下半身に効く
ハブ酒、一般的には「はぶざけ」では無く、「はぶしゅ」と読む。沖縄で最も有名な動物であるハブ、おそらく、イリオモテヤマネコやヤンバルクイナやアグーよりも有名な、人を死に至らしめる猛毒を持つことで有名なハブ、それを漬けた泡盛のこと。
ハブ酒と聞いて、「それ何?」と問うウチナーンチュの大人はいないと思う。名前はそれほど有名。であるが、一般的な飲み物であるかどうかについては、まったく一般的では無く、特殊な飲み物である。酒好きの私でさえ、記憶している限り、飲んだことは一度しか無い。若い頃だ。不味かったので、二度と飲むことは無かった。
ハブ酒は不味いだけでなく、臭かった。ただ、飲んだのは2、30年前の話なのでどのように不味かったか、どのように臭かったかを説明できない。
ハブ酒についての記載が『沖縄大百科事典』にある。その内容を要約すると、
漬けるハブは600グラム以上のものが良い。
生きたハブを水洗いして泡盛40度以上のものに漬ける。
早くて1年、できたら3年漬けた方が良い。
薬理効果はまだ十分に解明されていない。
強壮剤としては古くから知られている。
などとなっている。ハブを捕まえるのも大変だが、せっかくの泡盛を臭くて不味いものにわざわざ変えることが、酒好きの私には少々合点がいかない。
強壮剤というならば、ニンニクやニラや山芋を食えばいいじゃないかと思う。焼きニンニク、ニラレバ、とろろなどを肴に美味い泡盛を飲んどきゃいいじゃないかと思う。そういう幸せな時間こそが生きる力になるじゃないかと思う。
さて、私がどう思おうが、ハブ酒は存在する。しかも、けしてポピュラーでは無いが、一部の人気者として、その存在は昔から連綿と続いている。とうことは、もしかしたら強壮剤としての効果が抜群にあるのかもしれない。50過ぎたオジサンでも、あるいは70過ぎた爺さんでも、ハブ酒を一口飲めば、その夜は若者のような下半身に変身するのかもしれない。であれば、試してみたい。試す相手を見つけるのは極めて困難だが。
記:ガジ丸 2010.4.29 →沖縄の飲食目次