ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タイワンシロガシラ

2011年04月07日 | 動物:鳥

 天変地異の予兆

  その騒音が猛威を振るっていたサンサナー(クマゼミ)が、8月に入って幾分おとなしくなった。何より、鳴き始める時間が遅くなった。7時頃になった。その時間には、私は既に目覚めているので、問題は無い。8月に入って、夜風も幾分涼しくなったので、この4、5日の間、十分な睡眠を取ることができている。幸せを感じる。

 先週の金曜日、鳥の声がやけにうるさいので、目が覚めた。まだ朝日が顔を出す前の時間だった。カーテンを開けて窓の外を見る。窓から正面、7、8m離れた先の電線にたくさんの鳥が止まっていて、グエッ、グエッ、グエッと鳴いていた。
 私は11年近く今の所に住んでいるが、このような光景を見るのは初めてだった。滅多に無い大きな問題が起こり、緊急の会議でも開いているのか、口角泡を飛ばす議論などをしているのか、鳥たちは時々、立つ位置を変えながら、なおしばらくの間、喚いていた。
 何事かと興味を持って、カメラを手に外へ出た。見渡すと周囲にたくさんの電線があったが、彼らがいるのは私の部屋の正面を中心とした辺りのみ。正面には向かいの家の大きなナンヨウスギの木があって、その木にも数羽が行ったり来たりしている。
  「何じゃい、いったい何事じゃい」とつぶやきながら写真を撮る。「何だい、俺の部屋でも狙っているのかい」とつぶやきながらデジカメのズームで観察する。
 鳥は、タイワンシロガシラのようであった。初夏から「ピーピッコピロロ」とうるさく鳴く奴で、鳥の中では睡眠妨害のチャンピオン。「グエッ、グエッ、グエッ」とも鳴くとは知らなかった。「グエッ、グエッ、グエッ」と鳴いてもうるさい奴らだった。
     
     

 会議は1日で終了したのか、翌朝にはいつも通りの数羽という数に戻り、私の安眠は守られた。タイワンシロガシラであることの証明に、その数羽の アップの写真を撮ろうと思って、ベランダに出る。出て、驚いた。シロガシラの写真を撮ることも忘れてしまった。
 ベランダに、この近辺ではかつて見たことの無い大きなジョロウグモが巣を張っていた。エッ!と思っているとアシナガバチが網に掛かった。ジョロウグモが素早くアシナガバチに寄り、糸を巻きつける。しばらくして、アシナガバチは丸くなった。写真を撮る。
 しかし、シロガシラといい、ジョロウグモといい、天変地異の予兆か?

 
 タイワンシロガシラ(台湾白頭)
 名前の由来、文献には無かったがおおよそ想像は付く。頭部が白いのでシロガシラ(白頭)、南方からやってきたのでタイワン(台湾)となる。八重山地方には在来の亜種であるヤエヤマシロガシラが生息するとのこと。
 『沖縄の野鳥』によると、私には「ピーケッチョペチョ」と聞こえたのはさえずりで、表記(聞きなしと言うらしい)は「ピーコッコピー」。「グエッ、グエッ、グエッ」と聞こえたのは地鳴きで、表記は「グワッ、グワッ」とある。
 全長は18.5センチ。 林野、草原、市街地などどこにでも生息し、年中見られ、時に群れを成す。畑の作物を食い荒らす害鳥となっていて、私の畑のレタスは彼らい齧られることが多い。1970年代中頃から増えだした外来種とのこと。
 
 まるで、金玉を冷やすような格好をする。この後飛んだわけでは無い。
 
 タイワンシロガシラのつがい
 煩く感じるシロガシラだが、彼らも恋をするようだ。静かに体を寄せ合っていた。

 記:ガジ丸 2004.8.10 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行