器の小さい男

2012年02月02日 | 健康・病気

先週の土曜日、私は家に帰って着替えたときにサイフがないことに気づいた。
私はサイフを、いつもズボンのうしろポケットの右側に入れている。
仕事ではいているスラックスのそこにサイフがなかった。
すぐ職場にいる人に電話してロッカールームなどを探してもらった。
午前中に職場で雪かきをしようとして、汚れてもいいズボンとジャンパーに着替えた。
そのときにサイフを落としたかスラックスのポケットから出してどこかに置いたかな?と思った。
サイフはなかった。
それから私は、いろいろなことを推理した。

考えたが分からない。
私はその日、北軽井沢のパンカーラで行われるコンサートでケーナを吹かなくてはならない。
とてもそんな気分にはなれなかったが、行くしかない。
女房は、風邪を引いたようで寝てるという。
なんかそれまで順調に回っていた私の歯車が、あちこちで止まってしまったようだ。

私のサイフに入っている現金は5000円ちょっとぐらいでたいしたことはないが、
そこに入れてある銀行カードとクレジットカードが心配だった。
銀行カードは暗証番号が分からなければ金を引き出せないが、
クレジットカードはスーパーで使おうと思えばサインなしで使えるものだ。

そのときの私はそのまま家にいて、サイフを探していたかった。
人前でケーナを吹くなんてとてもじゃないが出来ないと思った。
でも、行かないわけにはいかない。
アールクルーの一員としてカホンも叩かなければならない。
いろいろ考えていてもしかたないので、私は1人車で浅間山に向かった。
雪が降っていた。
私の気持ちはどんどん落ち込む。
サイフを紛失しないで、女房も元気だったら、
楽しい気持ちで助手席の女房とコンサートのことなど話しながら運転していただろう。
コンサートのとき酒でも呑めればよかったが、帰り運転しなければならない。
女房が来てれば運転してくれる。
でもあの雪では女房は運転してくれないだろうな。
その夜の北軽井沢での私は、ずーっとうす暗い世界を彷徨っていた。

翌日、職場で心当たりの場所に行きサイフを探した。
職場の人に話すと車の中なんじゃないといって、私から鍵を持っていって探してくれた。
しかし、見つからなかった。
私のサイフの記憶をたどる。
金曜日、職場からの帰り午後11時過ぎにガソリンスタンドで給油した。
そのときまでの記憶はあるが、それ以降のサイフのことが分からない。
家に帰ると女房が東京から来ていて、風呂にお湯入れたから入るようにいわれた。
そのへんから私の記憶がない。

昼休み、女房から電話が来た。
「ガソリンスタンドにサイフが落ちてなかったか、電話してみれば…」
「ガソリンスタンドにあるわけないよ。おれは車から出てないんだから」
「念のためよ」
女房の気持ちは分かる。
でもな、ガソリンスタンドなんかに電話をしたくない。
私は仕事をしていても落ち込んでいた。
なんか世の中のことが全部どうでもいいという捨て鉢な気分だった。
女房に電話した。
「も一度布団の中とかそのへんを探してみてくれないか」
「分かった」

どれぐらいたったのだろうか?
10分もたってないと思う。
女房から電話が来た。
「サイフあったわよ」
「ど、どこに?」
「押し入れよ。今から写メ送るから見て」

私はあの日、女房が来たことで平常心ではなかった。
毎日一人暮らしをしていてつまらないところに女房が来た。
お風呂に入ればなんていわれて、私は有頂天になり、
いつもは家に帰るとコタツの上に置くサイフをなぜか押し入れに置いてしまった。
通常の流れが、女房が来たことによって狂ってしまった。
それにしても自分の器の小ささに気づかされ呆れた。
(ああ…、おれなんてこの程度か)と思った。
ふだん、そこそこの男だと考えていた自分が、ものすごくちっちぇ奴だった。
サイフを紛失したぐらいでこの体たらくだ。
あ~、みっともねェ。
こんなこと九想話に書きたくありません。
だから今日まで知らんぷりをしていた。
でもねェ、他人のこと非難することもたまに書いているんだから、
ダメな自分のことも書かなければなりません。
もう少し、私も器を大きくしなければいけませんね。
深く反省しています。

コメント (8)
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