ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

小泉純一郎と図書館・美術館(1)

2014-03-15 | Weblog
 季刊Eマガジン「Lapiz」(ラピス)に図書館についての原稿を以前に寄稿し、このブログに転載紹介したことがあります。そして3月1日発行最新号でも、前回に続き図書館についての記事を掲載していただきました。タイトル「小泉純一郎と図書館・美術館」。同誌の了解を得て、数回にわけてまたもや転載いたします。「Lapiz」はなかなか読みごたえのあるビジュアル雑誌。MAGASTOREで有料300円ですが、試し読みもできます。ご一読ください。
http://www.magastore.jp/product/17481
http://www.magastore.jp/search/?q=lapiz&field=all
以下本文第1回。


<元総理の置き土産>

 下馬評通り、都知事選は舛添要一元厚労相が圧勝した。小泉純一郎とタグを組んだ細川護煕両元首相チームは惨敗してしまった。彼らふたりの作戦は「ワンイシュー」。原発ゼロだったが、同じ方針の宇都宮健児氏の得票にも及ばなかった。
小泉氏はかつて2005年夏の総選挙で大勝した。郵政選挙だが、彼は民営化を単一争点に得意のワンイシュー戦略をとった。
 彼のワンフレーズは「民営化」であったが、官から民への「指定管理者制度」も置き土産である。郵政選挙の2年前にはじまった新制度だが、10年以上が経過したいまも、この制度を導入した図書館や美術館などには問題が山積している。
 指定管理者制度とは地方自治体の施設(図書館や博物館、音楽やスポーツ施設など)の管理運営を民間に代行させる制度。2003年の小泉改革による地方自治法の改正からスタートした。

<武雄市と伊万里市>

 九州でもっとも注目されている図書館は、佐賀県の二館であろう。武雄市図書館と伊万里市市民図書館。ともに市民の利用頻度と評価が高い。市外県外からの視察者も絶えず、地元観光産業の重要ポイントにもなっているというから驚きだ。地方の市立図書館がである。
 両館については当誌「Lapiz」前号で三室勇氏が詳報された。興味ある方はぜひご覧いただきたい。彼から直接聞いた話では「伊万里は市民の力を結集してつくり、また職員と市民が日々協力しながら運営している市民密着型図書館。指定管理者制度には当然ですが反対している。一方の武雄市はユニークで、新鮮な印象を与えるサプライズ型図書館。この館は指定管理者制度を導入しているが、どうも人出不足のよう。利用者のちょっとした問い合わせにも応じる余裕がない。民間の運営だけにコスト意識が高いようだ」
 武雄市図書館の20名近い職員は館長以下全員が、民間のCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)と5年間の雇用契約を結んでいる。CCCはTUTAYAの屋号でレンタルDVD、書店、Tポイントなどを営む会社である。
 図書館では武雄市唯一のスターバックスで飲食しながら座り読みができ、蔦屋書店で新刊書籍や雑誌などを購入できる。買いたい本の精算レジは、図書館本の貸し出しと共用の自動貸出機。図書館利用者はTポイントカードを図書貸し出しカードとして利用できる。革命を起こした、という評価も受ける武雄市図書館だが、毀誉褒貶にさらされている日本一注目度の高い公立図書館でもあろう。
 現時点でいくらユニークで斬新であっても、まったく新しく意表を突く驚きの図書館がこれからも全国各地に誕生するであろう。武雄市詣でもその内に落ちつく。この館への評価は本来は市民が下すものであるべきだが、脚光が冷めブームの過ぎた時点から評価はやっと定まるのではないか。当然だが、指定管理者制度も含めてであることはいうまでもない。
<2014年3月15日 続く>
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