【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

井上ひさし『ナイン』講談社、1987年

2013-06-13 23:13:43 | 小説

               

   短編集。「ナイン」「太郎と花子」「新婦側控室」「隣り同士」「祭まで」「女の部屋」「箱」「傷」「記念写真」「高見の見物」「春休み」「新宿まで」「会話」「会食」「足袋」「握手」の16編。

   井上ひさしの脚本、エッセイは読んだことは何度もあり、彼が書いた芝居もたくさん見たことがあるが、小説は初めて。この短編集を読む限り、よくできている。私小説のジャンルに入るだろうか。自身の経験したこと、見たことがテーマ。

   東京のいろいろな地域が舞台になっているので、かなり前の風景が描かれていて、それは今とは異なるので興味深い。市井の人々の生活、思いも書き込まれている。著者自身が、かなり特異な体験のなかで育ち、仕事をしてきたこともわかるので、この視点からの評価も可能だろう。

   最後の「握手」は中学校の教科書にも載ったことがあり、それを感動して読んだという記事を見たが、なるほど、心を震わせる人間の交流がそこにある。


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