トゥンジージューシー
今日(今、これを書いているのは23日)は冬至、沖縄では冬至に、トゥンジージューシー(冬至雑炊)を食す慣わしがある。数日前からスーパーではトゥンジージューシー用の食材を目立つように並べてあり、セールもしていた。
雑炊と書くが、沖縄のジューシーにはヤファラジューシーとクファジューシーの2種類あって、ヤファラは柔ら、クファは堅いという意。ヤファラは雑炊に近く、クファは炊き込み御飯に近い。中に入れる具材も違っていて、ヤファラは葉野菜が多く、クファは根菜類が多い。トゥンジージューシーは根菜類を入れたクファジューシーである。
トゥンジージューシーのことを元は、チンヌクジューシーと言っていたんではないかとフォーシスターズのチンヌクジューシーを歌いながら思ったので、母親に電話で訊く。
「昔は貧しくて、今みたいに食材が手に入らなかったからチンヌクだけのジューシーだったのよ。戦後何年も経ってからだねぇ、豚肉も入っているジューシーは」とのこと。
朝ドラの「おしん」を私は見ていなくて、確かなことは言えないが、話に聞く大根飯みたいなもんではないだろうか。米の量を減らすためにたっぷりのチンヌクを入れたんではないだろうか。チンヌクとは里芋のこと。今では里芋の方が高くつくだろうが。
フォーシスターズの唄チンヌクジューシーは、「アンマー(母ちゃん)タムノー(薪が)キブトンドー(烟っているよー)」と始まり、「キブシヌ(煙の)キブサヌ(烟くて)ナダソーソー(涙ぼろぼろ)」と続く。薪の釜でジューシーを作っている光景だ。
ジューシーの話から逸れてしまうが、このナダソーソー、夏川りみの歌では「涙そうそう」とソウソウとなっていたと思うが、実際はソーソーと発音される。ウチナーンチュは面倒臭がりやなので、オウオウなどと口を動かしたりはしない。1回で済むことは1回で済ます。ソーとオの形に口を開けたなら、そのままオーとしてしまう。
唄は、「チンチン、チンヌクジューシーメー」で終わる。最後のメーは飯の意。チンヌクジューシーメーは里芋雑炊飯ということになる。最近は飲み屋などでもジューシーと表記されているが、私が子供の頃はジューシーメーと言っていた。
ちなみに、私の今日の昼食はジューシーメーでは無く、チャーハンだった。もう何年も私は、冬至の日にトゥンジージューシーを食っていない。寒さに耐えるように栄養をつけるという意味であったトゥンジージューシーであったが、地球温暖化で最近は12月になっても寒くないし、それに、いつでも栄養たっぷり摂っているし、なのだ。
記:ガジ丸 2004.12.23 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行