映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「天才柳沢教授 孫・華子との生活 Special short short」山下和美

2013年07月17日 | コミックス
柳沢教授と華子の交流をオールカラーで楽しむ

朝日新聞連載版 天才 柳沢教授 孫・華子との生活 Special short short (モーニングKCDX)
山下 和美
講談社


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2012年春、朝日新聞紙上で連載され大好評を博した
”華子と教授”のショートストーリー12編を収録!
連載したものに更に彩色を施して完成した
著者初のオールカラー本です。
連載開始から20数年、時代も日本も変わるけど、柳沢教授は変わらない。
モーニングの大人気連載『天才 柳沢教授の生活』シリーズから新たな一冊。
教授シリーズ入門編としてもオススメですが、もちろんファンの方にも。


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この本、何度か店頭で見かけていましたが、
時々ある「傑作集」だとばかり思っていて、見過ごしておりました。
実は2012年春、朝日新聞に掲載されたもので、
単行本には未収録のもの。
しかもオールカラーという豪華版です。


柳沢本の中でも、私も華子ちゃんが登場するところが大好き。
それというのも、おじいちゃんを尊敬しきっている華子ちゃんが可愛らしく、
けれども真似しようにも全然まねできていない(当然ですが)ところが
又いっそう愛しく感じられるので。
また教授の方は、華子を子供だからとバカにせず、
いつも彼女と正面から向かい合って、
彼女とともに問題に当たろうとします。
実に、オトナの対応とはこういうことを言うのだなあ
・・・と感心してしまうのです。


笑えたのは、教授が美肌パックの実験をしてみるというところ。
もちろん自身が実験台。
蜂蜜、ヨーグルト、小麦粉を顔に塗って、
ラップをして待つこと10分。
なんと見事に教授が「ぷるぷるお肌」に・・・。
うーん、思わず真似してみたくなりました。
華子ちゃんは「こんなのおじいちゃんじゃなーい」と言って、
逃げ出してしまいましたが・・・。


また、華子が生まれる前の写真。
お父さん、お母さんとともに写っていた一匹の犬。
愛犬タローは華子が生まれる前に亡くなってしまったのです。
タローが死んだのは自分が生まれたせいなのでは?という華子に
教授は言います。
「生き物には寿命があっていつか死ぬのです。
それは誰のせいでもありません。
華子のおかげで忘れかけていたタローのことが思い出せて
私はとても嬉しいです。」
その夜、公園でタローと遊んでいる夢を見たという華子ちゃん。
そのシーンが、本作の表紙裏のカットにもなっているのですが・・・、
泣けました。
犬好きとしたら、泣けます、実に。


華子がうまく言葉に出来ない心のなかのぐちゃぐちゃした感情を、
いつも教授はうまく紐解いてくれます。
そんなことは子供の華子だけでなく、
私たちの中にも時々ありそうです。
教授みたいな人が身近にいればいいのに・・・。
そんな風に思いながら、本を閉じました。

満足度★★★★☆