わが家のテレビは、いまだに古いブラウン管です。画面はそこそこの大きさですが、後ろは異常に長い。スクリーンはちらちらし、隅はいつからか赤っぽい。
地デジの期限が近づいている。家族は「どこに行っても、液晶テレビしか近ごろ見たことがない。一体いつになったら新しいテレビに買いかえるの? 当然、ブルーレイ内臓の大画面高品質TV・DVD録画再生機種を希望しますが!」
わたしはTVをあまり見ません。ニュースを除けば、せいぜい週に1時間くらいでしょうか。スイッチをオンにしていても、BGMのように利用しています。部屋が無音なのもさびしいからです。
五郎は反論しました。「別にテレビなどなくても困らないでしょう。地デジ革命を機会にTVは捨てましょう」
家族から、総スカンを喰らいました。テレビにそれほど執着するのはなぜか? しかし家計のいくらかを担うわたしとしては、液晶TVを買わねばコケンにかかわる。ただでさえ低い家庭内位置が、さらに凋落してしまう。
車を運転していてラジオを聞いていたら、TV通販で有名な「ジャパネットたかた」のCMが流れました。「ソニーの液晶32インチ、60時間録画テレビが、わずかたったの○○○円。月賦でも無金利! お申し込みは、0120……」。自宅に電話しました。「これを買ってもいい?」
このTV事件をきっかけに、通信販売の業界が気になりだしました。少し古い記載ですが「週刊ダイヤモンド」2009年11月28日号「特集 通販&ネット販売の魔力」が参考になりました。古い雑誌は入手が困難ですが、京都市の図書館は、雑誌のバックナンバーをかなり所蔵しておられる。検索で見つけ予約したら、数日後に読むことができました。アナログとデジタルの融合した公共図書館のサービスはありがたい。ちかごろでは雑誌旧号取り寄せで「日経ビジネス」「東洋経済」「思想」などでも、お世話になりました。感謝です。
さて、通販業界の年間売上は、9兆円に近づいています。ショッピングモールが主の「楽天」の流通総額は7000億円(売上2500億円)を超え、「アマゾン」売上も2500億円超で本の売り上げはその半分ほどという。また同じくモール型ネット通販の「ヤフーショッピング」はオークションに強い。この3社を「ネット通販3強」というそうです。
通販大手はほかに、「千趣会」「ニッセン」「ジャパネットたかた」などなど。なかでもネット通販に力を入れている会社の伸びが著しい。ネット通販の伸びはこの数年、毎年20%のアップです。
ところで電子書籍・Eブックですが、本格的な普及のためには、携帯電話スマートフォンよりも、タブレットPAD・板型携帯端末の飛躍的な拡充が不可欠です。この端末の呼称はまだ定まっていませんが、わたしは「E板」<Eバン>と呼びます。
キンドルもアイパッドもブックリーダーも、日本国内で持つひとはあまりにも少ない。電子書籍・Eブックを、出版社や著者などがわざわざ苦心して作成しても、たいていのひとが読む端末は、携帯電話のスマートフォンか旧来のPCか、どちらかである。
どうすれば一気に端末を普及させることができるか? わたしはふたつの方法を思います。まずひとつは、通販会社が携帯型機械「Eバン」を無料でばらまくことです。ゼロ円携帯と同じ考え方です。端末1台が一万円を切るくらいになれば、通販会社がメーカーと交渉して安値で買い取る。それを消費者にタダで配るのである。無料・フリーの戦略です。端末が普及すれば、いま日本で不足している、Eブックのコンテンツ提供も、すぐに激増することでしょう。
ただEバンのプレゼントには条件があります。スイッチをオンにすると、「お早うございます(午後にはこんにちは)、片瀬五郎さん。ジャパネットのタカタです。いつもありがとうございます。今日もごきげんよう…」
うれしいですね。律儀に音声か文字で挨拶があり、コミュニケーションしてくださる。何もジャパネットでなくとも、ほかの通販会社でもいいのですが。
そして画面にタッチすると、「前に購入いただいたソニーの液晶テレビ、ありがとうございます。写りや操作に問題はございませんか? さて本日は、同じくソニーの画期的な新製品、グーグルTVのお知らせです」。TVというよりも、PCの巨大画面として、ネットサーフィン、作文、動画、そして読書など、老眼にやさしい高齢化社会にドンピシャリのテレビです。つい、購入ボタンを押してしまうかもしれませんね。
NTTドコモは通販中堅会社のオークローンマーケティング(年商400億円)を買収しました。51%の株式を取得するために支払った額は310億円。この買い取り価格は、通販大手の千趣会(年売上1500億円)やニッセン(1400億円)の時価総額をはるかに上回っています。当然ですが、通販業界には激震が走ったそうです。
電子書籍の普及は、通販各社の戦略下で進むのかもしれません。携帯スマートフォンは順調に伸びています。しかし画面の小さく、高年弱視者には使えない。タブレットPC・Eバンの無料化が、Eブックの世界を変えそうに思います。
それともうひとつは、いま検討されている電子教科書です。小中高校生に無料でE教科書を配布しようという計画が進んでいます。授業は紙の検定教科書を廃止し、Eバンに切り替えることが検討されています。総務省やソフトバンクなどが着々と準備中という。ハードの費用は、子ども手当から充当です。
もしもこの計画が実現すれば、どうなるでしょう? 国内の子ども数は、少子化とはいえかなりの人口です。毎日、携帯板PC・Eバンに少年少女がかじりつく。紙本は忘れ去られ、読書や学習はEバン<板>で読むものと、若者のあいだに進化定着してしまいます。ネット通販とデジタル教科書によって、紙の本は彼方に押しやられてしまいそうです。
<2010年10月30日>
地デジの期限が近づいている。家族は「どこに行っても、液晶テレビしか近ごろ見たことがない。一体いつになったら新しいテレビに買いかえるの? 当然、ブルーレイ内臓の大画面高品質TV・DVD録画再生機種を希望しますが!」
わたしはTVをあまり見ません。ニュースを除けば、せいぜい週に1時間くらいでしょうか。スイッチをオンにしていても、BGMのように利用しています。部屋が無音なのもさびしいからです。
五郎は反論しました。「別にテレビなどなくても困らないでしょう。地デジ革命を機会にTVは捨てましょう」
家族から、総スカンを喰らいました。テレビにそれほど執着するのはなぜか? しかし家計のいくらかを担うわたしとしては、液晶TVを買わねばコケンにかかわる。ただでさえ低い家庭内位置が、さらに凋落してしまう。
車を運転していてラジオを聞いていたら、TV通販で有名な「ジャパネットたかた」のCMが流れました。「ソニーの液晶32インチ、60時間録画テレビが、わずかたったの○○○円。月賦でも無金利! お申し込みは、0120……」。自宅に電話しました。「これを買ってもいい?」
このTV事件をきっかけに、通信販売の業界が気になりだしました。少し古い記載ですが「週刊ダイヤモンド」2009年11月28日号「特集 通販&ネット販売の魔力」が参考になりました。古い雑誌は入手が困難ですが、京都市の図書館は、雑誌のバックナンバーをかなり所蔵しておられる。検索で見つけ予約したら、数日後に読むことができました。アナログとデジタルの融合した公共図書館のサービスはありがたい。ちかごろでは雑誌旧号取り寄せで「日経ビジネス」「東洋経済」「思想」などでも、お世話になりました。感謝です。
さて、通販業界の年間売上は、9兆円に近づいています。ショッピングモールが主の「楽天」の流通総額は7000億円(売上2500億円)を超え、「アマゾン」売上も2500億円超で本の売り上げはその半分ほどという。また同じくモール型ネット通販の「ヤフーショッピング」はオークションに強い。この3社を「ネット通販3強」というそうです。
通販大手はほかに、「千趣会」「ニッセン」「ジャパネットたかた」などなど。なかでもネット通販に力を入れている会社の伸びが著しい。ネット通販の伸びはこの数年、毎年20%のアップです。
ところで電子書籍・Eブックですが、本格的な普及のためには、携帯電話スマートフォンよりも、タブレットPAD・板型携帯端末の飛躍的な拡充が不可欠です。この端末の呼称はまだ定まっていませんが、わたしは「E板」<Eバン>と呼びます。
キンドルもアイパッドもブックリーダーも、日本国内で持つひとはあまりにも少ない。電子書籍・Eブックを、出版社や著者などがわざわざ苦心して作成しても、たいていのひとが読む端末は、携帯電話のスマートフォンか旧来のPCか、どちらかである。
どうすれば一気に端末を普及させることができるか? わたしはふたつの方法を思います。まずひとつは、通販会社が携帯型機械「Eバン」を無料でばらまくことです。ゼロ円携帯と同じ考え方です。端末1台が一万円を切るくらいになれば、通販会社がメーカーと交渉して安値で買い取る。それを消費者にタダで配るのである。無料・フリーの戦略です。端末が普及すれば、いま日本で不足している、Eブックのコンテンツ提供も、すぐに激増することでしょう。
ただEバンのプレゼントには条件があります。スイッチをオンにすると、「お早うございます(午後にはこんにちは)、片瀬五郎さん。ジャパネットのタカタです。いつもありがとうございます。今日もごきげんよう…」
うれしいですね。律儀に音声か文字で挨拶があり、コミュニケーションしてくださる。何もジャパネットでなくとも、ほかの通販会社でもいいのですが。
そして画面にタッチすると、「前に購入いただいたソニーの液晶テレビ、ありがとうございます。写りや操作に問題はございませんか? さて本日は、同じくソニーの画期的な新製品、グーグルTVのお知らせです」。TVというよりも、PCの巨大画面として、ネットサーフィン、作文、動画、そして読書など、老眼にやさしい高齢化社会にドンピシャリのテレビです。つい、購入ボタンを押してしまうかもしれませんね。
NTTドコモは通販中堅会社のオークローンマーケティング(年商400億円)を買収しました。51%の株式を取得するために支払った額は310億円。この買い取り価格は、通販大手の千趣会(年売上1500億円)やニッセン(1400億円)の時価総額をはるかに上回っています。当然ですが、通販業界には激震が走ったそうです。
電子書籍の普及は、通販各社の戦略下で進むのかもしれません。携帯スマートフォンは順調に伸びています。しかし画面の小さく、高年弱視者には使えない。タブレットPC・Eバンの無料化が、Eブックの世界を変えそうに思います。
それともうひとつは、いま検討されている電子教科書です。小中高校生に無料でE教科書を配布しようという計画が進んでいます。授業は紙の検定教科書を廃止し、Eバンに切り替えることが検討されています。総務省やソフトバンクなどが着々と準備中という。ハードの費用は、子ども手当から充当です。
もしもこの計画が実現すれば、どうなるでしょう? 国内の子ども数は、少子化とはいえかなりの人口です。毎日、携帯板PC・Eバンに少年少女がかじりつく。紙本は忘れ去られ、読書や学習はEバン<板>で読むものと、若者のあいだに進化定着してしまいます。ネット通販とデジタル教科書によって、紙の本は彼方に押しやられてしまいそうです。
<2010年10月30日>