映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

笑いのカイブツ

2024年01月08日 | 映画(わ行)

立ち上がる負のオーラ

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「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの同名私小説を原作としています。

人間関係が不得意なツチヤタカユキは、
テレビの大喜利番組にネタを投稿することを生きがいにしています。
毎日気が狂うほどネタを考え続けて6年。
ようやく実力が認められてお笑い劇場の作家見習いになりますが、
あまりにもネタ作りに集中して非常識な行動をとるので、
周囲に理解されず、次第に居場所がなくなってしまいます。

それからしばらくして今度は、ある芸人のラジオ番組にネタを投稿する
「ハガキ職人」として注目を集めるようになり、
その芸人から声をかけられて、上京しますが・・・。

 

「笑い」を追求するツチヤではありますが、当人はクスリとも笑わず、
いつも一人隅っこにいて暗い顔をしてネタを絞り出しているのです。
お笑いへの情熱や努力は人一倍。
しかし、どうにも人間関係が不得意。
せめて人並みの処世術を身につけてさえいれば・・・とは思うものの、
これがツチヤなのだからしようがない。
わかってはいても、本人はそれがまた苦しい・・・。

岡山天音さんは、いうまでもない名バイプレイヤーではありますが、
ここへ来ての主役、終始まとう負のオーラについ引きずり込まれそうになります。
なんて生きづらいのだろう・・・
ただただ、そう思います。

 

息子のことには全く興味がなさそうでいて、
ほんのりとした愛情が垣間見えるお母さん(片岡礼子)、

ただ一人単純にツチヤの頑張りを認めるミカコ(松本穂香)、
自身もダメなヤツながら変なヤツを変なヤツのまま受け入れるピンク(菅田将暉)、

そしてツチヤの才能を認め、なんとか社会に溶け込ませたいと思う西寺(仲野太賀)、

素晴らしい共演陣に囲まれて見応えのある作品となっています。

 

<シネマフロンティアにて>

「笑いのカイブツ」

2023年/日本/116分

監督:滝本憲吾

原作:ツチヤタカユキ

出演:岡山天音、片岡礼子、松本穂香、前田旺志郎、菅田将暉、仲野太賀

 

負のオーラ度★★★★★

満足度★★★★☆

 



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