燃えてる女房

2000年02月23日 | 家族

 今、女房は3月にあるフラメンコの公演に燃えている。
 この前なんか、公演に着る衣装を家に持ってきてそれを着て踊っ
ていた。しかたないので私はデジカメで撮ってやり、印刷してやっ
た。
 かなり気に入ってるようだ。
 私たちは結婚式を挙げてないので、あいつはウェディングドレス
を着ていない。しかし、ああいうドレス(? のようなもの)を着て
喜んでいることを考えると、彼女も着たかったんだろうな、と思っ
てしまう。
 日曜日など一緒に出かけると、「手拍子して」なんて突然女房が
立ち止まっていう。とうぜん誰もいないところだが、いつものこと
なので、「イチ、ニー、サン、シー」と数えて手を打つと、それに
合わせて女房が足でステップを打つ。一区切り踊ると、「どう、ど
う、合ってた?」と訊く。「こんどのステップ難しいんだよな」と
いいながらも、嬉しそうだ。
 亭主がいうのもへんだが、あいつのフラメンコも初めの頃よりず
いぶんさまになってきた。
 人間、打ち込めることを見つけるということはすばらしい、とあ
いつを見ていて思う。フラメンコに出会うまでの女房とそれ以前の
彼女とは、目の輝きが違う。なんといっても吃驚したのは、昨年、
かしの木亭オフに参加して踊ったということです。あんたはあんた、
私は私、といってた女房が、オフに出て踊った。それまでかしの木
亭のこといろいろ話しても「ヒサシクンが参加していても、私には
関係ないよ」と冷たかったのだ。
 それにしてもああいうものをやると、必ずついて回るのが、チケ
ットを売る、ということだ。私が昔演劇をやっていたときもそうだ
った。割り当ての枚数を売らなければならない。
 女房は1月から友だち、前の会社で一緒に働いていた人、現在の
会社の人、私の友人、などに、電話、手紙、電子メールで“営業活
動”をしていた。しかし、そう売れるものではない。だけど、あい
つの熱意をわきで見てると感心する。ああ…、この人はフラメンコ
が本当に好きなんだな、と思う。自分の踊りを見て欲しい、という
気持ちを伝えている。勧誘される人たちは迷惑だろうが…。
 それでも、14、5枚は売れたようだ。ノルマは20枚。さァー、
どうなりますか。おそらく売れ残り、自腹を切るのでしょう。1枚
3000円、5枚分としてもたいへんだ。
 私は、家計費節約のためビールから発泡酒にしているが、とうぶ
んビールは飲めそうにありません。
 それでも、活きいきとした目で暮らしている女房は悪くありませ
ん。 私もがんばらなければ…。

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2月の九想話

2/14 シクラメン
2/20 雨あがる
2/21 旅だつ友
2/23 燃えてる女房

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旅立つ友

2000年02月21日 | 友人

 今夜、明日台湾に旅立つ友と会った。
 会社の命令で、約束では3年ということらしい。
 彼は山梨に暮らしていた。奥さんと息子は、これからも山梨で生
活を続ける。
 何の因果か、私が山梨に単身赴任したのは、彼の家から車で30
分のところだった。私が山梨にいたときには何度か遊びに行った。
 彼とは、私が19歳のとき、東京の駒込の同じアパートにいた。
そこで知り合い、青春のある時間を共有した。
 彼との出会いは、私にとって衝撃的なものだった。たった1歳違
いなのに、人の生き方、考え方を教えてくれた人だった。
 その頃彼は、週に1日山谷に日雇いの仕事をして他の日は、絵を
描いていた。美大の受験に失敗して、「おれは、自分で絵を描いて
いく」とうそぶいていた。絵を描かないときは、アルトリコーダー
でバロックとかバッハ、ヘンデル、モーツァルトの曲を吹いてた。
 私は昼間、薬品会社に勤務し、夜にはお茶の水の予備校に行って
いた。彼の部屋から聴こえるリコーダーの音に親しみを感じ、いつ
の頃か覚えてないが、彼の部屋をノックした。
 それから彼とのつきあいが始まった。
 彼とのことは、小説のページの「一番の先生」に書いてあります。
 彼と二人で飲むのは、かなり久しぶりのことだ。この20何年か
はかならず奥さんがいた。奥さんがいると、やはり私と二人のとき
との会話とは違う。今夜は、本当に久しぶりに、彼と二人きりで飲
んだ。でも、今夜の友は、明日早いから、とウーロン茶を飲んでい
た。ああ…、こういうところもあったんだと、あらためて思った。
山谷で日雇いの暮らしをしていた友だが、まじめだったんだ。小市
民だったんだ(いい意味での)。
 それはそれとして、今回、新宿で会うまでのことはすべて電子メ
ールでやりとりした。なんか不思議です。26、7年前、駒込のア
パートで安酒を飲み、リコーダーの合奏をし、文学論、芸術論、女
論、人生論を語った友と、電子メールを使って新宿で会う連絡を取
り合うということが、ものすごく“へん”です。なんか感覚的に、
なじまない。だけど、電子メールなんです、私と彼が今日会えたの
は。
 あの頃、電子メールがあったら、彼と私はどうなっていたか…。

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雨あがる

2000年02月20日 | 映画

 今日、黒澤明の遺稿シナリオの「雨あがる」という映画を観た。
 なかなかいい小品という感じの映画でした。
 原作は山本周五郎です。私はこの小説を読んでるはずですが、内
容を忘れていた。周五郎らしい、人間愛いっぱいのストーリーだっ
た。
 私は、主人公に自分を見た。いえ、私は彼のように剣の腕がたつ
というような取り柄はなんにもないが、社会的な意味での、自分の
存在のなさ、ということで同じ想いです。
 明日からも、私らしく生きていくしかないか、なんて考えながら
映画館を出ました。

 夜8時から、NHK教育の新日曜美術館で「“画家”黒澤明の世界」
を観た。これまでもなんどか黒澤の絵を観たが(テレビでですが)、
私は好きです。
 私は若い頃、絵も描き、音楽もやり、小説も書きましたが、どれ
ひとつものにならないで、どうしょうもないなァ、なんて自己嫌悪
しながら観ていた。

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シクラメン

2000年02月14日 | 植物・花

 一昨年買ったシクラメンが、なんの世話もしなかったのに咲きま
した。左の鉢のものです。
 それぞれの花が、かってに茎を伸ばして咲いてるのが、間抜けで
愛嬌があってかわいい。
 右のシクラメンは、去年の年末に買ったものです。かたちは揃っ
ているのですが、左のと比べるとなんか味気ない。
 年末に、ひとつふたつ蕾が出て、女房は「花が咲くよ」とうれし
そうに私に教えてくれた。まさかこんなに咲くとは思わなかった。
 栄養も与えなかったのに、一所懸命花を咲かせたシクラメン。
 私も、見習わなければならない。

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