ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

空の産業革命・ドローン(1)            

2015-06-07 | Weblog
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 今回も寄稿しました。タイトルは「空の産業革命」。マガジンでは全文一括掲載ですが、ここではドローンについて4分割連載します。ご笑覧くださればうれしいです。

 
○ドローンによる事故と事件

 無人の小型飛行機「ドローン」の評判が、善悪ともにすごい。今年1月にはホワイトハウスの庭に、マルチコプターのドローンが墜ちて来た。当初はテロ攻撃と判断され、大統領警護のシークレットサービスには緊張が走った。
 そして4月には、東京の首相官邸屋上で壊れたドローンが発見された。いつからその場所に落下していたのか不明だった。ホワイトハウスの経験を、日本の警備陣は活かせなかった。テロに対していかに無防備か、国民は情けないほど知らされた。
 ドローンによる事件や事故は、日本だけでも年間数百件にのぼるという。爆発的な普及と相まって、その件数は飛躍的に増大しそうだ。
 この2年間ほどの間に、世界で起きた事件事故をいくらかピックアップしてみた。

2013年10月 ニューヨークのビルのバルコニーから飛ばしたドローンが、グランドセントラル駅に向かって歩いていた歩行者の脚元に墜落した。

2013年12月 アメリカでアマゾンの配達用ドローン「アマゾン・プライムエアー」が発表された。この日、ほとんどのひとが「アマゾンは何を考えているのか? 季節はずれのエイプリルフールだな」などと、アマゾンの新構想を理解できず、馬鹿にし笑っていた。しかし1年半ほどたったいま、笑うひとはひとりもいないであろう。ドローンにとって最高の事件のひとつはこの発表だったのかもしれない。


2014年4月 オーストラリアのトライアスロン競技中、ドローンが落下し選手の頭部を直撃した。

2014年4月 名古屋オアシス21テレビ塔周辺の夜景を空撮していたドローンが墜落。コウモリにぶつかったためとみられる。幸い負傷者は出なかったが、繁華街上空でしかも夜間飛行というのは危険きわまりない。しかし鋭敏なはずのコウモリのレーダーは不調だったのだろうか。

2014年7月 英ヒースロー空港付近の高度210米あたりで、ドローンと民間エアバス機が異常接近した。

2014年7月 ニューヨークでヘリコプターにドローンが接近し大事故も起こりえた。操縦者らふたりが逮捕された。

2014年8月 米ワイオミングのイエローストン国立公園内で、旅行者がドローンを飛ばして事故を起こした。米国の国立公園内では無許可のドローン飛行が禁止されている。

2014年11月 神奈川県で開催された湘南国際マラソンのコース付近で空撮用のドローン(重量4キロ)が落下。近くにいた女性スタッフが顔に傷を負った。協賛会社のプロモーション映像の撮影中だった。
 翌年の5月、事故を起こした空撮会社「フライトエディット」の担当者と同社が神奈川県警から書類送検された。同社は大会スポンサーの依頼で空撮を実施。しかし近くで別の会社のドローンも空撮をすると知り、混信のリスクを避けるため周波数の異なる送信機を一時的に使った。電波法を所管する総務省は「上空から電波が出るので遮るものがなく、妨害電波の影響が広範囲に出る可能性があった」。撮影者は5.8ギガヘルツ帯の電波を使用するカメラ画像伝送用の送信機を無許可で取り付けた。総務省によると、ドローンを無線局の不法開設場所とした摘発は全国初である。

2014年12月 英マンチェスターのレストランで、クリスマスのイベントとして店内で飛ばしたドローンが落下し、女性客が軽傷を負った。

2015年1月 酒に酔った米政府の男性職員が、女性に見せるためにドローンを操縦していたところ、コントロールできない状態になり、たまたまホワイトハウスの敷地内に墜落した。大統領警護のシークレットサービスは、テロ攻撃であろうとみなして一時騒然となった。

2015年1月 米国と国境を接するメキシコ北部の町ティアナに、麻薬を積んだ小型無人機が墜落した。6枚プロペラの小型ドローンだが、3キロ近くの合成麻薬が重く、過積載だった。無人機は重量に耐えきれず、アメリカまで届かずに国境直前で、メキシコのスーパー駐車場に落下した。

2015年1月 琉球新報社写真映像部の記者が空撮用ドローンの訓練中、機体が制御不能になり、敷地外で行方不明になってしまった。

2015年4月 首相官邸屋上で微量の放射線を発するドローンが発見された。威力業務妨害で福井県の男性が逮捕された。犯人は「デモ以上、テロ未満の方法を選んだ」と話している。
 官邸は警備を怠っていなかったというが、ホワイトハウス事件の直後に、ドローンによるテロを想定した万全の対策をなぜ取らなかったのか。いつ飛来したかも特定できないまま屋上に上がった警備員が偶然発見した、では能天気のそしりを免れまい。危機管理の司令塔であるはずの首相官邸がテロに無防備だった事態はまさに「日本として恥ずかしい」と二階俊博自民党総務会長は語っている。なお屋上ドローンの発見は、落下日のおよそ二週間後だった。

2015年4月 テレビ局「TOKYO MX」東京メトロポリタンテレビジョンの番組スタッフが資料撮影用に飛ばしたドローンが、誤って近くの英国大使館に墜落した。

2015年5月 長野県の善光寺で15歳少年が飛ばしたドローンが行列に落下。7年に一度の御開帳法要で9日のこの日、たくさんの参詣人が集まっていた。混雑するなか怪我人の出なかったのが不思議なほどだ。一週間ほど後、同じ少年が14日15日、東京の浅草神社や国会議事堂付近でドローンを飛ばそうとしたとして警視庁に保護された。
 それから一週間ほど後の21日、浅草の三社祭の運営を妨げたとして、この横浜市の無職15歳少年は警視庁に威力業務妨害で逮捕された。150万人もが集まる三社祭の主催者や警備陣に会場警戒を強化させ、ドローンの飛行禁止の貼り紙などを急きょ作らせたりして、運営を妨害した疑い。少年は今月、姫路城や京都の東本願寺なども空撮していたようだ。
<2015年6月7日>
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