【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

「方法日本」 松岡流の日本の謎解き

2010-02-02 00:29:41 | 地理/風土/気象/文化
松岡正剛『神仏たちの秘密-日本の面影の源流-』春秋社、2006年
       
            

 本書は「連塾」の3冊からなるトーク・ドキュメントのうちの一冊です。連塾というのは「連志連會」という法人が開催している塾で、立ち上げは2003年7月、この組織が著者に日本の話を依頼してスタートしました。

 内容はこれも著者の解説では「第一講:日本という方法」では屋根の形と西田幾太郎と紀貫之とを相互同時に語り(わたしはこの講で「てりむくり」という様式の説明に学んだ)、「第二講:神話の結び目」では能舞台での椎名林檎の歌から始めて、日本神話のデュアル・スタンダードを扱い(わたしはこの講で物語の関係力としての「結び目」の説明が印象的だった)、「第三講:仏教にひそむ謎」ではアメリカで発表したコンピュータ・ソフトの紹介をしながら宮澤賢治は法華経にのめりこんでいった経緯、そして日本仏教の入口の紹介となっているとのことです(わたしはこの講で「華厳の思想」と格闘した)。

 と、このように記述しても内容はいまひとつよくわからないかもしれません。要約はむずかしいのですが、少しでも整理に努めると、メインテーマは日本を主語にして語るのではなく、日本が持っている物事の見方、とらえ方を 「方法日本」という視点から編集しなおそうというものです。

 方法日本にかかわるキーワード(方法のコンセプト)は 太字のゴシック体で表記されています。例えば、ソロイ、アワセ、キソイ、絶対矛盾的自己同一、 ムスビ、もどき、逆旅、無常、山川草木悉皆成仏、面影、花鳥風月、本地垂迹、顕密体制、数奇、有職故実、六道輪廻、一切皆苦、練供養・・・・などなど。このキーワードが100ほどあります。

 日本が外来文化にどう対処し、どのように仏教を受け入れ、 またどのように神話を作り上げていったのかを語りながら 「方法日本」を具体的に示しています。歴史の中の「結び目」に関する論述も面白いし、ためになります。「記紀伝承による日本神話パンテオン構造」(pp.154-155)は、日本の神話の世界を図示したもので貴重です。

 ところで、この「方法日本」を身につけるのは至難のワザです。正剛さんの博学ぶりと、編集能力の凄さに圧倒されます。そしてこの方法的なアプローチが習得できないと日本がわからないとなると、少々絶望的な気持ちになるのは、わたしひとりでしょうか。

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