映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ロッキー・ザ・ファイナル

2008年02月26日 | 映画(ら行)
(DVD)
ロッキーの6作目です。
第1作目からは30年を経ているという。
実のところ、この6作目ができると聞いた時には、 あーあ、よせばいいのに、と思いました。
人気にあぐらをかいて、同じような話をだらだらと・・・、というパターンはあまり歓迎できないとおもったので。
それで、この作品については劇場に見に行っていなかったのですが、でも、隠しきれない好奇心、というのもあって、このたび見てみました。
そうすると、これは意外と悪くない。

前半ほとんど、現役引退後老境に入ったロッキーの生活がつづられるのです。
最愛の妻、エイドリアンが無くなっていて、彼は”エイドリアンズ”というレストランのオーナーとなっている。
息子ロバートは独立し寄り付かない。
わびしい一人住まい。
ボクシングの過去の英雄として街の人々は敬意をはらってくれる。
経済的にも不自由なく平和な日々だけれども、何か、心の奥底で燃えるものがあって、時々爆発しそうなのをこらえている感じ・・・。
まさに、老境に入ったスタローン自身の思いなのかもも知れません。
そして今多くの団塊の世代の思いなのかも。
だから、もしかすると若い人は、退屈に思うかもしれません。
私はなんだか妙にロッキーに共感してしまいました。

さて、そんな中、ロッキーは一念発起して、ボクサーのライセンスを再取得。
そこでいきなり、世界チャンピオンとのエキシビション戦をすることになります。
練習を始めれば、なり始めるいつものあのロッキーのテーマ曲!

でも、ここでは勝敗はどうでもいい。
自分が決めた道を、まっしぐらに努力し、戦い抜く。
そういうことに意義があるのだと、それがわかるように映画が作られています。

息子、ロバートが父に明かしたことは、「いつも、周りから父親のことを言われ比べられるので、重荷だった」と。
私は、たいていの父親は、こんなことを言われたらへこむと思うのです。
すまないと謝ってしまうかも。
でも、ロッキーは違いました。
「そんなことをいうのはお前が全力を出し切っていないからだ。
できないことを父親のせいにして、逃げているのだ。
お前ならできる。」と。
ああ、これがいつも前向きなロッキーの言葉なんだなあ、と納得。

30年、同じ役柄を演じられるというのも、なんだか幸せなことなのではないかなあ、と思いました。
年を取るのも悪くは無いか・・・。

2006年/アメリカ/103分
監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、バート・ヤング、ジェラルディン・ヒューズ