お菓子には不向き
久高島へ渡る船の発着場安座間港で船を待つ間、「ビールでも飲むか」となって、売店でビールを買う。酒があまり強くない友人のNも付き合って1缶買い、そして、何かつまむものを探した。売店の総菜コーナーで彼が目をつけたのがアンダカシーという揚げ物。1個が2センチ角くらいのさいころ型が、1パックに30個ばかり入っている。揚げ餅みたいなきつね色は、見た目は旨そうに見える。
上手に作ったアンダカシーは、見た目通り旨いもので、私もたまに、数年に1回程度は自分で作ることがある。私の作ったものは、母が作るのに比べるとちょっと劣るが、まあまあいけている。下手に作られたアンダカシーはきつい。脂がきつい、ので、多くは食えない。鳥の皮をカリカリっと揚げたものも苦手だというNに、私は勧めなかった。
豚のバラ肉の脂身(良いものは純白に近い色をしている)をさいころ型に切って、フライパンでカラ炒りする。火加減はとろ火。カラ炒りは最初の数秒だけ、脂身から脂が出てきてすぐに豚脂身の脂炒めになる。さらに時間が経つと、豚脂身の素揚げになる。私の母親はそうやって、さいころ型の脂身が小さくなって、カリカリになるまで揚げて、取り出す。さいころ型を取り上げて鍋に残ったものは純正ラード。保存し、様々な料理に使う。取り上げたさいころ型のから揚げがアンダカシーとなる。アンダカシーは漢字で書くと油粕。といっても肥料にはしない。食い物である。
揚げ立てに塩を振り、そのまま酒の肴になる。脂が抜けた脂身だが、旨みは残っているので美味しい。食感も良い。ただし、脂分が十分に抜けきっていないアンダカシーは、口の中で噛んだとたん、脂が口の中に広がり、溶かしたラードを飲んだ感じになる。舌に重く感じ、胃に重く感じ、気分も重くなる。しばらくすると体も重く感じるようになる。脂酔いの極地といったところ。2、3個食って、食傷する。
アンダカシーは味噌汁などに入れたりもする。味噌汁の水分を吸って、カリカリがフニャフニャになるが、汁の味にコクが出る。この場合は、多少脂分が残っていても大丈夫。豚脂の旨味が味わえる、豚汁と思えば良い。
記:ガジ丸 2004.12.3 →沖縄の飲食目次