あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

グローバリズムという病

2014-10-08 18:12:32 | Weblog

 平川 克美さんの本はちょいちょい読ましていただいてますが、この本で「グローバリズム」の本性が知れました。読了後は「感謝」の二文字です。

  我々書店業界では、グローバル企業の盟主が、「便利」「早い」「推薦図書もあり」をキーにして、インターネット通販でありながら、日本でも一番のシェアを握っています。販売を通して、お金を全国から集め、税金も日本国に一銭も落とさずに、一路アメリカへ流れていってます。昔の平家ではありませんが、「アマゾンであらずんば、人にあらず」の勢いにより、進出している多くの国、特にフランスでは問題視されています。本書にも、

 「グローバリズムと企業の垂直統合は、ワンセットのももになっており、それが地域性の破壊という今日的問題の原因になっている。」

と書かれています。資本主義下での株式会社は成長することが大命題であり、そのためには自国のシェアを獲得した暁には、海外へ遮二無二進出していくことが必要になります。そこで各国の保護主義的政策が邪魔になり、障壁の撤廃のために政府を動かすようになります。つまり、多様性を重んじ、各国の主権を尊重する「国民国家」を崩壊へ導いています。

 そこで、我々は「便利」「早い」というだけ、すなわち損得勘定、経済合理性だけで行動する、「アノニマスな消費者」となるだけでなく、地域内にお金を落とし、地域内で流通する、「地域内再投資」を考えて行動することが求められます。阪神・淡路大震災を経験した私は、災害時にはリアルな地域社会しか援けてくれない、多国籍企業やインターネット通販企業が瞬時にリアルに手を差し伸べてくれるはずはないはずということを身に染みて理解しています。

 生態系で「生物多様性」を考えるのであれば、経済においても「多様性」があってしかるべきだと思います。

『グローバリズムという病』(平川 克美著、東洋経済新報社、本体価格1,500円)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする