ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ゲンマイ

2011年03月11日 | 飲食:飲物・嗜好品

 栄養満点飲料

 先月中旬、みちのく一人旅パート2(パート1は一昨年春の福島、仙台、山形)に出掛けた。今回の目的は宮沢賢治を肌で感じること。
 沖縄から空路、仙台直行便を使い、仙台からは鉄道。3泊のうち1泊は盛岡近辺にし、小岩井農場見学をと思ったが、盛岡のホテルが取れなくて予定変更。平泉手前の一関に宿を取り、平泉の毛越寺、中尊寺見学となった。それはそれで得る所も多かったので、結果オーライとなった。

 さて、宮沢賢治。花巻を歩いていてよく解ったことは、賢治が地元の人々に深く愛されているということ。街のあちこちに賢治の匂いが感じられた。駅、観光案内所、ホテルなどに賢治に関する情報の載ったパンフレットがいくつも置いてあった。
 賢治への私の興味は童話では無く、あの有名な詩、「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ・・・」にあった。今さら何で?なのだが、人のために生きる、そのために丈夫な体が欲しい、などという崇高な境地に本当に至れるものかどうか確認してみたかった。賢治が作り、今尚、花巻の街に受け継がれている賢治の世界に触れれば、何かしら解るのではないかと思ったのだ。結果、ほとんど何も解らなかった。宗教心とか、病弱だったからとかいろいろ情報はあったが、「そうなのかなあ」と半信半疑。崇高な境地、グータラオジサンにはなかなか理解できるものでは無かったようだ。

 グータラオジサンにはしかし、賢治と共通点がある、と威張って言う。三年前から玄米食にしているということ。しかも、賢治は一日四合と書いているが、私は一日一合しか食しない。「どうじゃい!」とさらに威張って・・・言いたいところだが、肉や魚についてはおそらく賢治の十倍以上食ってるに違いない、酒に至っては賢治の百倍以上は飲んでいるだろう。崇高な境地なんて、遥かかなたの人生だ。へへん、だ。

 沖縄にはゲンマイという名の"飲み物"がある。ゲンマイという名は「元気な舞い」では無く、玄米から来ている。玄米を粉にして、黒糖やら生姜やらと一緒に煮て、醗酵させたりしてできた自然健康飲料。栄養価も高い。死んだ祖母が好きで、よく飲んでいた。私もご相伴でよく飲まされた。沖縄にしか無い飲み物なのかしらんが、トロトロっとしていて気味悪いと言う倭国の友人たちも多くいる。こんなもんだと思えば、味そのものは悪くない。ウッチン茶などに比べればはるかに旨い。懐かしさで、時々飲みたくなる。
  ゲンマイと似たようなものに、白米を用いて作ったミキという飲み物もある。私は飲んだ記憶が無いのだが、これも栄養価の高い健康飲料と聞いている。沖縄には飲み物にも食い物にも体に良いものがたくさんあって、お陰で私は丈夫な体なのかもしれない。宮沢賢治も沖縄で暮らしていれば、もっとずっと長生きできたかもしれない。
      
 沖縄産の賢治だったなら、80歳過ぎてもなお「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ・・・」の丈夫な体。ゲンマイを飲み、ゴーヤーを食い、フーチバーを食い、泡盛を少々飲む。東へ西へ、北へ南へテクテク歩いて行っては、ニコニコ笑いながら、風に吹かれて帰ってくる。寒さに怯えなくていい。時間はのんびり流れている。ものごとを深く考えなくてもいい。ものごとを深く考えなくてもいいので、「雨ニモ負ケズ・・・」なんて詩も生まれないだろうが・・・。それでいいさ、明日は明日の風が吹く。ナンクルナイサだ。
 沖縄産の賢治はやはり、ノンキなオジーになる可能性が高い。 

 記:2004.11.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 生兵法の訂正
 素人のくせにテキトーに調べて書くものだから、時々間違いを書いてしまう。上記の文にも間違い(ゲンマイ・・・発酵させたり)があったので、その訂正。
 「ゲンマイとミキ、作り方は違うよ」と知人に言われて、調べた。実物を買って、その原料を調べればいいだろうということで、買いに行く。ゲンマイはどの店にもあったが、ミキが無い。そういえば、月1で会う10人ばかりの友人たちの中で、ミキを飲んだことがあるっていう人は一人もいなかった。ウチナーンチュたちの間でも、ミキはあまりポピュラーではないようだ。それでもやっと、5軒目のスーパーで買うことができた。
 ゲンマイの原材料:玄米、砂糖、黒糖、しょうが、食塩
 ミキの原材料:白米、砂糖、もち米、麦、乳酸
原材料も違うが、知人の言う通り、作り方も違う。ミキは醗酵させるが、玄米はそうしないとのこと。ちなみに、ミキという名は神酒からきているらしい。
 記:2004.11.19 ガジ丸

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行