名古屋・名駅街暮らし

足の向くまま気の向くままに、季節の移ろいや暮らしのあれこれを綴ります。

おじいさんの営農日誌

2009年06月22日 | セカンドルーム

 

 

飛騨地方でも、高冷地には適さないといわれていた「こしひかり」を作る家が増えている。
温暖化の影響なのか、栽培法が工夫された結果なのか、平地並みの収穫が出来るようになったとのことだ。
苗を選ぶ時、700m以上の標高でも「こしひかり」は可能だが、「ひとめぼれ」の方が確実だと云われたし、この田の持ち主である2年前に亡くなったおじいさんも「ひとめぼれ」を作っていたのでそれに決めた。

 
田起こしから始まった稲作は、おじいさんが使っていた営農日誌を貰って、それを読みながらやっている。
おじいさんが元気だった頃、農作業を見たり、手伝ったりして一通りの作業は分かったつもりでいたが、やってみて初めて理解出来た事がたくさんあった。
田の水温を下げないため朝の内に水を当てたり、田を干して根に悪いガスを抜いたりしていた姿を思い出す。
寡黙な恩師は、好奇心で聞いたことでも丁寧に教えてくれたが、稲作を始めた今になって、もう少し詳しく聞いておけばよかったと悔やまれる。
写真に写っている収穫を最後に、翌年1月に亡くなり、おばあさんも後を追うようにこの世を去っていった。

 


大した手伝いもしなかったのに、親切なおばあさんは、自家製の味噌や漬物、米などをお礼にくれて、いつも恐縮していた。
午前中に梅干を貰ったのに、午後に電話が掛かってきて「梅干を漬けたから取りに来い」という様な事が度々あった。
間もなくおじいさんの手伝いも出来なくなり、数年間は一人で野良仕事をしていた。
そんな思い出の稲田で野良仕事をしていると、色々な光景が蘇えってくる。
1年休んだ田が復活し、秋にたくさんの米が収穫出来たら、きっと二人は喜んでくれるだろうと思ったりしている。

コメント (4)
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