忘れられた美味
主に台風とホームページ作りのせいで、約2ヶ月の間、畑仕事をサボっていた。おかげで、今、畑から収穫できるものが何も無い。去った日曜日にやっと、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、二十日ネギ、島ラッキョウの植付けをやったばかり。
私の畑の作物はご飯のおかずというより、ほとんどが酒の肴になることを目的として植えられている。キャベツはチャンプルーになったりもするが、漬物にされて日本酒の肴にもなる。カリフラワーやブロッコリーはワインの肴。そして、シマラッキョウは日本酒にもワインにも泡盛にも合う肴となる。沖縄の草木「シマラッキョウ」でも述べているが、シマラッキョウは酒の肴としては上級。独特の風味と辛味が酒に合う。焼いたり、揚げたり、漬けたりして、シマラッキョウだけで一晩の酒の時間を過ごすことができる。
シマラッキョウ、ご飯のおかずとしては塩揉みしたものや浅漬けにしたものに鰹節をふり、醤油をたらして食うことが多いが、数年前からシマラッキョウの天ぷらも流行りだした。他の野菜や豆腐などと一緒に炒めたチャンプルー料理もよく見かける。他所では見たこと無いが、私はスパゲッティーにも使う。シマラッキョウを細かく刻んで、ベーコンなどと一緒に炒め、茹でたスパゲッティーを和える。
酒の肴としては、生のままマヨネーズをつけて食っても旨い。七輪で炙ってレモンと塩をつけて食っても良い。細かく刻んで納豆と合えたものも酒の肴として申し分ない。
数年前に、初めてシマラッキョウを植えて、その収穫時期となった翌年の4月か5月、ひょろひょろした細長い、半分枯れかかった葉を雑草と思って抜いた。葉は根元から千切れて根が残った。翌週、耕しついでにその根を取り除こうとスコップを入れたら、ザックザックとシマラッキョウが出てきた。何しろ植えてから半年以上も経っていたのだ。オジサンはすっかりシマラッキョウを植えたことなど忘れていたのだった。
その日から一週間、休肝日も返上してオジサンはシマラッキョウを楽しんだ。忘れられた美味は、予想以上の旨さだった。で、その年からは毎年、シマラッキョウは私の畑に植えられるようになった。そして、その収穫を忘れられることは二度と無かった。
記:ガジ丸 2004.11.12 →沖縄の飲食目次