映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キング・アーサー

2017年06月23日 | 映画(か行)
スタイリッシュ! エネルギッシュ! スピーディー!



* * * * * * * * * *

英国のアーサー王伝説をモチーフとしたストーリー。
と言っても私は、あの岩に突き刺さった剣を引き抜くところしか知らないのですが・・・、
まあ、予備知識はそれで十分かな?



父王と母を殺されるところを目の前で見てしまった少年アーサー。
父の弟、ヴォーデガン(ジュード・ロウ)が魔物と手を結び、
兄を裏切って王位を手に入れたのです。
アーサーはただ一人、城の水路から流れ出てスラム街にたどり着きます。
娼館に拾われ、育てられますが、
荒くれ者の中で揉まれるうちに次第に力をつけ、成長していきます。
アーサーが青年となり、スラムを取りまとめる様になった頃、
ヴォーデガン王は暴君として圧政を繰り広げていましたが、
昔、逃げ出したアーサーの行方が気になってなりません。
彼が自分の地位を脅かすという予感に怯えます。
そこで、王位を次ぐものだけが抜くことができるという、
岩に突き刺さった剣を使ってアーサーを探し出すことにしますが・・・。



重厚な伝記ストーリーを想像していたのですが、
まずは冒頭シーンに度肝を抜かれます。
巨大な象が、城を壊しつつ攻め込んできます。
果敢にも立ち向かおうとする王(アーサーの父)。
いやあ~、すごい迫力でした。


アーサーが城から逃れ出て、スラムで散々な暴力を受けながら成長していくシーンは、
リズミカルでスピーディーな場面転換で語られます。
ぼーっとしていたら、何がなんだかわからなくなってしまいそうだと、
若干緊張してしまいましたが。



アーサーは期待の通り、エクスカリバーの剣をするりと抜き取ってしまうのですが、
しかし、彼が剣を握ると、
あの幼いころに見た父母の死のシーンを見てしまうのです。
あの忌まわしい記憶のパワーは彼を失神させてしまうほど。
アーサーに味方し、ヴォーデガンを倒そうとする魔術師メイジは言います。

「この剣を使いこなすには、過去の記憶をすべて取り戻し、自らに打ち勝つしかない。」

こういう設定がなかなかステキだと思いました。
結局は己との戦いであるということ。
そして、「敵を作るより仲間を作れ」というスローガンもいいですね。



これまでの歴史物のように身分の上下なんか殆ど無い。
何しろ、アーサーはスラムで己の力と才覚でここまでのし上がってきた。
だからこその「円卓の騎士」の誕生なんですね。
衣装などの時代考証もいい加減そうだけれども気にならない。
スタイリッシュ!
エネルギッシュ!
スピーディー!



魔に魅入られたジュード・ロウもよかったな~。
悪役ですが、さすがの貫禄。
そして何より、音楽がまたすごい!! 
何でしょう、そう、粗野でこれまたエネルギッシュ。
もうあと少しで「不快」の域に踏み込む寸前の感じ。
とにかく圧倒されっぱなしでした。
私、この歳で本作はやや選択を間違えたような気がしないでもなかったのですが、
この圧倒的パワーを拒絶しないだけの感性がまだ残っていたことに若干ホッとしました。
変な感想(^_^;)・・・

「キング・アーサー」
2017年/アメリカ/126分
監督:ガイ・リッチー
出演:チャーリー・ハナム、ジュード・ロウ、アストリッド・ベルジェ=フリスベ、シャイモン・フンスー、エイダン・ギレン

圧倒的パワー★★★★★
満足度★★★★☆