品。
けっこーボロにいう人いるけど、ぐりはふつうにおもしろかったです。まあ、傑作じゃないけどね、でもみれないってほどではないよ。原作がいいのかもしれないけど(爆)。
ロバート(エドワード・アタートン)は京都の大学で文学を学ぶ留学生。ある日、視力障害者のための「対面朗読」というボランティアで京子(鈴木保奈美)という聡明な美女と知りあう。京都の町でいつでも“外国人”として疎外感を味わわされることにうんざりしていたロバートと、大学を出て仕事もせず将来を考えあぐねていた京子は惹かれあい、恋に堕ちる。だが、やがて彼らにもそれぞれ卒業と自立という人生の岐路が訪れる。
つまりこのふたりの主人公はちょうど、人生のモラトリアムに出会ったわけだ。ガイジンの彼氏と、目のみえない彼女。どちらも常に周りから浮き上がっていることにいらだちを感じている。イヤでも仲良くなるわな。そういう意味では非常に自然なラブストーリーだ。
盛り上がりに欠けるという人もいるかもしれないけど、これはこれでぐりは好きです。キライじゃない。大体、恋愛なんて始まりがあれば必ず終わりがある。みんながいちいち泣いたりわめいたりせにゃいかんという決まりはどこにもない。

日本映画でスタッフも出演者もほとんどが日本人だけど、撮影監督がピーター・ボロッシュという、オーストラリアの人なのかな?この人は?だからウマイこと「外国人の目からみた日本」を綺麗に表現した映像になっている。それもみょーに奇を衒った風ではなくて、ごく素直に、ストレートに、そんな風にみえるんだろーなー、という見え方で、でもナニゲに微妙に新鮮な感じ。
エドワード・アタートンの全編日本語の演技はもう圧巻です。訛りはあるけど聞き取りづらいところはほとんどなくてホントに上手い。長淵剛の「とんぼ」の熱唱も上手い(笑)。ひとりぼっちで、孤独なのは京都という町のせいなのか、自分が外国人だからなのか、それとも自分自身の問題なのかと迷う心細そうな人物造形がものすごくリアル。留学生にしてはトシ食いすぎってのはご愛嬌か。
鈴木保奈美はねえ、この人はもう、セリフが棒読みってのが致命的だよね。毎度のことだけど。女優としては充分に魅力的だしセンスも悪くないはずだけど、なぜかセリフ回しだけが毎度ヤヴァい。こんなに一生懸命やってたのにね。もう引退しちゃって随分経ちますが。
あと出演者では中田喜子と蟹江敬三がすごいよかったです。

外国人からみた日本をテーマにした恋愛映画としては、淡々としてて押しつけがましさもなくて、誰にでも観やすい作品だと思います。確かに地味ではあるけどね。
ただ、もっと頑張れば文芸映画としてもっといい映画にもなれそうな余地は多少感じるので、そこはやっぱり惜しいとは思います。