ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

毎日が土曜日♪

2013-07-10 | Weblog
 関東から旧友がやって来ました。彼はこの六月に定年退職したばかり。いまは毎日が日曜日かと思いきや、「毎日が土曜日ですよ。今日が日曜日だと翌日は月曜で会社。明日も休日ですから本日は土曜日です」。会ったのは一昨日の月曜日でした。
 完全週休二日制が広まる前に『毎日が日曜日』という言葉が定着したのでしょうね。城山三郎著の同名小説があります。1976年刊ですがアマゾンの『毎日が日曜日』紹介文を引用します。
 「日本経済の牽引車か、“諸悪の根源"か。毀誉褒貶の著しい日本の総合商社の巨大な組織とダイナミックな機能、日本的体質と活動のすべてを商社マンとその家族の日常生活とともに圧倒的な現実感で描く。世界に類のない機動力を持った日本の総合商社の企業活動の裏側で展開されるなまなましい人間ドラマを通して、ビジネスマンにとっての“幸福な人生"とは何かを興味深く追求した話題作。」

 友人の泊っているホテルで朝待ち合わせ、市内を案内しました。行先は客人の希望する所ばかりですが、まず壬生寺の東向かいの根付美術館「清宗根付館」(せいしゅうねつけかん)。建物は京都では珍しい武家屋敷。ユニークな美術館です。わたしも初めての訪問でした。
 ところで根付ですが、ご存じない方も多いのではないか。現代ではケータイのストラップのような物でしょう。流行したのは江戸時代で、一品一品手作りの小さなアートです。パンフレットには「象牙、木、鹿の角、陶磁器、金属や漆を素材として、日本人独特の器用さで精巧な彫刻が施されています」。観覧中の半時間余りの間、訪れた客はわたしたちふたりだけ。あまり知られていない静かなアートスポットですが、作品も屋敷もすばらしい。

 館を出てすぐ北斜め向かいが、新撰組壬生屯所だった八木邸です。すごいのがここのガイドのおじさん。詳しい説明がユーモアたっぷりで実に楽しい。わたしたちが座り込んで話を聞いているその座敷で、芹沢鴨らが暗殺された。「そうです。この部屋です。あなたのその位置に泥酔した芹沢鴨が寝ており、横は愛人のお梅さん。屏風越しでそこのあなたの位置に平山五郎と彼の愛人吉栄が臥せていました。みな布団の上から刀で何度も何度も突き刺されたのです。床も壁も天井も、この部屋は血みどろになりました。隣室の鴨居に刀傷が残っていますね。逃げようとした芹沢を切りつけた時の跡です。触らないでくださいね。触れないでと言うとみなさん触ろうとします。触らないでくださいね」。すごいスーパー歴史ガイドさんです。おすすめの幕末スポットですよ。

 そして新京極「スタンド」での昼食後に向かったのが、東山の「ねねの寺」として有名な高台寺。客人がここを希望した理由は、タダ券を偶然もらったからだそうです。久しぶりに訪れましたが、傾斜地の広い庭を整備中で、木々が大きく育つころにはすばらしい庭園になりそうです。ここのガイドさんは処々に点々と配された女性陣。マニュアル解説ぽいのですが、それでも質問に対していい答えが返ってきます。やはりみなさんプロ集団ですね。しかし広い境内の散策は猛烈に暑かった。
 高台寺を出ると掌美術館のある一角、「京・洛市ねね」の域中の小さなお店「てんこく屋空空」。はじめて行ったハンコのお店ですが、ご主人がすごい。篆刻作家の中川古啓さんです。このお店が彼の工房でもあるのですが、漢字、書、篆刻などについて延々と、ユーモアたっぷりに話してくださる。わたしたちはたちまち彼のファンになってしまいました。
 中川さんはホームページを開いておられ、漢字を語るブログがすばらしい。最近の記述は七夕や祇園祭から祭字など。わたしのブログなど足元にも及びません。おすすめします。
 http://tenkokuya-kuku.cocolog-nifty.com/blog/
<2013年7月10日 友は当日夜、木屋町「きみや」で会食の後に新幹線で帰りましたが、次回はまたまたローカルな京スポットをふたりで開拓することになりました>
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