本が出ました。
「『研究室』に行ってみた。」。
なんだ、ナショジオ日本版のウェブサイトの連載と同じじゃないかと思った方、正解です。同じです。これまで42回続いている月イチ連載のうちの6回(6つの「研究室」)をまとめました。
基本的に高校生むけを意識して説明をかみ砕いたり、削ったり、付け加えたりして、つまり再編集しています。
さらに、登場いただく6名の研究者による「研究を志す若い人へ」というコラムも収録。
これまでバラバラに置かれていたものが、ひとつの「本」としてパッケージされたことで、生まれる新しい価値のようなものを、ぼくは感じております。
用途として──
・想定読者対象である高校生(たぶん中学生や、教養課程の大学生も)に読んでもらいたいと思った周囲の人が、「これ、おもしろそう」とか言いつつ、当人に手渡す。あるいは目の届くところにおいておく。
というのが、ぼくが考える一番自然なものです。
身の回りにキャリアを考える時期にあるワカモノがいる人、ぜひ、購入して、「読んでみたら?」とやってください。
なんだか、あまりに「購買動機」を限定しそうな勧め方ですが、基本的にそういう本だと思ってます。
もちろん、イイオトナが読んでいただいても、充分くらいに楽しんでいただける確信はあるけれど、そのあたりは、今後の「読まれ方」を楽しみに待ちたいと思います。
さて、登場いただくのは、この6名。
砂漠のバッタの謎を追う──前野ウルド浩太郎(モーリタニア国立サバクトビバッタ研究所)
宇宙旅行を実現するために──高橋有希(宇宙ベンチャー開発エンジニア)
生物に学んだロボットを作る──飯田史也(チューリッヒ工科大学バイオロボティクス研究室)
地球に存在しない新元素を創りだす──森田浩介(理化学研究所超重元素合成研究チーム)
宇宙エレベーターは可能である──石川洋二(大林組エンジニアリング本部)
すべては地理学だった──堀信行(奈良大学文学部地理学科)
ゴージャスですよ! それぞれ、超絶的におもしろくもスゴイ研究を掘り下げている方々です。枠に収まりきらないというのが、ひとことで述べる共通点。その片鱗でも伝えられたらよいな! です。
さてさて、実は、最初、書籍化の話をいただいた時、「理系のキャリアを考える学生にヒントとなるような本」をという提案でした。
結果、まとまったこの本は、きっとそういう本になっていると思うのですか、しかし、その時も今も、ひっかかっているのは「理系本」というところなんですよね。
だって、理系・文系のくくりって、大学受験では絶対的なものに見えるけれど、実は「仮」のものでしかないから。
いざ、世に出ると、理系も文系もないですよ。
研究者の世界も、文系とか理系とか言っている人って、あまり見ません。知りたいことがあって、それを研究していくなら、その人がやっていることはサイエンスです。
そういう意味で、文と理よりも、サイエンスとエンジニアリングの違いの方が、大事な瞬間があるんじゃないだろうかと思うくらい。
そんなことも感じていただければたいへんうれしいです。